長期レビュー

東芝「E-CORE マルチカラーLEDシーリングライト」その2

~カラーLEDで“勉強”や“癒し”の明かりを演出。しかも節電!
by 藤原 大蔵

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



 当連載では、「光の三原色RGB(赤・緑・青)」を搭載した、東芝の「マルチカラーLEDシーリングライト」について、全3回に渡って紹介している。初回では、取り付けや設定から、普段使いの明かり、本製品の最大の特徴となるRGBを活かした6つの「お好みセレクト」、さらに、ビビッドな7色の「カラーモード」まで、変化する配光性も含め紹介した。[第1回目のレポートはこちら]

 2回目となる今回は、各モードにおける明るさと使い勝手、そして、それぞれの消費電力を中心にレポートする。本製品は光源がLEDなので、消費電力が蛍光灯よりも低い。暮らしの明かりをより便利により魅力的に演出しながら、節電もできてしまうのも大きな特徴だ。

東芝「E-CORE (イー・コア) マルチカラーLEDシーリングライト LEDH95004YX-LC」電球色、昼光色の2色のLEDに、“光の三原色”であるRGB(赤・緑・青)のLEDが加わって、多種多様な明かりが演出できる

昼光色~電球色で自在に調色。好みの色が記憶できる

 最初に、光色と明るさの組み合わせが304通りにも及ぶ、通常モードの明かりについて紹介しよう。

 通常モードでは、本体の下方向を向いているLEDの直接光だけで部屋全体を隅々まで照らす。調光にも調色にも対応しており、細かな好みに応じた調節ができる。光色は「電球色~昼光色(ボタン表示は白色)」まで21段階、明るさは「100~1%」まで最大20段階となる。

 最も明るい「全光」時の明るさは、器具から真下にあるローテーブル上で560lxと、眩いほど明るい(光源との距離は約2m。以降の照度は、全てこの条件)。光色は、暖かみのある自然な白色光だ。全光にするには、リモコンのドーナツ状のボタンの中心にある「全光」ボタンを押すだけ。非常に簡単だ。

「全光」ボタンを押した部屋の様子。画面のテーブル上の明るさは560lxで、部屋の隅々まで明るい(光源からの距離は約2m)こちらはこれまで我が家で使っていた蛍光灯シーリングライト。テーブル面の明るさは300lx弱で、演色性は今ひとつだった操作に必要なボタンは5カ所。ドーナツ状のボタンの中央にある「全光」で点灯し、好みに応じて左右の「電球色・・白色」ボタンを押して調色する。調光は上下の「明・暗」で行なう

 調色は、「全光」ボタンの左右にある「電球色・白色」ボタン、調光は上下の「明・暗」ボタン押す。ボタンを“ポンポン”と押せば段階的に、押し続ければ無段階に調節できる。光色、明るさとも、調節の最終点に達した時、本体が”ピッピッ”と2回鳴って知らせてくれる。

 ここで気になったのが、調色すると同時に、明るさも変わってしまう点。これは、調色をする際に、電球色・昼光色の光量の比率を変えていることによる。「全光」は、LEDの明るさの比率が「電球色100:昼光色100」になるのだが、調色して電球色の最終点に達した時には「電球色100:昼光色1」、昼光色は「電球色1:昼光色100」となる。調色を進めるほど、点灯するLEDの数が少なくなるため、暗くなってしまうのだ。

 これは、調光の段階数にも影響する。「全光」だと、調光は20段階に細かく調節できるが、電球色、または昼光色に調色しきった時は、11段階に減る。電球~昼白色の中間地点、昼白~昼光色の中間地点では、14段階だった。

 しかし、調色で明るさが変わる事が不満かと問われれば、答えは「NO」だ。なぜなら、電球色、昼光色のどちらに寄せても、以前の蛍光灯と比較して、遜色ない明るさが得られるからだ。蛍光灯が300lx弱だったのに対して、電球色の明るさは228lx、昼光色は302lxと、日常生活に全く問題ない明るさがある。演色性も良く、全光から光色、明るさを調節しても、RGBが常に一定の明るさで点灯しており、光色を変えても照らされるものの色味がくすまない。とても快適だ。

