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サイクロン式掃除機「LAQURLI AIR(ラクルリエア) TC-C3ZH」。本体カラーはメタリックオレンジ
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三菱電機の「LAQURLI(ラクルリ)」シリーズは、円筒形のかわいい見た目が特徴だが、360度スムーズに回転するボディが、障害物に引っかかりにくく、スムーズな移動を実現していることで人気が高い。そのラクルリに昨年9月、最新モデルとなる「LAQURLI AIR(ラクルリエア) TC-C3ZH」が登場しているので、試してみることにしよう。
メーカー | 三菱電機 |
製品名 | ラクルリエア TC-C3ZH |
希望小売価格 | 92,400円 |
購入店 | ヨドバシカメラ |
購入価格 | 64,800円 |
● 360度回転する円筒形ボディと5輪キャスターで、スムーズな移動を実現
ラクルリエアは従来のラクルリシリーズ同様、円筒形ボディを採用している。一般的な掃除機のような、たまご型に近い形状ではないこともあって、ぱっと見では他の掃除機と大きく印象が異なっている。ダイソンのサイクロン掃除機のような機械的で近未来的なデザインもいいが、ラクルリのスマートでかわいらしいデザインも悪くない。新モデルのラクルリエアでもその特徴のある円筒形ボディがそのまま受け継がれている点は嬉しい。
本体サイズは、260×390×221mm(幅×奥行き×高さ)と、数字で見ると一般的なサイクロン掃除機とそれほど変わらないが、ボディが円筒形となっていることもあって、コンパクトな印象を受ける。収納時には本体を立てて置くが、ホースとパイプを分離し、ホースを本体側面に巻き付けてコンパクトに収納できるようになっている。その場合の高さは約80cm。カウンターの下など、あまり高さが確保できない場所でも余裕を持って収納できる。
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上から見たところ。掃除機では珍しい円形のデザインが特徴
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本体正面から見た姿は、完全な円筒形だ
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パイプとホースを外し、本体側面にホースを引っかけることで、よりコンパクトに収納できる
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本体底面にはキャスターが5個付いている。これにより、底面自体が360度スムーズに回転する仕組みだ
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本体底面も従来モデル同様、5つのキャスターが取り付けられ、底面全体が360度自由に回転するようになっている。この構造によって、本体は前後だけでなく、左右も含めてどの方向にもスムーズに動作できるようになっている。
一般的な掃除機は、本体側面後方に大型の車輪が2個、前方底面に小型キャスターが1個の3輪方式が多く、横方向への移動がスムーズではない場合がほとんどだ。そのため、テーブルの脚やソファー、コーナーの壁などに本体が引っかかりやすく、そのたびに本体を持ち上げるなどして移動させる必要がある。また、障害物に引っかかった本体を、ホースで無理やり引っ張ってしまうと、本体が倒れてしまうこともよくある。
それに対しラクルリエアは、本体が円筒形で、かつ横方向にもスムーズに移動できる構造のため、障害物に引っかかることがほとんどないのである。実際に動画を見てもらうとわかりやすいが、ホースをもってコーナーギリギリを曲がって移動しても、本体がコーナーに引っかかることなくスムーズに付いてくる。また、わざと引っかかりやすい場所を通りつつ、ホースを強く引っ張ってみても、本体が倒れてしまうことは全くなかった。このスムーズな動きには感動すら覚える。
本体側面はラバーのバンパーで囲われているため、壁や家具などにぶつかってもキズが付かないよう配慮されているところもうれしい。
● ヘッド上部と本体上部から、床上30cm付近のハウスダストを吸引
今回のラクルリエアでの新機能が、ヘッド上部と本体上部にも吸引口を用意して、床上30cm付近のハウスダストを吸引できるようになっているところだ。
掃除機をかけると、ヘッドや本体が動くことによって床に積もっているハウスダストが舞い上がってしまう。そこで、ヘッド上部に床上に漂うハウスダストを吸引する吸引口を用意する――というのが、他社も含めて最近の掃除機のトレンドになっている。しかし、本体にもハウスダストの吸引口を用意したのは、このラクルリエアが初。本体側にもハウスダストの吸引口を用意することで、掃除機を利用するときに舞い上がるハウスダストをより減らそうというわけだ。
ヘッド上部のハウスダスト吸引口はヘッドの首の部分にあり、本体の吸引口は、ホースを接続する部分の上部、本体上部のフタを開くボタンの下に用意されている。ここから本体付近に浮遊するハウスダストが吸引されることになる。本体の吸引口から吸引される空気とハウスダストは、ダストボックスの専用の穴を通り、直接本体内のダストボックスに入る仕組みになっている。
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付属のパワーヘッド「ラク走パワーブラシ」。床上のハウスダスト吸引口が用意されている。また、従来モデルより25%の軽量化も実現している
