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【ダウン症児と私10】やっと離乳食!でも…抱っこもイスもダメで、大変!

ユキトくんが、グループ外来での療育へ定期的に参加するようになり、同じ境遇のお友だちができたナナさん。今回は、ユキトくんへ離乳食を食べさせ始めたときのお話です。ミルクのときも、吸う力が弱く苦労したナナさん。療育で教わった通りにしようとしても、なかなか食べてもらえず試行錯誤が続きます。

 

遺伝科は病気だけでなく、生活面や精神面のサポートも

Q.小児専門の総合病院に移って、生活は変わりましたか?

A.遺伝科では病気のことだけでなく、生活面、精神面のサポートもしていただいたので、とても嬉しかったですし、助かりました。また、グループ外来での療育は、まだ0才児なので、みんなで集まって歌を歌ったり手遊びしたり、介助をして寝返りを促すなどの運動やベビーマッサージをします。赤ちゃんのためというより、親のためでしょうか。まずは、母親同士がコミュニケーションを取り、一緒に勉強をして、子育ての情報をやり取りする場所という感じでした。赤ちゃんは、療育の時間もすやすやと眠っている子が多かったです。そのころから、いろいろな科でよく合う友達もでき、忙しいものの病院通いが楽しくなりました。

6カ月目に離乳食に挑戦したものの……

Q.離乳食は、6カ月目から始められたのですか?

A.はい。グループ外来での勉強会で「ダウン症の赤ちゃんも健常の赤ちゃんと同じく、生後6カ月目から離乳食を始めましょう」と習ったので、早速私も柔らかいおかゆを作り、横抱きであげようとしました。しかし抱っこしようとすると、ユキトは体を大きく外側へのけ反らせてしまい、横抱きに抱っこできませんでした。こののけ反りは普通の子でも多少あるのですが、ユキトは特に酷くて、どうしようもありませんでした。筋緊張低下症で筋肉は柔らかなのですが、横向きに抱っこすると、全身に力を入れのけ反ってしまうのです。「なかなか座らない子は横抱きで離乳食をあげましょう」と習ったのですが、どうすることもできませんでした。

 

泣きながら、インターネットで段ボールの製の専用イスを購入

Q.座れなくて、横向きだっこもできないと、スプーンで食べさせるには、どうされたのですか?

A. 私たち夫婦は、テーブル付きのイスやバンボを買って座らせてみましたが、ユキトはぐにゃぐにゃで、座ることができませんでした。もちろん離乳食もあげられず、私はノイローゼになりそうでした。最後は、泣きながらインターネットで「障害児、イス」と検索し、筋肉の弱い子用の段ボール製のイスを見付けたので購入しました。そのイスは「iトライチェア」と言い、お尻の位置が低く落ち込むように作ってあり、膝が上がり、背もたれが斜めに作られていました。そのイスのお陰で、やっと私は両手が使えるようになり、離乳食をユキトの口へ運べるようになりました。でも、喉と舌の筋肉が弱いユキトは、おかゆを一口も食べることができませんでした。

 

◇iトライチェア(アサヒテックコーポレーション)
http://www.asahitec.com/welfare/chair/

 

ダウン症の基礎知識10:離乳食は、ゆっくりと諦めないで

子どもの食事の練習は大変です。とくに、ダウン症児の赤ちゃんは、口の筋肉が弱いため、ミルクを飲む量も少なく、離乳食の開始も大変です。離乳食の開始時期は、ほかの子と同じく生後半年からと言われています。ただし、食べられるようになるまでには時間がかかるので、諦めずに根気よく取り組む必要があります。

 

 

ナナ

5歳のダウン症の息子「ユキト」と、3歳半の弟「マサト」のママの「ナナ」と申します。ダウン症の子どもを育てている様子や、母親の気持ちなどを率直にお話ししたいと思います。