941のイクメン徒然

第43回:「お父さんキモい!」と娘に言われる前に読んでおきたい一冊

 まいどどうも! くしいです。

 親の語尾を真似するようになった娘氏。「びっくりしたね」というと「ねー」と同意してくれている気になって楽しい。「すごいね」と言えるようにもなり、意味がわかってないようだけど「すごいね」と連呼してる。それと、とくに驚いてないのに「わあ!」ってずっと言ってる。「ヨイチョ、ヨイチョ」ってのも言う。かわいい。

 一説によると「2歳までに親孝行は終わる」と言われているようで個人的に納得してしまうくらい大変かわいいんだけど、娘を持つ世のお父さん達はもれなく考えているであろう「いつか『お父さん嫌い!』と言われる日」に、早くも怯えている。

 そんな中で出会った本がこれ「お父さんがキモい理由を説明するね -父と娘がガチでトークしました-」、もうタイトルからしてハートを撃ち抜かれたような、見たいけど見たくないような印象。内容は、父に冷たい中学生の娘との会話と取り戻すために一念発起し、娘とサシで語り合う“マジトーク”を3カ月間にわたって敢行したのをまとめたもの。

かわいいタッチの絵に、グサッと刺さるタイトル

 『Business Media 誠』のコラム「お父さんがキモい理由を説明するね」が2日で100万PVを突破した記事が書籍になったもので一気に読んでしまった。この記事は“キモい お父さん”の検索結果を独占し、他を寄せ付けないブッチギリのキモさを誇るという伝説的なキモいお父さんなのである。

 そんな伝説のキモいお父さんに先日お会いし、著書にサインをいただいた。内容がとてもよかったので特に印象深かった箇所を一部引用して紹介したい。

 最初に紹介したいのは、父が娘へ向ける愛情とはどういったものかというもの。

 --引用

 「父が娘へ向ける、キモいほどの愛情」とはいったいどういうものか、数式で表してみましょう。こうなります。

 (愛 - 性的・肉体的な感情) × 百 = 父の娘への愛

 ちょっとわかりにくいので、塩水で例えましょう。塩水を鍋で沸騰させます。水分を全部蒸発させると、ザラザラの塩が鍋に残ります。この残った愛情の結晶(塩)を取り出したら、それを百倍に濃縮させます。これで娘への愛情の出来上がりです。

 --引用ここまで

 すごいですね、見事です。ここまで見事にキモいのは素晴らしい。だがしかし仰っている内容には100%同意なのです。娘への愛情表現としてここまで素晴らしいものは見たことがありません。自分も積極的に使っていこうと思う名文です。このあとにギリシャ神話のエロスとアガペとフィロスでさらに突っ込んだ解説が展開するところも必見。

 次に、生まれてくるということはそれだけで奇跡であるという話。このパートでは祖父も登場し、娘であるサオリ(仮名)と色々な話をしている。

 --引用

 祖父「サオリは、たまたまこの世界にポンと生まれ落ちたわけじゃない。何百年、何千年の歴史の中で、我々の祖先が生き延び、結婚して子供をつくり、その子供達が別の誰かと出会って結婚して子供を作ってきた。このサイクルを数えきれないくらい繰り返した延長線上に、サオリがいる。そして、サオリもいつか結婚して、子供が出来て、育てて、歳をとっていく。」

 サオリ「うん」

 中略

 祖父「サオリという存在そのものが、ひとつの奇跡だよ。お前は偶然に生まれたのではなく、大勢の意思と願いの末に、生まれるべくして生まれたんだ。このことは覚えておきなさい。」

 --引用ここまで

 ここはとても感動した。偶然ではなく必然であると言い切ってくれる祖父、カッコいい。若い頃の自分を支える大事な言葉になるんじゃないだろうか。

サインで自ら日本一キモいと書いてしまえるお父さんはカッコいい

 お年ごろである中学生の娘さんがズバズバと「お父さんがキモい」と思う理由を叩き込んでくる場面は壮観であり、将来的には自分の身にも降りかかりそうでなんとも辛い一冊ではあるけれど予行演習という意味合いで本当に読んでよかった。他にも、祖父のパートなどではハッとさせられる場面もありこれからも大事に読みたい本となった。

 日本中の娘を持つお父さん、是非ご一読を……。つらくても本人にいきなり言われるよりきっといいですから予行演習と思って。

 登場する娘さんはとても賢いとお見受けしますので、筆者の中山さんには是非「こんな絵や本や映画を与えたよ」という続編を書いていただきたく、宜しくお願いいたします。

櫛井 優介