長期レビュー

ティファール「ホーム&バゲット」 最終回

~ホームベーカリーでおいしいバゲットが焼けた!
by すずまり

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



 今回はいよいよホーム&バゲット最大の特徴であるバゲット作りのレポートをご紹介する。製品の特徴をまとめた第1回目はこちらから、最大2斤まで焼ける食パンを焼き比べた第2回目はこちらから。

バゲット作りに必要な材料はたったこれだけ

 バゲット作りに必要な材料は、「フランスパン用準強力粉」、塩、水、ドライイーストのみ。基本的な食パンは強力粉、塩、水、ドライイーストに加え、さらに砂糖、バター、スキムミルクを使用するので、バゲット、というかフランスパンはかなりシンプルだ。

 ただし「フランスパン用準強力粉」は通常のスーパーではなかなか見つからないと思われる。筆者も3店まわったが見つけられかった。結局、インターネットの楽天市場で鳥越製粉の「フランスパン専用粉 フランス 2kg」を購入、使用した。ホーム&バゲットの公式サイトでは本機専用の「フレンチバゲットミックス」も紹介されているので、そこで購入するのも良いだろう(レビュー当時はまだ専用粉が発売されていなかった)。

普通の「フレンチバゲット」を焼いてみた

 まずは付属の「ホーム&バゲット レシピブック」に紹介されている「フレンチバゲット」に挑戦してみた。実は、このレシピブック、食パンよりも先にバゲットが紹介されている。これだけでもかなりバゲットに力を入れていることが分かる。フレンチバゲットは、食パンのように材料を入れて、あとはスタートボタンを押せば終わり! というわけではない。細長くて、切れ目の入ったあの独特の形は自分の手で作るのだ。

 まずは本体で生地を作って、それを一度取り出して形を作る。そのあとに、また本体に生地を戻して焼き上げるという手順になる。なお、本体で一度に焼けるバゲットの本数は4本まで。今回は8本分の生地を一度に作って、2回に分けて焼き上げていく。

 8本分の材料を用意し、パンケースに、塩、水、フランスパン専用粉、ドライイーストの順に材料を入れ、メニューの「8 バゲット」を選択。焼き色は標準のままスタートボタンを押した。1回目のブザーは具材等入用なのでやりすごし、2回目のブザーが聞こえたところでパンケースごと生地を取り出した。

材料を入れたパンケースを本体にセットし、メニューでバゲットの「8」を選ぶ生地が練られていくところを上から眺める

 取り出した生地は最初に2等分し、半分をさらに4等分して、それぞれを折りたたみつつバゲットの形に成形した。成型方法は「ホーム&バゲット レシピブック」に紹介されているが、実際やってみるとうまくできているのかどうかよくわからない。とりあえずバゲットの形になっていると見なして、バゲットトレイに乗せ、ナイフでクープ用の切り込みを入れ、その後、生地の表面にまんべんなく水を塗る。これは、綺麗な焼き色がつくために塗るようだ。

 4本分に水を塗りおえたら、バゲットトレイをラックに乗せ、ラックごとホーム&バゲットの中にセットする。ふたをしたら、スタートボタンを押す。生地を作り終えたホーム&バゲットは、成形している間は待機状態になっているので、スタートボタンは赤く点滅している。再びスタートボタンを押すと自動的に焼き工程に入るのだ。

完成したバゲット8本分の生地生地全体を半分にカットしてから、さらに片方を4等分する成形した(つもり)のバゲット生地
バゲットトレイの上で、表面に水を塗る準備完了。残りの生地はしばらく休ませておくラックごと本体にセット

