シャープ、レンズ搭載で照射範囲が広くなったソーラー・LED照明


 シャープは、新開発のLED照明レンズ搭載のソーラー・LED照明灯「LN-LX1」ほか3種類、全10機種のLED照明灯を発売する。製品の詳細は以下の表の通り。


品名型名タイプ消費電力光束希望小売価格発売日
ソーラー・LED照明LN-LX1ソーラーDC太陽電池最大出力120W約1,800lm1,000,000円5月25日
LN-LXH1ソーラーDC/商用AC併用1,200,000円6月25日
LN-LXS1ソーラーDC1,250,000円
LN-LXHS1ソーラーDC/商用AC併用1,450,000円
LED防犯灯DL-E40VAポールなし・既設電柱取り付け39W約2,400lm75,000円4月15日
DL-E20VA17W約1,200lm50,000円
LED照明灯DL-E240Nポール一体型・2灯式184W約9,500lm1,050,000円
DL-E24SN1,200,000円
DL-E140Nポール一体型92W約4,750lm800,000円
DL-E14SN950,000円


 ソーラー・LED照明


LN-LX1
 同社では、空気清浄機や専用機に搭載されているプラズマクラスター技術、ヘルシオなどに搭載されている過熱水蒸気技術と共に、LED照明技術を主要な「3つのオンリーワンテクノロジー」の1つとして捉え、積極的な製品展開を行なっている。特にソーラー・LED照明では、自社のソーラー技術を使用することでデバイスから商品まで全てまかなう「垂直統合のモノづくり」として、屋内だけでなく、屋外用製品も含めた事業拡大を図るという。

 今回発表された、「LN-LX1」ほか4機種のソーラー・LED照明灯は、LEDのチップ1つ1つにレンズを重ねた照明レンズを搭載したのが最大の特徴。レンズを重ねることで左右前後に灯りが広がり、従来のLED照明灯に比べ、設置間隔が広くなったという。これにより、設置本数は40Wの水銀灯使用の街灯に比べ、約62%削減できるという。また年間電気料金は水銀灯に比べた場合、約29万円削減できるという。

 

LED照明部分。上部には太陽電池のパネルが設置されている     

ソーラー照明部分

LEDの上に設置されている照明レンズ


近くで見ると、照明レンズが確認できる
従来のLED照明部分。レンズが入っていない
照明レンズが入ったLED照明。光が強くなり照射範囲が広くなっている

 同社では、ソーラー・LED照明は環境問題に有益なだけでなく、地震などの災害時、防犯にも有効だとしている。特に災害時に関しては、停電になっても使用できる照明灯としてして、揺れを検知する震度センサーを搭載している。センサーが震度5以上の揺れを感知すると、自動的に通常の夜間時のみの点灯から2日間の終夜フルモードに切り替わる。

 また、日照条件が不十分な場所には設置しずらいという問題をクリアするために、ソーラーDC/商用ACハイブリッドタイプを併せて販売する。本体にはソーラー電源と商用AC電源が両方搭載されており、蓄電容量が少なくなった場合など自動的に商用AC電源に切り替わるため、日照条件が悪い場所でも設置できる。また、潮風の影響が心配され、これまで設置を控えていた海沿いなどにも対応できるよう耐重塩害・耐風速65m/sタイプも用意した。

従来より工期が短く費用が抑えられる新工法を採用

 そのほか、初期費用を抑えるために設置時の工法を改良した。従来では設置の際は約3tにも及ぶコンクリートが必要で、工期も約3日間かかっていたが、即日施工が可能な「ポールアンカーシンクレス」という工法を新たに採用した。これは筒型の銅管を地中に埋め込む工法で、限られたスペースでも設置できるのが特徴。また、銅管の中には工事の際に掘り出した土を利用するなど、環境にも配慮しているという。これにより、費用は従来より10万円程度安い15~20万円程度となった。

 「LN-LX1」の太陽電池部の最大出力は120W。通常の点灯時間は日没から日の出まで。設置具の灯具の高さは地上約3m。重量は、約131kg。LN-LX1以外の機種の重量については現時点で未定。



 LED防犯灯


 LED防犯灯としては「DL- E40VA」、「DL-E20VA」の2機種を発売する。一般的に、防犯灯とは電柱などに取り付けられているもので、現在では水銀灯100Wタイプと蛍光灯20Wタイプが主流となっている。同社では、水銀灯100Wタイプの置き換え用としてDL-E40VAを、蛍光灯20Wタイプの置き換え用としてDL- E20VAを推奨している。

 

DL-E40VADL-E20VAポールは付属せず、既存の電柱などに取り付ける方式を採用している
  両タイプともに、照明レンズを搭載しており、従来機種より照射範囲が広くなっている。これにより、社団法人日本防犯設備協会が定めた「防犯灯の照度基準」に乗っ取った設置台数テストでは、1kmあたりの設置台数が100Wの水銀灯の場合32灯に対して、DL- E40VAでは28灯で、設置台数の削減による経済効果も期待できるとしている。

 また、防犯灯独自の特徴としては、視認性を向上させるために、通常の白色LEDにくわえ、黄色いLED照明を混合させている。黄色の照明は光が乱反射しにくく、霧や雨天時などでも視認性がある程度確保できるという特徴があるため、スキー場や車のフォグランプなどでも採用されている。

 

 

白色と黄色のLED照明が混合配列されてい
黄色い照明は白い照明よりも明るく視認性を確保できるという特徴がある

 LED照明灯

 LED照明灯では「DL-E24ON」、「DL-E24SN」、「DL-E140N」、「DL-E14SN」の4機種を発売する。運動場などで用いられることの多い照明灯では、明るさを重視して、高輝度LED照明を新たに採用したのが特徴。これにより明るさは“業界トップ”クラスとなり、既存の水銀灯に比べても明るく、照射範囲が広くなったという。

「DL-E140N」

「DL-E240N」

高輝度LEDの採用により水銀灯以上の明るさになった



高輝度LEDを搭載した点灯部分

 また、省エネ性能では、消費電力228Wの200W水銀灯を消費電力184Wの「DL-E240N」を置き換えた場合、1台あたりの年間電気料金は約4,500円削減でき、年間約80k gの年間CO2排出量を削減できるという。

 また、設置場所についても耐重塩害加工を施しているため、海岸沿いでの設置も可能となっている。

 同社では、LEDを用いた街灯の強みとして「蛍光灯に比べ、周囲の温度に左右されずほぼ同じ明るさを実現できる」、「LEDは紫外線をほとんど発生しないので虫などが集まりにくく、外観を保つことができる」などを挙げ、既存の街灯の置き換えを精力的に進めていくとした。

シャープ 健康・環境システム事業本部 副本部長 兼 LED照明事業推進センター所長 大塚尚考氏
 シャープの健康・環境システム事業本部 副本部長 兼 LED照明事業推進センター所長大塚尚考氏は、今回の製品の発売について「照射範囲を広げたことで、設置本数が少なくなり、工事方式を変えたことで、初期費用も抑えた。本体そのものの価格も従来より抑えて、これまで導入への大きな障害となっていた価格の問題を見直した製品になっている」と述べた。また、LED照明灯市場のシェア目標については「本年度は二桁まで、将来的には1/3まで持っていけたらいいと思っている」とした。

 

 



(本誌:阿部 夏子)

2009年3月27日 17:15