長期レビュー
シャープ「プラズマクラスターサイクロン式掃除機」 その2
シャープ「プラズマクラスターサイクロン式掃除機 EC-VX220」 |
海外メーカーの掃除機を長らく使ってきた私にとって、最新のシャープの掃除機「プラズマクラスターサイクロン式掃除機 EC-VX220」の最新機能は、驚くものばかり。床面に合わせて吸引力を自動でコントロールしてくれたり、ヘッドを上げると自動で運転停止なんていう機能まで、ちょっと使っただけでも最新の技術を感じられる機能が盛りだくさんだ。
特に注目したいのが、今回紹介する圧縮機能。吸込んだゴミを圧縮するという機能は、これまでのサイクロン式掃除機の弱点を解決する画期的なものだ。
[1回目はこちら→]
■ゴミの圧縮機能でサイクロン掃除機の弱点を一気に解決
EC-VX220に搭載されている圧縮機能とは、遠心分離によって分けられたゴミを二重のらせん状の「ダブルスクリューフィン」で、ダストカップの下に押し固めるというもの。ゴミの圧縮は、本体の電源を切ると自動で行なわれる。
EC-VX220のダストボックス | 本体からダストボックスを取り出した状態 | ダストボックスを分解したところ。左からボックスの取り出し口となる上部部分、フィルター、ダストボックス |
らせん状のダブルスクリューフィン | ダストボックス。側面にはゴミの量を示す線が付いている | ダストボックスの吸い込み口 |
ダストボックス収納スペースの内側にはフィルター掃除用のブラシが収納されている |
ゴミを吸い込んでいる時のダストボックスの様子。中でゴミが回転しているのがわかるだろうか。それから電源を切ると中のダブルスクリューフィンによってゴミが圧縮される
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ではゴミの圧縮をすることで、何が良いの? という話だ。メリットとしては、まずゴミを圧縮することでゴミの体積が小さくなり、ゴミ捨ての回数が減る。また、ゴミ捨ての時に周囲にゴミが飛び散りにくいという大きな利点がある。サイクロン式を使ったことのある人なら、この2つの利点が画期的なものであるということが分かるだろう。
サイクロン式の場合、性能を維持して使いたいのなら少なくとも3回に1度程度のゴミ捨ては必須になる。作業自体はそれほど手間がかかることではないが、注意深くやらないとゴミ捨ての際に周囲にゴミが散ってしまう。
私の場合はビニール袋を用意して、その中にダストボックス全体を入れてからゴミを捨てるようにしている。ダストボックスを外に出したままゴミ捨てを行なうと、小さなホコリが周りに飛んでしまい、せっかく掃除機をかけたのに、ゴミ捨ての後にもう一度掃除しなければならないということになりかねないからだ。
ゴミが周りに飛び散るだけでなく、時にはゴミがダストボックス内部についてしまって、手で取らなければならないなんてこともあるため、ゴミ捨てはサイクロン式の大きな問題になっていた。
それがEC-VX220では、掃除するたびに自動でゴミを圧縮してくれるので、ゴミ捨てが本当に楽。ゴミ捨ての頻度は週に1回程度で済むし、ゴミ捨ての時に周りにゴミが周りに飛び散ることがほとんどない。
さらに、感動したのが、ダストボックスの内側にゴミが付着していないということ。
一週間分のゴミが溜まったダストボックス | ゴミは圧縮されて小さくなっている。細かいゴミが周囲に飛ぶということもない | ゴミを捨てた後のダストボックス。内側などにゴミが付着していない |
実はこれは、圧縮機構のお陰というわけではなく、シャープ独自のプラズマクラスターイオンによるものだ。ダストカップ内にプラズマクラスターイオンを放出することで、中の静電気を除去。内側にホコリや菌が付着するのを防いでくれるという。
ここからは、実際のゴミ捨ての手順を説明しよう。まずは、本体上部の右側面にある「カップ取り出し」ボタンを押す。次に、ダストボックスを上から取り出したら、上の回転式のハンドルを回転させて、ダストボックスの底フタを開けてゴミを捨てる仕組みだ。
