長期レビュー

BRAUN「Series 7 790 cc-3」 最終回

~いつでも気持ちよく使えるクリーン&リニューシステム
by 清水 理史

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



清潔でなめらか


洗浄・潤滑化・乾燥・充電を自動的に行なうブラウン独自の全自動アルコール洗浄システム「クリーン&リニューシステム」
 普段着る洋服やパジャマ、洗面所のタオル、バスタオルなど、毎日使うもの、それも直接体に触れるものは、できればいつもキレイな状態で使いたいものだ。

 もちろん、シェーバーもそうだ。外出する前、きれいに身だしなみを整えて、気持ちを切り替えるという意味では、その道具であるシェーバーそのものの清潔感が重要になってくる。

 最近では、水洗い可能なシェーバーも増えてきたが、それでも皮脂で汚れたヒゲくずというのはなかなかやっかいな存在で、ヒゲを剃った後にきちんと手入れをしておかないと、ニオイは気になるは、剃り味は悪くなるはと、あっと言う間にシェーバーが使いにくいものとなってしまう。

 かといって、ヘッドを外し、ブラシで掃除、水で洗って、乾燥させてから、潤滑剤で仕上げる……なんてことを忙しい朝にやるわけにもいかないわけだ。

 そこで、注目したいのが、ブラウンのシェーバーで採用されている自動洗浄機能「クリーン&リニューシステム」だ。長期レビュー3回目となる今回は、ブラウン「Series 7 790 cc-3」のメンテナンス機能について見ていこう。

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置いてチェック、押して洗浄開始化

 ブラウン「Series 7 790 cc-3」に採用されている「クリーン&リニューシステム」は、シェーバーの洗浄・潤滑化・乾燥・充電を自動的に行なうブラウン独自の全自動アルコール洗浄システムだ。

 同様の全自動洗浄システムは、すでに国内メーカー製のシェーバーでも一般的になりつつあるが、ポイントは洗浄にアルコールを利用する点。

 洗浄に利用するカートリッジは、エタノール(エチルアルコール 94%)を主成分に潤滑液、香料で満たされており、このエタノールの能力によって、ヘッドに付いたヒゲくずや皮脂の汚れなどをしっかりと除去することができるようになっている。

 シェーバーの洗浄方式に関しては、各メーカー、さまざまな方式を採用しているが、アルコールを主成分とした洗浄方式を採用しているのはブラウンのみの特徴だ。

クリーン&リニューシステム用のカートリッジエタノールを主成分に潤滑液、香料が使われている

 実際、使ってみると、確かに洗浄後のヘッドがとても爽やかだ。

 ヒゲを剃った後、ヘッドを左斜め上からさし込むようにしてクリーン&リニューシステムの上部にシェーバーをセットする。すると、前面のランプが順番に素早く点滅し、ヘッドの汚れ具合に応じたランプが点灯する。「clean」のランプなら、そのまま何もせずに充電だけしておけば良いが、もしも3段階に分けられた汚れ具合のうちのどれかのランプ(水滴の数で汚れ具合を表示)が点灯したら、洗浄が必要というわけだ。

 この状態で、前面にある「clean & dry」ボタンを押すと、洗浄液のかすかな香りと共に、「ガショ、ガショ、ガショ……」というような水の中でヘッドが動くような音が聞こえてくる。

 カートリッジから洗浄液を吸い上げてヘッド部分に満たし、その中でヘッドを動作させることでヒゲくずや皮脂を洗い落としているわけだ。

本体をクリーン&リニューシステムにセット汚れ具合が判断される。ボタンを押すと洗浄開始

汚れ具合のチェックと実際の洗浄の様子

 洗浄時間は、おおむね40分前後といったところ。同社のホームページによると洗浄時間は最短32分、最長43分となっており、「業界最速レベル」の洗浄の速さを謳っているが、確かに洗浄は速い。

 実は、自動洗浄機能付きのシェーバーというのは、不用意に洗浄を開始してから、剃り残しに気がついても、しばらくの間、ヒゲが剃れない状態になるということがよくある。もちろん、カンペキに剃り上げて、もう使わないという状態にしてから洗浄すれば良いのだが、出かける直前になって剃り残しがあることに気づいたとしても、洗浄を開始してしまっていると、そこからシェーバーを取り外すことができない。

 筆者も、洗浄開始後に剃り残しに気づき、仕方なく慣れないカミソリを当てたことがかつて数回あった。

 もちろん、「Series 7 790 cc-3」の場合も、一旦、洗浄を開始したら完了するまで取り外せないことに変わりはないのだが、一回の洗浄が40分前後で完了するため、朝起きてヒゲを剃った後、出かける前にもう一度、チェックして剃り残しに気づいても、そのときには洗浄が終わっているため、再びヒゲを剃ることができるのだ。しかも、洗い立ての清潔な状態で。これはとてもありがたい。

