長期レビュー

東芝「E-CORE マルチカラーLEDシーリングライト」その1

~RGBの光で部屋を表情豊かに彩るカラーLEDシーリングライト
by 藤原 大蔵

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



普段の明かりから、睡眠や“癒し”など非日常的な遊びのある光まで、自在に演出

東芝「E-CORE (イー・コア) マルチカラーLEDシーリングライト LEDH95004YX-LC」12畳用だが、調光できるのでさまざまな生活空間で使用できる

 このところ、LEDシーリングライトの台頭がめざましい。各メーカーから次々と工夫を凝らしたLEDシーリングライトが登場しており、家電量販店の照明売り場を占領している。電球がLEDに変わりつつあるなか、一台で広い空間を照らすシーリングライトも、蛍光灯からLEDへ移り変わってきている。

 多くのLEDシーリングライトが売り場を賑わしている中で、今回は特に「異彩」を放つシーリングライトを、全3回に渡って紹介しよう。東芝から昨年の10月に発売された「E-CORE (イー・コア) マルチカラーLEDシーリングライト LEDH95004YX-LC」だ。


LEDシーリングライトの断面図。5色のLEDに加え、下向きの直接光と独立した間接光の2通りの光を放つ

 このLEDシーリングライトがほかと大きく異なる点は、電球色、昼白色という2色のLEDに加えて、業界初となる「光の三原色、R(赤)、G(緑)、B(青)」の3色のLEDが搭載されていること。LEDシーリングライトではもう標準装備と言える電球色~昼白色の調色はもちろん、RGBを用いて、「鮮やか」「きれい」「見やすい」という快適さがより追求できるという。



メーカー東芝ライテック
製品名E-CORE (イー・コア) マルチカラーLEDシーリングライト
品番LEDH95004YX-LC
適用畳数12畳
価格オープンプライス
購入店舗ヨドバシカメラ
購入価格68,200円

率直な感想は「家で過ごすのが楽しくなった!」

 レビューに先立って、まずは1カ月以上使った率直な感想を述べさせていただくと、非常に満足している。単に快適で便利なだけでなく、夜、家で過ごすのが楽しくなったからだ。

リビングルームの過ごし方に合わせて、リモコンのボタンひとつで明かりの光色や配光が大きく変化する点が特徴だ

 使う前は、本製品の特徴である赤・緑・青のLEDを使うことに、どれほど必要性があるのか、イマイチわからなかった。だが実際に使ってみると、その効果がよくわかった。単なる「電球色~昼光色」の調色でさえも、演色性が高く、見える物が自然で色鮮やかに再現されるため、とても気持ちが良かった。

 また、“団欒”“食事”“読書・勉強”“くつろぎ”“映画”など、生活シーンに合わせて、配光がドラマチックに切り替わる点も良い。切り替えた後は細かく調整することで、自分にとっての快適さが簡単にコントロールできる。5色のLEDと配光切り替えで、ことごとくマッチする明かりが簡単に演出できるのだ。

 さらに、ブルーに光る“癒しの明かり”や、眠っている人に刺激の少ない、緑色の“おやすみの明かり”といった、心理面、生理面に対応する明かりも演出できるのは、今までのLEDシーリングライトにはない機能。使い始めは戸惑ったが、その効果は確かに実感した。色は人間の心理面や生理面にも影響を与えるとされているが、その効果を積極的に、そして簡単に生活に取り入れられるのがとても新鮮で面白かった。

 もちろん、省エネ性能も高い。広い12畳向けタイプにもかかわらず、消費電力は全体的に低めで、自動で節電してくれる「楽エコ」モードも用意されている。同モードでは、センサーが外光の明るさを検知して、器具の明るさを最小で1%まで絞り込んで、無駄な電力を抑えてくれる。

 というわけで、本製品の機能は多岐にわたるため、今週から3回に分けてお届けする。初回は「取り付けから点灯、モードごとの光色と配光の特徴」、2回目は「各配光における使い勝手と消費電力」、3回目に「明るさを自動で調光する"楽エコ"、7色のカラーモードの利用方法、その他の機能と特徴」と、それぞれを詳しく追っていきたい。

取り付けは従来のシーリングライトと同じ

開梱した器具。左が器具本体で、右が樹脂製のシェード。その下にあるのはパーツで、左から引掛けシーリング用のアダプター、本体とシェードの開口部をふさぐ化粧カバー。その他にリモコンが付属される

