老師オグチの家電カンフー

そうだ炭酸メーカー、買おう。

カンフーには広く「訓練を積み重ねる」といった意味があります。「老師オグチの家電カンフー」は、ライターの小口覺が家電をネタに、角度を変えてさらに突き詰めて考えてみるコーナーです

 以前は飲むお酒が焼酎と日本酒ばかりだったのに、最近はだいたいビールかハイボールになっているオグチです。

自宅ハイボールは角瓶が定番。たまにラフロイグ

 体が炭酸を欲しているんでしょうか。そして、ついにというか、今さらというか、炭酸水メーカー「ソーダストリーム」を買ってしまいました。

 今まで炭酸水メーカーを買わなかったのは、ペットボトルの方が安いと思っていたからです。近所の生協だと、500mlの炭酸水が1本68円(税込73円)とかで買えるのに対して、以前チェックした製品では950mlの炭酸水を作るのに200円弱のカートリッジ代がかかるとあって、割に合わないと判断していたのです(カートリッジ式でも50本まとめて買うと、1本あたりの価格は80円を切るようですが)。

炭酸水、ペットボトルで買っても安いです。まあ、水と空気だと考えると安くないか。輸送代の占める割合が大きいんでしょう

 しかし、ソーダストリームは大容量のガスシリンダーを採用し、500mlあたり約18円にまでコストが抑えられるといいます。なにより、炭酸水をいちいち近所のスーパーに買いに行くのと、ペットボトルを捨てる手間が辛くなってきたこともあって、購入することにしました。炭酸水メーカーというと、なんか意識高いアイテムな感じがしますが、カネと面倒くささという、意識低い理由です。

 ソーダストリームには、いくつかバリエーションがありますが、購入したのは「Source v3」という中堅モデルです。実勢価格は2万円前後で、ガスシリンダーやボトルをセットにしたスターターキットです。

 使い方は簡単です。ボトルに水を入れて本体に装着、上部の注入ブロックを手で押し下げると炭酸ガスが勢いよく出て水に溶け込みます。押している時間によってLEDの表示が3段階に変わり、微炭酸、中炭酸、強炭酸が作り分けられます。ひとつ注意しなくてはならないのは、水が冷たくないと強炭酸になりにくいことです。理科の時間に習いませんでした? 水に溶ける気体は温度が低いほど多くなるって。

本体の後部にガスシリンダーをセット。1本で計60Lの炭酸水が作れるそうです
本体手前のブロックを押し下げると、勢いよくボトル内にガスが注ぎ込まれる。LEDで炭酸の濃度が表示されますが、単純に時間を元にしていて、水の温度によって実際の濃度は変わります

 なので、連続して炭酸水を作るには、ボトルを複数購入するか、別途水を冷やしておいて、それを使う必要があります。手っ取り早いのは、ボトルに氷を入れて冷やす方法ですが、冷蔵庫で作るサイズの氷が、専用ボトルにギリギリ入るか入らないサイズなので、別の容器を使った方がよいかもですね。

 これから夏にかけて、お酒に使うだけではなく、炭酸水そのままで飲む機会も増えそうです。炭酸水、カロリーゼロなのに飲んだ感があっていいんですよ。また、シロップを混ぜてコーラやメロンソーダといった清涼飲料水を作るのにも使えます。

 さて、1年にどのぐらいのコストがかかるかざっくり計算してみました。ガスシリンダーは1本で500mlのペットボトル約120本分の炭酸水を作れるとあります。

 毎日500mlの炭酸水を消費するとなると4カ月分です。交換用のガスシリンダーは1本2,160円(税込)。2本で残り8カ月使えるとして4,320円。スターターキットの20,520円を足すと、1年目にかかる費用は24,840円です。

 かたや、生協で最安値の炭酸水が500mlで73円(税込)、365日で26,645円。かなり、いい勝負。1日1本ベースでも1年で元が取れそうです。2年目以降は、ガスシリンダー3本の6,480円で済み、ペットボトルよりも毎年2万円節約できる計算です。なんだ、もっと早く導入してれば良かったな。

かき氷用のメロンシロップと混ぜ、アイスクリームとさくらんぼで、クリームソーダ! 原価100円以下でできます
専用のコーラシロップも買ってみました。6L分作れて税込1,080円。ペットボトルを箱買いした方が安いような気もしますが、味は美味しかったです

 最後にどうでもいい話。気になったのは、電源がとくに不要で、電池を入れる場所も見つからないのにLED が光ること。まさか炭酸ガスを利用した燃料電池みたいな仕組みってこともないだろうと、取扱説明書を隅々まで読んでみると、電池交換は自分ではできず、 LED が光らなくなったらコールセンターに問い合わせろとのこと。本体ごと交換になるのでしょうか? まあ、LEDが炭酸を入れている時に瞬間光るだけなんで、そうそう電池切れにはならないはずです。

 おそらく内蔵電池はタンサン(単3)じゃないでしょう。

 来月50歳になります。

 ありがとうございました。

小口 覺

ライター・コラムニスト。SNSなどで自慢される家電製品を「ドヤ家電」と命名し、日経MJ発表の「2016年上期ヒット商品番付」前頭に選定された。現在は「意識低い系マーケティング」を提唱。新著「ちょいバカ戦略 −意識低い系マーケティングのすすめ−」(新潮新書)<Amazon.co.jp>