家電トレンドチェッカー
これまでとは別モノ!? 梅雨入り前に押さえておくべき「衣類乾燥除湿機」の最新トレンド
(2015/6/3 07:00)
これまでの「衣類乾燥除湿機」は、どちらかと言えば、全国的な視点ではマイナーな家電として位置づけられていた。
だが、今年はパナソニック、シャープ、三菱電機といった大手メーカーがこぞって、衣類乾燥除湿機の新モデルを投入。さらに象印マホービンまでが新モデルをリリースするなど、梅雨を前にして市場自体が、徐々に盛り上がってきた。さらに、従来のように限定的なエリアでだけ注目されるのではなく、首都圏を中心に全国的に、注目が高まりつつある。
この盛り上がりについては2つの大きな要因が考えられる。1つは大気汚染。PM2.5や黄砂といった有害物質が、洗濯物に付着することに抵抗を感じる人が、全国的に増えたこと。もう1つが、住環境的な制約。マンションなどの規約で、外干しを禁止する高層マンションが増えたり、防犯上の理由で部屋干ししていたり、夜にしか洗濯できない夫婦共働き家庭が増えるなど、以前に比べ、部屋干し需要が高まっているからだろう。
より“衣類乾燥”に最適化しているのが最新モデル
そんな市場状況や、除湿機を部屋干し対策として使うケースが多いという事情を踏まえた新製品が相次いでリリースされている。単に除湿機に衣類乾燥機能を追加したのではなく、より衣類乾燥に特化した形で設計し直したものが、充実。今や、これまで「除湿機」という大きなカテゴリーでくくられていた状態から、「衣類乾燥除湿機」が新たなカテゴリーとして確立されたのだ。その代表モデルが、象印マホービンの衣類乾燥除湿機「サーキュレート ドライ RJ-XA70」だろう。
「サーキュレート ドライ」が新しいのは、それまでの洗濯物に直接風を当てるという方式ではく、部屋全体に風を循環させる方式を採用した点にある。この新たな方式は、よりスピーディーに衣類を乾燥できるため、今後のトレンドを牽引するかもしれない製品なのだ。
なお、「除湿機」と同様に「衣類乾燥除湿機」には、ゼオライト式、コンプレッサー式、ハイブリッド式という3つの除湿方式が存在する。現在のトレンドとしては、消費電力の低いコンプレッサー式を採用した製品が多い。これは、電気料金が値上がりする傾向にある今、節電志向が高まっているからだと推測できる。
最後に、新製品の特徴を理解するうえで重要な、ゼオライト式、コンプレッサー式、ハイブリッド式の各特徴について触れておく。
ゼオライト(デシカント)式
水分の吸着性能に優れたゼオライト(デシカント)と呼ばれる、乾燥剤で水分を取り除く方式。ゼオライトに水分を吸着させ、乾いた空気を吹き出すのだ。吸着した水分は、ヒーターで温められた熱交換器内を通り、冷やされて水滴に戻った状態でタンクに溜まる。四季を問わず冬場でも安定的に使え、コンプレッサーがないのでコンパクト。だがヒーターを使うため、消費電力は大きい。発熱量も高いため、夏は室内温度の上昇が気になる。
コンプレッサー式
空気を冷やすことで、水分を除去する方式。コンプレッサーを通して冷媒を循環させ、冷却器で湿った空気を冷やして湿気を水滴に変える。冷風機能や空気清浄機能など、+αの機能が搭載されたモデルも多い。夏場の除湿能力は非常に高く、消費電力や室温上昇も少なめ。デメリットは、本体サイズがやや大きく、コンプレッサーにより振動音が大きくなる点。
トレンド機能を搭載した「衣類乾燥除湿機」の最新モデルをチェック
象印マホービン サーキュレートドライ RJ-XA70(実勢価格:約45,000円)
ゼオライト(デシカント)式を採用。除湿のための空気を直接衣類に当てるだけでなく、「360°送風オートスイングルーバー」により、部屋の空気を効率よく循環させることでスピード乾燥する。円形ボディを採用し、ルーバーを配置した上部がぐるっと回転するのが特徴。首振りの範囲や上下広報への角度も調整できる。操作ボタンは本体上部に円形に配置。
パナソニック 衣類乾燥除湿機 F-YHLX120(実勢価格:約60,000円)
ハイブリッド式を採用。最大165cm幅で一気に送風できるワイドルーバーを搭載し、梅雨時期で約43分、冬季でも59分と1年中乾燥スピードNo.1を実現している。また、ナノイーによる除菌、脱臭機能も搭載する。上下160度、左右120度開くメガスイングルーバーを搭載。周囲の空気も誘引し、たっぷりの空気を送れる。ワイド165cm送風ができるワイドルーバーを搭載。より広い範囲に風を送ることでスピード乾燥ができる。
シャープ プラズマクラスター除湿機 CV-EF120(実勢価格:約55,000円)
コンプレッサー式を採用。天井から床付近まで広角上下180°送風ができる「広角自動スイングルーバー」と搭載し、より広い範囲にプラズマクラスターイオンと風を送ることが可能。本体背面にはHEPAフィルターと脱臭フィルターを搭載し、よりキレイな空気で除湿できる。広角自動スイングルーバー」により上下最大180度の送風が可能。これにより2段干しでも乾きムラが抑えられる。操作パネルは本体上部に配置。衣類乾燥モードの他、イオン送風や空気清浄モードも用意している。
三菱電機 部屋干し3Dムーブアイ MJ-120KX(実勢価格:約42,000円)
コンプレッサー式を採用。赤外線/湿度/温度センサーが、衣類の温度や湿度をきめ細かく検知。洗濯物の量と位置を見分けながら除湿する。左右100度/上下160度の可視範囲を529エリアに分割し、ピンポイントに送風できる。ルーバーの中央に赤外線センサーによる「3Dムーブアイ」を配置。ルーバーの動きに合わせて部屋の状況を検知する。操作パネルには大型の液晶ディスプレイを配置。3Dムーブアイによる各エリアの乾燥状態が表示される。