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【ダウン症児と私8】やっと居場所を見付けた、小児医療センターと親の会

RSウィルスの感染を避けるため、4月まで自宅で過ごしていたナナさんとユキトくん。今回は、5月になり遺伝科の専門医がいる小児医療センターへ初めて訪れたときのお話しを伺いました。そして、先生から紹介された「ダウン症の親の会」では、先輩ママたちとの新しい出会いがありました。

初めての小児専門の総合病院、遺伝科外来へ

A.初めて訪れた小児医療センターは、どんなところでしたか?

Q.私が住む地域では一番大きな小児専門の総合病院で、玄関横には無料で借りられるベビーカーがあり、入口には案内のスタッフさんもいます。受付の前には、大きなキッズスペースがあって、たくさんの子どもたちが遊んでいました。

 

A.まずは遺伝科を受診されたのですね

Q.はい。出産した病院からの紹介状を提出し、初診受付をしました。ダウン症は遺伝子の異常があるので、遺伝科を受診することになっていました。先生にお会いする前に、身長と体重を測り、名前を呼ばれて診察室へ入りました。

 

遺伝科の専門医に会い、居場所が見付かった安堵感

A.遺伝科の先生のお話はどのようなものでしたか?

Q.遺伝科の先生は「いらっしゃい、よく来たね」と言ってわたしとユキトを迎え入れてくれました。この一言を聞いて「やっと居場所が見付かった」という安堵感が湧き上がり、涙が溢れました。それまでも、出産した病院でダウン症について教えてもらっていましたが、周りにダウン症児やダウン症児を育てているママがいなかったので、不安な気持ちで一杯だったのです。泣いている私に、先生は優しくダウン症の基礎知識を教えてくれました。

 

小児医療センターで、全てを診てもらうことに

A.初診後、小児医療センターではどのような科を受診することになりましたか?

Q.ユキトは、成長ホルモンの分泌に問題があるかもしれないので月に1度遺伝科を受診し、身長と体重を測って成長曲線をチェックすることになりました。問診では、日常生活で変わったことがないか確認してもらえるほか、授乳や排便などの相談にも答えてくれました。そのほか眼科、歯科、耳鼻科、循環器科、泌尿器科への紹介状も書いてもらい、この病院でユキトの全てを診てもらう手続きをしました。

 

  • 眼科:異常なしで年に1度の定期検診
  • 歯科:異常なしで4カ月に1度の定期検診
  • 耳鼻科:滲出性中耳炎が見付かり、詳しい検査
  • 循環器科:心室中隔欠損と心房中隔欠損があるので、詳しい検査
  • 泌尿器科:移動性睾丸が見付かり、経過観察

 

これらの受診に加え、年に1度定期的な血液検査、月に1度ダウン症の集団外来に参加することになりました。

 

ダウン症児を育てるママたちの情報交換の場を見学、参加へ

A. 遺伝科の先生から「ダウン症の親の会」を紹介されたということですが、どのような集まりなのですか?

Q. 「ダウン症の親の会」は、ダウン症の子どもをもつ親の有志によって運営されていて、大きな市や県に1つあるくらいの組織です。私は、遺伝科の先生に教えていただき、早速電話をして次の会合を見学させてもらうことにしました。親の会の存在を知って「悩んでいるのは私だけじゃないんだ」と、心強く感じました。

ユキトと一緒に親の会の見学へ行くと、先輩ママが20人ほど集まっていて、「まあ、かわいいわね、こっちへいらっしゃい」と笑顔で招き入れてくれました。これまでの5カ月間、ダウン症児の子育てをしているママと知り合いになる機会がなかった私は、「私は独りじゃない、こんなにたくさん先輩ママが応援してくれている」と、励まされました。自分の最寄りの駅で開催されていたこともあり、すぐに親の会に入会することに決めました。

 

真剣に相談に乗ってくれる良き理解者、先輩ママとの出会い

A.どんなことを話されたのですか?

Q.小児医療センターの遺伝科を受診した直後で、ほかの科はまだ出産した病院にも通っていた時期だったので、「2つの病院に通っていて大変」と相談すると、先輩ママは「総合病院で全てを診てもらえるので、出産した病院へはもう行かなくて大丈夫」とアドバイスしてくれました。また私は、妊娠してから引っ越して出産したため土地勘がなく、地域の病院に詳しくなかったので、近くのおすすめの病院も教えてもらいました。たくさんの先輩ママが、私とユキトのために意見を出し合いアドバイスをしてくれて、本当に嬉しかったです。

ダウン症の基礎知識8:ダウン症児の親の会

ダウン症児の親の会は、親同士の交流や情報交換、子ども同士の交流の場として、各地域で活動しています。有志によって運営されていることもあり、会によって運営方針や雰囲気が異なるので、ナナさんのように実際に参加して雰囲気を確かめてみるのがいいでしょう。親の会に関する情報は、医療機関、保健所、児童相談所などで入手できます。

  • 親同士の交流:親同士の交流を図り、育児の悩みや苦労などを分かち合える場として定期的に集まりが開かれています
  • 子ども同士の交流:子どもと参加できるイベントもあり、ほかのダウン症の子と接するよい機会になります

 

 

ナナ

5歳のダウン症の息子「ユキト」と、3歳半の弟「マサト」のママの「ナナ」と申します。ダウン症の子どもを育てている様子や、母親の気持ちなどを率直にお話ししたいと思います。