長期レビュー

三菱電機「風神 TC-ZK20S-R」その2

~吸引力も付属品もゴミ捨ても好感触!!
by スタパ齋藤

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



三菱電機サイクロン式掃除機「風神 TC-ZK20S-R」

 三菱電機サイクロン式掃除機「風神 TC-ZK20S-R」の長期レビュー第2回目。今回は風神を一週間程度使ってみて感じたこと、気づいたことなどをザザッと書いてみたい。なお、第1回目のレポートはこちら


 前回、この風神をチョチョッと使っての印象を「集塵力はフツーの掃除機に近い」「ソレナリの運転音はする」「これまで試した国産サイクロン式掃除機よりパワフル」などと書いた。が、使っていたら一部の印象が少々違ってきた。

 まず吸引力。標準ヘッドとなるエアエンジンブラシを使っているぶんには、十分強い吸引力を発揮してくれていると感じる。いやむしろ、フローリング掃除においては、たとえば床やゴミの静電気をイオンで除去とか、電動モーターによる強力なブラシ回転といったギミックを持っていないのにも関わらず、ホコリから細かな砂系のゴミまでをキッチリと除去できる。

風神の標準ヘッドことエアエンジンブラシ。吸い込む空気の流れで内部のブラシを回転させる。電動モーターなどの部品や配線がないので、ヘッド自体が軽量。床を軽く転がせるのだエアエンジンブラシのブラシ面。回転ブラシはアレルパンチ植毛。水色のふきブラシが床面をシッカリとワイプしてくれるようだ。5個のタイヤでスムーズに転がるが、タイヤが床に当たる音も少々エアエンジンブラシが回転するしくみ。ヘッドの横から吸い込んだ空流により、風車のような機構を高速回転させ、これを回転ブラシの動力としている。※図は説明書より抜粋

 上記のとおり、ヘッド自体が軽量なので床などでの滑りも軽快。実用的なヘッドである。鉱物系の猫砂なんかも一気に吸ってくれるので、やはり吸引力が弱いってコトはナイんであろー。

 ただ、エアエンジンブラシでないアタッチメントを使った時、ブラシ部にホコリの塊ができてしまい、この塊を吸い込まずにポトリと落としてしまうことがあった。たとえばパイプに格納されているすみずみブラシや2WAYロングノズルを使ったときに、この“ホコリの塊取りこぼし状態”が起きたりする。

風神の手元パイプや伸縮パイプには、あらかじめブラシ系のアタッチメントが組み込まれている伸縮パイプとヘッドの接続部にはこのようなブラシがある手元パイプ先端にも同様のブラシが。ブラシ部は隙間が大きいからか、ヘッドなどに比べると吸引力が若干弱い印象
こちらは伸縮パイプ横にセットされている2WAYロングノズル。パイプに接続して使う。伸縮もする通常は隙間ブラシのような形状折り曲げると、鴨居の上面など高い部分を容易に掃除できる形状に。ただ、この部分も隙間が大きいからか、ヘッドなどより吸引力が弱い感じ

 手元パイプなどに装備されたブラシも、2WAYロングノズルも、な~んかこう、隙間が多いんですな。見たところ獣毛なので対象物を傷付けにくく、ギミックとしても便利で実用的だが、隙間多々のため吸引力が十分でないことがある、と。

 まあ大量に積もったホコリをこういったブラシで一気に集めたら、ほかの掃除機でもホコリの塊がポトリと落ちることは多いんですけどネ。でも風神のこれらアタッチメントは、ほかの掃除機のそれより隙間が大きくて気になったので、一応。

 ちなみに、風神(TC-ZK20S-R)に付属するブラシなどは、どれも実用性が高い。また、拙者的印象ではホース部(伸縮パイプを除いた部分)が軽量なので、手元パイプにアタッチメントを装着した状態では非常に軽快に掃除ができる。

型番がTC-ZK20Sの風神には、本来なら別売のこれらアタッチメントが付属する。アタッチメントは右下の接続パイプを使ってつなぐふとんブラシ。寝具の掃除~ダニなどの除去に役立つ。布類を吸い込みにくい
キャッチブラシ。ブラシのアタッチメントだが、内部に格子がある。小物が多い場所でもそれらを吸い込まずにホコリのみを除去できるハキトリブラシ。ほうきのように使えるブラシと、その周辺にある吸引パイプにより、ゴミを掻き出しながら吸い込める

 これらの付属品について、ふとんブラシあたりはまぁフツーだが、キャッチブラシやハキトリブラシはとても便利。

 キャッチブラシはたとえば、あまり小さいモノが入っていない引き出しとか、バッグの中とか、収納ケース内とかを無造作に掃除できる。万が一、小物を吸い込んでも、格子状のネットよりは奥に行かないので気楽に掃除機がけできるのだ。

 ハキトリブラシは、写真のとおりのほうきタイプのアタッチメント。サッシのレールから床と壁が接する部分等々、ヘッドが届かないところ全般に向く。また、外側のストローのような部分の先端のみからしか吸引しないので、キャッチブラシと同様に引き出しやバッグのなかの掃除にもよく向く。

 それから風神、前回では「ソレナリの運転音はする」と書いたが、改めて考えてみると、この掃除機独特の音かも。普通一般の掃除機と大きく異なる感じではないが、ちょっと高音成分の多い、なんつーか若干耳障り的なサウンドかもしれない。また、ソフト運転にしても強運転にしても、どちらも静音性とはけっこーかけ離れた音。フツーにウルサいっス。