マニュアルによる調光・調色で、304パターンの光色と明るさが自在に調節できる実際に明るさと光色を変えたシーンを撮影した。304パターンの中から、全行(中央)、電球色100%(左端)、昼光色(右端)で、光色は21色、明るさは最大20段階(全光時)の調節ができた
「全光」から、電球色または白色へ調色すると同時に、明るさも変わってしまう。これは、電球色・昼光色の光量の比率を変えて調色することがその理由だ(写真は全光~電球色)電球色、または白色に調色仕切った時、「全光」に比べて暗くなってしまうが、以前使っていた蛍光灯(写真中央)よりもさほど明るさは変わらない。演色性は蛍光灯よりも良好だ写真は「全光」から調光している様子。3色のRGBの明るさは変わらず、電球色・昼光色の明るさだけが変化する

 なお、通常点灯における配光は直接光のみで、天井面に接する「間接光ユニット」は点灯しない。しかし、器具本体よりも7cm外側に迫り出したシェードが、天井面を柔らかく照らすため、間接光の効果はそれなりに得られる。

 基本的には、この通常のあかりで、日常生活のさまざまな場面に、オールラウンドに活用できるだろう。家族や友人とにぎやかに過ごすなら、「全光」の暖かみのある自然な白色光が似合う。明るく、落ち着いた雰囲気を演出したいなら「電球色」、昼間の補助光として活用するなら、外光の光色と相性の良い昼光色の「白色」方向へと調色、という使い方がお勧めだ。さらに、部屋の広さや好みの明るさに応じて、調光すると良いだろう。

 「304パターンの組み合わせ」と聞くと、調節が難しそうな印象を受けかもしれないが、一度リモコンを操作して仕組みが解れば、数値は全く気にせずに感覚的に調節できる。好みの組み合わせは、リモコンの「シーンボタン」に2種類まで記憶しておけるので、登録しておけばさらに簡単に使えるだろう。

 シーンボタンへの登録も簡単。好みの明るさ・光色を調節した後、リモコンの「メモリ」ボタンと「シーン1」または「シーン2」のボタンを同時に押すだけで作業は終了する。その後、シーンボタンを押せば、記憶した組み合わせの状態で点灯する。もちろん、何度でも再設定が可能だ。

「全光」での調光・調色は直接光のみ点灯し、器具の上部にある間接光ユニットは点灯しない。それでも、器具内の拡散光が大きいシェードを通して、天井面にも光が広がる調色・調光の組み合わせは304パターンあるが、好きな組み合わせを、リモコンのシーンボタンに2種類だけ記憶できる。以降に紹介する6つの「お好みセレクト」「カラーモード」の明かりも、同じように記憶できる

多彩な明かりを演出する「お好みセレクト」ボタンはこんな場面で便利!

6つの「お好みセレクトモード」はそれぞれの独立したボタンが用意されている。全てのモードは「明・暗」ボタンで10段階の調光が可能だ

 続いて、3色のRGBの LEDと、配光性を効果的に使い分けた6つの「お好みセレクト」を紹介しよう。

 家庭用LEDシーリングライトでRGBまで搭載したものは、現時点では本製品のみ。2色の電球色・昼光色に、3色のRGBと配光性が加わり、「あざやか」「勉強」「くつろぎ」「シアター」「おやすみ」「ヒーリング」という、特定する生活シーンをより簡単に、魅力的に演出する6つのモードがプリセットされている。

 シーン毎の選択はとても簡単で、リモコンの独立した6つのボタンのいずれかを押すだけだ。電球色、昼光色、赤(R)、緑(G)、青(B)の5色のLEDと、配光を細かく調節する必要は無い。明るさは好みに応じて、リモコンの「明・暗」ボタンで10段階の調節ができる。

