長期レビュー

三菱電機「風神 TC-ZK20S-R」その1

~“純粋なサイクロン式”の掃除機を試す!!
by スタパ齋藤

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



三菱電機サイクロン式掃除機「風神 TC-ZK20S-R」

 家電Watch編集部から「貴様は掃除野郎であり猫暮らしの抜け毛ッティであるゆえ、三菱電機の新型掃除機を試しなはれ」的な、一部不明瞭なメッセージとともに、三菱電機のサイクロン式掃除機「風神 TC-ZK20S-R」が送られてきた。むむむ!! これがウワサの“純粋なサイクロン式掃除機”かッ!? 即座に試用を開始して長期レビューを書いてゆきたいッ!!



メーカー三菱電機
製品名風神 TC-ZK20S-R
価格オープンプライス
購入場所Amazon.co.jp
購入価格59,727円

 三菱電機の「風神 TC-ZK20S-R」は、国内メーカー製では珍しい“純粋なサイクロン式の掃除機”だ。国産サイクロン式掃除機は不純……ってわけじゃないんだが、これまでの製品の多くは、サイクロン(遠心分離)で集塵しつつ、フィルターでの空気濾過もするというハイブリッド(!?)な方式が採用されていた。サイクロン機構+フィルターですな。それゆえ、フィルターの目詰まりによって吸引力が低下することがあった。

 サイクロン式と言えばダイソンが思い浮かぶが、ダイソンのサイクロン式掃除機は、サイクロンによるゴミの遠心分離だけで集塵する掃除機だ。そのため、目詰まりなどがないことから「吸引力が変わらないただ1つの掃除機」と謳っている。

 って話が長めになってきたが、これからレポートする三菱電機「風神 TC-ZK20S-R」も、フィルターに頼らず、サイクロン機構のみで集塵する掃除機だ。つまりは、純粋なサイクロン式の掃除機なのである。

 じゃあダイソンのとおんなじ? ってわけでもない。基本的には、渦巻き状に回る風による遠心力でゴミを空気から分離するサイクロンのシクミを使っているが、三菱電機の“風神サイクロン・テクノロジー”には独自のギミックがある。たとえば段階的にゴミを集めるとか、ゴミのニオイが空気に移りにくいとか。このページのアニメーションを見るとわかりやすいが、風神の集塵のシクミは以下のようなイメージになる。

風神の本体部。上部に搭載されたサイクロンボックスには独自の技術とギミックが盛り込まれている。サイクロンボックスを取り外したところ。左右で2つのサイクロンが発生する。集塵はゴミの大きさなどによって個別に行なわれる。大きなゴミ、中くらいのゴミ、微細なゴミ、という順で集塵。微細なゴミまで集塵でき、フィルターが不要。結果、吸引力の低下がほとんどないという。※図は説明書より抜粋。

 三段階にゴミの遠心分離が行なわれるってのがユニークですな。第一の旋回部では綿ゴミや毛などの大きなゴミを分離し、第二の旋回部では砂ゴミなどの中くらいのゴミを、第三の旋回部では花粉などの小ゴミを分離する。また、サイクロン旋回部で遠心分離したゴミは、風の流れ道とは別の集塵室にたまる───サイクロンの風がゴミのなかを通ることが少なくなるので、ニオイを抑えた排気を実現しているんだそうだ。

 なんかカッコイイっすね!! 単なるサイクロンじゃねーゼ的な三菱電機の意地っつーか気合いが垣間見られる感じ。ともあれ、とりあえずチョイと掃除してみた。風神、おまえの力を見せておくんニャさい!! 的に。

 ホントにチョチョチョっと掃除した限りでは、正直なところ、フツーの掃除機と同じってイメージですな。動作音についてぶっちゃけて言えば、ダイソンのよりも静かかもしんないけど、普通一般の掃除機と同様、ソレナリの運転音はする。

 集塵力については、ハッキリ言えば、これまで拙者が試した国産サイクロン式掃除機よりかなりパワフルって印象も。床にたまった猫の毛とか一発でクリーンナップ!! ベッドの下のホコリも一発除去!! みたいな。ただ、これは吸引力だけでなく「エアエンジンブラシ」の働きもあると思われる。

風神のエアエンジンブラシ(ヘッド部)。アレルパンチ植毛の回転ブラシ、ふきブラシ、5輪タイヤがある。具体的にはこんなシクミ。電動モーターなどではなく空気の流れてブラシを回すために機構がシンプル。ヘッド部が軽いのだ。※図は説明書より抜粋。

 エアエンジンブラシは、床の上などのゴミをかなりシッカリと掻き上げて吸引してくれる回転ブラシですな。だが回転の動力として掃除機が吸引する気流を使っていて、モーターなどの電動駆動機構は持たない。結果、ヘッド部分が軽量なので扱いやすい。

 あとECOモードってのもおもしろい。風神には標準モードとECOモードの2つの運転モードがあるが、ECOモードにすると、掃除中に掃除機をオフにせず一瞬別のコト(たとえば観葉植物をチョイどかすとか、踏み台を片付けるとかを)するとき、掃除機が自動的に省電力運転になるという機能だ。

風神の操作部。運転モードは標準モードとECOモードがある。両モードとも、強とソフトの2つの吸引力を切り替えられる。ECOモードを使うと本体上のECOモニターランプが点灯する。手元パイプのグリップ部に感振センサーが内蔵されている。これにより掃除の中断を感知し、消費電力を抑える。

 ECOモード、具体的には、掃除中に手元グリップ部をどこかに置くなどすると、掃除機の吸引力が一気に下がって消費電力を抑える。つまり一瞬の掃除中断を感知して、吸い込む力を弱めて省電力状態に入る。シクミとしては手元グリップ部にセンサーがあり、これにより掃除の中断を感知しているようだ。なお、消費電力はECOモード強が約1,000W、ECOモードソフトが約500W、そしてECOモード動作時(吸引力が自動的に抑えられたとき)が約100Wとなる。1/2~1/10に消費電力を抑えてくれるわけですな。

 てな感じで三菱電機「風神 TC-ZK20S-R」をザッと見つつチョイと使ってみた今回。次回以降、風神を使って本格的に掃除をしつつ、そのサイクロン機構の実力、掃除機としての使用感、長所短所を織り交ぜていろいろな角度から見てのレポートをお届けしますんで、ぜひご愛読をよろしくお願いいたします~。



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2010年9月8日 00:00