長期レビュー

パナソニック「生ごみリサイクラー MS-N53」 その3

~使用感のまとめと、自治体からの助成金の話
by すずまり

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



 最終回となる今回は、これまでの使用感のまとめに加えて、嬉しい情報もプラスしてみた。是非ご覧いただきたい。なお、1回目はこちら、2回目はこちらから。

つぼみや新芽が続々! もしかして肥料がよかった!?

 生ごみのリサイクラーなのに、せっかくできた処理物を肥料としてリサイクルしないのはもったいない話。2回目をお届けした段階では肥料として活用するまでに至らなかったのだが、せっかくなので1カ月ため込んだ分のごみをベランダに置きっぱなしの鉢植えに使ってみることにした。

 本来土に混ぜてしばらく寝かせる時間が必要らしいが、手抜きして塊として残った皮などは取り除き、できるだけ細かくくだけて土のようになった部分を選んですくい取り、直接草木の根元にまいてみた。実は「それでも植物がグングン育つ」という情報を知人から仕入れたからである。

 しばらくは気にとめていなかったのだが、1週間も経った頃だろうか。ふと見ると夏に毛虫に食い散らかされて以来死にかけていたバジルから、生き生きとした葉が多数生え始めていることに気づいた。固形肥料を与えていたが、葉が1cm程度のくしゃくしゃ状態だったのだ。また、放置しすぎて存在すら忘れかけていたミニバラの枝にも新しい葉が増え、黄色いつぼみがついていた。

バジル。手前右下のような小さく成長しない葉ばかりだったのが、大きな葉をつけるようになったつぼみをつけたミニバラ

 さらに完全に枯れ木になって死んだと思っていた七変化の鉢にも変化が。あちこちから大量に新芽が伸びている。もうおしまいかと諦めていたシクラメンの鉢からも若葉が続々顔を出しており、まるで春が来たような状態に驚いている。

節々から新芽が生えてきた七変化(ランタナ)小さな葉がどんどん顔を出してきたシクラメン

 これが与えた肥料の効果かどうかは定かではない。長雨のあとに、久々の日光を喜んでいるだけかもしれないし、単にタイミングがよかっただけかもしれない。しかし、植物が元気になったような気がすることだけは確かで、これは喜ばしい。時々残りの肥料を与えつつ、もうしばらく様子を観察してみようと思う。

ときには掃除も大事

 ガンガン生ごみを処理してくれる「生ごみリサイクラー MS-N53」だが、ときおり温風に巻き上げられたとおぼしき葉や皮がヒーターカバーに絡んでいたり、カバーの中に細かいごみが蓄積するようになる。安定した動作を維持するためにも時々ブラシなどで掻きだして掃除しておこう。あいにく専用ブラシなどは付属していないが、歯ブラシなどで代用できる。またふたを閉めて上から軽く叩くと、ごみが落ちる場合もある。処理容器は水洗い可能だが、洗剤などの薬品は使わないほうがよい。

ふたを開けるとこのような状態に遭遇することもよく見ると意外と汚れていることがわかる風に巻き上げられやすいほど細かいごみが溝に溜まってしまう
新聞紙を敷いて、ブラシで掃除する両サイドにあるロックバネをはずすとヒーターカバーが外れる。ただし戻すのはかなり大変だが……ヒーターカバーの裏側の汚れ方も侮れない

一度使うと手放せなくなる

 「生ごみリサイクラー MS-N53」を使い始めた当初は、邪魔に思えるのではないか、あえて生ごみだけ別の容器に入れるという行動になじむだろうか、など心配だった。1カ月経過した今は、逆にないと違和感をおぼえるくらいだ。

 簡単に言えば生ごみを砕いて乾燥させるだけの機械なのだが、ゴミ袋の口についてしまった悪臭付きの汚れに困るでもなく、ごみ出しの際の思わぬ液ダレの心配もなく、袋の口をきつく縛ってもなお漂ってくる嫌な腐敗臭もなく、ハエなどの虫を集めてしまうこともなくなるわけで、生ごみ問題から解放されるというのは実にすばらしいことなのである。特に1カ月間溜め込んでいる間などは、その分の生ごみを世間に廃棄しなかったことになるわけで、ちょっといいことをしたような気持ちになってみたりもする。

