日立、水の硬度に合わせて省エネ運転する縦型洗濯乾燥機

~洗濯使用水量73Lは“ドラム式並みの節水”

ビートウォッシュ BW-D9LV
 日立アプライアンスは、水の硬度や温度などのセンサーで省エネ運転する縦型洗濯乾燥機「ビートウォッシュ BW-D9LV」など全7機種を、6月25日に発売する。価格はオープンプライスで、最上位モデル「BW-D9LV」の店頭予想価格は21万円前後。

 ビートウォッシュは、洗濯槽内に水を溜めずに洗える“エコビート洗浄”機能が特徴の縦型洗濯乾燥機。エコビート洗浄とは、洗濯槽内に洗濯液に撒布する「ワイドシャワー」と、ワイドシャワーで使用した洗浄液を循環させる「節水循環ポンプ」により、少ない水でも洗える洗浄機能のこと。洗濯槽内には、押し洗い/叩き洗い/もみ洗い効果のある洗濯羽根「トリプルビートウィング」や、内壁とビートウィング上には洗濯板で洗うような効果のある突起「ビートボール」が設けられており、洗浄力も高いという。

 これらの機能により、洗濯9kg時の標準使用水量は73Lとなった。同社では、「タテ型洗濯機乾燥機でありながら、ドラム式洗濯乾燥機並みの節水性が発揮できるとしている。

水を溜めずに洗浄する「エコビート洗浄」を従来モデルより継承。洗濯9kgの使用水量は73Lと少ない洗浄液を循環し、繰り返し使用する「節水循環ポンプ」

カットモデルを使ったワイドシャワーの使用イメージ。槽の回転中もシャワーが流れ、槽内全体に洗浄液を届ける
洗濯槽のカットモデル。洗濯羽根の「トリプルビートウィング」と、ところどころにある突起物「ビートボール」が、洗濯効果を高めるステンレス槽のビートボールは、本製品から追加された

水の硬度などを検知し、消費電力をを抑えた運転を行なう「[eco]水センサーシステム」を新搭載
 新機能としては、「水の硬度」「水温」「洗濯物の布質」「布量」を検知して、洗剤の量や使用水量を調節する「[eco]水センサー」システムを搭載した。

 同社によると、水の中に含まれるカルシウムイオンやマグネシウムイオンといった硬度成分は、硬度が低いと泡立ちが良くなり、また水温が高いほど洗浄力が高くなるという。[eco]水センサーは、水の硬度と温度を検知することで、硬度が低く水温が高い場合には、洗剤の投入量を少なく表示したり、洗濯時間を短縮する。また、布質センサーでは化繊衣類の割合などを判定し、使用水量を調節、「布量センサー」では洗濯量を検知し、量に応じた水位設定を行なう。

 この[eco]水センサーにより、洗濯1回当たりのランニングコストを、最大約8%まで節約できるという。

軟水と硬水を使った、泡立ち方の比較。軟水の方が泡立ちがよく、洗浄力が高くなる日本はほとんどが軟水とのこと。しかし、実際には各家庭で硬度にバラツキがあるという
水の硬度を測定するセンサーが搭載されているセンサーを使ったデモ。硬度が高い水では「3」と、硬水と判定硬度が中くらいの水では「2」と判定された

洗濯や乾燥時の冷却水として、風呂の残り湯を使用する「湯効利用」機能も採用。写真は同機能で使用する洗乾お湯取ポンプ
 また従来モデルに引き続いて、洗濯や乾燥時の冷却水に風呂の残り湯が使える「湯効利用」機能も採用。1回の洗濯、または洗濯~乾燥において、通常よりも水量を約15L、年間で浴槽約350杯分の風呂水が節水できるという。

 衣類の乾燥には、乾燥時の排気を除湿する「水冷除湿機構」を採用。これは、衣類から発せられる湿った空気を循環し、冷却用の水で結露させ、湿気を水に変えて排出するため、部屋の湿度が高くなるのを抑制するというもの。本製品では、より効率的に除湿するために、乾燥ダクト内に熱伝導性の高い「ステンレスプレート」を新採用した。冷却水がプレート表面をゆっくりと蛇行しながら流れるため、除湿効率が向上。洗濯~乾燥6kgの消費電力量を1,960kWhに抑えている。

日立の洗濯乾燥機では、湿った空気を外に出さない「水冷除湿機構」を採用している本製品では、効率よく除湿するための「ステンレスプレート」を採用。高い除湿力を発揮するという水冷除湿機構が、湿気を外に出さないことをアピールするデモ。右側の製品版ではビニールは曇っていないが、左の試作版では、湿気を外に排出するため、ビニールが曇っている