 なお、6つの「お好みセレクト」は全て、304通りの調光・調色と同じように、シーンボタンに記憶できる。設置する部屋や使い方に応じて、メモリボタンに記憶させれば、いつでもお気に入りの明かりが呼び出せる。


【1】
食事や一家団欒のシーンに「あざやかモード」

 「あざやかモード」は、色の見え方が特に大事な食事のシーンに適したモードだ。

 2色の電球色、昼光色で構成される暖かみのある「全光」の白色に、眩く輝く3色のRGBの明るさで加わり、演色性が全光よりもさらにアップする。白色光のまま、平均演色評価数Ra90と、高い色の再現性を実現し、明るさも582lxと、全てのモードの中で一番明るくなる。

 「あざやかモード」に照らされた食事は、「全光」よりもさらに色鮮やかに、新鮮でおいしそうに見える。ハムなど、特に新鮮さが求められる赤系の発色が良く、全ての色の発色性が一段とアップする印象だ。もちろん照らされる人の肌色も血色良く見え、印象が一段と良い。また、自然の素材の他、印刷物などの発色性も向上する。全体的色のくすみ感が消え、色がスッキリと見える。

「あざやかモード」で点灯すると、明るさが増し、演色性もアップする(写真左)。なお右側は「全光」時の様子「あざやかモード」のLEDの様子(左)。3色のRGBが強く加わり、演色性がさらに向上する。なお右側は「全光」時のLEDの様子

 また、全光とRGBが100%の明るさで輝くため、眩しいほど明るい。明るいだけではなく、最大582lxから最小28lxの範囲内で、10段階の調光ができた。部屋の広さに応じ、食事などのシーンに最適な明るさが簡単に調節できる。

 色鮮やかで、活気に満ち溢れた空間が演出できるので、ダイニングキッチンや、リビングダイニングなど、食事と団欒が一緒の部屋には特にお勧めしたい。なお、配光は直接光のみで、間接光ユニットは点灯しない。

左から、あざやか、全光、電球色と昼光色の明かりで食事を照らした様子。あざやかモードは食べ物が「全光」よりもさらに色鮮やかに、新鮮でおいしそうに見える
印刷物でも、全ての色の発色性が向上している(左)。なお右側は「全光」時の様子
「あざやかモード」を調光した室内(左)とLED(右)の様子。明るさは582~28lxの範囲で10段階の調光できる


【2】
読書や仕事、裁縫にも便利な「勉強モード」

 「勉強モード」は細かな文字でも識別しやすい光色で、勉強や読書、仕事に適したモードだ。

 暖かみのある「全光」の白色に、G(緑)とB(青) の2色のLEDが加わり、良好な演色性も確保しつつ、文字がクッキリ・スッキリと見える。明るさは580lxと全光よりもさらに明るくなるので、スタンドなどをわざわざ用意しなくても、十分な明るさが確保できる。光は少し青白いが、全光から電球色を抜いた、昼光色100%の暗い明かりとは全く異なる。

「勉強モード」で点灯すると、「全光」の白色に、G(緑)とB(青) の2色のLEDが加わり文字が識別しやすい光色になる(写真左)。右側は「全光」時の様子「勉強モード」のLEDの様子(左)。2色のGとBが加わり、細かな文字も読みやすくなるという。右側は「全光」時のLEDの様子

 このモードで新聞を見ると、くすみのある新聞紙が白色に近づき、文字の輪郭などがキリリと見える。全光・電球色と比べても、細かな字が判別しやすい。また、影も多重影にもならず、柔らかい影で、手元が見やすい。配光は直接光のみで、間接光ユニットは点灯しない。

 勉強や仕事はもちろん、縫い物などの細かな作業をするのにとても向いている。580~77lxの範囲内で10段階の調光もできるので、日中の補助照明としても使えそうだ。

左から、勉強、全光、電球色の明かりで新聞を照らした様子。勉強モードは文字が読みやすい
手元にできる影も柔らかく、LEDの明かりでも多重影は全くできない「勉強モード」を調光した室内とLEDの様子。明るさは580~77lxの範囲で10段階の調光できる


