長期レビュー

ブラウン「Series 7 790 cc-3」 その2

~肌のタイプや場所で選べる3つの剃り味
by 清水 理史

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



3段階に切り替わる振動

ブラウン「Series 7 790 cc-3」。ヘッドの振動を3段階に切り替えることで肌やヒゲに合わせた剃り方ができる

 ブラウン「Series 7 790 cc-3」(以下、Series 7)を使い始めて約1カ月。ようやく肌に馴染んできたので、今回はその剃り味について紹介していこう。

[1回目はこちらから]

 ブラウンのシェーバーと言えば、かつてのテレビCMでも、おなじみの「深剃り」がその特徴だが、このSeries 7は、その深剃りの方法を3タイプから選べるようになっている。

 本体の電源ボタンを押して電源を入れると、ヘッドが「ブーン」という若干低めの音をたてて振動しはじめる。これが標準で設定されている「ノーマル」モードの動作だ。

 この状態で、電源ボタンの左側にある[Sensitive(-)]ボタンを押すと、音が若干低い「ブーン」という感じの音に変わる。敏感肌での利用に適した「ソフト」モードだ。

ヘッドの振動具合を変更する「音波カスタムボタン」。「Sensitive」で振動を小さく、「Intensive」で振動を大きく調整できる

 今度は、右側にある[Intensive(+)]ボタンを2回押す。すると、一旦、「ノーマル」へと戻ってから、濃いヒゲを剃るのに適した「ターボ」モードへと動作が変更され、ヘッドが「ビーン」という一段と高い音へと変化する。

 実際に肌に当ててみると、ソフトよりノーマル、ノーマルよりターボの方が、肌に伝わってくる振動が強い。特にターボはかなりの振動で、しばらく肌に当てたままにしておくと、ヘッドを離しても、肌にシェーバーの感覚が残っているかのような感じさえある。


切り替えの様子各モードでどれくらい振動が違うのかを水につけてチェックしてみた。ソフト→ノーマル→ハードと切り替えると、最後のハードでは水の音も大きく、波紋も広くなる様子がわかる

ターボモードでより深く剃る

3日ほど伸ばしておいた長いヒゲを剃ってみたが、キレイに剃れた

 実際にモードを切り替えながら剃って見たが、もともと筆者はヒゲが濃いので、ノーマルモードで剃り始めると、やはりどことなく物足りない感じがする。もちろん、普通にヒゲは剃れるのだが、ノーマルモードだと、どうしても肌に強く押し当てたくなるうえ、往復させる回数も多くなってしまう。

 これに対して、ターボモードをは音とともに肌へと伝わる振動が明らかに増し、明らかに、より多くのヒゲを剃ることができる印象がある。イメージとして伝わるかどうかわからないが、「ズゾゾゾゾッ」という感じで、ヒゲを根こそぎ持って行くような感覚がある。まさに、剃るというより、「刈る」という印象だ。

 4枚刃のシェーバーは剃れる範囲が広いためヒゲを楽に剃ることができる印象があったが、今回のSeries 7の場合は、深く剃れるため、結果的にヒゲを楽に剃れるという印象だ。


実際に剃っているときの様子。ターボモードで剃っている

 ヒゲが濃い場合でも、肌に強く押し当てる必要がなくなるし、往復させる回数も少なくて済む。これまで使っていたシェーバーとあまりにもタイプが違うので、最初は戸惑いもあったが、なるほど、こういう剃り味も悪くないと率直に感心した。

 一方、ソフトモードに関しても、なかなか実用性が高そうだ。筆者はヒゲが濃いので、あまり好みではないが、ソフトモードにして利用すると、確かに肌に当てたときの感触がやわらかい。振動が少ないので、すべるようにして肌の上をスムーズに移動させることができるうえ、剃った後の肌の感覚もやさしい印象だ。

 もともと、ブラウンのシェーバーは、「斬る」ような感覚の剃り味ではないため、剃った後の肌のヒリヒリした感覚があまりしないのだが、ソフトモードでは、こういったヒリヒリ感をより押さえることができそうだ。あまりヒゲが生えない、肌が弱くてすぐにヒリヒリするという人には、振動が少ないソフトモードが適していると言えそうだ。

 なお、どういうタイプのヒゲや肌の場合に、どのモードを使うのが適しているのかは、ブラウンのWebサイトで提供されている「ヒゲ肌診断」でチェックすることができる。

 ちなみに筆者は、肌が乾燥しやすいためか診断結果では「ソフト」と「ノーマル」の併用が推奨された。個人的には「ターボ」モードで使いたいのだが、好みと、肌やヒゲの質から判断される実際とは違うということなのだろう。正しい剃り方を知らないと、かえって肌を傷めることにもなりそうなので、一度チェックしてみると参考になるだろう。

ブラウンのWebサイトで提供されている「ヒゲ肌診断」

意外に肌にフィットするヘッド

 このように剃り味はなかなか好印象だったSeries 7だが、実は気になっていた点がもう1つある。ヘッドの可動範囲が狭そうな点だ。

 実際にヘッドを動かしてみるとわかるのだが、前後にヘッドは動くのだが、左右には動かない仕様になっている。他社製のシェーバーは、前後左右に可動範囲が広い製品もあり、こういった製品に比べると、アゴの下などの複雑な形状の場所などで、剃り残しが目立つのではないかと心配していた。

 しかし、いざ使ってみると、この点もさほど心配する必要はなかった。Series 7は、ブラウンのシェーバーの中でもヘッドの可動範囲が広い「センソフレックスシステム」を採用しているのだ。

 これは、ヘッドが前後が可動するだけでなく、アクティブフロートという構造によって、ヘッドに2つある網刃の部分がそれぞれ独立して左右に傾くように可動する機能だ。

 ヘッドカバーを取り外してみるとよくわかるのだが、Series 7のヘッドカバーは、網刃と内刃が一体型となった構造をしており、アクティブフロートによって網刃部分が可動すると、それと一緒に内部の内刃も可動するようになっている。これによって、網刃の角度が変更されてもきちんとヒゲをとらえて剃ることができるわけだ。

ヘッドは前後にしか動かないが、網刃部分が独立して左右に可動する網刃と内刃が一体となった構造により、可動させてもヒゲを正確に剃れる

アゴの部分に当ててヘッドを動かしたときの様子。複雑な形状部分でもフィットするようになっている

 このため、ヘッド自体を左右に可動させなくても、アゴの下などの複雑な形状の部分にきちんと刃を当ててヒゲを剃ることができるようになっている。

 実際、ヒゲを剃っていても、ヘッドが肌をなぞるようなフィット感があり、剃り残しもほとんど気にならなかった。

 このように、Series 7は強力なパワーだけでなく、ソフトモードやセンソフレックスのような繊細な剃り味を併せ持ったシェーバーと言えそうだ。剃り味としても、個人的にはなかなか好印象だった。

 次回は、こちらもブラウンならではの特徴と言える「クリーン&リニューシステム」を中心としたメンテナンスについて見ていこう。



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2010年5月13日 00:00