ステンレスプレート(動画後半)を採用したビートウォッシュのダクトと、普通のダクト(動画前半)の比較。ステンレスプレートは水がプレート上を時間を掛けて流れるため、通常よりも効率よく除湿できるという

 操作パネルでは、初めての人でも簡単に使えるよう、よく使うボタンが光る「光これっきりパネル」を搭載。ボタンの字体には、文字が判別しやすいという「つたわるフォント」を採用している。

 このほか、脱臭フィルターと温風の力で、水を使わずに消臭、除菌する「消臭・除菌コース」を引き続き採用。同社ではスーツや学生服などに向くとしている。このほか「花粉コース」、「槽乾燥コース」、「槽洗浄コース」、風呂の残り湯を除菌する「Ag除菌お湯取ユニット」も引き続き採用する。

操作パネルフタは2重構造フタはガイドレールに沿って開閉する

 9kgタイプのほか、洗濯容量8/7/6kgタイプ、乾燥機能を省いた全自動洗濯機の9/8/7kgタイプも発売する。ラインナップは以下の表の通り。なお同社では、これらの製品を総じて「ビートウォッシュワールド」と称している。

【縦型洗濯乾燥機タイプのラインナップ】
型番BW-D9LVBW-D8LVBW-D7LVBW-D6LV
洗濯/乾燥容量9/6kg8/4.5kg7/3.5kg6/3kg
標準使用水量
(洗濯/洗濯~乾燥)
73/96L97L/125L未定未定
消費電力量
(洗濯/洗濯~乾燥)
170/1,960Wh69/1,940Wh未定未定
時間
(洗濯/洗濯~乾燥)
47/155分39/170分未定未定
洗浄方式エコビート洗浄シャワービート洗浄(ワイドシャワー機能はなし)
[eco]水センサーシステム---
湯効利用お湯取りポンプ
音声ガイド---
外形寸法
(幅×奥行き×高さ)
650×645×1,040
mm
610×625×1,011
mm
584×600×1,011
mm
584×600×1,011
mm
カラーパールシャンパン
パールホワイト
シャンパン
プラチナホワイト
シャンパン
プラチナホワイト
ブルー
店頭予想価格21万円前後17万円前後15万円前後14万円前後
発売日6月25日6月25日7月25日7月25日

【縦型洗濯機のラインナップ】
型番BW-9LVBW-8LVBW-7LV
洗濯容量9kg8kg7kg
標準使用水量115L97L95L
消費電力量75Wh74Wh73Wh
時間41分39分38分
洗浄方式シャワービート洗浄
[eco]水センサーシステム---
湯効利用お湯取りポンプ
音声ガイド---
外形寸法
(幅×奥行き×高さ)
608×590×1,030
mm
608×590×1,000
mm
608×590×1,000
mm
カラーシャンパンブルー
ピンク
店頭予想価格11万円前後10万円前後9万円前後
発売日6月25日6月25日6月25日

洗濯乾燥機は4機種用意される洗濯機能のみの機種も3品番展開される同社ではこれらの製品を総じて「BEAT WASH WORLD(ビートウォッシュワールド)」と称している

エコポイント対象外で厳しい市場も、縦型復興の兆し


 日立アプライアンス 常務取締役 家電事業部長の石井吉太郎氏は、洗濯機の市場について「洗濯機の2010年度の需要台数は対前年度比で98%と、前年を割っている。エコポイント対象外で、消費者の優先順位は低い。サイフのヒモは硬くなっているため、厳しい選択眼に答えられるような製品が出せるかがポイントとなる」と指摘した。

 しかし縦型に限ると、2009年10月から2010年3月までで対前年105%と好調となっており、「昨年年末より需要が縦型に戻ってきた」(石井部長)という。縦型が好調な理由として石井部長は、「縦型ではあるが、本格的な機能を備えたビートウォッシュの良さが認められている。日立はこの7年間、(ドラム式洗濯乾燥機の)ビッグドラムとビートウォッシュの“ダブルB”で、お客様の選択に任せるということにしてきたが、価格設定もドラムよりも下に設定している」と分析。そのうえで、今年度のシェア目標について、縦型洗濯乾燥機では32%から36%、洗濯機全体でも25%から30%に引き上げたいとした。

日立アプライアンス 常務取締役 家電事業部長 石井吉太郎氏2009年度の洗濯機の需要は前年割れ。しかし、縦型に限れば105%とアップしている



(正藤 慶一)

2010年5月26日 17:42