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ヘッドの吸引口のアップ写真
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本体正面、上のフタを開けるボタンの直下にも、ハウスダストを吸引する吸引口がある
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実際に、ハウスダスト吸引口に手をかざしてみると、それほど強力な吸引力があるわけではないが、確かにここからも空気が吸い込まれている。実際に使ってみると、普段使っている掃除機に比べて、利用中にほこりっぽいと感じる割合が少なくなったような気がした。目に見えて変化があるわけではないので、違いがわかりにくいのも事実だが、ある程度の効果があることは間違いないだろう。
ちなみに、本体側のハウスダスト吸引口は、フタの裏にあるスライドスイッチで開閉が行なえる。このスライドスイッチを「切」側にセットすれば、本体のハウスダスト吸引口が閉じて、ハウスダストの吸引は行なわれなくなる。
この吸引口が、スイッチで開閉できるようになっているのは、ヘッド側の吸引力を高められるようにするためのものだろう。モーター自体のパワーは一定なので、吸引口が多数あれば、当然それだけヘッドの吸引力が落ちることになる。もちろん、筆者が使った範囲内では、本体側のハウスダスト吸引口を開けた状態でも、ヘッド側の吸引力に問題は感じなかったが、利用環境によっては、ヘッドの吸引力に不満を感じる可能性もゼロではないだろう。そう考えると、吸引口の開閉を自由に設定できる点は、使う側にとって嬉しい配慮と言える。
● 軽々操作のパワーヘッド。ふとん用ブラシやロングノズルなど便利な付属ツールも
次はヘッドやブラシなど、付属ツールを見ていこう。まずはヘッド。前述の通りハウスダスト吸引口が用意されているが、従来モデルよりも25%軽量化が実現されているそうだ。手にしてみると、かなり軽いという印象を受ける。重量が軽いだけでなく、自走式パワーヘッドのため、ラグやじゅうたんを掃除する場合でも、片手で軽々操作できる。
ヘッドは、このパワーヘッドに加えて、ふとん用のふとんブラシも標準添付されている。このふとんブラシにもパワーヘッドと同じく上部に吸引口が用意されており、ハウスダストを吸引できるようになっている。
また、ヘッド自体にも集塵ボックスを備えているのも見逃せない。ふとんを掃除機で掃除すると、細かな綿ぼこりが庫内にたくさん吸い込まれることで、フィルターが詰まり、吸引力が低下してしまう場合があるが、ヘッド側の集塵ボックスで多くのゴミが集塵されるので、吸引力低下の心配が少ないのだ。
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「ラク走パワーブラシ」の裏側。裏の大型ブラシがモーターで勢いよく回転し、楽にヘッドが操作できる。また、ラグやじゅうたんのホコリもしっかりかき出して吸い込む効果もある
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パワーブラシ付きのふとんブラシも標準で付属している
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ふとんブラシにはダストボックスが用意されており、ふとんの綿ぼこりがため込める仕組みになっている
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これ以外にも掃除に便利なツールが多く付属している。その中で特に気に入ったのが「のび~る45cm奥までノズル」と呼ばれるロングノズルだ。
このロングノズルは、いわゆるすき間ヘッドのようなものだが、パイプと一体構造になっている。メインのパイプを外すと、ロングノズル側のメインの吸引穴がフタで塞がれ、すき間ノズル側からのみ吸引されるようになるのだ。一般的なすき間ヘッドは、パイプを外してすき間ヘッドを取り付ける必要があり、2度の手間を経なければ使えないが、このロングノズルなら、メインのパイプを外すだけですぐに使えるのだ。しかも、最大45cmまで伸びるため、高い場所や狭い場所の奥も楽々掃除ができる。これは一度使うと手放せない、非常に便利なツールだ。
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メインパイプを伸ばした状態。パイプを外すと……
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ロングノズル(写真右)が利用できるようになる
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ロングノズルは45cmまで引き延ばせる。先端にブラシも付いており、高い場所やすき間の奥も手軽に掃除ができる
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● フィルターの自動掃除機能で吸引力低下を抑制。ゴミ捨てはやや面倒か
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フタを開けた状態。手前に見えるのがゴミが溜まるダストボックスだ
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ところで、本製品を使う前に懸念していたことが2点ある。1つめは、集塵ボックスの容量は0.4リットルと、従来モデル同様に容量が少なく、そのためゴミ捨てが面倒ではないか……といった点。もう1つが、サイクロン式ではあるが基本的には吸い込んだゴミをフィルターで漉し取るため、使ううちに吸引力が低下してしまわないか、という点だ。
