シャープ、吸塵スピードが2倍になった加湿空気清浄機

~部屋を高濃度イオンで満たす「プラズマクラスターシャワー」も

 シャープは、約2倍の速度で吸塵する加湿空気清浄機「プラズマクラスター加湿空気清浄機 KC-Z80-W」など全4機種を、11月15日より順次発売する。価格はオープンプライス。店頭予想価格は40,000円~75,000円前後


最上位モデルの「KC-Z80-W」。空気清浄の適用床面積は36平方mKC-Z80-Wに次ぐモデルの「KC-Z65-W/B」
KC-Z45-W/B最もエントリーモデルの「KC-Z40-W」

 全モデルに加湿機能を搭載した空気清浄機で、吸塵スピードを向上するための機能を追加した点が特徴となる。まずは、送風経路内の空気抵抗を低減する「新・ロングノズル」を搭載。空気の吹き出し速度がアップし、部屋全体の空気の循環スピードも速くなるという。また、効率よくハウスダストを引き寄せ、背面の吸込口へ誘導する「気流誘引ガイド」も、本体底面と側面に搭載した。この気流誘引ガイドは、自動車のエア・インテークを参考にしているという。

 これにより、集塵速度が向上。KC-Z65の場合、2006年の製品「KC-51C1」と比べて、吸塵スピードは約2倍になったという。同社では新・ロングノズルと気流誘引ガイドを合わせて「エアロフォルム」と称している。なお、運転音や消費電力は、前年モデルとほぼ同じ数値となっている。

吸塵スピードを向上した点が特徴。KC-Z65の場合、従来モデルよりもスピードが約2倍になっている送風経路の空気抵抗と、風速のばらつきを抑えた「新・ロングノズル」従来(写真上)は乱流が生まれていたが、新・ロングノズルでは整流となるため、空気の吹き出し速度が向上
ハウスダストを効率的に引き寄せる「気流誘引ガイド」も搭載した気流誘引ガイドは、自動車に搭載されているエア・インテークにならって作られたという
引き寄せたハウスダストは、本体背面から大きな面積で吸い込む「背面全面吸い込み」仕様となっている吸塵スピードは速まったが、消費電力と運転音はほぼ変わらない

ドライアイスを用いた、集塵能力の実験。動画は、昨年モデルの空気清浄機「KC-Y80」

こちらが、今回発売する「KC-Z80」での集塵能力のデモ。昨年モデルよりもスピードが速くなっている

 また、新機能として「プラズマクラスターシャワー」機能を搭載。これは、同社の除菌・脱臭技術「プラズマクラスターイオン」を、本体前後に放つ気流に乗せて放出することで、室内のイオン濃度を60分で中運転時の約1.5倍にするというもの。帰宅後や調理後、洗濯物を部屋干しした際などに効果的という。60分の運転後は、通常の運転モードに戻る。

 加湿機能では、給水タンクの形状を変更。片手で持ちやすいようハンドルを搭載した。また、ハンドルを台にすることで、自立も可能。さらに、キャップは広口のため手が入りやすく、タンク内の掃除もラクという。

 このほか、本体には動かしやすいようキャスターを搭載。湿度やニオイ・ハウスダストの度合いを知らせるモニターには、新たに加湿運転を知らせるランプが追加された。

60分で、イオン濃度を通常の約1.5倍にする「プラズマクラスターシャワー」機能を新搭載イオン濃度が濃くなれば、除菌・脱臭効果も上がるという本体操作パネル。プラズマクラスターシャワー専用のボタンが用意されている
加湿用のタンクは直立に対応。手が入るよう広口となっている従来モデルとのタンクの比較キャスターが付いており、持ち運びも可能

片手で簡単にうごく
モニターには、加湿運転中を知らせるランプが新搭載されたフィルターは3枚用意される加湿ユニット
【KC-Zシリーズのラインナップ】
タイププラズマクラスター加湿空気清浄機
型番KC-Z80KC-Z65KC-Z45KC-Z40
イオン濃度高濃度プラズマクラスター7000
最大風量8立方m/分6.5立方m/分4.5立方m/分4立方m/分
適用床面積
(空気清浄単独)
36畳まで30畳まで21畳まで18畳まで
清浄時間
(8畳の場合)
約8分約10分約13分約15分
加湿適用床面積21畳まで17畳まで13畳まで11畳まで
1時間当たりの
加湿能力
760ml/時600ml/時450ml/時400ml/時
加湿方式気化式(ローター気化式)気化式
消費電力3.5~84W3~70W2.8~43W2.8~32W
運転音15~52dB13~52dB13~49dB15~47dB
本体サイズ
(幅×奥行き×高さ)
416×295×643
mm
399×273×603
mm
382×242×570
mm
360×240×560
mm
重量約11kg約9.2kg約8.1kg約8.0kg
価格オープンプライス
店頭予想価格75,000円前後55,000円前後45,000円前後40,000円前後
本体カラーホワイト系ホワイト/ブラック系ホワイト/ブラック系ホワイト系


空気清浄機の需要は昨年並み。来春は花粉の飛散量が増加する見込み

健康・環境システム事業本部 プラズマクラスター機器事業部の鈴木隆事業部長

 シャープの健康・環境システム事業本部 プラズマクラスター機器事業部の鈴木隆事業部長は、集塵スピードを向上した理由について、2011年の春は花粉の流行が予想される点を指摘。「夏の猛暑の影響もあり、来春は関西地方では(今年の)約10倍、関東地方では7~8倍飛散すると言われている。いままで以上に、空気清浄機の集塵機能が試されることになる」と説明した。

  また鈴木氏は、空気清浄機の普及率について、2009年度では3世帯に1台だが、4~5年後には2世帯に1台へと増やす意向を示した。

 「2009年度単年では、シャープは出荷台数でシェア半分、金額ではそれ以上となっている。空気をキレイにしたいという潜在需要にますます答えていきながら、2世帯に1台へと増やしていきたい」(鈴木氏)

健康・環境システム事業本部 事業本部 商品企画部 西田敬子副参事

 同事業本部 商品企画部の西田敬子副参事は、2009年度の空気清浄機市場について「昨年は新型ウイルスエンザの流行により大幅に需要が伸び、過去最大の218万台市場となった。特に、加湿付きの空気清浄機の認知が高まり、台数では約70%、金額でも約80%と構成比が高まった」と回顧した。また、2010年度の市場については、新型ウイルスエンザ対策自体のニーズは現象する予測だが「“健康のためには空気清浄機が必要”という認知がひろまったことから、昨年とほぼ横ばいの210万台の市場があり、加湿空気清浄機の台数構成比も80%に高まる」としている。

2011年の春は、花粉の飛散量が増加する見込み空気清浄機の普及率は、現在3世帯に1台という割合(36.6%)。これを、4~5年後には2世帯に1台へと伸ばしていくという2010年度の空気清浄機の需要はほぼ昨年と同じ。しかし、加湿空気清浄機の割合は80%まで高くなるという





(正藤 慶一)

2010年10月18日 16:55