藤原千秋の使ってわかった! 便利家事アイテム

無印のくりかえし使える「除湿剤」家じゅうの乾燥させたいモノに良い

家事アイテムオタクなライター藤原千秋が、暮らしの不具合等々への現実的対処法とともに、忌憚ないアイテム使用感をご紹介していく連載記事です

「潤い」という言葉の語感は、基本的に悪いものではない。お肌の潤いと聞けば女性なら即うっとり、懐が潤うと聞けば性差なくにっこりするはずだ。大地が潤うというのも良い印象だ。豊潤な緑のイメージ。母なる大地、命の水といったイメージ。

しかしこと家そのものや家の中のモノ、基本的に人工的に形作られた多くの物品にとって潤い、しっとり水分は害悪となる。

電化製品や書籍や食品が潤っていて嬉しいという人はまずいない。靴や布団や衣類には水分不要だ。座った椅子がしっとり湿っていたら不穏さしかない。そも余分な湿気はモノを劣化させこそすれ、涵養したりしない。潤いがために菌が増えて臭くなり、カビが生えて分解されてしまう。だから家の中、家の中のモノ、私たちの身の回りのモノ、押し並べて乾いた状態であれかし、なのである。

洗濯物の天日干しを筆頭に家事の多くには「乾燥」の作業が伴われる。そこに「除湿剤」を使用するというのは比較的新しいアプローチだ。

まあ新しいとはいえ、今日日、いわゆる生石灰やシリカゲルB型、塩化カルシウムなどを使用した「除湿剤」や「乾燥剤」を使用したことがない人はいないだろう。意識的に使おうとしなくても、買った商品に勝手にくっついてくることも多い。

例えば新しいバッグなどを買うと、大体内部のポケットに小さな個包のシリカゲルが入っているし、海苔やお煎餅を買えば生石灰が入っているものだ。

しかしてMUJIのこの新しい「除湿剤」は、これまで通りの「除湿剤」的イメージを覆す。よくわからないけど、見た目は小さい綿が入っているようなパッケージで、どうも既存の「除湿剤」っぽくないのだ。

「除湿剤」っぽくない見た目
パッケージ裏。クローゼットやかばんにも使える

材質もほぼ「ポリエステル」。ポリエステル? いろいろと謎だが、とりあえず軽くて扱いやすいし、10個入って990円するけど、この「除湿剤」は日陰干しで再生する何度も使えるタイプで消臭機能までついているという。

材質はほぼ「ポリエステル」

まあまあ半信半疑で筆者は趣味のボクシングに使用するマイグローブに片手に1個ずつこの「除湿剤」を放り込むことにした。グローブは手汗で濡れるわりに大変風通しの悪い形状をしていて、衛生的維持が難儀な物品の一つなのだが、そのケアにうってつけだ。

1個あたり手のひらサイズの除湿剤には重みはほとんどなく、荷物として嵩張るものではないので非常に扱いやすい。万一破損して粉が出たりツブツブが漏れたりしたら始末が面倒臭いが、そういう懸念がないのもありがたい。

それから筆者は趣味の和服収納にもこの「除湿剤」を放り込むことにした。よくあるジェル状の除湿剤のツラいところに、いつ放り込んだものかすぐに忘れてしまう上、後から水分を吸ってぷよぷよになったジェルを取り出すとき「水分の滞留」が可視化されなんともいえない気持ちになるものがあった。

一方このポリエステル綿みたいな除湿剤は湿気を吸った後、環境が乾燥したら勝手に放湿するのだそうで、臭いも気になる着物などとも、とても相性が良い。

もともとある種の「繊維」が優れた消臭効果を発揮するというのは以前から知られていて、この連載でも過去取り上げたことがあった。ただMUJIほどアクセスの容易な商品にこの機能が搭載されるとなると、やはり新鮮だしハッとする。

まだ5年10年と使い次いでいるものではないので長期的な感想にはなり得ないが(商品は3年を目処に交換を推奨)、家の中のいろいろ乾燥させておきたいモノ、乾いた状態にしておきたいモノにどんどん応用したくなる。

乾かすことで暮らしの潤いが手に入れられそうな、そんな除湿剤なのである。

藤原 千秋

主に住宅、家事、育児など住まい周りの記事を専門に執筆するライターとして20年以上活動。リアルな暮らしに根ざした、地に足のついたスタンスで活動。現在は商品開発アドバイザリー等にも携わる。大手住宅メーカー営業職出身、10~20代の三女の母。『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)、『ズボラ主婦・フニワラさんの家事力アップでゆるゆるハッピー‼』(オレンジページ)など著監修書、マスコミ出演多数。