家電トレンドチェッカー

掃除機の新トレンド! ふとんクリーナーの最新動向をチェック

 ふとん掃除機がこれほど注目されるようになったのは2012年。当時、韓国のブカンセムズ社製のクリーナー「レイコップ」のエントリーモデル「GENIE(ジニー)」とパワフルモデル「MAGNUS(マグナス)」が、本格的に日本上陸を果たした時からだろう。

2012年に国内販売されたレイコップの「ジニー」と「マグナス」

振動/吸引/UV照射に加え、各社が独自の工夫をプラス

 すでに国民の3割~4割が皮膚・呼吸器・目鼻にアレルギー症状に悩んでいると言われている日本国内において、これまでも抗菌や除菌、アレルゲンなどの除去への意識は他国と比較してかなり高かった。だが、なぜかふとんのケアに関してだけは、手間と時間の掛かる“天日干しこそが最高の方法”だと信じられてきた。

 そこに太陽光によって除菌を行なうメカニズムを参考に、ふとんを手軽にUV照射。ダニを叩き出して最終的に吸引する「光クリーンメカニズム」を搭載したレイコップの登場はセンセーショナルだったとともに、非常に分かりやすく、ジャパネットたかたなどの通信販売で取り扱われたことも相まって、大ヒットを果たした。

 “干すよりキレイ”というキャッチフレーズで、カテゴリーリーダーとして君臨するレイコップは、2015年現在、日本で累計販売台数250万台を達成している。その最新モデル「レイコップRP(アールピー)」の新キャッチフレーズは“ようこそ、キレイふかふかの毎日へ”。これまでの「振動」「吸引」「UV照射」の3ステップに加え、新トレンドになりうる可能性を秘めたドライエアブロー機能を追加した。約70℃の温風をふとんに送り込むことで、ふとん内部の湿気や水分を取り除けるようになったのだ。

ドライエアブロー機能を追加した「レイコップRP」

 一方、他社のふとん専用機をチェックしてみると、アイリスオーヤマ、オークセール、LG、アトケアなどが、レイコップの流れにそのまま追随するような形で「UV照射」による除菌機能を採用している。とはいえ、各社がトレンド機能に独自の工夫を加えて個性を打ち出している点もおもしろい。アイリスオーヤマは叩きに加え、キャニスター掃除機などでも採用している「ダニちりセンサー」を組み合わせることで、見えないゴミを視覚化。オークセールは、ワンタッチで、ハンディクリーナーに変えられるハイブリッド仕様を打ち出した。

 LGは「UV照射」機能を本体ではなく充電台に組み込むことで、本体の吸込口を除菌する新スタイルを提案。さらにフィルターにタンニン酸をコーティングすることで、付着したダニなどを不活性化するなど、清潔性に磨きをかけている。

 アトケアもレイコップやLG同様、韓国産のふとん掃除機。「UV照射」とともに、強力モーターによる強い吸引力を実現している。サブホースを搭載することで、ふとん掃除以外の用途、例えば、ベッドの枠とマットレスの間に溜まったほこりなども取れる利便性も備えた。

 それを迎え撃つ日本勢のうち、パナソニックはハンディやキャニスター掃除機などで好評な機能を採り入れた。1つは、同社がほかの掃除機で採用する赤外線センサーを、ふとん掃除機としては初めて搭載したこと。ノズル内部にある赤外線センサーにより、約70μm(マイクロメートル)の微細なダニやゴミまで検知し、ランプで知らせてくれる。さらに2つのローラーで叩きながらブラシでかき出す独自ノズル「W回転ローラー」を採用したことで、ふとんがノズルに吸い付くことなくスムーズかつしっかりと掃除できるようにした。

ダニや微細なゴミまで検知してランプで表示するパナソニックの「MC-DF100C」

未参入のメーカーも、ふとん掃除機市場への意識を強めている

 日本で展開するほかの掃除機メーカーも黙っていない。キャニスター掃除機やスティッククリーナー掃除機などには、ふとん掃除用のノズルを付属。専用機よりもマルチユースでお得感を打ち出すと同時に、吸引力の強さなどで優位性をアピールするメーカーも現れてきた。