 最初は、本製品を取り付けるところから話を進めよう。

 シーリングライトの形状は円形で、サイズは670×76mm(直径×高さ)、重さは4.4kg。径は大きめだが、厚さは薄いので、従来の蛍光灯の器具と見た目を変えずに交換できるだろう。外周に透明なフレームが施され、上質な雰囲気を醸し出している。

 取り付けは、天井に引掛シーリング(天井用配線器具)があれば、電気工事なしでスムーズに設置できる。まず、付属のアダプターを引掛シーリングに装着し、本体の中央を持って押し上げて取り付ける。次に、アダプターに付いているコネクタを本体のソケットに差し込む。そして、樹脂製のセードを本体に取り付け、化粧カバーで器具中央をふさげば完了だ。

 取り付けの際に考慮する点は、器具の中央にあるセンサーの位置が、外光が入る窓の反対側になるように取り付けること。

取り付け手順を順を追って紹介しよう
【1】天井にある引掛けシーリング用に、付属のアダプターをはめ込む
【2】本体をアダプターに合わせて、中央を持って押し上げるようにして取り付ける。センサー部は外光の入る窓とは反対側に向ける【3】アダプターについているコネクターを、本体のソケットに“カチッ”という音がするまで差し込む
【4】シェードを取り付ける。これまでの蛍光灯シーリングライトと同じように、シェードを本体に合わせ、“カチッ”という音がするところまで右に回す【5】化粧カバーのセンサー受光部と、赤い位置決めマークを合わせる
【6】押し上げながら右に回すと、楽エコセンサーと表示LEDが現れる【7】これで完成。サイズは670×76mm(直径×高さ)で、重さは4.4kg。本体とシェードの間に隙間はできないため、器具内部に虫や埃が入ることはなさそう

 過去のレビューで何度もシーリングライトの着脱をやったこともあって、取り付けはあっという間に終わるほど簡単だった。それでも、蛍光灯のシーリングライトよりも重く大きめなので、取り付けが不慣れな人にとっては、多少手こずるかもしれない。

 しかし、LEDの寿命は40,000時間と長いため、一度取り付けてしまえば、蛍光灯のように蛍光管の取り替えもない。また、樹脂カバーと本体の密着度は高く、カバー内に埃や小さな虫も入りにくい構造だ。一度取り付けてしまえば、その後は外側の埃を掃うぐらいで、再び取り外すのはだいぶ先になるだろう。

リモコン操作は非常にわかりやすい。器具に向けなくても操作可

光色・明るさ・配光など、明かりのコントロールはすべて付属のリモコンで行なう。立てておいたり、壁面にも取り付けられるリモコンホルダーも同梱されている

 設置が済んだところで、次に使い方を紹介しよう。操作はすべて付属するリモコンでできる。リモコンは直感的にわかるほどシンプルで、一見難しそうなさまざまなシーンに合わせた操作も簡単にできる。

 多機能なシーリングライトだけに、ボタンの数は多い。しかし、一つ一つのボタンに、「全光」「あざやか」「勉強」など、シーンの目的別に明記されており、わかりやすい。また、調光・調色も「明・暗」、「電球色・白色」のボタンが中央にあるので、迷うことはないだろう。

 リモコンで良かったのが、寝かせたまま操作できる点だ。リモコンの送信部が先端とパネル表面に2カ所あるので、器具を本体に向けなくても、机の上に置いたまま押してもコントロールできる。リモコンを壁にセットするホルダーも同梱される。


点灯・消灯・調整に関するボタンが中央に配置されている。ボタンには目的が明記されているのでわかりやすい。また、時刻の他、セレクト情報などが表示される送信部が二つあるので、器具に向けても、テーブルの上に置いたままでも操作できる
使用する前に「環境設定」をする必要がある。とはいっても、設定は簡単だ。

 使う前にかならずやっておきたいのが「環境設定」だ。環境設定とは、部屋に適した明るさに自動で調光する「楽エコ」機能を正常に使うため、好みの明るさをセンサーに登録する必須の作業となる。一度設定しておけば、外光や他の照明器具の光をセンサーが感知し、自動で勝手に節電してくれる。

 環境設定はとても簡単。まず、外光の無い夜間、リモコンの中央にある「全光」ボタンを押して器具を点灯し、「明・暗」ボタンで、“ちょうどいい”と思う明るさを調節する。次に、器具から約2.5m離れ、リモコンの下部をスライドさせて開いたところにある「メモリ」ボタンを押しながら、「楽エコ」ボタンを押すだけ。設定は主電源を切っても記憶されている。同じ動作を繰り返せば、再設定も簡単だ。


