【特別企画】
シャープ、「誠意と創意」の歴史を辿る 第5回
シャープの歴史について全6回で掲載しております。(編集部)
第1回/第2回/第3回/第4回/第5回/第6回
■ナンバーワンよりオンリーワンを目指す
シャープの創業者である早川徳次氏。徳次氏の口癖は「他社に真似される商品をつくれ」だったという |
また、創業者である早川徳次氏が常々語っていた「他社に真似される商品をつくれ」という言葉からも、先進的な技術とアイデアを持ち込んだユニークな製品が目白押しだ。
その言葉は、2代目社長の佐伯旭氏のときには「新たな需要を創造する」となり、3代目社長の辻晴雄氏のときには「ユーザーの目線に立った商品」へと変化し、4代目社長の町田勝彦氏の「ナンバーワンよりオンリーワンを目指す」という言葉へと引き継がれた。
現会長である町田氏は、これを「創意の遺伝子」という言葉で表現する。
2010年1月、シャープは、新スローガンとして、「目指してる、未来がちがう。」を発表した。
1990年から使用してきた「目の付けどころがシャープでしょ。」から一新したもので、従来の概念にとらわれない「オンリーワン」という考え方のもとで、ソーラー、LED、プラズマクラスターといった基幹技術を柱に、人々の暮らしや世の中をより良く変えていきたいという、企業姿勢を示したものだとしている。
ここにも、「創意の遺伝子」が伝わっているといえよう。
「創意の遺伝子」は、製品にどんな形で表現されているのだろうか。写真を通じて、第1号製品や独創的な製品を通じて、シャープの歴史的製品を紹介しよう。
シャープが開発した国産第1号の鉱石ラジオ。震災後に大阪で再起を目指した早川氏が1925年に組立に成功 | 1931年に発売したシャープダイン。「ラジオはシャープ」を定着させることになる | 1932年に発売したシャープダイン「奉仕号33型」。低周波二段増幅回路による中距離用ラジオとしてベストセラーになった |
1933~40年に開発したラジオ用の各種部品。部品も自ら製造するというのがシャープの手法で、当時から高い信頼性を実現した | ストッピングコンデンサ。ラジオに採用した独自ブランド部品の1つ | 1941年発売の押しボタン式5球スーパーラジオ「SB-500」。押しボタンで選局ができるのは当時としては画期的 |
こちらは1952年に発売した6球スーパーラジオ。電波が良好な状態になるとランプ全面が緑色になるマジックアイ機能と、局名コールサイン入りのアイデア製品 | ロケット型のトランジスタラジオ。1959年の発売。トランケットの愛称で呼ばれた | 1960年に開発した太陽電池を搭載したトランジスタラジオの試作品 |
世界初のワンタッチ一発選曲「APSS」を搭載したカセットテープレコーダー「GF-123MT」。1975年に発売 | 世界で初めてダブルカセットデッキを搭載した「ザ・サーチャーW GF-808」。1979年に発売した |
国産第1号となったシャープの白黒テレビ「TV3-14」。価格は175,000円。当時の公務員の初任給は8,700円だった | 白黒第1号テレビのロゴ。赤地にシャープのロゴと、英文でHAYAKAWA ELECTRIC CO.,LTD.の文字 | 白黒第1号テレビに搭載されたチューナー部。GHQの図書館にあった海外の文献を頼りに主要部品を開発したという |
1960年に発売したトランジスタテレビ「TRP-801」。8.5型の小型テレビで、持ち運びに最適化し、レジャーブームを先取りした | シャープ第1号となるカラーテレビ「CV-2101」。1960年に発売した21型カラーテレビで、価格は50万円 | シャープが2001年に発売した20型液晶テレビ(手前)と厚さを比較してみる。重量も78kgが7.8kgと10分の1になった |
当時、業界最高画素の92,160画素を実現した3型液晶テレビ。1987年に発売 | 1991年に発売した世界初の「夢の壁掛けテレビ 液晶ミュージアム」。奥行き10cmを実現した。壁掛けの提案はシャープが最初 |
1995年に発売した10.4型液晶テレビ | 現在、液晶ディスプレイとしては最大となる108型は、業務利用が促進されている |
1949年に発売した折畳式アイロン。携行できるのが特徴 | 1962年に発売した超音波洗浄機。時計部品の修理の際に丸洗いができるとして時計店などで活躍した | シャープ第1号の水冷式クーラー「RC-101」。1958年に発売したもの。地下水を利用することで室温が高いほど冷えるというアイデア製品 |
シャープ第1号のキッチンロースター「KF-650」。ヒータを上部に取り付けた天火型のため煙がでないという製品 | 1961年に発売した自動洗米機。フードミキサーとしても使用できるという | 1962年に発売したゼンマイ式カミソリ。電気を使わないため維持費が不要。コードもないため使いやすかった |
