東芝、新採用の丸釜でかまどのように炊く高級炊飯器

 東芝は、新採用の丸釜でかまど炊きのような炊き上がりを目指した炊飯器「真空圧力IH保温釜 RC-10VPF/RC-18VPF」を9月上旬より発売する。価格はオープンプライス。市場想定価格は容量1Lの「RC-10VPF」が10万円前後、容量1.8Lの「RC-18VPF」が10万5千円前後。

RC-10VPF グランレッドRC-10VPF シェルホワイト

 同社のラインナップでは、最上位機種にあたるIH炊飯器。かまど炊きのような炊き上がりを目指し、内釜にかまど炊きの羽釜(はがま)の形状に似せた「鍛造かまど丸釜」を新たに採用した点が特徴。開口部を胴体部よりすぼめ、側面には従来より丸みをもたせたことで、内側の丸い形状に沿って熱対流を導き、炊きムラを抑えるという。

丸みを帯びた形が特徴的な「鍛造かまど丸釜」内側の丸い形状に沿って熱対流を導き、炊きムラを抑える

 さらに熱対流を促進させるため、釜底には凸凹の「WAVE加工」を設けた。凸凹の溝に沿って、熱を蓄えた細かい泡が上方に噴き上がり、お米の内部に熱を伝える。さらに、炊き上がり直前に水がほとんどなくなると、「カニ穴」という釜底からごはんの間へ抜ける熱の通り道が生まれ、お米一粒一粒の芯に熱が伝わり、ごはんがふっくらおいしく炊けるという。

 これらの強い熱対流と、釜底に凸凹を施した「WAVE加工」よる噴き上げ対流によって、内釜の内部の温度ムラは抑えられ、均一な状態で98℃以上の高温を維持する。これにより、お米デンプンのα化が促され、お米本来の甘みが増し、ふっくらと炊き上がる。従来機種と比べた「甘み(還元糖量)」は、約14%向上したという。

釜底に凸凹の「WAVE加工」を施し、対流を促す

 なお「鍛造かまど丸釜」は、同社独自の高圧での溶湯鍛造製法によって成型し、それを1個ずつ機械で削り出して作っているという。釜底厚は5mmで、蓄熱性が高い。

「鍛造かまど丸釜」の製造工程。アルミを高圧で押し固めて成型し、削り出す

 炊飯工程では、ごはんの程よい「ねばりとかたさ」を出すため、じっくり加熱して甘みを引き出す「酵素活性甘み引き出し」で炊飯。さらに沸騰するまで火を強火にする「連続加熱」を行なう。

 また、程よいねばりを引き出し、ごはんの芯までふっくらもちもちに炊き上げるため、重い木蓋で内釜内の圧力効果を狙ったかまどのように、「圧力1.2気圧」を採用。各炊飯コースに応じて圧力をコントロールできるようにした。

じっくり加熱したあとに、沸騰するまで火を強火にして炊き上げる

 うまみを逃さないためには、沸騰時に吹き上がる大量の「おねば(うまみ成分)」と蒸気を分離する「うまみドーム蒸気口」を設けた。蒸気のみ外へ逃し、おねばを吹きこぼさずに釜内のごはんに戻して炊くことで、大火力で連続沸騰できるという。うまみドーム蒸気口は分解して水洗いでき、部品数を3個から2個に減らして手入れの手間を省いた。

 さらに、IHの熱を素早く伝えるため、鍛造厚釜の外面には高熱伝導素材の銀に加え、銅の約5倍の熱伝導率をもつダイヤモンドと遠赤素材をコーティングした「遠赤ダイヤモンド銀コート」を採用した。釜底に蓄えたIHの高熱を逃さず、釜上部に伝えられるという。

 炊飯コースには、通常炊き上げる「ふつう」コースのほか、消費電力量を15%抑えて炊飯する「ecoモード」を搭載した。具体的な節電効果は、3合の白米を炊飯する場合の消費電力量はふつうコースで203Wh、ecoモードコースで171.4Wh。

 このほか、通常より時間をかけてじっくりご飯を炊きあげる「かまど名人」コース、短時間で吸水して約30分でごはんを炊く「そくうま」コース、古米の吸水を促進し、ふっくらと炊き上げる「ふっくら古米」、蒸気の発生量を「ふつう」コースから約8割削減した「蒸気セーブ」コースを用意した。

 また、真空IH炊飯器ならではの機能も搭載している。まず、「真空ひたし」機能では、水の浸し段階に、内釜の真空ポンプで釜内の空気を抜き、米内部の空気まで抜くことで、短時間で米に水が浸透しやすくする。

真空にして米の空気が抜けた部分に、水が浸透する

 「真空うるおい予約」機能は、米を真空で引き締めることで、長時間米を水に浸す予約炊飯時にもおいしく炊くというもの。「ダブル真空美白保温」機能は、釜内の空気を抜いて酸素濃度を下げ、ごはんの黄ばみ、においの発生を防ぎ、ご飯のぱさつきを抑える。白米では最長40時間の保温できる。

 さらに、「ダブル真空仕上げ」機能では、炊飯後に内釜の中に残る余分な水蒸気を真空ポンプで排出し、ごはん表面のベタつきを抑える。

米の真空保存袋「密封パック」

 付属品として、米を簡単に真空保存できる「密封米パックアタッチメント」と「密封パック」が同梱される。米の産地や銘柄にこだわる人に便利という。

 容量1LのRC-10VPFの本体サイズは、270×360×227mm(幅×奥行き×長さ)。本体質量は6.8kg。消費電力は1,420W。本体カラーはグランレッドとシェルホワイト。







(小林 樹)

2012年7月6日 00:00