 おそらく、揮発しやすいアルコールを洗浄液に利用しているため、その分、乾燥も速いのだろう。アルコールを利用するというのは、清潔感を保つことはもちろんのこと、洗浄がスピーディであるということにも大きく影響しているようだ。

 なお、「Series 7 790 cc-3」には、ファストクリーンという急速洗浄モードが搭載されており、洗浄のみを25秒で実行することができるようになっている。このモードは確かにあっという間に洗浄が完了するのだが、乾燥をしないので、洗浄直後はヘッドがぬれている状態になる。

 そのままヒゲを剃ることも可能だが、アルコールが肌に触れることになるので、肌が弱い人などは直後の使用は避けた方が無難だ。ファストクリーンと言っても、実際には洗浄終了から10分前後は放置して、十分に乾燥させてから使うことをおすすめしたい。

ファストクリーンなら25秒ほどで洗浄が完了。ただし乾燥しないので直後に使うのはおすすめしない


1カ月洗ってもさわやかな香り


毎月のカートリッジの交換に加えて年に1回ほどは刃の交換も必要。刃は網刃と内刃が一体型のカセット刃となる
 気になるランニングコストだが、洗浄カートリッジ交換の目安は約30回の洗浄となっており、毎日、洗浄した場合で約1カ月ほど。もちろん、2日に1回など、洗浄回数自体を減らすことも可能だが、その分、1回の洗浄で洗うヒゲくずの量が多くなるだけなので、いずれにせよ1カ月を目処に交換した方が良いだろう。

 カートリッジの実売価格は、3個入りの「クリーン&リニューシステム専用洗浄液カートリッジ CCR3」で1,890円前後。1個あたり約630円ほどとなっているので、年間にすると7,500円ほどとなる。また、ヘッドの寿命も1年ほどと考えると、プラス6,000円(カセット刃 F/C 70S-3の実売価格)で年間13,500円ほどのコストがかかる。

 低価格のシェーバーが買えてしまうくらいの値段なので、決して負担は小さくないのだが、前述したように毎日、清潔、かつさわやかにヒゲを剃れることを考えると、この投資は無駄ではないだろう。

 また、ブラウンの場合、洗浄剤の効果が長持ちする印象がある。今回、製品にはじめから同梱されていたカートリッジを使い続けてみたが、ちょうど使い始めから1カ月ほどを経過した現在でも、洗浄後にヘッドから感じる柑橘系のさわやかな香りが薄れない。

 通常、洗浄剤自体が汚れてくると、ヘッドからイヤなニオイが感じられることがあるのだが、本製品では、そういったニオイはあまり感じられず、さわやかな香りの方が強い。

 カートリッジを見ると、ヒゲくずがたくさん溜まっており、洗浄液も濁っているので、もっとニオイが気になるかと思ったが、そこはアルコールの消毒能力の高さなのか、いつまでも清潔に使える印象だ。

 なお、カートリッジの交換は簡単だ。クリーン&リニューシステムの横にあるボタンを押すと、本体が上部に持ち上がる。この状態でカートリッジをスライドさせるようにして前面から取り出す。その後、新しいカートリッジのフタを開けて、同様に前面からスライドさせるようにしてカートリッジを入れ、上からカバーを押し下げてセットすれば完了だ。

クリーン&リニューシステムの横のボタンを押すと本体が上部に持ち上がり、カートリッジの出し入れが可能となる左が使用済みのカートリッジ、右がが新品。結構よごれているがさわやかさは長持ちする。もちろん、フィルタによってヒゲくずなどは洗浄時に流れ込まないようになっている

 カートリッジのフタを開けると、そこから洗浄液がこぼれる可能性があるので注意する必要があるが、交換自体はとても簡単だ。

 1つ問題なのは、設置したときの高さが結構あるので(24cm前後)、今まで設置していた洗面所の棚に設置できないことくらいだろうか。個人的に困ったのはそれくらいで、性能や使い心地は非常に満足できる製品だ。



 以上、3回にわたってブラウン「Series 7 790 cc-3」を実際に使ってみたが、元祖深剃り、自動洗浄のブラウンだけあって、製品としての完成度はかなり高いと感じた。ヒゲが濃い筆者でもターボモードでキレイにヒゲを剃れるうえ、剃った後の感覚もヒリヒリした感じがなく良好だ。そして何より、素早く、しかもさわやかさが長持ちするクリーン&リニューシステムがとても使いやすい。洗浄機能付きのシェーバーを購入の際には一度検討してもらいたい製品だ。



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2010年5月20日 00:00