シャープ、庫内除菌を強化したプラズマクラスター冷蔵庫
プラズマクラスター冷蔵庫「SJ-GF60X」 |
シャープは、庫内の除菌効果を高めたプラズマクラスター冷蔵庫「SJ-GF60X」を9月28日より発売する。価格はオープンプライス。市場想定価格は35万円前後。
除菌・脱臭に効果があるというシャープ独自のイオン技術「プラズマクラスター7000」を搭載した容量601Lの冷蔵庫。同社では、節電対策としてエアコンの冷房運転を弱めると、冷蔵庫を設置するキッチンの室温が上昇することに着目。室温が上がると、室内を浮遊するカビ菌が増え、冷蔵庫を開閉する際に、庫内にカビ菌が進入する可能性が高まるという。
節電対策の弊害として、室温が高くなると空気中を浮遊するカビ菌が増えると指摘 | 節約の流れで、家で食事を取る「内食」が定着。食品を保存する需要が増えた |
新製品では庫内を衛生的に保つため、「プラズマクラスター見守り運転」機能を搭載した。プラズマクラスター見守り運転では、ドアの開閉をセンサーで検知し、ドアを閉じた直後にプラズマクラスターイオンを冷蔵庫最上段から放出して、侵入した菌を除菌する。さらに、人工知能がドアの開閉が多い時間帯やキッチンの室温を分析し、当てはまる時間帯にはイオンの放出時間を約1.5倍に延長する。これにより、浮遊カビ菌を除菌するほか、食品表面に付着した菌も除去する効果があるという。
冷蔵室の最上段から、プラズマクラスターイオンを吹き出す | 節電で冷房を弱く設定した時にも、「プラズマクラスター見守り運転」で、庫内を清潔に保つ | ドアを閉めた直後に集中してイオンを放出。さらに、ドアの開閉が多い時間やキッチンの室温が高い時に、イオンを通常時より約1.5倍長い間放出する |
除菌に加え、脱臭効果もあるという。食品から発生する臭いを、プラズマクラスターの発生ユニット内に取り込み、ユニット内の脱臭フィルターに吸着。そこにイオンを集中して照射すると、ニオイ粒子を分解、脱臭する。さらに、「強脱臭」モードで漬物やキムチの強いニオイも抑える。同社によると、「強脱臭」運転時、5時間でニオイを約76%低減したという。
ドア材のガラスが周囲を映す。操作部はタッチ式 | カットモデル |
■食品を新鮮に保つチルド室を採用
食品の保存性も向上させた。食品の劣化は乾燥によって起こるため、チルド室には乾燥を防ぐ「ステンレス・うるおいチルド」を採用。従来のチルド室は、冷気が直接吹き込む構造だったが、新製品のステンレス・うるおいチルドでは、チルド室上部に設けたカバーと仕切り棚の間に冷気を通し、冷気を直接当てない「高湿度シールド構造」によって、食品の乾燥を最大限抑える仕組みとなっている。また、チルド室の底面には「ステンレスプレート」を設置し、室内の冷えムラを抑制する。これにより、長期保存が難しい魚介類や肉類の鮮度を長く保つという。
同社の調査では、ステンレス・うるおいチルドで3日保存したアジやエビの鮮度は、それぞれ冷蔵室で保存した場合に比べて、約20%低下を抑えたとしている。また、従来のチルド室に比べて、チーズとハムを1日保存した場合の水分保持率は約2倍になるという。
冷蔵庫下部の「ステンレス・うるおいチルド」 | 「ステンレス・うるおいチルド」カットモデル。上部にカバー、底面にステンレスプレートを設置 |
「ステンレス・うるおいチルド」では、冷気を直接当てず、食品の乾燥を抑える。また、底部にステンレスプレートを敷くことで、温度ムラを防ぐ | 同社によると、「ステンレス・うるおいチルド」に保存したアジやエビは、通常の冷蔵室に保存した場合と比べて鮮度低下を抑えた | 同室に保存したチーズやハムは、従来のチルド室に保存した場合と比べ、水分保持率は約2倍になるという |
このほか食品の鮮度を保つための機能として、従来モデルに引き続き、冷蔵室には「ステンレス・ミスト冷蔵室」を採用し、外気の湿気を吸着して庫内に放出する「ミスト冷却」機能を備えた。また、野菜室には「ステンレス・ロック野菜室」を従来に引き続き採用し、直接冷気を当てず、冷えムラを抑える。同社では、ステンレス・うるおいチルドとステンレス・ミスト冷蔵室、ステンレス・ロック野菜室を合わせて、「トリプルステンレス」と呼んでいる。
左側が容量19Lの製氷室、右側が容量37Lで、最高60℃までの熱い物をそのまま冷凍できる「熱いもの冷凍」室 | 容量120Lの冷凍室 |