 次にブザー音が聞こえたらバゲット完成である。本体からラックを取り出し、焼き上がったバゲットをバゲットトレイから取り出して粗熱を取る。

焼き上げ開始生地が膨らんできたのが確認できた焼き上がり直前の状態

 今回は8本分の生地を作ったので、もう一度、成形、焼き工程を繰り返す。ホーム&バゲットでは2回連続で焼き上げることが最初から想定されていて、1回目の焼き工程が終わると、2回目の焼き工程を待機している。もし4本以下で終了したい場合は、一度スタートボタンを押したあと、さらに5秒以上押して調理を中止し、電源プラグを抜けばよい。ただし、2回目の成形は1回目の焼き上げから30分以内に行なう。

完成したバゲット左側のトレイが下段のもの。焼き色が濃いのが分かる2回目の焼き工程に入る

 ブザー音が聞こえたら2回目の焼き上げ終了だ。4本分が焼けるまでの所要時間は、生地作りも含め1時間57分、8本分は2時間39分となっている。焼き工程だけみると、所要時間は42分程度だった。成形時間も含めれば、3時間少々というところだろうか。


ラックのセットから焼き上がったバゲットの様子まで

 取り出したバゲットはこんがりときつね色に焼き上がっていた。ラックの下段のほうが少々高温になるようで、バゲットもやや焦げ気味になった。クラスト(耳、外皮のこと。フランスパンの場合はそう呼ぶらしい)はバリッとしているが、中は意外としっとりやわらかく、弾力もある。

2回目の4本が焼けた。やはり下段の焼き色が濃い焼き上げた8本のバゲットクラストはしっかり、クラムはもちもち

 食べてみると、味はバッチリ! 何もつけずにこれだけでも食べられてしまう。フランスパンというと、サイズが大きくて食べきれないとか、固いというイメージが強いが、ティファールのバゲットはちょうど良いサイズ、食べやすい形、ちょうどよい固さで、おいしく味わえるのだ。1本食べると、かなり満足感がある。

 ただ、残念なことにクープの出来は失敗であった。クープとはフランスパンの表面に見られる斜めや十字模様のことだが、あれはただの飾りではなく、水分を蒸発させて軽さを出したり、フランスパンを膨らませたりという効果があるらしい。あれこれ画像を検索してみると、成功したクープの美しいこと! 内側からの膨らみで綺麗に広がっている。筆者の場合は切り込みの口に焼き色が付いた程度……どうやらただ切り込みを入れればいいわけではないようだ。

 とはいえ、追究し始めると際限がない。まずは初心者にも簡単においしいバゲットができるのでうれしい。素直に、また作りたいと感じた。


レーズン入りのフレンチバゲットに挑戦

 「フレンチバゲット」が期待以上においしく、また知人からの評判も良かったので、次にレシピで紹介されていた「レーズンバゲット」に挑戦しようと考えた。しかし、残念ながら材料として記されていた「ライ麦粉」を準備していなかった。これまた気軽に手に入らない食材だ。そこで「フレンチバゲット」に直接レーズンをプラスしてみることにした。

 「フレンチバゲット」4本分の材料を用意し、1回目のブザーが聞こえたらレーズンをパンケースに投入する。あとの流れは「フレンチバゲット」と変わらない。ただし、焼き色はどうなるか知りたかったこともあり、薄めに変更してみた。

定番のレーズンを用意レーズン入りの生地取り出したら4等分する
レーズン入りの生地をバゲットの形に成形バゲットトレイに並べるラックを本体にセット

 完成したレーズン入りフレンチバゲットは、焼き色が薄めにも関わらずちょうど良い焼き色になった。相変わらず外はしっかり、中はもっちりでしている。クラムはフランスパンというより食パンに近いが、周りが香ばしいのでやはり何もつけずに食べられる。特に焼きたては最高だ。紙袋で包んで持ち出し、外でお茶でも買って食べたくなる。

 レシピには表面にシリアルをまぶした「シリアルバゲット」なども紹介されており、見ているだけで食欲を刺激される。

焼き色は薄めの設定だがしっかり焼き色がついている下段のバゲットの焼き色はかなり濃いので、焼き色を標準にしていたら焦げていたかもしれない
完成したレーズン入りフレンチバゲット。これがホームベーカリーで作れるのはやはり嬉しいバゲットの底の様子


