やじうまミニレビュー

ヒートプロテック「あつべんクン」

~ACアダプターで加熱するアツアツお弁当箱
by 石井 和美


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ヒートプロテック「あつべんクン」

 冬は温かいお弁当を食べたいので、寒くなると保温タイプの弁当箱を利用している。お弁当を温めるのなら電子レンジを使えば済むことだが、会社には1台しか電子レンジがない上に、なかなか温まらない古いタイプのものなので、とても面倒だ。

 そこで、朝詰めたごはんとおかずを温かく保ってくれる保温弁当箱を探していたところ、コンセントから電源をとって、弁当箱そのものを加熱する弁当箱、ヒートプロテックの「あつべんクン」を発見した。

 


メーカーヒートプロテック
製品名あつべんクン本体+ACアダプターセット
希望小売価格オープンプライス
購入場所あつべんクンホームページ
購入価格6,930円

 

遠赤外線面相発熱体を使用。1回の加温約70分の電気代は約0.6円

 あつべんクンは、付属のACアダプターでコンセントから電源をとり、お弁当箱そのものを温めることができる弁当箱だ。ほかにも場所や用途に応じて、自動車のシガーライターから使える「DCアダプターセット」、場所を問わず使える「充電式リチウムイオンバッテリーキットセット」も用意されている。

 お弁当箱の本体サイズは、160×100×90mm(幅×奥行き×高さ)。食後は重ねられるので高さが70mmとコンパクトになる。本体は上段と下段の2段に分かれており、容量は、上段の容器が220ml、下段の容器が360mlで、下段に入るごはんは、お茶碗約1.8杯分程度だ。

 加熱は、下段の容器に付いている銀色の発熱プレートで行なう。発熱プレートは、電熱線ではなく遠赤外線面相発熱体を採用しており、食材を均一に温め、設定温度以上に温度が上昇することを防ぐ効果があるという。上段の容器は下段の余熱で温まるしくみだ。

女性でも男性でも違和感なく持てるスッキリとしたデザイン。左から加温ケース、下段容器飯器、上段容器菜器銀色の部分は発熱プレート。全体的に熱くなる
エンボス加工が施された下段容器上段容器はフタ付きお弁当箱本体に給電ポート
フタは大きく、覆い被さっている食後は重ねられるので20mmほど薄くなる

 使うにはまず、付属のACアダプターであつべんクンを繋ぐ。コンセントに差し込むと、自動的に加熱が始まり、70分ほどで、発熱プレートが最高の75~85℃まで温まる。食べる際には電源プラグと給電プラグを抜く。この70分の加温にかかる電気代は、わずか約0.6円という。

ACアダプター電源プラグを給電ポートに差し込むと電源ランプが点灯する
上段容器におかず、下段容器にごはんを詰めた重ねて上段にはフタをする加熱プレートに載せる
加熱するときはこのように電源ケーブルでつなぐバンドやお弁当袋が付属していないのは残念。電源ケーブルを忘れずに持って行くオフィスでは引き出しの中で加温している

 給電プラグを抜いた後も、しばらくは発熱プレートが高温の状態が続く。そのままにしておくと下段に入れたごはんが乾燥して硬くなってしまうから注意したい。

 もし、長時間加熱しておく場合には、ごはんをラップで包んでおくことをおすすめする。そうすることで、長時間加熱していても、しっとりとして炊きたてのようなアツアツごはんが食べられる。

冷凍食品もそのまま入れておけば、食べる頃にはアツアツに

 加熱中、お弁当箱自体はそれほど熱くならなかった。フタの部分を持った時にも、熱いと感じない。

 70分後に計測したごはんの中心部の温度は72.3℃。一般的においしいといわれるごはんの適温は60~70℃と言われているが、かなりアツアツでおいしい。あまりにも熱いので、食べたときに「あつっ! 」と口走ってしまったほどだ。特に発熱プレートに近い底の部分は高温になっている。

想像以上に熱くてビックリ!アツアツでおいしい電子レンジを使用しないので、アルミのおかずケースが使えるのも便利

 気になったのは、加熱時間だ。加熱には1時間以上かかるので、その間ずっとお弁当箱をデスクに出して加温しておくのはちょっと気が引ける点だ。対策として、延長ケーブルを引き、あつべんクンは会社の引き出しに入れて加熱することにした。