【3】
眠っている人を起こさない“お気遣いモード”の「おやすみモード」

 「おやすみモード」は、眠っている人に光の刺激をできるだけ与えずに、ちょっとした作業をするのに便利なモード。言い換えるなら “お気遣いモード”と言える。

 3色のRGBのうち、G(緑)を中心とした明かりで、点灯すると部屋全体が緑色になる。最大の明るさは59lx程度なのだが、意外なほど明るく感じる。しかし、使い初めは緑色の光がとても非日常的で、正直言って違和感があった。こちらも直接光のみの点灯となる。

「おやすみモード」は、G(緑)のLEDが中心となって点灯し、部屋全体が緑色の光に包まれる「おやすみモード」のLEDの様子(左)。緑色の光は他の光色に比べ、瞼(まぶた)を透過しにくいと言われている

 しかし、実際に使ってみると、用途を限定した使い方ならば使えると感じた。というのも、「おやすみモード」と、全光から「おやすみモード」とほぼ同じ明るさに減光した普段の明かりを比較すると、目をつぶった状態では緑色のおやすみモードの時の方が、まぶたを通して光が感じにくい。しかも、照度の数値はほぼ同じ明るさなのに、視認性は緑色の光の方が明るく感じる。これはなんとも不思議だ。

 本製品をリビングルームに取り付けて、そこで眠る人が居ないなら、あまり活用する機会は無いかもしれない。しかし、ワンルームやリビングルームと寝室の仕切りが無い住宅で、寝ている人の側で探し物などをする際には、便利なモードとなるだろう。もちろん調光も可能で、59~20lxの範囲で調光できる。

 「おやすみモード」を実際に使って、1つだけ気になる点があった。リモコンの「おやすみモード」ボタンを押すと、初めに一番明るい状態で点灯してしまうのだ。たとえ刺激の少ない光とはいえ、意外に明るいので、つい焦って明るさを絞るハメとなってしまう。最初の点灯時は、明るさが一番絞られた状態で点灯し、必要に応じて明るくする方が、使い勝手が良いと感じられた。

照度がほとんど同じでも、おやすみモード(左)の方が白色で調光した時より明るく感じる。しかし目への刺激はおやすみモードの方が軽い「おやすみモード」を調光した室内とLEDの様子。明るさは59~20lxの範囲で10段階の調光できる


【4】
寛ぎの時間が過ごせる「くつろぎモード」は、一日中使える

 「くつろぎモード」はくつろぎのシーンに適した、やさしい明かりを演出するモード。下向きの直接光と、上向きの間接光の2つの明かりを組み合わせ、「配光」に配慮した明かりとなる。

 光色は電球色のみで、下向きのLEDで手元の明るさを確保するとともに、間接光ユニットで部屋の上部を照らす。明るさは139lxで、ちょっとした読み物ができるほど十分に明るい。

「くつろぎモード」は、電球色のみのLEDが点灯し、直接光と間接光の二つの光で室内を柔らかく照らす「くつろぎモード」のLEDの様子(左)。RGBと昼光色のLEDは点灯しない。なお右側は「全光」時の様子

 明るさは139~17lxの範囲で10段階の調光ができる。間接光ユニットの明るさは固定されたまま変わらないが、下向きの直接光だけが暗くなる。以下に掲載した、直接光を一番絞り込んだ時の写真は、とても暗く感じるかもしれないが、実際は十分に明るい。調光の影響を受けるのは主に直下のみで、天井付近の間接光の明るさが変わらずに、部屋の上部を照らしたまま。したがって、天井や壁面の反射光だけで、隣の人の表情がはっきりとわかるほどだ。

