長期レビュー

シャープ「プラズマクラスターサイクロン式掃除機」 その1

~トレンド満載の最新サイクロン掃除機をチェック!
by 阿部 夏子

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



最新機能満載の掃除機

シャープ「プラズマクラスターサイクロン式掃除機 EC-VX220」

 今回の長期レビューで取り上げるのは、シャープの「プラズマクラスターサイクロン式掃除機 EC-VX220」だ。

 この製品を選んだ理由を一言でいうと「トレンド満載」だから。集じん方式、ゴミ捨ての仕方、排気、静音性など掃除機を選ぶ上で重視したいポイントの最新機能が全部詰まっている。そこで、是非1回触ってみたい! とメーカーにお願いして約1カ月の間使わせていただくことになった。




メーカーシャープ
製品名プラズマクラスターサイクロン式掃除機 EC-VX220
希望小売価格オープンプライス
参考価格(Amazon.co.jp)60,523円


 おおざっぱにトレンド満載なんて言い方をしてしまったが、掃除機のような白物家電にもちゃんとその年、その年の流行や傾向というものがある。たとえば今年の国内メーカーでいうと、「サイクロン」と「圧縮機能」が大きなトレンドになっている。

 まずはサイクロンについて。テレビのCMなんかでもよく耳にするこの言葉。いまさらサイクロンがトレンドってどういうこと? と思われるかもしれないが、国産メーカーが本当の意味でのサイクロン式を搭載してきたのは、実はごく最近なのだ。サイクロン式の掃除機というと、イギリスのダイソンが有名だが、これまで国内メーカーの言う「サイクロン式」と、ダイソンの「サイクロン式」は方針が全く違っていた。

 ダイソンのサイクロン式は、空気の遠心分離によってゴミと空気を分けて、ゴミだけを取り除く方式。一方、国内メーカーのサイクロン式は、遠心分離だけでなく、ゴミを取り除くためのフィルターも使っていた。そのため、日本の掃除機にとってフィルターはかなり重要なもの。ここが詰まってしまうと、吸引力が一気に落ちてしまう。上位機種の掃除機では掃除機の電源を落とすたびに、フィルターの掃除を自動でする機能が搭載されている。

遠心分離のサイクロン式を搭載しながら、ゴミの圧縮機能も備えたEC-VX220のダストボックス

  ここで、改めてここ最近の国内メーカーのサイクロン式を見ていくと、今年三菱がフィルターを使用しない“純粋なサイクロン式”の掃除機「風神」を発売。国内メーカーでもサイクロン式が見直されてきているのだ。

 今回の「プラズマクラスターサイクロン式掃除機 EC-VX220」では、フィルターを搭載はしているものの、ゴミを分離するためのものというよりも、排気対策の意味合いが大きい。シャープは2000年代前半から遠心分離方式を採用しており、フィルターに頼らないサイクロン式を確立しているのだ。

 ここ最近、サイクロン式が見直されているもう一つの理由、それがゴミの「圧縮機能」だ。掃除機の集じん方式は大きく分けて、紙パック式とサイクロン式に分けられるが、両者の間には徹底的な違いがある。それはゴミが見えるか見えないかだ。サイクロン式は、ダストボックスから直接ゴミ箱にゴミを捨てるため、当然その時に、ゴミが見える。見えるだけでなく、周りにゴミが飛び散ってしまうという問題があった。

 シャープでは、サイクロン式の掃除機のゴミを圧縮することで、ゴミを飛び散りにくく、ゴミ捨ての回数を減らすという機能を2年前から採用。サイクロン式の問題を解決した画期的な機能と言えるだろう。

 シャープの掃除機は、これらの最新機能を業界でもいち早く搭載してきた。さらに、機能はこれだけではない。静音性能は業界トップクラス、独自のプラズマクラスターイオンを使った排気対策も搭載している。まさにトレンド感満載の1台なのだ。

 実は、私はここ何年かダイソンの掃除機を愛用している。そのため、日本メーカー独自の圧縮機能や、排気対策機能を体感するのは今回が初めて。今回のレビューでは、多機能タイプの掃除機が本当に使いやすいのか、使い勝手はどうなのか、そこらへんをじっくりお伝えできたらと思う。

第一印象はデカッ! でも使ったら軽さに感動!

 本体を見た時の第一声は「デカッ!」だった。本体サイズは276×444×261mm(幅×奥行き×高さ)、重量は5.8kg。これまで使っていた製品と比べると倍近くの大きさで、ゴツゴツした見た目のイメージは「ガンダムみたい――」。いきなり、使いこなすことに不安を覚えてしまった。

製品本体本体側面本体背面
本体上部にはプラズマクラスターイオンのロゴがある電源コードを出したところヘッド部分

 使い始めるまでには、2つのホースを接続して、ヘッドを取りつける。作業的にはこれだけなのだが、部品が大きめなので、ある程度のスペースが必要だ。組み立てが終わったら、まずは使ってみよう。と、電源を入れ始めたらそこでイメージが一変した。

本体付属の部品。左上部から時計回りに本体、ホース、延長管、布団掃除用ヘッド、ヘッド延長管接続部。組み立て自体は簡単だが、部品が大きいのである程度のスペースが必要ヘッドを接続したところ

 「軽いし、音が小さい!」本体の外観とは似ても似つかぬスムーズな使用感で、本体を動かす時の負担がほとんどない。

ヘッドの近くに設置された「消音サイレンサーマフラー」

 特に感動したのは、音が小さいこと。掃除機特有の「キーン」と耳に付く風切り音がほとんどしない。これは今機種から新たに採用された「消音サイレンサーマフラー」の効果によるものだという。サイレンサーはヘッドの上部にロゴ入りで配置されていて、これがホースの中の風切り音を吸収するという。

 最大運転音は52dB。これまでの掃除機の場合、テレビを付けたまま掃除機をかけると、テレビの音がかき消されるというのが当たり前だったが、音の問題だけでいえば、EC-VX220の場合、掃除機をかけながらテレビを見ることが可能だ。

 掃除機をかけるのは平日の朝や休日の日中というのが当たり前だったが、大げさではなくEC-VX220なら夜も使える。掃除できる時間の幅が増えるのは、共働きの主婦にとってかなり助かる。

自動検知で勝手にエコ

操作部分

 EC-VX220には、自動で床面の種類を検知し、吸引力を調節する「エコ掃除」運転を搭載しているが、このエコ掃除運転がまたスゴイ。エコ掃除でフローリングを掃除すると、その軽さと静かさに「これで本当に掃除できているの?」と不安に感じるほど。ヘッド部分に吸いつきを感じることがない軽い使い心地で、スイスイと掃除ができる。

 フローリングからカーペットになると、今度は自動で吸引力がアップする。更に、掃除中にヘッド部分を持ち上げると、自動で電源が切れるという機能まで付いている。自分で何かをすることなく、自動で消費電力を抑えてくれるので、日常生活の中で自然に節約できるというわけだ。


フローリングから玄関マットを掃除しているところ。自動で吸引力が変わる。更に、床面からヘッドを離すと自動で運転が停止する。そのあと、本体の電源を切ると今度は、自動でゴミの圧縮が始まる

 今回初めて国内メーカーの高級機種を使った訳だが、シンプルな海外製品を使ってきた私にとって驚きの連続だった。見た目や機能だけ見ると、白物家電というよりもロボットみたいな使用感だった。

 次回は、この製品のキモとも言える集じん方式に注目。ゴミを圧縮することで、サイクロン式掃除機がどう使いやすくなるのか、動画も交えてご紹介する予定だ。



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2010年12月8日 00:00