実際に使ってみたところ、吸引力の低下に関しては、思ったほどの問題は感じなかった。これは、HEPAフィルターに付着したゴミをふるい落とす自動クリーニング機構「お掃除メカ」のおかげかもしれない。このお掃除メカは、通常は電源を切った時に自動的に働くようになっている。掃除のたびにボックス内を掃除する必要はないだろう。
ちなみに、吸引されたゴミは、まず2重のメッシュフィルターで大きめのゴミが漉し取られ、その後、ダストボックス中央奥に配置されている円形のHEPAフィルターで細かなゴミが漉し取られる仕組みになっている。
ただし、ゴミ捨てには少々手間がかかった。ゴミはダストボックス内のメッシュフィルターにしっかりと貼り付いていて、ダストボックスのフタを開けただけではゴミを捨てられなかった。ダストボックスに取り付けられているブラシで軽くゴミをかき出す感じで捨てなければならず、やはりこの点は面倒に感じる。ダストボックス自体はHEPAフィルターも含めて丸ごと水洗いが可能なので、ゴミに直接触れることが気になる場合や、隅々まできれいにしたい場合には、水洗いした方が早い。
付け加えておきたいのが、このゴミ捨ての手間は、フィルターでゴミを漉し取るタイプのサイクロン掃除機における宿命のようなもので、ラクルリエアだけの欠点ではない。また、容量が少ないことでこまめにゴミを捨てることにつながり、普段から清潔に利用できるというメリットもある。ゴミ捨ての面倒を最優先したいという人は、同じラクルリシリーズで紙パック式の「LAQURLI ozo(ラクルリオゾ)」という製品があるので、こちらをご参照いただきたい。
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ゴミ捨ては、側面の「ゴミ捨すてボタン」を押し、フタを開けて行なう
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ごみ箱などの上でフタを開け、写真のように傾けてゴミを捨てる
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一通り部屋を掃除した後のメッシュフィルター。ゴミが貼り付き、震った程度では落ちなかった
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内側のメッシュフィルターにはさらに細かいチリが貼り付いて、ブラシなどを使わなければ簡単には落とせなかった
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ダストボックスに取り付けられているブラシ。ゴミ捨て時に出番が多くなりそうだ
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● 排気のニオイは全く気にならない
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本体後部の排気口には、「アレルパンチ吸着分解高性能フィルター」が取り付けられており、排気のニオイは全く気にならない
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掃除機では排気のニオイ、きれいさも重要になるが、本製品ではある程度ゴミを吸い込んだ状態でも排気のニオイは全く気にならなかった。これは、ダストボックス後部から排気口に至る間に、3種類のフィルターが配置されており、HEPAフィルターで取り逃がした非常に細かなチリをキャッチすると共に、ニオイも分解しているからだろう。
実はラクルリエアには、ダストボックスに6層、ダストボックス後方に3層、全9層のフィルターが取り付けられている。これによって、ハウスダストの約99%がキャッチできるとされている。排気のニオイが気にならなかったのはこのフィルターのおかげだろう。前述の通り、本体の吸込口から床上30cmのハウスダストが吸引できるため、ハイハイで歩く小さな子供がいる家庭にも向きそうだ。
● トレンドを採り入れよりハイスペックに。使い勝手を優先する人におすすめ
ゴミ捨ての手間がかかるという“フィルター式サイクロン掃除機”の宿命は背負うものの、その点以外の使い勝手は非常に優れている。障害物に引っかかることなく、どの方向にもスムーズに移動できる5輪キャスター、軽々操作できるパワーヘッド、メインパイプを外すだけで使えるロングノズル……など、他の掃除機には真似のできない使い勝手を実現している点は大きな魅力だ。それでいてこの最新モデルでは、ヘッド上部と本体の2カ所から床上のハウスダストを吸引できる仕組みや、ほとんどニオイの気にならないクリーンな排気など、近年のトレンドをしっかりと抑えた点も見逃せないポイントだ。使い勝手を最優先で掃除機を探している人に自信を持っておすすめしたい。
■URL
三菱電機株式会社
http://www.mitsubishielectric.co.jp/
ラクルリエア 製品情報
http://www.mitsubishielectric.co.jp/home/cleaner/sp_laq/
掃除機 関連記事リンク集
http://kaden.watch.impress.co.jp/static/link/cleaner.htm
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2009/01/22 00:01
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