 また、あつべんクンのフタはかぶせるだけのタイプなので、持つときに注意が必要だ。上のフタだけを持つと下段ははずれてしまう。できれば、専用のゴムバンドも付けてほしかった。

 なお、下段が飯器となっているが、入れる食材はごはんに限らず、温めたいものを入れればよい。カレーやシチュー、または冷凍食品など、おかずを温めたい場合は下段に入れる。

 試しに冷凍カニクリームコロッケを、解凍せずにそのまま下段に入れた。昼食時にあつべんクンを加熱すると、中までしっかり温まっていた。朝の忙しい時間に、冷凍食品を解凍してから弁当箱に詰め込む手間が省けて非常にラクだ。

冷凍食品もそのまま入れられる。今回はカニクリームコロッケコロッケもアツアツに!ただ、フタをしたまま加熱されるため、残念ながらサクッとした食感はないコロッケの中心部は57.8℃

 こんなに熱くなるのでは、半熟卵を入れたら完全なゆで卵になってしまうのだろうか。心配しながらも試してみたところ、半熟卵はそのままだった。底に接触している白身の部分は熱いものの、黄身に火を通すほどの火力ではないようだ。

半熟卵が好きなので、火が通り過ぎると悲しいなと思っていたが……70分加熱しても黄身は半熟のまま。白身部分はかなり熱くなっていた
カレーはラップで包んで下段に入れておくと漏れにくくなる

 別の日には、アツアツのカレーが食べたくて、ルーを下段に入れて持参した。あつべんクンは密閉容器ではないため、ニオイ対策も兼ねて本体をラップに包んだが、スッポリかぶさるフタのおかげか、加温中にもカレーのニオイはそれほど気にならなかった。

 またカレーのような汁物は、上の方がぬるくなりがちなので、少し長めに加温し、よく混ぜてから食べることをおすすめしたい。

 上段に入れたごはんの温度がどうなったかというと、31℃まで温まっていた。冷たくはないが、特に温かいわけでもない。下の容器に入れた食材がこれほどアツアツになるのだから、もう少し容器を工夫して、上段まで熱が伝わりやすくなるとさらに良いと思う。

愛用していた女性向けの保温弁当箱左側は、飯器が0.28L、おかず容器が2つあわせて3.5L。容量はあつべんクンのほうが多い。

 以前使っていた保温弁当箱は、最高でも58℃前後。しかも、ごはんを入れる前に容器を熱湯で温め、再度ごはんを電子レンジで加熱して容器に入れるといった手間があった。あつべんクンなら詰めるだけなので、忙しい朝の時間でも、そのまま入れられる。

 容量に関しては、成人男性でも十分な分量だろう。下段一杯にごはんをいれると茶碗約1.8杯分になるので、女性には少々多すぎるかもしれない。個人的にはいつも下段におかずを入れて、ホカホカのおかずを楽しんでいる。


電子レンジに向かない食材も温められるので便利

 あつべんクンは、電子レンジに向かない食材もしっかり温められるのも嬉しい。電子レンジで卵やたらこ、豚の角煮などを加熱しすぎると、飛び散ってしまうことがある。また、カレーなどはラップをしないで温めると、庫内にニオイが残って気になる。あつべんクンは、発熱プレートで加熱するので、そういった心配を一切しなくていいので、気がラクだ。

 一度あつべんクンの温かさを体感してしまうと、これまで使っていた保温弁当箱では物足りなくなるほど。ACアダプターはオフィスに置きっぱなしで、毎日お弁当本体だけ持ち歩いているので、荷物もそれほどかさばるわけではない。

 また、あつべんクンはパーツが少なく、毎日洗うのがラクな点も嬉しい。

 あつべんクンは、冒頭にも触れたように、今回使ったオフィス向けのACアダプター付きタイプのほかにも、車移動が多い方にはDCアダプターセット、外で気楽にアツアツごはんを食べたいという方には充電式リチウムイオンバッテリーキットセットも用意されている。食べる場所に合わせて電源を選択し、出先でアツアツのお弁当を味わってみてはいかがだろうか。





2011年 12月 2日   00:00