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日産、電気自動車リーフを大容量バッテリーとして使える充電・給電システム

〜夜間電力使用によるピークシフトや非常用バッテリーに有効
電気自動車「日産リーフ」から電力供給できるシステム「LEAF to HOME」

 日産は、電気自動車「日産リーフ」から電力供給できるシステム「LEAF to HOME」を6月中旬より発売する。本体価格は約48万円で、補助金制度適用の場合、工事費込みで約33万円。

 リーフの車載充電器も手がけるニチコン株式会社が開発したリーフ専用の充電・給電システム。リーフに搭載されている容量24kWhのバッテリーを家庭用の電力として活用できる点が最大の特徴。

 LEAF to HOMEでは、一般住宅の分電盤に直接接続し、コネクターを日産リーフの急速充電ポートへつなぐことで、リーフに蓄えられた電気を住宅へ供給。リーフへの充電も最短4時間で行なえるという。日産自動車 執行役員 渡部英郎氏はLEAF to HOMEの特徴として「1.節電・電力のピークシフトに貢献できること、2.非常時のバックアップ電源として活用できること、3.通常の半分の充電スピード、4.購入しやすい価格」の4つを挙げた。

LEAF to HOME本体 操作はタッチパネルで行なう 日産リーフには、急速充電用と普通充電用の2つの給電口がある。LEAF to HOMEを使う場合は急速充電用を使う
差し込み口 本体サイズは650×350×781mm(幅×奥行き×高さ)で屋外に設置可能 LEAF to HOMEの特徴として1.節電・電力のピークシフトに貢献できること、2.非常時のバックアップ電源として活用できること、3.通常の半分の充電スピード、4.購入しやすい価格が掲げられた

深夜電力を使うことで、月々の電気代を約4,400円節約可能

 まず、節電や電力のピークシフトに貢献できるという点では、夜10時から翌朝8時まで電気代が安くなる夜間電力でリーフを充電して、昼間はリーフからの給電で生活することを推奨。これにより1カ月で約4,400円の電気代が節約できるほか、ピークシフトにも有効だとしている。また、夜間電力を活用した場合の節約効果は6年間で約31.6万円にのぼるという。

 本体にはタイマー機能が搭載されており、あらかじめ登録しておくことで、充電や給電が自動で切り替わる。たとえば、夜間電力を活用する際は夜22時から充電開始し、電気代が高くなる朝8時からはリーフからの給電に自動で切り替わる。その際に、充電量やバッテリー残量を設定することも可能で、給電時でもバッテリー残量を常に30%残しておくこともできる。

夜間電力を使うことで、電気代を月々約4,400円節約できるという タイマー予約機能搭載で、充電開始時間、給電開始時間を登録できる。給電/充電の切り替えは自動で行なう 週末ドライバーで、平日の昼間に乗らないのであれば、ピークシフトも効果的にできるという
日産自動車 執行役員 渡部英郎氏

 また、給電システムとしてリーフを活用した場合の車としての実用性について、渡部英郎氏は「週末ドライバーであるということが前提となる。たとえば深夜電力でリーフをフル充電した場合、午前中と夕方にそれぞれ25km運転して、午後1時から4時の家庭の電気を給電しても、6割以上の約15kWhが残る。15kWhは100km以上の距離を走行できる量なので、普段使いでもストレスなく電力マネジメントができる」と話した。

24kWhの大容量バッテリーで約2日分の電気を確保

 非常時のバックアップ電源として活用できるという点については、リーフに搭載されている容量24kWhのリチウムイオンバッテリーに着目。災害時や計画停電などで停電した際にも、リーフのバッテリーから給電することで一般家庭約2日分の電力をまかなえるという。LEAF to HOMEの出力は最大6kWで、冷蔵庫や照明だけでなく、電子レンジやエアコンなどの家電製品も同時に使うことができる。

非常時のバックアップ電源としても活用可能。24kWhの大容量バッテリーのため、一般家庭2日間の電気をまかなうことができる。出力も大きいので、複数の家電製品を同時に使うこともできる 日産では、一般家庭はもちろん、企業や施設などへの設置も意識。バックアップ電源を確保することで、災害時に避難所として利用できるという

普通充電の約半分の時間で充電可能

 充電時間は、普通充電の約半分に当たる約4時間。一般家庭の200V普通充電の出力が3kWなのに対して、LEAF to HOMEの出力は約2倍の6kWあるため、充電スピードは約2倍となった。

