長期レビュー

三菱電機 サイクロン式掃除機「風神 TC-ZK20S-R」最終回

~気になったのはゴミ捨ての頻度
by スタパ齋藤

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



三菱電機サイクロン式掃除機「風神 TC-ZK20S-R」

 三菱電機サイクロン式掃除機「風神 TC-ZK20S-R」の長期レビュー第3回目。最終回となる今回は、実際に触れて使ってみないとわかりにくい、やや細かな部分を中心にレポートしてみたい。なお、第1回目のレポートはこちら、第2回目はこちら

 風神について強く印象に残った点をぶっちゃけて書くと、なんかこの掃除機、ゴミがすぐいっぱいになる!? みたいな。拙宅が汚いのかニャ? ダストカップ内のゴミが見えるからそう感じる? ……また、ゴミの量をいつも気にしていないといけない理由もあったりする。

 というのは、説明書にこんな注意書きが───要約すると「ラインを超えてゴミがたまる前に捨てないと、吸引力が低下し、サイクロンボックスの手入れ(丸洗い)が必要になり、カートリッジセット(脱臭フィルター)の手入れも必要になる」と書かれている。

説明書に書かれている、従わないとちょっと面倒なコトになりそうな注意書き。※図は説明書より抜粋サイクロンボックス。最下段(左手前)にゴミがたまる。けっこーな量がたまるハズだが、わりとすぐいっぱいにサイクロンボックスの横にも注意書きがあるので、わりとマジな注意のようである

 国産のフィルター+サイクロン式の掃除機の場合、まあサイクロンだけど最終的にはフィルターでゴミが堰き止められるからいいや的な、ある種のいい加減なスタンスで使っちゃったりする拙者。考えてみれば、紙パック式の掃除機なんかは、紙パック満タン状態までついつい使ってしまう。

 が、風神の場合は純粋なサイクロン式掃除機。ゴミをため続けたら、いずれサイクロン機構部内にそのゴミが入り込み、さらには排気部へ流れ、というよからぬ状態になるので、ゴミがどのくらいたまったのか非常に気になるのだ。

 また、そーゆー態度でたまったゴミの量を見ていると、「もーちょっとたまっても大丈夫な気はするけど、なんかたまったゴミの頂点がゴミ捨てラインにかかり気味だから、まぁ捨てとこうか」とかなりガチ。風神の場合、ゴミがゴミ捨てラインと平行にたまっていくわけでもなく、なんか斜めってたまったりするし、しかもダストカップ裏側(本体からサイクロンボックスを外さないと目視しにくい面)のほうに多くたまるというのもあって、ダストカップ本来の容量よりもかなり少ないゴミ蓄積量になった程度で「捨てないとマズそうだなぁ」とか思っちゃう拙者である。

 ただ、そうしているからか、風神の実力からか、キッチリとゴミ捨てをしつつ使っていると、確かに吸引力が落ちる感じもしないし、排気も臭わない。排気のニオイについては、風神の場合はサイクロンボックス内でゴミと風流が混ざりにくいので、ゴミのニオイが外部に漏れにくいということらしい。

 ちなみに、具体的には、拙宅の仕事場と寝室とトイレとリビングあたりを掃除するとゴミはいっぱい近くになる。ゴミの大半は微細なホコリと猫の毛。掃除頻度によってもゴミのたまり具合は変わると思うが、実質3~4日に一度はゴミ捨てが必要になる感じだ。似たようなサイズの紙パック式掃除機と比べると、ずいぶんゴミ捨て頻度の高い風神。現在の拙宅掃除機のなかで、ゴミ格納部分が最もキレイなのが風神、とも言えよう。

 てなわけで、こまめなゴミ捨ては面倒な手入れ回避に排気臭防止にもつながると思われるので、しっかりやらなきゃネ!! とは思うものの、個人的にはもーちょっと本体がデカくなっちゃってもいいから、ダストカップ容積を大きくして欲しいように思った。

 それから、やはりエアエンジンブラシはよくできていると思う。再三書いたが、電動モーターなどの機構がなく、吸引した空気の気流で回るヘッド部のブラシですな。ヘッドが軽量なので床などを転がりやすい。とくにフローリングは軽快&スムーズに掃除できる。