 お勧めは、夕食の後のゆったりとくつろぐ時間。細かな作業をしない限り、ほとんど毎日、就寝までこの明かりで快適に過ごすことができた。家族や友人との穏やかな談笑や、静かな時間を過ごすのにとても適した明かりだ。

明るさを抑えた直接光に、天井付近の「間接光ユニットが」点灯する。配光は直接光と間接光の2つが組み合わさる「くつろぎモード」は139~17lxの範囲で10段階の調光ができる。直接光の明るさだけが変化し、間接光ユニットの明るさは変わらない

【5】映画鑑賞はもちろん、ほかの明かりと組み合わせても面白い「シアターモード」

 「シアターモード」は、テレビ画面に集中しやすい明かりを演出するモード。器具の上部についている間接光ユニットだけが点灯し、部屋の上部だけを照らす。

 光色は、「くつろぎモード」と同様に電球色のみ。しかも、直接光の324個のLEDは全て消えたまま。間接光ユニットのみが点灯し、天井と壁面の反射光が部屋全体をほんのりと照らすだけだ。

「シアターモード」は、電球色の間接光だけが点灯する。照らされた天井と壁面の反射光だけで室内を照らし、画面がより一層見やすくなる直接光のLEDは一切点灯せず、天井面に近い間接光ユニットだけが点灯する。光色は電球色
調光できる範囲も11~0.11lx。眩しさを極力抑えている

 明るさは直接光がテーブルに届かないため、最大で11lxと、ぐっと明るさを抑えた明かりになる。テレビ画面に照明の映りこみはできず、寝転がって器具が直接目に入っても全く眩しくない。「シアターモード」は「くつろぎモード」と違い、間接光ユニットの明るさを10段階で調光でき、最大で0.11lxの僅かな明るさまで絞りこめる。

 このシアターモードは、テレビや映画をじっくりと鑑賞する以外にも利用できる。スタンドライトやアクセント照明と組み合わせると、「くつろぎモード」とはまた違った、雰囲気の良いくつろぎの明かりが演出できる。明るさを主張しないので、ほかの照明器具とも相性が良い。時には気分を変えた演出を試みても楽しいだろう。また、刺激の少ない明かりとして、就寝時の常夜灯代わりとしても活用できる(常夜灯は別途用意されている)。

テレビ画面に照明の映りこみは全くない光は間接光だけなので、器具が直接目に入っても全く眩しくない明るさを抑えた間接光は、他の照明器具と組み合わせて「くつろぎモード」とは違った雰囲気が演出できる。天井面に明るさを足すと、局部照明だけの明かりよりも親しみ感が増す

【6】日常から離れられる感覚が味わえる「ヒーリングモード」は意外に使える

 最後は、緊張をほぐし、リラックス効果をもたらすとされる「ヒーリングモード」の明かりだ。

 「ヒーリングモード」の光色は、緑色がかった青色の光だ。RGBのうち、「G(緑)」と「B(青)」のLEDが点灯し、多少の明るさを補う程度に、電球色と昼光色のLEDも点灯する。最大の明るさは36lxで、10段階の調光ができる。配光は直接光のみで、間接光ユニットは点灯しない。

「ヒーリングモード」は、G(緑)とB(青)のLEDが中心となって点灯し、暗めの青緑色で部屋全体が包まれる「ヒーリングモード」のLEDの様子(左)。青緑色の光は安らぎや癒しの明かりといわれている

 正直に言うと、このヒーリングモード、初めはとても違和感があった。しかし、人間の目は不思議なもので、「ヒーリングモード」の明かりの下で数分間過ごすだけで、光色にはすぐに慣れてしまった。

 このモードを使った感想は、大げさな表現になるかもしれないが、まるで海の底でぼんやりと過ごしている気分になった。日常のごたごたから離れられる感覚が味わえて、とても面白い。その後、普通の光色で点灯した瞬間、「現実に引き戻された」という気分にさえなるのだから、リラックス効果は確かにあるのだろう。

