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「子ども防犯対策」子どもと大人で違う“知らない人”が犯罪のきっかけに
2016年 2月 9日 09:10
実は、子どもと大人では「知らない人」の考え方が違うのを知っていましたか?今回は、この「知らない人」を具体的に子どもに教える方法と、声をかけられたときの対応と教え方について考えます。子どもには、「知らない人にはついて行っちゃダメよ」と教えますよね。でも、「知らない人」の捉え方の違いが、犯罪の原因になることも。この違いについて、理解して教えることが、犯罪を未然に防ぐことに役立つんです。親としては、子どもが犯罪に巻き込まれないようにと思うものの、どんな風に教えたらいいのか、迷っている部分もあるのではないでしょうか。
子どもと親の考える「知らない人」の認識を一致させる
子どもは、見ず知らずの人だったとしても、自分に優しくしてくれる人を「いい人」と捉えがちです。また「いつも見かける人」や「挨拶をしてくれる人」などにも、親近感を抱いてしまいます。なかには、もちろん本当に見守ってくれている人もいますが、これが不審者の場合もあり、危険につながる可能性もあります。子どもを犯罪から守るためには、子どもの考える「知らない人」を、親の考えるものと一致させて、「ついて行かない」「もらわない」を教える必要があります。では、具体的に「知らない人」を教える方法をご紹介します。
1.見たことのない人
「道を聞かれる」「助けを求められる」など、見たこともない人に声をかけられる場合があります。でも実際は、大人が子どもに道を聞いたり、助けを求めることは、ほとんどありませんよね。大人がいれば大人に聞くのが普通です。このことを子どもに教えましょう。そして、ちょっとでもおかしいと思ったり、誘うような感じがしたら、「わかりません」と答えて、すぐにその場を立ち去ることを教えましょう。また大人でも、外見だけでは不審者かどうか判断できません。優しそうな人が近寄ってきたら、素直な子どもは心を許してしまいがち。でもむしろ、計画的な不審者ほど優しそうな外見や服装をしているものです。外見に惑わされず、怪しい言動があれば、立ち去るということを教えましょう。
2.見たことがあるけど名前を知らない人
あなたは、よく行くスーパーや毎日通る道で、毎日のように見ているけど、「話したことがない人」「名前を知らない人」を「知っている人」としてついて行きたいと思いますか。子どもも毎日の通学路や公園で、犬の散歩やジョギングなど、毎日見ている人はいるはずです。素直な子どもは、こういう人を「知っている人」として、ついて行ってもいいかなと捉えてしまいがちなんです。こういう人も「知らない人」だと教えましょう。もしかしたら、何か尋ねてきたり、誘ってきたりするかもしれません。その場合でも、「見たことがない人」同様おかしいなと感じたら、その場を立ち去るように教えましょう。
3.言葉を交わしたことがあるけれど、どこに住んでいるか知らない人
先ほどとは、ちょっと違って「名前を知らない人」だけど「ちょっとだけ話したことがある人」というのもいます。通学路や、買い物先のスーパーなどで声を掛けられたり、ちょっと言葉を交わしたことがある人なら、子どもはどうしても親近感を覚えてしまいます。でも、住んでいる場所が分からない人は、「知らない人」になることも教えましょう。「どこの誰か分からない人」が、お菓子買ってあげるよ、おうちでゲームしようよなどと誘ってきたら、即座に断り、立ち去ることを約束させましょう。
4.親が知らない人
こう考えていくと、お父さんとお母さんが「知っている人」と言わない限りは、子どもにとっては「知らない人」となります。もし「お母さんの知り合いだよ」と言って近寄ってきても、「分からないので、一度帰って、お母さんに聞いてみます」などと言って、物をもらったり、ついて行かないように教えましょう。確認しますと言って、立ち去ろうとしても、ついて来てしまう場合も考えられます。そういうときには、周りに人がいたら助けを求めたり、防犯ブザーを鳴らしたり、こども110番の家などに駆け込んだりするよう教えましょう。
地域で子どもたちを見守ってくれる人との区別は?
これまで説明してきた「知らない人」の全ての人が不審者だとは限りません。例えば、通学路を見守ってくれる人や、商店街の人との「おはよう」「こんにちは」といった挨拶も大切。また、見守ってくれている地域の人たちへ、不審者に対するような態度を取ることは、失礼にもあたりますし、社会生活のいい部分を子どもへ教える機会を奪ってしまうことにもなりますね。ですから子どもへは、「何度も見たことがある人」であれば、挨拶には応えるように教え、「どこに住んでいるの?」「いくつ?」などのプライベートな質問には「お母さんから言っちゃダメって言われてる」と答えて、ついて行かない、物をもらわないを約束させましょう。
不審者が声をかける方法
「知らない人」が理解できたら、警戒しなくてはいけない誘い方や、声のかけ方を教え、「いやです」「わかりません」などとはっきり言って絶対について行かないことを教えておきましょう。
1.助けを求める「図書館はどっち?」などと案内させる
2.質問をする「どこに住んでいるの?」などとプライベートを聞いてくる
3.「お菓子をあげる」などと好きなもので誘う
4.「お母さんもしくはお父さんが怪我をしたから、一緒に行こう」と親の知り合いであるフリをしたり、緊急事態を装う
5.「芸能人に会わせてあげる」など子どもの憧れそうな言葉で誘う
声をかけられたらどう答えさせるか
説明してきた「知らない人」からの声かけは、無理やり連れ去ろうとするものよりも、子どもの興味を誘う問いかけによるものが多数です。答えを要求する声かけや、子どもに行動を促すような声かけには、毅然とした態度で「いやです」「わかりません」と答えて立ち去り、絶対について行かないことを約束させましょう。それでも、もし無理やり連れ去られるような危険を感じたら、持っている荷物を捨ててでも逃げていいと教えましょう。その際に活躍するのが、防犯ブザーと自分の声です。いつでも使えるように、一緒に練習してください。
まとめ
「知らない人」からの誘いや問いかけには親の許可を得てからではないと、ついて行ったり答えたりしてはいけないと教えるのはもちろんですが、子どもの考えるような「知っている人」でも、警戒することを教えましょう。また身の危険を感じたら、「知っている人」でも、逃げていいということも伝えましょう。実際に不審者と出くわしたような場合、子どもは悪いことをしたと思って、内緒にすることもあります。これは、日頃から何でも話せる関係を親子で築くことで防げます。まずは、危険な目に合わないよう、知らない場所には一人で行かないよう、友達と一緒に行動させるようにし、家庭、学校、地域で連携して子どもたちを守りましょう。