 その代表といえるのがダイソンで、コードレススティックとして大ヒットしている各製品に「ふとんノズル」を付属してきた。さらにはミニモーターヘッドをふとん用途に使えると謳い直すほか、“吸引力こそが絶対でUV照射はふとん掃除において無意味”と、サイクロン掃除機同様、実証データなどを武器に自社の強みを強烈にアピール。ふとん掃除機市場でもファン獲得を目指す。

ダイソンのハンディクリーナー「DC61 モーターヘッド」と、付属するふとん用ノズル「フトンツール」
日立が1月の発表会で参考出展した5月中旬発売予定の「ふとんクリーナー PV-FC100」

 また日立は、ふとん専用の掃除機「PV-FC100」を発表し、5月中旬より販売開始することで、ふとん掃除機市場への参入を表明した。こうした状況をみると、今後はほかの国産メーカーも随時ふとん専用機を開発、参入することが容易に想像できる。

各メーカーの最先端ふとん掃除機をチェック

 それでは、各メーカーの最先端のふとん掃除機を見ていこう。特に、それぞれの独自性を中心にチェックしていく。

LGエレクトロニクス・ジャパン「ふとんパンチクリーナー VH9231DS」(実勢価格:約21,800円)
LGが4月上旬発売予定のタンニン酸加工フィルター採用「ふとんパンチクリーナー VH9231DS」

 LGエレクトロニクス・ジャパンは、タンニン酸加工フィルターを採用した「ふとんパンチクリーナー VH9231DS」を4月上旬に発売予定。

 1分間に1カ所約4,000回上下振動する半円型のパンチプレートを、吸引面の前後に2カ所装備。このパンチプレートが毎分合計約8,000回、強く小刻みにふとんを叩くことで、寝具の繊維に絡んだダニの死骸やフン、花粉、ほこりなどを表面に浮かせて除去する。

 さらに防ダニ率100%のふとん「ダニゼロック」を製造するヤマセイ株式会社製の技術を採用し、タンニン酸をHEPAフィルターにコーティングすることで、キャッチしたダニなどのアレル物質を変性させて不活化できるという。新モーターを搭載することで吸引力が強化され、充電器を兼ねるUV除菌ステーションに本体を載せると、紫外線を約5分間照射する。

 本体サイズは200×417×267mm(幅×奥行き×高さ)、重量は2.1kg、消費電力は180W、吸込仕事率は70W、集じん容量は約0.2L、電源コードは5m、本体カラーはホワイト。

LGエレクトロニクス・ジャパン
http://www.lg.com/jp
製品情報
http://www.lg.com/jp/vacuum-cleaner/lg-VH9231DS

レイコップ「レイコップRP」(実勢価格:約58,300円)
ドライエアブロー機能を搭載した「レイコップRP」

 レイコップ・ジャパンは、ふとん内に溜まった汗や湿度による水分も取り除ける「ドライエアブロー」機能搭載の新モデル、「レイコップRP(アールピー)」を発売。

 約70℃にあたためられた空気をふとんに送り込み、ふとん内部の水分を取り除くのだ。さらに「光クリーンメカニズム」を搭載。ふとん表面を叩きながらUVランプを当て、ダニなどを吸うことで、ハウスダストを効果的に除去できるほか、ハウスダストが発生しにくいふとん環境を作れるのが特徴。

 本体サイズは359.8×488.8×169.4mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は3.4kg、最大消費電力は750W、吸込仕事率は67.4W、集じん容量は約0.4L、電源コードの長さは5mで、本体カラーはホワイトとブラックの2色。

レイコップ
http://www.raycop.jp
製品情報
http://www.raycop.jp/product/rp/

オークセール「siroca crossline 2WAY ハンディ&布団クリーナー stingray SVC-350A」(実勢価格:約11,300円)
ハンディクリーナーとしても活用できるオークセールの「SVC-350A」

 オークセールの「siroca crossline 2WAY ハンディ&布団クリーナー stingray SVC-350A」は、UVランプ照射と3,600回転/分のたたき機能を備え、ふとんの中にいるダニの死がいやフン、細菌などをパワフルに吸引して除去。除菌率99.9%、ダニ除去率99.2%を実現する。ふとん掃除機からワンタッチで、ハンディクリーナーに変えられる設計のハイブリッド仕様だ。