 「ヒーリングモード」は、映画鑑賞にも向いていると感じた。静かな音楽を聴きながらリラックスする時の明かりとしてもいいが、青緑色の光が部屋の中にあるこまごまとした物が一色に染め、より一層画面に集中しやすくなる。自然な電球色のシアターモードもいいが、時には雰囲気をガラリと変えて、静かな映画を観るときの明かりとしてもお勧めしたい使い方だ。

「ヒーリングモード」を調光した室内の様子。明るさは36~20lxの範囲で暗いながらも10段階の調光できる「ヒーリングモード」を調光したLEDのようす時には気分を変えて映画を観る明かりとしても楽しめる。青緑色の光が部屋中を一色に覆い、シアターモードとはまた違った雰囲気で画面に集中しやすくなる

 なお、304パターンの普段の明かり、6つの「お好みセレクト」以外に、常夜灯も備えている。操作はリモコンの常夜灯ボタンを押せば点灯する。常夜灯は専用のユニットが器具本体内にあり、光色は電球色のみとなる。「明・暗」ボタンを押せば、6段階の調光もできる。明るさは0.67~0.04lxだ。

常夜灯は器具内部にある専用のLEDユニットが点灯する操作は、リモコンの「常夜灯」ボタンを押して点灯し、「明・暗」ボタンを押して明るさを調節する。調光は段階調光のみで無段階調光はできない器具内部にある、独立した「常夜灯ユニット」。0.67~0.04lxの範囲で、6段階の調光もできる

消費電力は最大でも89W! 蛍光灯シーリングライトよりも消費電力が少ない

 さまざまな明かりが点灯できるのは分かったが、本製品は省エネ性についても、蛍光灯シーリングライトよりも優れている。ただでさえLED光源で省エネで、調色・調光することで、更なる省エネが期待できるのだ。

 ここで、それぞれのモードで消費電力がどのぐらい変化するのか、ワットチェッカーで測定してみよう。

・304通りの通常のあかり――5~79W

 通常のあかりは、5~79Wまで、消費電力がダイナミックに変化する。以前から使っていた蛍光灯のシーリングライトの場合、「全光」よりも16W高い95Wで、明るさは250lx以上暗かった (300lx程度)。本製品の発光効率の良さが実感できた。

 実際の生活の感覚でいえば、テーブル付近の明るさが200lx前後でも、十分に明るいと感じられる。「全光」で点灯させてからその明るさまで絞り込んだ時、消費電力は26Wしか必要としないので、蛍光灯の1/4に近い大幅な省エネが見込めるだろう。

 なお、電球色、昼光色(白色)へ最も光色を寄せた時、消費電力はどちらも最大で41Wだった。「全光」から調光しても省エネできるが、調色していくと電球色、または昼光色のLEDのどちらかが減光するので、調色するだけでも消費電力が抑えられる。

「全光」時、消費電力は79Wだった電球色または昼光色に調色しきった時の消費電力は41W。明るさは落ちるが、消費電力も半分近く減る「全光」「調光・調色」は、79~5Wの間で消費電力が推移する。光色が変わっても最小時の消費電力は5Wだった

 次に6つの「お好みセレクト」の消費電力を測定してみよう。132個のRGBが追加される事で、どのぐらい変化するだろうか。

・「あざやかモード」の明かり――87~7W

 「あざやかモード」の明かりは2色の電球色、昼光色で構成される「全光」の白色に、眩く輝く3色のRGBの明るさで加わる。つまり、5色のLEDが明るく輝いて、最大582lxの明るさを生み出すのだが、消費電力は最大で87Wだった。部屋の広さや食卓の明るさに応じて調光すれば、鮮やかさを保ちながら、全光と同じように大きな省エネが実現できるだろう。

・「勉強モード」の明かり――89~13W

 「勉強モード」の明かりは、「全光」の白色に、G(緑)とB(青) の2色のLEDが加わる。最大580lxの明るさは全体で2番目だが、消費電力は全てのモードの中で一番高い89W。しかし、蛍光灯のシーリングライトよりも大幅に明るいことを考えると、最も電力を消費するこのモードでも省エネ性能が高いと言えるだろう。必要な明るさを見極めて意識して調光すれば、ボタン1つで省エネも簡単にできるはずだ。