 実は夏からリサイクラーを導入したという料理上手なワーキングマザー(4人家族)がいたので話を聞いてみたところ「この夏は羽バエなしで過ごせた。何しろごみは減るし、生ごみのにおいが部屋から消えたので快適」とのコメントを得た。放り込んでスイッチを入れるだけだから、煩わしさもなく非常に快適に利用しているようだ。

改善してほしい点も

 筆者の場合、昼間でもあまり動作音が気になる方ではなかったが、知人は「ブーン」という低音のモーター音が気になったようだ。そこで予約機能を使って、夜寝ている間に処理しているらしい。

 実は昼間に「標準モード」で運転中に電気ポットでお湯を沸かしたところ、ブレーカーが落ちたことがあった。一度処理を始めると短くても1時間半程度はかかるため、その間に電子レンジやポット、ドライヤーなどを使うのがためらわれることもあるだろう。となればやはり寝ている間の処理は便利である。

 ただし、一度予約時間をセットしても、途中でごみが生じてふたを開けてしまうと設定が解除されてしまうのは不便だった。解除されたことに気づかずに一晩過ごしたこともあったため、できれば指定時刻に動作するよう定時指定ができるとありがたいと思うのは筆者だけではないはずだ。

 また、生ごみを捨てるときは手がぬれていることが多い。ボタンが硬めなので、どうしても手でしっかり押さなければならないのだが、そのままではボタンや手の汚れが気になる。できれば足でふたを開閉できると衛生的で便利ではないだろうかと感じた。


標準モードで処理した1時間25分の様子を約3分に短縮してみた。とはいえ本体は動かないので、操作パネルのランプと動作音の変化だけなのだが

欲しい人に朗報! 自治体から助成金が出る場合も

 「生ごみ処理機が便利なのは分かったけれど、金額をみると手が出しにくい」という方は、ぜひお住まいの自治体の助成金制度をチェックしていただきたい。

 助成金とは厚生労働省所管の支援金。条件さえ満たせばもらうことができ、返済する必要のないお金のことだ。「企業がなんらかの活動をする際、国から援助してもらうお金」というイメージがあるかもしれないが、個人でももらえるものがあるのだ。家庭用生ごみ処理機もその1つ。「助成金を出すから積極的に導入してね」というわけである。

 ただ、自治体によって助成金制度の有無は異なり、助成金制度があっても、その条件や金額も異なる。台数に上限があったり、申請も「購入前」と「購入後」が分かれるなどまちまちなのだ。とはいえ、代金の半額(2万円までなどの上限あり)まで認めてくれるというところもあるので、自分には関係ないと思っていたら非常にもったいないのである。

 今回ご紹介したパナソニックでは「自治体の助成金検索」というWebページを用意しており、市町村名を入力するだけで独自に集めた情報を表示してくれる。ただし2009年4月時点の情報なので、状況が変わっている可能性も高い。

渋谷区の申請書を取り寄せてみた

 例えば筆者の住む渋谷区の場合、前述の情報では台数は100台までとあるが、現在公開されている区の「生ごみ処理機購入費の助成・コンポスト容器のあっせん」では台数までは言及されていない。しかし期間が設けられていることが分かる。実際に電話で伺ってみたところ、確かに台数に上限はあるというが、まだ大丈夫だというお返事をいただいた。

 申請書には領収書を添付する必要があるため、必要な書類は届いた申請書で確認してほしいとのことだ。さらに助成金は年度単位のため、来年度再び本助成金の予算が組まれるかどうかは不明だとか。来年でもいいかと思っていると、助成金自体がなくなってしまう可能性も考えられるのだ。申請が年度末ギリギリになると、駆け込みで台数が上限に達してしまい、買ってみたが受けられないなんてことも考えられる。余裕があるかどうか直前に電話で確認したほうがよさそうだ。お住まいの自治体についても必ず直接確認してみよう。

 「環境のために!」「エコだ!」と声高に叫ばずとも「生ごみの悩みから解放されてホントよかったわ~」と思いながら使っているうちに、少しずつ汚さない暮らしと自家製の楽しみが生まれてくる、それが「生ごみリサイクラー MS-N53」のいいところなのかもしれない。




2009年10月21日 00:00