まず本体上部右側面のカップ取り出しボタンを押す | ボタンを押すと、ダストボックス部分が浮き上がってくる |
カップを取り出す | 上の回転式ハンドルを右方向に回す |
手順を説明するとわかるように、ゴミを捨てるまでにはいくつか手順がある。これは、ダイソンなどと比べると大きな違いだ。ダイソンの場合は、ダストボックス上のハンドルだけで、取り出す、ゴミ捨ての動作が全てできるようになっている。ゴミ捨てに関わる動作が片手だけで行なえるうえ、ハンドルのスイッチ1つで直感的に操作できる。
一方、EC-VX220では両手を使う上に、ボタンや操作がやや分かりにくく、説明書をしっかり読まないとゴミ捨ての仕方がわからなかった。複雑な機構を搭載しているため、少々の手間が増えるというのは理解できるが、ここはちょっと改善してもらいたい点だ。
そうはいっても、圧縮機構のお陰でゴミ捨ての頻度やゴミの舞い散りが圧倒的に少なくなり、ゴミ捨てのストレスが大幅に解消されるのは確か。ゴミ捨てが嫌でサイクロン式掃除機を使う気にはなれないという“紙パック掃除機派”の人にも自信を持ってお勧めできる製品だ。
■“空気清浄機並み”の排気対策
ゴミの圧縮機構、本体の運転音の小ささ、自動エコ運転機能とEC-VX220の最新機能に驚いてばかりの私だが、もう1つ驚いたところがある。それが排気のニオイが全くしないという点だ。掃除機をかけているとき特有の鼻につくニオイが全くなく、ほこりっぽさも全く感じない。
EC-VX220では、排気対策として、イオン放出とフィルターによる集じんの2つの機構を搭載している。まずは、室内のウイルスなどに作用するプラズマクラスターイオンを1立方cm当たり7,000個の濃度で放出する。
フィルターは、ダストカップ上と本体内部、排気口の3カ所に設置。ダストカップ上の「抗菌・消臭HEPAクリーンフィルター」で、雑菌の繁殖を防ぎ、ゴミのニオイを取り除き、本体内部の「排気ULPAフィルター」では0.3μm以上の細かいホコリを99.99%以上キャッチする。さらに、排気口にはアレル物質やニオイを抑える「Ag+アレルディフェンスフィルター」を配置。まさに“空気清浄機並み”の機構を搭載しているのだ。実際使っていても、使用中にニオイやホコリで不快感を感じたことは一度もない。
1立方cm当たり7,000個のプラズマクラスターイオンを放出 | ダストボックスの上の「排気ULPAフィルター」 | さらに排気口には「Ag+アレルディフェンスフィルター」を配置する |
これまでの私のイメージでいうと、掃除機は休みの日の午前中に窓を開けてするものだった。絵だけでいうと美しいものだが、それにはそうしなければいけない理由があったのだ。排気が気になるから、掃除機の運転中は窓を開けていなければならない。窓を開けていると、掃除機の音がご近所まで聞こえてしまう。だから、夜に掃除機をかけるなんてもってのほかだったのだ。
EC-VX220は、最新の技術によってこれらの問題を全て解決している。何重にも施した排気対策によって、窓を開けなくても室内がほこりっぽくならないし、ニオイも全く気にならない。最大運転音も52dBと低いので、平日の夜でも気兼ねなく掃除機をかけられるというわけだ。
EC-VX220は、ゴミ捨ての頻度、運転音、排気など掃除機を使う上で、ユーザー側が気にしなければならない事柄を全てカバーしてくれる一台と言えるだろう。最終回の次回は、本体付属の隙間ブラシや布団ブラシを使って、普段なかなか掃除できない場所を徹底掃除。1カ月近く使った使用感やお手入れ方法などもまとめてお伝えするつもりなので、引き続きよろしくお願いします。
2010年12月15日 00:00
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)