 ブラシ部を取り外せて、ブラシに絡まった毛くずなどを容易に除去できるギミックも便利ですな。拙宅では、猫は短毛種で人の髪は短めなので、出番はあまりなかったが、このギミックを喜ぶユーザーは少なくないんじゃなかろうか。

 またこのエアエンジンブラシ、かなり背が低いので、ベッドの下などへは楽勝で入っていく。床からの高さが12cm程度の隙間なら苦労することなく入り、たとえば棚の下の奥のほーも容易に掃除機がけできる。

風神のエアエンジンブラシ。電力に頼らずにブラシを回す、集塵効率が良く軽いブラシヘッドなのだエアエンジンブラシのブラシ面。フローリングの細かなホコリ~砂くらいのゴミを効率よくキャッチするエアエンジンブラシが動くしくみ。吸い込んだ空流を動力とし、ブラシを回転させている
ヘッド部右端にあるツマミを回すと回転ブラシを抜くことができる回転ブラシが抜けていく様子。端まで抜ききると、ブラシに絡まっていた毛髪などが一網打尽に取り除かれているこんなイメージで絡まった毛などを取り除けるってわけですな。※図は説明書より抜粋
エアエンジンブラシを真横から見たところ。フツー的なブラシヘッドだ伸縮パイプを真っすぐにして寝かせるとこのくらいまで背が低くなる。茶色いブラシのあたりで、床からの高さが10cmくらい。ただし、左側にいくほど高さが増す伸縮パイプを90度ひねった状態なら、どの部分でも高さが10cm以下になる。ソファやベッド、テレビ台の下にもヘッドを入れられるだろう

 ただ、ベッドの下とかテーブルの下とか、低いトコロを掃除するとき、ちょっとした不都合もある。具体的には、伸縮パイプを左右にひねって寝かせた状態にすると、ECOモードが正常に働かないことがあるのだ。

 ECOモードとは、手元パイプ(操作部)を静止させたときに風神が掃除の中断を認識して省電力運転になるという運転モード。掃除中、ちょっと植木鉢どかしましょう~と操作部を置くと、それを感知&吸引力を落として節電してくれるというわけですな。

 で、これ、どうも、操作部が左右にひねられて寝かされた状態だと、掃除の中断をうまく判断できなくなるらしい。たとえば伸縮パイプを左右にひねって寝かせた状態=手元パイプ(操作部)が横に寝た状態で掃除をすると、ナニカの拍子に省電力運転(つまり吸引力がかなり落ちた状態)になったり、ずっとそのままだったりと、支障が出る。

 しかし、そうなったら単純に、運転モードを標準モードにすればいいだけだ。とは言え、せっかく実用的なECOモードがあるのに、そういう弱点があるのは残念。ぜひ改良してほしいと思う。

 それから、風神のデザインはちょっと先鋭的というか、国産白物家電らしからぬ雰囲気。好みの分かれるところかもしれないが、外観的なハデさのわりには、本体サイズは普通な感じ。サイズは254×422×298mm(幅×奥行き×高さ)で、本体質量は4.9kg、本体の標準質量は6.5kg。収納時の高さは約95cmもしくは70cm。平均的な押し入れにも立てて収められるサイズだ。

掃除中にパイプ部を本体後方に引っ掛けて置いておける。この状態でもなんか未来的でカッコイイ!?この状態にすると、高さは約95cm手元パイプと伸縮パイプを分離すれば、高さ約70cmになり、押し入れにも収納できる

 てな感じの風神。個人的には、純粋なサイクロン式掃除機を買うならコレがいいかな、と思った。というのは、やはり実勢価格。2010年9月現在だと5万円弱ですな。使ってきて、十分な吸引力があり、ゴミの捨てやすさも印象的で、日本メーカー製掃除機らしく細部にはちょいと便利&実用的なギミックが盛り込まれている。総合的にコストパフォーマンスの高いサイクロン式掃除機ということで、結果、好印象となった。

 ともあれ、細部までよく考えて作られたサイクロン式掃除機だと思うので、興味のある方はぜひ家電量販店などで実機に触れ、試験的にゴミを吸引してみてほしい。



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2010年9月22日 00:00