強力粉と薄力粉でフレンチバゲットに挑戦

 最後に、フランスパン専用粉ではなく、スーパーで買える強力粉と薄力粉をブレンドしてフレンチバゲットを作ってみた。というのも、作りたいと思ったときにフランスパン専用粉が手に入らないようでは、バゲット作りの魅力も薄れてしまうからだ。完璧なものは作れなくても、身近な材料で作れたほうが楽しいだろう。

 手元にあるオーブン付属のレシピ集を見たところフランスパンの作り方が掲載されており、そこではフランスパン専用粉がない場合、フランスパン専用粉の分量のうち、8割を強力粉、2割を薄力粉にするとよいとあったのだ! そんなわけで、早速ブレンドした小麦粉でフレンチバゲットを作ってみた。

 焼き上がったバゲットは、表面はフレンチ、中は食パンに近い食感をもつ、「ハイブリッドパン」ともいえるものだった。フランスパンには少々遠いかもしれないが、これはこれでかなりおいしいパンである。コッペパンに近いサイズなので、これが好きだという人もいそうだ。何かを挟んでサンドイッチにしたくなるバゲットであった。

強力粉と薄力粉による生地成形したら、いつものようにバゲットトレイへどことなく優しい雰囲気で焼き上がった
ロールパンのような仕上がり。やはり粉の違いは大きい慣れてきたせいか、クープはわずかながらクープらしさを醸しだし始めているような気もするよく膨らんでいると思う
焼きたてをカットしてみると、外はザックリ、中はしっとりレーズン入りフレンチバゲットと並べてみた


バゲット好きにもかなり楽しめるホームベーカリー

 というわけで、バゲット作りにどっぷりハマってしまった。あのサイズが絶妙で、焼いてはいろんな所へ持っていくようになっていた。小腹が空いたとき、ほんのり塩味のバゲットをかじるのは最高なのだ。もう少し細めに成形したら? クープが綺麗に出るようにするにはどうしたら? と追究したいテーマが沸いてきたところで製品の返却期限がきてしまった! 残念だ。

 使用中に感じたこともいくつか述べておきたい。

 焼いているとき本体は結構熱くなる。上から覗ける構造は非常に楽しいのだが、ホームベーカリーは蓋も簡単に開いてしまうので、うっかり触ったり開けたりしないよう気をつけたいところだ。特に小さいお子さんがいるご家庭は、興味を示したお子さんが触らないよう注意したほうがいいだろう。

 付属の計量スプーンとカップの出番がほとんどなかったことも気になった。スプーンは両端が大さじ、小さじという構造になっているが、レシピ上材料はすべて「g」または「ml」で記載されているため、付属の計量スプーンで一発計量という場面がないのだ。

 水も165ml、175ml、215mlといった記載がある中で、付属の計量カップの目盛が50、100、150と50ml単位というのも少々不親切である。できれば付属のスプーンやカップで基本的な材料の計量ができるくらいになると嬉しい。ただし水の塗布用に用意されているシリコン製ブラシは、使いやすかった。これまでシリコン製のブラシを使ったことはなかったが、気に入って、同様の製品を探し出して購入してしまったほどだ。

 食パンにしろ、バゲットにしろ、しっかりと歯ごたえのある耳をもつパンが焼けるのがティファールのホーム&バゲットだ。食パンは中身がぎっしり詰まったどっしり系だが、材料のバランスによってはかなり調整がきく。1斤焼きのホームベーカリーと比べると若干場所をとるが、朝食用に、ディナー用にとしっかり期待に応えてくれるので、あるとかなり重宝するに違いない。「バゲットも焼きたい」そんなあなたに、まさにお勧めのホームベーカリーである。



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2010年5月24日 00:00