パナソニック、新規格「L形口金」採用の直管形LEDライト

~蛍光灯と同じ明るさで40%省エネ
EVERLEDS 直管形LEDランプ搭載ベースライト

 パナソニック電工は、直管形蛍光灯と同じ明るさで約40%の省エネに成功したLEDベースライト「EVERLEDS(エバーレッズ) 直管形LEDランプ搭載ベースライト」80品種を、12月24日より順次発売する。希望小売価格は、1灯用器具が29,925円から63,000円、2灯用器具が49,875円から111,325円。

 オフィスや店舗、工場などの天井に搭載される業務用の照明器具で、光源にLEDを採用することで、蛍光灯並みの明るさを演出しながら、省エネ性能を高めた点が特徴。従来の蛍光灯器具「FLR40形」と比較した場合、約40%の省エネになるという。また、定格寿命も12,000時間から40,000時間に伸びている。

 明るさでは、蛍光灯40形器具と同等の明るさを確保したとしている。全光束は、日本電球工業会の規格の2,300lmを上回る2,400lm。反射板や高効率の光拡散膜を採用するなどで、床面と壁面への光の広がりを確保している。また、もの本来の色の再現度を表わす平均演色評価数も、規格のRa80を上回るRa84となっている。さらに、高密度実装形のLEDユニットを採用することで、グレア(不快な明るさ)や色温度のバラツキを軽減し、ツブツブ感を抑えた均一なライン光が実現されているという。

 このほか、ランプ部には劣化が少なく透過性の高いガラス管を採用。初回使用時の余分な明るさを補正し、一定の明るさを保つ「初期照度補正機能」も搭載されている。

今回発売される「直管形LEDランプ搭載ベースライト」。光源にLEDを採用するガラス管のカットモデル。写真中央の黄色い線の中に、LEDが搭載されている口金には新規格の「L字口金」を採用
蛍光灯のベースライトと比較したスペック表。器具は同じ63台、ほど同じ明るさながら、消費電力は約40%となっている。寿命も約3.3倍延びている配光もほぼ同等という
反射板と光拡散技術を採用することで、ワイドな配光を実現しているという。また、演色性も高いLEDは高密度実装形のパッケージを採用。ツブツブ感のない均一な光を放つ初回使用時の余分な明るさを補正する「初期照度補正機能」も搭載

 口金には、日本電球工業会の規格に準拠した「L形口金(L16口金)」を採用。L形口金専用の照明器具に挿入し、回転して固定するため、振動による落下が防げる構造になっている。また、給電用の口金が片側に2本搭載された「片側給電方式」のため、蛍光灯のように他方の口金に触れて感電する恐れもないという。

 なお本製品は、直管形の蛍光灯で一般的な口金「G13」との互換性はない。G13口金の埋込形照明器具に使用する場合には、電気工事が別途必要になる。同社では2011年1月に、安定器やソケット、リード線などがセットになった「交換ユニット」、既設の器具を残したままでリニューアルできるリニューアル用ユニット「クイックアップ」も発売する。

口金には、新規格の「L形口金」を採用電源は片側給電方式を採用。ランプ挿入時に接地側の口金を触っても、感電の恐れがないという照明器具に回転して固定するため、振動による落下の恐れがないという
従来のG13口金との互換性はなく、電気工事が別途必要になる今回展開する約80種類のラインナップ
EVERLEDSの直管形LEDランプ搭載ベースライト従来モデルの蛍光灯


なぜ従来の蛍光灯と互換性のない「L形口金」を採用したか

パナソニック電工の照明事業本部 吉村元氏

 パナソニック電工の照明事業本部 吉村元氏は、今回、日本電球工業会の新しい規格に準拠したベースライトを投入した理由について、従来のままでは安全・性能面での問題があったことを述べた。

 「G13口金にも取り付けられる直管形LEDランプは、市場では一部で流通しているが、安全面、性能面での課題が指摘されてきた。安全面では、蛍光灯器具への誤挿入による過熱・発火や、ランプ交換の感電の恐れ、性能面では、光束と光学的性能で既存器具と蛍光灯の組み合わせに及ばない。また、長寿命のリニューアルしても、既存器具の内部が劣化することにより、器具トータルの寿命が延びるわけではないという寿命の問題があった」

 吉村氏はそのうえで、今回発売するEVERLEDSのベースライトについて「既存の器具との組み合わせを上回る仕様。光の出力を高めると演色性が落ちるとされるが、本製品はRa84と高い。ツブツブ感のない、均一なライン光も実現できている」と評価。2010年のEVERLEDSシリーズの販売計画は230億円だが、以降の計画を上方修正し、2015年までには国内外を合わせて1,200億円に設定した。

G13口金に設置できる直管形LEDランプもあったが、性能面、安全面で問題があったという日本電球工業会による、LED直管形ランプの規格。今回発売するEVERLEDSのLEDベースライトではすべてクリアしている


“世界に誇れる新品質”を実現するために、3つのステージを設定

パナソニック電工 電材マーケティング本部 野浦高義本部長

 電材マーケティング本部の野浦高義本部長も、LED照明が予想以上の成長を遂げている点を指摘。「省エネ機運の後押しを受けて、LED照明は成長を見せており、LED照明の固有エネルギーの消費効率向上で、普及は予想以上。2010年度には普及率10%を超え、いよいよボリュームゾーンの展開に入ることになる」とした。そのうえで、今回発売するベースライトについて「当社従来のLEDベースライトと比べても半値以下の価格設定。トータル80品番の品揃えで、ボリュームゾーンに一気に展開していく」と語った。

 また、パナソニックのLED照明の展開構想について、身近な照明で高品質を目指す「スタンダードステージ」、先進技術と合わせて明かりの価値を高める「アドバンスステージ」、世界の先を行く新技術を実現する「フューチャーステージ」の3つのステージで、商品開発をしていくと発表。今回発表したベースライトはスタンダードステージの代表的商品に当たるという。野浦氏は「この3つのステージで、世界に誇れる新品質を目指し、LEDのあらたなスタンダードを築いていく」と宣言した。

LED照明は予想以上の成長を遂げているというパナソニック電工は、「スタンダードステージ」「アドバンスステージ」「フューチャーステージ」の3つのステージで商品を開発していく
パナソニック電工のLEDの導入事例。国会図書館にも採用されているという
2011年竣工予定の「東京スカイツリー」や、高速道路の橋のライトアップなど、大型の施設にも導入されている




(正藤 慶一)

2010年11月8日 18:53