 本体サイズは292×418×192mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約2.1kg、消費電力は400W、吸込仕事率は45W、集じん容量は約0.6L、電源コード4.5m、本体カラーはパールホワイト。

オークセール
https://www.aucsale.co.jp/
製品情報
https://www.aucsale.co.jp/products/brand/siroca/svc-350a.html

アイリスオーヤマ「コードレスふとんクリーナー KIC-FDC1-WP」(実勢価格:19,800円)
約20μmの微細なダニやゴミまで検知して知らせてくれるアイリスオーヤマの「KIC-FDC1-WP」

 アイリスオーヤマは、ダニちりセンサーを搭載した「コードレスふとんクリーナー KIC-FDC1-WP」を展開する。

 約20μmのゴミを検知する「ダニちりセンサー」を備え、ダニや花粉を検知すると、赤、黄、緑の3色のランプでゴミの有無を知らせる。約6,000回/分振動し、ハウスダストを浮かせる2つの「たたきパッド」や、ヘッド内部に竜巻状の気流を発生させてハウスダストを除去する「サイクロンヘッド」を搭載する。ふとんを紫外線で除菌するUV管を装備。ダニなどを弱らせて、叩いて、最終的に吸い込む。

 本体サイズは254×153×425mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約2.1kg、吸込仕事率は非公表、集じん容量は約0.13L、電源はニッケル水素電池、充電時間は約3.5時間、使用時間は約20分。本体カラーはパールホワイト。

アイリスオーヤマ
http://www.irisohyama.co.jp/
製品情報
http://www.irisohyama.co.jp/futon_cleaner/

パナソニック「ふとん掃除機 MC-DF100C」(実勢価格:13,000円)
2つのローラーでたたいてブラシでかき出すパナソニックの「MC-DF100C」

 パナソニックの「ふとん掃除機 MC-DF100C」は、センサーでダニやゴミを検知する。

 約70μmの微細なダニやゴミまで検知できる赤外線センサーを搭載し、ゴミを吸い取っている時には赤いセンサーランプが点灯し、ゴミを取り除き終わると消灯する。赤外線センサーを搭載したのは業界初で、目に見えないサイズのゴミまで取れたことを確認でき、安心感にもつながる。ノズルはローラーで叩きながらブラシでかき出す独自の「W回転ローラー」を採用。ふとんの上をたたきながら、かき出しブラシで、繊維に絡んだダニや花粉を独自の4層フィルターでしっかりキャッチする。

 本体サイズは126×360×172mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約2.3kg、消費電力は700W、吸込仕事率は180W、集じん容量は約0.4L、電源コード5m、本体カラーはピンクとホワイトの2色。

パナソニック
http://panasonic.jp/
製品情報
http://panasonic.jp/soji/futon/

アトケア「布団掃除機 UVサイクロンクリーナー EP1000 ULTRA SONIC」(実勢価格:13,400円)
545Wの強力モーターを搭載するアトケアの「MC-DF100C」

 アトケアの「布団掃除機 UVサイクロンクリーナー EP1000 ULTRA SONIC」は、吸引力の強さとUV照射による除菌力が特徴。545Wの強力モーターの吸引力と、3,500回/分以上も回転するブラシで、寝具・ソファ・カーペット・ぬいぐるみなどの繊維の奥に潜むダニや有害物質を取り除く。内蔵されたUVランプを2秒間照射するだけで、一般細菌やウイルスなどを除菌。また、ベッドやソファの隙間などもサブホースで掃除しやすい。サイクロン式を採用し、570ccの大容量透明ダストケース内にゴミを溜めると同時に、HEPAフィルターを搭載することで排気をきれいにできる。

 本体サイズは222×358×200mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約2.9kg、消費電力は550W、吸込仕事率は285W、集じん容量は約0.57L、電源コード5m、本体カラーはピンク。

アトケア
http://www.atocare.jp/
製品情報
http://www.atocare.jp/?mode=f1

滝田 勝紀