国産初のターンテーブル式第1号家庭用電子レンジ「R-600」。ムラ焼けを無くすこのスタイルがその後の主流に | 世界初の気化物センサーとマイコンを搭載したセンサーオーブンレンジ「R-5800」。1980年に発売 |
大ヒット商品となっている「ヘルシオ」 | 独自のヘルシオエンジンによる「水で焼く」というコンセプトが健康志向に合致した |
■自転車のベルからひらめいた電子レンジの“チン”
シャープの第1号電子レンジ「R-10」。1962年に発売。ホテルなどの業務利用が中心だった。「チン」という音はシャープが最初だ |
そこで閃いたのが、自転車のベル。早速、自転車店をまわり、様々な種類の自転車のベルを購入し、聞き比べることで、ようやく求めていた音色を探し出したという。電子レンジを使うことを「チンする」というが、それはこの時に採用した音がはじまりだった。
1958年に発売した冷蔵庫「HR-330」。一日の電気代は10円。氷を利用した従来の冷蔵庫に比べて大幅な経済性を実現した | 世界初の左右両開きを実現した冷蔵庫「SJ-38WB」。ブローチの止め金具をヒントに実現したという |
出来立ての温かい料理も保存できる「愛情ホット庫」を搭載した冷凍冷蔵庫「SJ-HV42M」 | プラズマクラスターイオンを搭載した初の空気清浄機「FU-L40X」 |
世界初のオートトランジスタダイオードを使用した電子式卓上計算機「CS-10A」。1964年に発売された | 1968年に発売した世界初のMOS-ICを採用したICコンペット16「CS-16A」。世界で一番小さく、軽い電卓だった |
1973年に発売したCOS化電卓「EL-805」。世界初の液晶表示電卓でもあり、ポケットサイズを実現した | 世界で初めてフレキシブル基板を採用したコンパクト型電卓「EL-8009」。折り畳みを可能としている | 1977年発売の平面タッチキーを採用した「EL-8130」。薄さ5mmを実現。「ボタン戦争は終わった」のキャッチコピーが話題に |
そろばんと電卓を一緒にした「ソロカル」。ユニークな製品の1つだ | 1980年に発売した世界初のしゃべる電卓「CS-6500」。音声合成技術により、経過や結果を読み上げ、計算の正確性を高めたという | 太陽電池付きカード電卓「EL-835」。コンパクト性と電池交換不要としたことで話題の製品に。これは1981年の発売。最初に太陽電池を搭載したのは1976年発売の「EL-8026」 |
しゃべる電卓「CS-6500」を使用している様子 |
シャープ第1号の複写機「SF-201」。1分間に10枚のコピーがとれた | 世界初となるフロントローディング方式のビデオカセットレコーダー「マイビデオV1」。1979年に発売。ビデオはテレビの下に置くという常識を定着させた | 日本語、英語を相互に翻訳する日本初の電池式携帯音声電訳機。ここにソフトバンクの孫正義社長の学生時代の提案が生きている。1981年の発売 |
1981年に発売されたMZ-80B。CPUにZ80Aを採用した人気パソコン | キーボード部の表記方法もいまとなってはユニークだ | 1982年に発売されたパソコンテレビX1。テレビ事業部門が開発した製品で、MZシリーズとの互換性はなかった |
1990年にはAX仕様に準拠したパソコン「MZ-8754A」を発売 | 日本語ワープロ専用機「書院 WD-820」。1987年に発売。書院は日本語ワープロ専用機市場で存在感を発揮した | 1990年に発売した業界初のホームFAX。世界最薄となる39mmと、斬新なデザインが高い評価を受け、家庭でのFAX利用を一般化することになった |
液晶モニターを見ながら撮影するという新たなスタイルを提案した液晶ビューカム「VL-HL1」。1992年に発売 | 電子手帳といえばシャープという時代を築いた1987年発売のPA-7000 | 1993年発売の液晶ペンコム「PI-3000」。愛称は「ザウルス」。手書き文字認識機能を搭載し、ペンタッチ操作を実現した |
シャープが発売する電子辞書の数々。電子辞書はますます進化を遂げている | 当時のJ-PHONE向け携帯電話「J-SH04」 | カメラレンズの横に鏡をつけて、自分自身を撮影する際に便利なように工夫した。2000年に発売 |
シャープが今後の柱とする液晶、太陽電池、LED。液晶パネルの写真は、グリーンフロント堺で生産する第10世代液晶パネルのマザーガラスと片山幹雄社長 |
次回は、最終回として、シャープがくぐり抜けてきた、苦難との戦いを紹介する。
2010年1月18日 00:00