藤原千秋の使ってわかった! 便利家事アイテム

重い毛布だとよく眠れる? 重力ブランケットを3年使って思うスゴさ

家事アイテムオタクなライター藤原千秋が、暮らしの不具合等々への現実的対処法とともに、忌憚ないアイテム使用感をご紹介していく連載記事です
ウェイト(重力)ブランケットを掛け布団の上に乗せて使用

「そういえばこれっていつ買ったんだっけ?」と疑問に感じたとき、ネットで買い物をしていると履歴がすかさず追えるので便利である。そこで数えてみると、筆者がAmazonで「ウェイト(重力)ブランケット」を購入してから冬を3回越えたことが分かった。

こういった、やや怪しげな商品は、ある程度の期間使い続けないとレビューしにくいところがあるのだが、3年経てばまあまあいい塩梅だろう。ちょっと興味を引かれつつもどんなものかと様子をうかがっている人もいるのではないかと思うので、率直な使用感をお伝えしたい。

おそらく商品説明にある「睡眠改善」というような文言に惹かれるものがある人は、多いのではないかと思う。この点で言えば、おそらく使い始めてすぐにでもその効果を実感することができてしまうと思う。なんでか分からないが、実際使うとホッとする。ホッとして、結果よく眠れてしまう。嘘だと思うだろうけど、一度寝てみればわかる。

筆者は、ここのとこ寝付きがちょっと悪いなあと思えばウェイト(重力)ブランケットを使うようにする。するとたちどころにその晩は「スヤァ」という勢いで眠れてしまう。しみじみすごい。

ちなみに我が家ではこのウェイト(重力)ブランケット1枚を家族間で貸し借りしている。「掛け布団の上」に乗せるものなので共用にあまり違和感はない。

被っていて不思議なのは思いの外「重み」を感じることはないという点だ。重いのだけど、重くない。

商品説明には重さ7kgとあり、7kgというのは正直、結構な重量である。生後半年から1年程度の赤ん坊の重さくらいに匹敵するから、ウェイト(重力)ブランケットを丸めて抱えると実際かなりズッシリくる。子供を抱っこ紐に入れて連れ歩き、下ろすに下ろせなかった日々を思い出す。しかしこれを「広げて」「被る」分にはそれほど重くは感じない。重みが分散されるせいだろう。

ただ「布団を蹴り飛ばす」のは難しくはなる。明確に「蹴り飛ばしにくく」なる。筆者宅では冬は敷布団の上に寝て、羽毛布団と毛布を被り就寝しているのだが、この毛布の上にウェイト(重力)ブランケットを被せるとピタリと密封されるため、朝までホカホカである。平素は蹴り飛ばしている証左である。

問題がないわけではない。

ウェイト(重力)ブランケットにより、「掛け布団、身体、敷布団」は、このように素晴らしい密閉状態となってしまうため、通常より「布団に湿気が籠もる(溜まる)」ことは明確に懸念される。

布団に湿気が籠もるとたちどころにダニが増える。もっと籠って溜まるとカビも生える。よろしくはない。

とにかく7kgもあるウェイト(重力)ブランケットは、それ自体が重くて立ったまま畳もうとすると腰がやられるくらいである。布団の上げ下ろしというか、まず畳むことすら間違いなく億劫になる。万年床作成器となる側面は否定できない。

そして寒い時期はいいが夏場は暑苦しくて見るのも嫌になる。ウェイト(重力)ブランケットにはガラスビーズがびっしり入っているのだが、綿の量も多く触り心地は存外フワフワしている。それがとにかく夏は鬱陶しい。湿気っぽくなっても、あまりに重すぎてマンションのベランダなどには干すに干せないのも難儀だ。

外側は綿100%、内側はガラスビーズ混合綿

ただ逆にしまい込むとダニを醸成してしまいそうなので寝室である和室に出したままにしておいた。しかし端に畳んでおいたら2~3回蹴つまずいて転びかけた。洗い方や湿気取り、夏の間の保管場所には各家庭での工夫が要ると思う。筆者の場合は湿気取りには「床暖房」をうまく使った。

といったマイナス面を差し置いても、この独特な「重み」の凄さ(ある種の、ヤバさ)は代え難いものがある。そう、「ヤバい」のだ。

春眠暁を覚えずの季節、ますます起き難くなること必定で万人には勧め難い。でも人によっては文字通り手放せなくなるブランケットになるだろう。

藤原 千秋

主に住宅、家事、育児など住まい周りの記事を専門に執筆するライターとして21年目。リアルな暮らしに根ざした、地に足のついたスタンスで活動。現在は商品開発アドバイザリー等にも携わる。大手住宅メーカー営業職出身、大1、中3、小5の三女の母。『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)、『ズボラ主婦・フニワラさんの家事力アップでゆるゆるハッピー‼』(オレンジページ)など著監修書、マスコミ出演多数。