 また、自動充電制御も搭載する。これは、事前に自宅の契約アンペアを設定することで、ブレーカーが落ちるのを回避するというもの。従来、家庭で日産リーフを充電する場合、電力利用量が一定のため、家庭内で多くの電化製品を使うとブレーカーが落ちてしまうことがあった。LEAF to HOMEではこの事態を回避するため、家庭で実際使われている消費電力をリアルタイムにモニタリングし、契約アンペア内で充電可能な電力量を自動で制御する。

充電時間は従来の約半分の4時間となった 充電時に家庭の消費電力をモニタリングし、ブレーカーが落ちるのを防ぐ制御も搭載されている

同容量の蓄電池として考えると破格の価格設定

 価格については、工事費込みで約33万円(補助金制度適用を見込)とした。これは充電・給電システムとしては「破格の価格設定」(日産自動車常務執行役員 西沢正昭氏)で、容量24kWhの家庭用の蓄電池が仮にあったとしたら(現在はない)、1,000万円を超える価値があるという。

 本体サイズは“エアコンの室外機並”の650×350×781mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約60kg。屋外への設置も可能で、一般家庭に置ける実用サイズを実現している。

 また、いたずら防止のための暗証番号設定や履歴管理機能も搭載する。リーフへの充電量や供給電力を年間、月間、日ごとで確認できるため、節電意識も高められるという。

LEAF to HOMEを蓄電システムとして捉えると、価格は1千万を超えるという 電気代の節約効果などを考えると、約6年で本体価格のもとが取れるという

 充電時の入力電圧は単相AC200Vで、最大出力電力は6kW。変換効率は最大90%以上で、力率は99%以上。電力供給時の出力電圧はAC100V×2相の単相3線式で、入力電圧範囲はDC150V〜450V。出力電流範囲はAC0〜30A。変換効率は85%以上。

 販売済みのリーフにも対応可能だが、その際は日産の店舗にて車体のプログラミング変更を行なう必要がある。所要時間は30〜40分程度だという。

スマートグリッドやHEMSとの連携も視野に

左から日産自動車 常務執行役員 西沢正昭氏、ニチコン株式会社の代表取締役会長 武田一平氏、日産自動車 執行役員 渡部英郎氏

 日産自動車 執行役員 渡部英郎氏は、LEAF to HOMEについて「そもそも、電気自動車を開発する目的にあったのは大気中のCO2を削減することだった。しかし、昨年の3月11日以降は節電や、計画停電などが相次ぎ、電力を効率的にマネジメントすることも必要になってきた。LEAF to HOMEはこの2つの問題を同時に解決できる画期的な製品」と語った。

 今後の展開については電力などのエネルギーをマネージメントするためのスマートグリッドやHEMS(Home Energy Management System)との連携も検討に入れているという。

武田一平氏

 会場では、LEAF to HOMEを開発したニチコン株式会社の代表取締役会長 武田一平氏も登壇した。ニチコンは、車載用の電解コンデンサをビジネスの柱としているメーカーで、日産自動車には、これまでに様々な製品を納入している。今回の製品の開発には「血のにじむような努力があった」としながらも、タイマー機能や暗証番号設定など独自の機能を搭載した製品に自信を見せた。

 なお、ニチコンの本社は京都市中央区にあり、生産工場も京都府亀岡市にある。同地はこの夏、関西電力からの節電要請が出ている場所でもあり、会場からは「節電要請がある中で、工場の稼働や、生産数には問題ないのか」という質問が出た。

 これに対し武田氏は「当然の疑問」としながらも「電力会社から事前にアンケートがあり、正当な理由がある場合は例外的な措置があると聞いている。LEAF to HOMEは社会的に貢献できる製品でもあるので、ある程度は問題ない」と話し、販売当初7月の生産目標を3,000台と掲げた。

 発表会会場では、一度会場のブレーカーを落とした後、リーフからの給電によって電力をまかなうというパフォーマンスも行なわれた。途中、リーフから通常の送電に切り替わるシーンもあったが、事前にタイマー予約しておくことで、電力の切り替えはスムーズに行われて、言われなければ全くわからないほどだった。なお、一度停電してからリーフの給電を開始する場合は、電力安定を確かめるため約10秒ほどの時間がかかる。

会場の電気は一度ブレーカーを落とされた。照明も全て消えた リーフの給電によって再び照明が点灯した。あらかじめタイマー予約しておくことで、電気の切り替えはスムーズに行なわれる





(阿部 夏子)

2012年5月30日 15:55