 それと前回に「これまで試した国産サイクロン式掃除機よりパワフル」とか書いた。単に吸引力がパワフルって意味で書いたんだが、しばらく使ってみると、なんつーかこー集塵力がスゴいかもって気がしてきた。

 吸引力が強ければ集塵力が強いことになるとは思うんだが、風神の場合、わりとソッコーでダストカップ内にシッカリとゴミがたまるのだ。強い吸引力を効率よく集塵に役立てているというイメージで、拙者がこれまで試した国産サイクロン掃除機とは何だか使い心地が違う、みたいな。

風神のサイクロンボックスは本体からこのように分離できる。最下段がダストカップで、ほかはサイクロンを起こす空気が流れる層になっている。中央の水色のものはお手入れブラシたまったゴミを捨てるときは、サイクロンボックスからダストカップのみを取り外す。実際は立てた状態で、ですな機構上、手で持ってダストカップを外すと、開口部が上を向くようになっている。いきなりゴミが落ちたりはしない
こんな感じでダストカップのみを持ち、たまったゴミをゴミ袋に入れるなりして処理する既にわりとキレイな部屋(15畳程度)を掃除してみても、こんな感じでゴミが速攻でたまったりして驚くダストカップ内にゴミの塊ができ、ダストカップのパッキン部に若干のホコリのようなゴミがたまる。それ以外はわりとキレイ
ダストカップのフタ側。ゴミと接する部分なので粉状のゴミなどが付着しているこれもダストカップのフタ側。サイクロン掃除機のダストカップ内によく見られる、粉状のゴミが静電気で固まったような状態風神のサイクロンボックスはこのように4分割できる。ダストカップでない部分の汚れも見ていこう。ちなみに、これらは丸ごと水洗いできる(←コレ重要)
ダストカップの上側の層。空気が流れる層だが、パッキン部にホコリがたまっているほかは、あまり汚れていないさらに上側の層。ここも基本的に空気が流れる層。少々ホコリが付いている程度だサイクロンボックスの最上層を覆うカバー。この部分もあまり汚れていない

 上の写真のゴミは、見た目けっこーキレイにしてあるフローリングの部屋を、風神でザッと掃除しての結果だ。てか拙者の仕事場の掃除結果。猫が出入りし、猫の毛が落ちたりするんで、頻繁に掃除機がけをしているんですけどネ……拙者的観点で言えば、キレイなつもりの部屋からこんだけのゴミをかき集めちゃう風神の集塵力はグレイト、てな感じ。

 ダストカップにたまったゴミを捨てるときの「さほどイヤじゃない感じ」も風神ならではのものかもしれない。

 サイクロン式掃除機や紙パック不要のダストカップ式掃除機の場合、ゴミ捨てはそーとーヤな作業だ。何がイヤって、処理時、内部にたまった粉状のゴミが舞うこと。「片手でポンと捨てられます」とか謳う製品もあるが、まず室内ではやりませんな。片手でポンの瞬間ゴミ箱とかゴミ袋の周りから微細ホコリが空中に舞ってタイヘンなコトに。

 超細けぇ話をすると、実際にサイクロン式掃除機がかき集める超細かいホコリ的なゴミをダストカップから捨てるとき、フツーはベランダなり玄関の外なりで処理すると思う。そんな場所でも、ダストカップ内からゴミを出すときにホコリが舞っちゃう機構/形状の掃除機だと、やはりイヤである。風向きによっては自分の顔に粉ホコリが直撃だし、あるいは周囲に舞うし、結局、高性能掃除機を駆使してせっかく集めたゴミを、窓や玄関の外に移動しているだけだ。

 風神の場合も、まあ処理のしかたによっては若干ホコリのようなゴミが舞っちゃうことになるとは思う。が、ダストカップのみを取り外せること、ダストカップ開口部が上向きであることなどは、より巧くゴミを処理できるようにと考えられた形状だと思う。たとえばダストカップにコンビニ袋を被せ、そっと逆さまにしてゴミを袋へ移し……というように、ホコリを立てずにゴミを捨てることがより容易である。

 あと、風神のサイクロンボックスは丸洗いできちゃうってのもポイントが高い。風神の場合、そのサイクロン機構からか、サイクロンボックス内部にはそーんなに多くホコリが付着しない。が、使っているうちに微細な粉埃がたまってくる。部分的な汚れなら付属のお手入れブラシで落とせばいいが、サイクロンボックス内部全体へと曇ったように付着した汚れは、一気に洗ってサッパリすっきりキレイにしたい。それを躊躇無く行なえる丸洗い対応サイクロンボックスは非常に良い。

 てな感じで、吸引力、標準のブラシヘッドや付属品、それからゴミ処理時の印象など、どれもなかなか好印象となった風神。ただ、個人的に残念なのは、この掃除機、どうやら本体を立てたり、あるいは取っ手を持って本体を持ち上げたりして掃除するのはよろしくないということだ。

 主な理由は、サイクロンボックス下部にゴミがたまるという仕様からくるもの。本体を立てたり、取っ手を持って持ち上げたりして使うと、たまったゴミが本来の位置とは逆の上部に行ってしまい、最悪、サイクロンボックス全体にゴミが流入するなど問題が起きる。具体的にはユーザーがけっこー面倒な手入れをするハメになる。

 拙者の場合、掃除機を持ち上げて室内を歩き回りつつ低いトコロも高いトコロも掃除しがちなので、風神は持ち上げて掃除しちゃダメである点、ちょいと残念である。ともあれ、次回までにさらに使い込んでみて、よりディープな風神の使用感を書いてみたい。引き続きご愛読よろしくお願いいたします~。



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2010年9月15日 00:00