「全光」でも蛍光灯シーリングより明るく省エネ。色も良い

 使用準備が完了したところで、いよいよ点灯させてみよう。まずは基本的な明かりとして、リモコンのボタンの中で一番大きな「全光」ボタンで点灯した様子を、以前使っていた蛍光灯のシーリングライトと比較してみよう。

 「全光」は、光源から約2mの真下で560lxと、眩いほど明るい。以前使っていた蛍光灯のシーリングライトは最大でも300lx弱(光源からの距離は同じく2m。以下同じ)だったので、飛躍的に明るくなったとはっきり感じる。しかも、本製品の「全光」時の消費電力は79Wだったのに対し、蛍光灯は95W。蛍光灯よりも明るくて消費電力が低い、効率の良いシーリングライトである事は間違いないだろう。

 また、演色性は蛍光灯よりも良い印象。セレクトモードを使わない全光でも、照らされたものの見え方が蛍光灯よりも鮮やかだ。

「全光」ボタンを押した部屋の様子。画面のテーブル上の明るさは560lxあり、部屋全体が隅々まで明るい(光源からの距離は約2m)。消費電力は79Wだったこちらはこれまで我が家で使っていた、消費電力が95Wの蛍光灯シーリングライト。テーブル面の明るさは300lx弱だった
操作はリモコンの中央にある「全光」ボタンを押すだけ。その周りの「明・暗」ボタンで明るさ、「電球色・白色」で調色するマニュアルによる調光・調色でも、304パターンの光色と明るさが自在に調節できる
「全光」の時の器具の光り方とLEDの様子。電球色と昼光色のLEDが同じだけ明るく輝く。RGBも若干点灯している
「電球色」100%時の様子。昼光色のLEDがほぼ消え、相対的にRGBが少し強めに輝く
「電球色」100%の様子。電球色のLEDがほぼ消え、RGBも輝いている


多彩な明かりのバリエーション。こんな演出ができます

シーン別に明かりが切り替えられる「お好みセレクト」は、リモコンのボタンでダイレクトに選択できる現在選択中のセレクトモードは、リモコンの液晶部に表示される

 続いて、本製品の特徴である、RGBのLEDを駆使した調光・調色や、シーン別の明かりなどを見ていきたいが、今回は選択できる明かりのパターンと、それがどんなシーンに向くか、また5色のLEDの成分がどのように変化するのか、という点に限って紹介しよう。というのも、選択できる明かりのパターンが非常に多いためだ。それぞれの使い勝手や詳細については、次回以降でじっくりと追っていく。

 繰り返しになるが、本製品の明かりのバリエーションは、多彩さを極める。シーン別の明かりが選べる『お好みセレクト』では、3色のRGBの LEDと配光性を効果的に使い分けた「あざやか」「勉強」「くつろぎ」「シア ター」の4モードに、カラフルな色を使った、心理面、生理面に作用する「おやすみ」「ヒーリング」の2モード、合計6モードが用意されている。さ らに、それらとは別に、ビビッドな7色のカラーによる「カラーモード」の明かりまであり、全て10段階の調光が できてしまう。ついでにいえば、常夜灯もLEDで、6段階に調光できる。

 こうしたさまざまなモードを実現するのが、本体内に搭載された、324個のLEDと、専用の間接光ユニットだ。直接光を構成するLEDは192個で、外周と内周に2列、電球色と昼光色が列の上で交互に並んでいる。RGBは132個、電球色と昼光色の列の間に配置されている。それらとは別に、独立した間接光ユニットが器具の裏側に装備されている。それぞれのモードによって、電球色・昼白色プラスRGBの全5色のLEDの成分が変わり、配光も切り替わるのだ。


交互に配列された電球色と昼光色のLEDは、外周と内周に2列、合計192個のLEDが並ぶ。2列の間に132個のRGBのLEDが並ぶ。LEDの光で直接照らす「直照型」のシーリングライトだ器具の裏側には、専用の「間接光ユニット」が装備されている。「くつろぎモード」や「シアターモード」時に点灯し、間接光の柔らかな明かりを生み出す。光色は電球色LEDシーリングライトの断面図。5色のLEDに加え、下向きの直接光と独立した間接光の2通りの光を放つ。大きめのシェードが拡散光を生み出し、天井面にも光が届く
器具を側面から見たところ。「くつろぎモード」「シアターモード」以外は、器具内部のLEDのみ点灯する。シェードを通して拡散光が天井面も柔らかく照らす「くつろぎモード」の時、直接光は弱めになり、間接光ユニットが天井面を効率良く照らす「シアターモード」の時、間接光だけとなり、天井面の明かりだけで、部屋全体をほのかに照らす