・「おやすみモード」の明かり――13~6W

 「おやすみモード」の明かりは、3色のRGBのうち、G(緑)を中心に点灯する。このモードの目的は、夜間のちょっとした作業が必要な時、眠っている人の邪魔をしないように設定された明かりで、最大の明るさは59lx。消費電力も低く、その時13Wだった。

「あざやかモード」は87~7Wの間で消費電力が推移する「勉強モード」は89~13Wの間で消費電力が推移する。全てのモードの中で最大時の消費電力が一番高くなるが、以前使っていたシーリングライトよりも低かった「おやすみモード」は13~6Wの間で消費電力が推移する。点灯すると明るく感じるが、電力はさほど消費しない

・「くつろぎモード」の明かり――30~13W

 「くつろぎモード」の明かりは、直接光と間接光の2つの明かりで室内を柔らかく照らす。139lxの明るさは短時間の読み物ができるほど明るいが、消費電力は「30~13W」と低い。くつろぎの優しい光で雰囲気を優先すれば、消費電力はおのずと下げられる、と言えるだろう。

・「シアターモード」の明かり――12~4W

 「シアターモード」の明かりは間接光だけ。間接光ユニットがフルで輝いても、その消費電力は最大でも12Wと低い。眩しさをしっかりコントロールしながら、じっくりと映像が楽しめるだろう。

「くつろぎモード」は、直接光と間接光の二つの配光で成り立つが、消費電力は30~13Wの低いところで推移する「シアターモード」の明かりは間接光だけ。消費電力も低く、12~4Wの間で推移する

・「ヒーリングモード」の明かり――9~7W

 「ヒーリングモード」の明かりが6つの「お好みセレクト」の中で一番低い結果となった。明るさは33lxあっても、3色のRGBのうち、G(緑)とB(青)を中心に、抑え目に輝くため、消費電力はぐっと低くなる。リラックスする時間の明かりは、LED電球一個分程度の電力しか消費しない。

・「常夜灯」――測定不可能な0W

 常夜灯は6段階の調光ができるが、一番明るい時でもワットチェッカーでは測定できないほど低く、表示は0Wのままだった。明るさは1lx以下だったが、視認性が十分にある。それでいてほとんど電力を消費しない。就寝時、電気代をほとんど気にしないで、気軽に「点けっぱなし」ができそうだ。

 ちなみに、消灯時の待機電力も測定したが、こちらも測定不可能なぐらい低い。主電源をこまめに切ることは節電の一歩とも言われるが、ここまで低いなら、長期に家を空ける時以外、わざわざ切らなくても問題はないように感じられる。

「ヒーリングモード」は6つの「お好みセレクト」の中で一番低い消費電力だ。9~7Wの間で推移し、LED電球一個分程度の電力しか消費しない常夜灯は明るさに関係なく、計測不可能なぐらい低かった。消灯時の待機電力も、0Wと表示された

次回は省エネ性と、7色に変化するカラーモードの使い道を紹介

 今回は、各モードの明るさと使い勝手を紹介したが、リモコンのボタンを2つ3つ操作するだけで、明かりの表情がドラマッチックに変化する。しかも、3色のRGBを効果的に使った、目新しくも実用的なモードもあり、使っていてとても楽しい。しかも、明るさをほんの少し気にかけてコントロールするだけで、大幅に電力が抑えられるのは嬉しい事だ。

 最終回となる3回目は、「消費電力」「外光の明るさを自動で調光する"楽エコ"」に、ビビッドな7色のカラーモードを応用した使い方を中心に紹介する予定だ。省エネをしつつ、部屋をもっと楽しく演出したい方は特にお楽しみに!!



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2012年2月13日 00:00