記事検索
最新ニュース

東京スカイツリーのライトアップは、パナソニックの“オールLED”に決定

約2千台のライトアップ照明をオールLEDに


左から、パナソニック電工の長榮周作代表取締役専務、ライトアップのデザインを担当するシリウスライティングオフィスの戸恒浩人氏、東京タワースカイツリーの藤井角也 代表取締役専務

 パナソニック電工は、東京都墨田区に2012年春にオープンするタワー「東京スカイツリー」に関して、ライトアップ用の照明メーカーに決定したと発表、タワー専用の照明器具を“オールLED”で開発を進めていく。使用される器具は約2000台。

 東京スカイツリーは、東武鉄道グループの東武タワースカイツリー株式会社が開発する、高さ634mの地上デジタル放送の電波塔。東京都墨田区の押上駅と業平橋駅の間に、2012年春にオープンが予定されている。

 同タワーでは、「永遠に続く江戸の心を光で表現する」ことを目的に、隅田川をモチーフとした水色の「粋」と、気品のある“江戸紫”という色を使用した「雅」という2パターンのライトアップを1日毎に行なうことになっている。また、富士山のような冠雪をイメージし、頂上部を白く光らせる「光の冠雪」や、展望台の周囲を一定の早さで光が回転する「時を刻む光」、タワーの上方と下方から光を重ねることで、“そり”と“むくり”を強調するライトアップも展開される。

 パナソニック電工は、これらタワー外観のライトアップ用の照明に使用するLED照明を開発する。

東京スカイツリーでは、「粋」と「雅」の2種類のライトアップを1日交代で行なう。この照明器具を開発するのがパナソニック電工 「大地から力強く立ち上がるイメージ」したという「粋」。隅田川の水をモチーフとしており、カラーはブルーとなっている 「鉄骨を衣に見立てた優雅なイメージ」したという「雅」。ただの紫色ではなく、「江戸紫」という特別な色を採用する
発表会でライトアップされた「粋」のカラー こちらは「雅」
このほか、頂部を白く照らしたり、タワーの“そり”と“むくり”を演出するライティングもある 展望台の周囲では、一定時間ごとに時を刻む光が、まるで流れ星のようにキラリと光る

 東京タワースカイツリーの藤井角也 代表取締役専務は、照明を開発をパナソニック電工に決定した理由について「技術面、金額面を総合的に判断した」と説明。パナソニック電工の長榮周作 代表取締役専務は、「照明事業を始めて58年目。その間に培ってきたハードとソフトの技術を使い、省エネ性、コンパクトさ、耐久性を最大限に考慮したものづくりをしていく。“パナソニック電工にしてよかった”と思われるライトアップにしたい」と意気込みを語った。

東京タワースカイツリーの藤井角也 代表取締役専務 パナソニック電工の長榮周作代表取締役専務

「江戸紫」カラーのLEDを新開発。従来の約半分の省エネに

 長榮氏は続けて、パナソニック電工の照明技術の特長を説明。色度座標を用いて望み通りの色を演出する「高精度色再現技術」、最大1万台までの照明器具を制御できる「調光技術」、シミュレーションで器具開発を効率的に行なう「3次元解析技術」などをアピールした。

 「高いところにつけている為、風圧の解析も行なっている。私も昔は照明器具の設計をやっていたが、当時は計算機片手に手書きで解析し、トライアンドエラーしていた。今の時代は解析技術が進歩しており、短時間でご要望のスペックにまとめられるようになっている」(長榮氏)

 また、「雅」の演出時に使用する江戸紫色のLEDには、従来にはなかった専用のLEDを新たに開発。従来までの技術では、400Wのメタルハライドランプにカラーフィルターに通して色を演出することになるが、LEDを採用することで、器具1台当たりの消費電力を約半分にするという。

LEDの基本的な特長 パナソニック電工では、色を数字で把握し演出する「高精度色再現技術」を持っているという。このため、コンセプトカラーの「粋」も「雅」も、忠実に再現できるという
約2千台のLEDを一斉にコントロールする制御技術も採用 この制御技術は、テレビ局のスタジオ照明で培ったとしている
3次元の光学シュミレーションによって、光の進む方向や放熱、強度など、高所のライトアップに必要な器具の設計が可能になるという 解析にはシミュレーションソフトを使用 LEDと電源も開発。タワーの外観を損ねないよう、器具の出力と小型化を目指すという
「雅」で使用されるLEDは、従来の照明よりも消費電力が約半分になる 完成時のイメージをより細かくCGで再現する技術も持っているという

“オールLED”で日本の技術力をアピール

ライトアップのデザインを担当するシリウスライティングオフィスの戸恒浩人氏
 ライトアップのデザインを担当する、シリウスライティングオフィスの戸恒浩人氏は、スカイツリーのライティングデザインをオールLEDとする意義について、“省エネルギー性”と“デジタル制御によるコントロールのしやすさ”を指摘。さらに、“LED時代の幕開けを宣言する象徴性”や、“日本のLED技術のレベルの高さを世界にアピールする”といった狙いもあるとした。

 「日本はLEDの素子では世界でもトップランナー。これからは器具やデザインなどでも、“日本はこれだけできるんだ”と広めていきたい。世界的に見ても、634mというのはまだLEDでは照らせたことのない高さ。それだけでも、非常にアピールになるのではないか。パナソニックの卓越した技術力を持って、デザインを実現していただきたい」(戸恒氏)

オールLEDにすることについて、戸恒氏は「省エネ」「技術力のアピール」など4つのメリットを掲げた 会場にて公開された、スカイツリーの模型


 なお、公式リリースでは「オールLEDを目指す」と含みを持たせた表現となっているが、これについて藤井氏は「器具自体が検討中、開発中である」ためとしている。照明器具の設置は2010年秋よりスタートする。

ライトアップのイメージ映像(東武タワースカイツリー、パナソニック電工提供)



(正藤 慶一)

2010年3月1日 18:58