 前置きが長くなったが、本製品に搭載された明かりのパターンを見ていこう。

【1】あざやかモード

 食事など、色にこだわるシーンに適したモード。昼光色、電球色の2色にRGB(赤・緑・青)の3色が強めに加わり、合計5色のLED配色で、照らされるものを活き活きと、色あざやかに再現する。色の演色性を表す平均演色評価数はRa90と、LEDシーリングライトの中でも特に高い。

【あざやかモード】電球色、昼光色、RGBの5色が強く輝き、色味を鮮やかに再現するモード。平均演色評価数はRa90と、LEDシーリングライトの中でも高演色

【2】勉強モード

 勉強や読書に適したモード。明るさは580lxと、「全光」100%よりもさらに明るくなる。ベースとなる白色に、G(緑)とB(青)の光が加わることで、文字がくっきりと確認でき、より一層読みやすくなる。

【勉強モード】「全光」のベースとなる白色に、G(緑)とB(青)の光が加わる。文字がくっきりと見えて、より一層読みやすくなる

【3】おやすみモード

 眠っている人を、眩しさで目覚めさせない“お気遣いモード”だ。G(緑)の光が中心となる。緑色の光は他の光色に比べ、閉じた瞼を通過しにくい光と言われている。このモードで点灯すれば、眠っている人を眩しさで起こさずに、夜間のちょっとした作業に便利なモードなのだ。

【おやすみモード】G(緑)LEDがメインとなり、緑色の光が部屋に広がる。緑色の光は他の光色に比べ閉じた瞼を通過しにくい光と言われている

【4】くつろぎモード

 くつろぎのシーンを演出するために、電球色の直接光と間接光を組み合わせた、柔らかな明かりのモード。下向きのLEDで手元の明るさを確保するとともに、器具の上部にある間接光ユニットで、部屋の上部を照らし柔らかく包み込む。調光時は、下向きのLEDだけ明るさが変えられる。

【くつろぎモード】くつろぎを演出する電球色だけが点灯し、他の色は全て消えてしまう。器具の上部にある間接光ユニットが、部屋の上部を照らし柔らかく包み込む。調光時は、下向きのLEDだけ明るさが変わる

【5】シアターモード

 テレビ画面に集中しやすい明かりを演出するのがシアターモード。器具の上部についている間接光ユニットだけが点灯し、部屋の上部だけを照らす。画面への明かりの映りこみが極力抑えられ、映画やテレビに集中しやすい環境を演出する。

【シアターモード】324個のLEDは全て消灯し、間接光ユニットのみが点灯する。部屋は天井面からの間接光だけとなるため、テレビ画面への明かりの映りこみが極力抑えられる

【6】ヒーリングモード

 心が落ち着くという“癒し”のモードだ。緑色がかった青色は、緊張をほぐしリラックスの効果をもたらすと言われる。水と光を連想させるあかりで、リラックス空間を効果的に演出する。

【ヒーリングモード】リラックスの効果を演出する明かりをもたらすと言われる、緑色がかった青色の光で照らす。部屋は全体的に青緑色となる。電球色、昼光色のLEDも控えめに点灯することで、「G(緑)」「B(青)」だけでは足りない明るさを補っている

【7】カラーモード

 その他、暮らしに遊び心を演出する7色のカラーモードがある。リモコンの「カラー」ボタンを押せば、「青」「青緑」「緑」「黄色」「橙」「赤」「紫」「青」…の順で色が自動で変化する。好みの色のところで再び「カラー」ボタンを押せば、光色が固定できる。無段階で変化するので、中間色ももちろん選択可能。しかも、10段階の調光が可能だ。

カラーモードはリモコンの下部をスライドし、「カラー」ボタンを押して選ぶ。連続で光色が変わるが、もう一度ボタンを押せば、好みの色が固定できるRGB(赤・緑・青)のLEDで、七色の光色も演出できる

【カラーモード/器具の様子】カラーをスタートさせると、電球色、昼光色のLEDが抑えられRGBの成分が入れ替わり、それぞれの色を作り出す

 使う前は、「いくら“遊び心”とは言われても、日常の明かりにビビッドな光色は一般家庭では馴染まないだろう」と思っていた。だが、いろいろ試してみると、意外に使えるのに驚いてしまった。この実例は3回目に改めて紹介しよう。


 今回はここまで。来週は、モード毎の使い勝手や、気になる消費電力を中心にレポートする予定なので、どうぞお楽しみに。



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2012年2月6日 00:00