藤原千秋の使ってわかった! 便利家事アイテム
カインズの「立つほうき」がサッと使えて便利
2022年4月19日 07:05
筆者にはスティック型も含めて「掃除機」を一つも持たずに生活していた時代がある。ほんの2~3年ほどの期間ではあったが、日常生活で不自由を感じることもなく、日々の掃除はほうきで掃くのと雑巾で拭くので間に合っていた。
ただ困ったこともあった。それはケーブルテレビの工事で砂壁がボロボロに崩れた跡の掃除と、強化ガラスのコップが突然爆発するように割れたときの後始末だ。
ほろほろの砂や、広域に飛び散ったガラスの破片というイレギュラーな「ゴミ」に対し、ほうきと雑巾で立ち向かうのは正直辛かった。ああ、いま掃除機さえあれば、とりあえず「ガー」と吸い込むだけで始末できるのになあ、と思った。こういうとき掃除機がないと詰むことを知ったのだった。
ところで通常、住まいの床を汚す主原因といえば、概ね「毛」と「ホコリ」であろう。この「ホコリ」とはいったい何だろう。筆者は定期的に住まいのホコリをかき集めては中味の検分をしている。
家族の年齢や活動によって若干の差異は生じるものの、ホコリとは主に衣類や寝具由来の「繊維クズ」であり、その中に微細な泥砂、排気ガスや花粉、ダニの死骸や糞などとおぼしき粉が含まれていたりするものである。
このホコリのほとんどと、人毛や獣毛などの毛については、住まいの床がじゅうたんでない限りは、ほうきでだいたい掃き取れるように思う。ほうきというのは存外便利な道具だ。コンセントも充電時間も要しないし、使い捨てシートを買う必要もない。平素のお手入れに水洗いなども要らない。お金、手間といったランニングコストが最低限で済む、じつに経済的、エコである。
ただ、今どきの住まい環境では、ほうきの使い勝手というより置き場所にいささかの工夫というか、面倒が生じているように思っていた。筆者が昔使っていたのは短柄の江戸箒で、ホウキ草でできているものだ。ついフローリングワイパー気分で、穂先を下に壁に立てかけてしまうと、先が曲がって掃きにくくなってしまう。
よってほうきは洗面所などの定位置にぶら下げないといけないのだが、そうするとサッと使える、という機動性がどうにも損なわれるのだ。
夫婦2人で二間に暮らしていたころにはさして不便に感じなかったものが、3人の子供をバタバタ育てる暮らしにはどこかそぐわず、筆者はめっきりほうきを使わなくなってしまっていた。
そうして時間が経ってから出会ったのが、カインズの「立つほうき」なのであった。ぱっと見た限りでは普通のほうきであるが、独特の形状、特に「穂先の格納システム」には、じつにびっくりさせられる。「先っちょを曲がらせずに立てて収納できる」という、画期的な構造になっている。
その「立ち姿」は至ってシンプルでいて美しい。かつ住まいのどこにスタンバイさせておいても邪魔にならず、穂先の繰り出し方によってはなんと「ブラシ」的な使い方もできる。ポリエチレンの穂なので掃除の際に穂が汚れてしまっても、ホウキ草と違って気楽に水洗いできる点も、よい。
ほうきならではの美点である、使用中に物音が立たないところ、持ち運びや繰り回しが軽いところ、布系の床以外に手広くリーチできるところ。これらを、文字通り「サッと」活かすことのできる、ある意味、最先端のほうきといえるだろう。
最近では、柄の長いロングタイプも登場した。背が高い人、屈むと腰にくる人にはこちらのほうが使いやすいのではないだろうか。
こんなほうきを、温故知新な道具として趣味的に取り入れるもよし、新生活のメインの掃除道具にするもよし。
筆者も、もうあと10年ほどして子育てがすっかり終わったら、またほうきと雑巾だけの生活に戻すのもありだと思っている。きっとこのほうきでなら、大丈夫にちがいない。