容量110Lの野菜室 | 野菜室の密閉性を高め、野菜に直接冷気を当てない高湿ロック機構を採用。左側手前の青いロックハンドルをカチッとはめると、密閉できる |
■収納は、食品の形やサイズに合わせてフレキシブルに対応
使い勝手の面では、冷蔵室内の仕切りを替えられる「スッキリするん棚」を採用し、食品の形やサイズに合わせて収納性を向上させた。仕切りは9通りに変更でき、スペースを取る大鍋や、背の高い牛乳パックなども、スッキリ収まるという。棚の素材にはガラスを採用し、臭いがつきにくく手入れしやすいという。
冷蔵室の扉を開いたところ。鍋やビンも納まるよう、冷蔵室の仕切りは変えられる。なお、向かって右側の扉の方が大きく作られている | 食品の形やサイズに合わせて冷蔵室内の仕切りを替えられる「スッキリするん棚」 |
■放熱性を高めて省エネ性を向上
省エネ面では、コンプレッサー部の放熱構造を改良。新製品では高性能の放熱器を搭載したほか、本体両側に、外気を機械室に取り込んで熱を逃す放熱グリルを設置。これにより、昨年モデルに比べて約5%省エネするという。
新旧のコンプレッサーを比較。右側が新しくなったコンプレッサー | 高性能の放射器と本体両側の放熱グリルで従来に比べ約5%省エネする |
冷媒の流れを切り替えることで、庫内への無駄な熱の侵入を防ぐ |
また、必要のない時には冷媒を流さない「冷媒経路切り替えシステム」を採用。湿度センサーによって、冷媒の経路内の「切り替えバルブ」を制御し、冷媒の流れを変える。
従来は、ドアパッキンの結露を防止するため、高温の冷媒を常に流していたが、外気が高温でない時には結露が発生しないため、冷却効果を無駄に弱めていた。「冷媒経路切り替えシステム」では、このような時にバルブを切り替え、新たに設けたバイパス回路に冷媒を流すことで、庫内への熱の侵入を抑え、従来比で約2%省エネするという。
従来モデルに引き続き、省エネ運転モード「節電モード」も搭載した。節電モードでは、16個のセンサーと制御技術を組み合わせた人工知能によって、ドアの開閉頻度や庫内温度を見分け、コンプレッサーの運転を適切に切り替えて省エネする。同社では、就寝時や外出時など、ドア開閉を長時間行なわない時間帯には、通常運転時に比べて電気代を最大約15%節約するとしている。
ほかに、節電をアシストする機能として、ドアが半開きのまま本体との距離が約10cmになると、自動でドアが閉まる「オートクローズドア」、ドアが開いたままだとブザー音と庫内のLEDの点滅で知らせる「閉め忘れ防止ブザー&庫内灯点滅」、ドアを全開にしなくても、扉に収納した食品を取り出せる「側取りポケット」を備えている。
SJ-GF60Xの本体サイズは750×728×1,820mm(幅×奥行き×高さ)。定格内容積は601Lで、うち冷蔵室は315L、冷凍室は176L、野菜室は110L。ドア数は6ドア。ドア材はガラス。カラーはギャラクシーブラウンとグレイスホワイト。
このほか容量560Lの「SJ-GF56X」と容量501Lの「SJ-GF50X」も順次発売される。価格はいずれもオープンプライス。市場想定価格は順に32万円前後、30万円前後。
ドア材にスチールを採用した下位モデル4機種も発売する |
下位モデルとして、ドア材にスチールを採用したプラズマクラスター冷蔵庫4機種も10月12日以降順次発売する。価格はいずれもオープンプライス。市場想定価格は、容量501Lで6ドアの「SJ-XF50X」が25万円前後、容量473Lで6ドアの「SJ-XF47X」が24万円前後、容量440Lで6ドアの「SJ-XF44X」が23万円前後、容量440Lで5ドアの「SJ-XW44X」が22万円前後。
大塚尚孝 健康・環境システム事業本部 副本部長 兼 冷蔵システム事業部長 |
シャープの大塚尚孝 健康・環境システム事業本部 副本部長 兼 冷蔵システム事業部長は「電気料金値上げの影響で、節電意識は単にエコや社会貢献のためだけでなく、家計を守るために必要になる。冷蔵庫は、家庭内でもっとも消費電力量の大きい製品。今後、省エネ機種への買換え需要は増加するだろう」と語った。
本年度の冷蔵庫の需要は、ほぼ横ばいと予測されている | 節電は、環境面だけでなく、家計の面からも必要になってくる | 光熱費の負担を抑える方法として、省エネ冷蔵庫への買い替えを提起している |
(小林 樹)
2012年9月18日 17:59