LED電球、どれを買う?

パナソニック「EVERLEDS クリア電球タイプ LDA4LC」

~これがLED!? 見た目や雰囲気までこだわった“クリア電球”
by 藤原 大蔵

クリア電球のきらめきやぬくもりまでも再現するLED電球が登場

パナソニック「EVERLEDS (エバーレッズ) LED電球 クリア電球タイプ 210lm LDA4LC」

 白熱電球の代替として進化を続けるLED電球は、その明るさ、配光性、演色性といった“あかりの質”においても進化を遂げており、ますます生活の中に浸透しつつある。それは「見た目」や「雰囲気」についても同じで、形状は小型に、重量は軽くなり、シルエットもかなり白熱電球に近づいている。

 しかし、個人的な思いではあるのだが、慣れ親しんだ白熱電球の、単純で優しげなあのデザインが消えてしまうのは、なんだか悲しい気持ちになる。時代の流れとは言え、あのぬくもりのある風貌まで刷新されてしまうことに、一抹の寂しさを感じていた。

 そんな折、筆者の感傷的な気持ちを払拭するような、新たなLED電球がパナソニックから登場した。姿、形とも、白熱電球のクリア電球そのものなのだ。

 一般的なLED電球は、LEDの直線的な光を広げるため、電球カバーに半透明のものを採用しているが、本製品の電球カバーは完全に透明。このガラス製グローブは、同社のクリア電球のグローブをそのまま採用したという。しかも、そのグローブから透けて見えるLED素子は、まさに白熱電球のフィラメントを模したデザインとなっており、位置、幅、発光部を支える導入線の角度など、細かな部分までクリア電球を踏襲している。2011年度のグッドデザイン賞で、大賞候補となった6件の1つに選出されたのも納得だ。

クリア電球(右)との比較。フィラメントを模したLED素子は、幅、位置、導入線の角度までクリア電球にとても近いLED素子は、フィラメントのようにライン状に二列に配置されているEVERLEDSのパンフレットより抜粋した、クリアタイプLED電球が光る仕組み。発光体の光は、基板を通過して口金方向へも届く
点灯した様子。写真左は斜め上から見たところで、発光体がライン状に輝いているのがわかる。写真右は下から撮影したものだが、光は基板を通過し、下方向へ輝いているクリア電球(左)と並べても、光はソケット方向へもしっかり届いている

 スペックを見ると、電球自体の明るさを示す全光束は210lmで、日本電球工業会の基準で「20W形白熱電球相当」という位置づけとなる。点灯すると、光は口金方向にもしっかり届き、"全方向タイプ"に近い光の広がりが得られる。エバーレッズシリーズのLED電球なので、密閉器具にも例外なく対応している。定格寿命は40,000時間だ。

 今回は、「明かりの質」だけでなく「見た目」にも目を向けた、パナソニック「EVERLEDS (エバーレッズ) LED電球 クリア電球タイプLDA4LC」を紹介しよう。クリア電球らしい特徴がどれだけ再現できるのかを軸に、実際の生活空間でどのような活用方法があるのかを探っていく。

 なお、これまでのレビューでは電球型蛍光灯とも比較をしていたが、クリア電球のようなきらめき感のある蛍光灯はほとんど存在しないので、電球形蛍光灯との比較は割愛する。この点はご了承いただきたい。


メーカー名パナソニック
シリーズ名EVERLEDS(エバーレッズ)
クリア電球タイプ
品番LDA4LC
全光束210lm
定格消費電力4.4W
口金タイプE26
光色電球色相当
白熱電球と比較した光量20W形相当
(ランプ単体)
定格寿命40,000時間
調光器対応-
密閉器具対応
サイズ(高さ×直径)98×55mm
重量50g
実売価格3,480円
(yodobashi.com)
※40W形クリア電球はパナソニックの「L100V40W」(115円で購入)を使用
※※20W形クリア電球は東芝ライテックの 「LC110V20W」(136円で購入)を使用



【基本スペック編】

サイズ比較

 サイズは高さ、直径ともクリア電球と全く同じで、98×55mm(高さ×直径)だった。回路部以外、フォルムもクリア電球と全く同じだ。放熱部は白い樹脂で覆われており、高さは17mmだった。放熱部が電球のアウトラインから約1mmはみだしているが、口金付近の直径もクリア電球と同じ32mmなので、ほとんどの器具に問題なく取り付けられるだろう。

 重量は実測で51gだった。この数値は、これまでレビューしたE26口金のLED電球の中でも最軽量だ。クリア電球(32g)よりも19g重いだけなので、器具への負担はまず気にする必要はない。

高さは98mmで、クリア電球(左)と全く同じ。口金付近の太さも、32mmでまったく同じだった。さらにいえば、発光体の位置や幅まで、クリア電球と同じ。重量は51gで、E26口金のLED電球の中で最軽量だ直径も全く同じ55mm


器具に取り付けたようす

 器具とのバランスはクリア電球と全く同じ。器具から覗く電球の外観も、ロゴが無いだけで、クリア電球そのものだ。放熱部はほぼ真下から覗かないと見えないので、多くの器具に違和感なく取りつけられるはずだ。

【クリア電球:40/20W形】
電球の端が少し覗いている程度の角度から撮影した
【エバーレッズ:LDA4LC】
背の高さが全く同じなので、見た目の印象もまた同じ。放熱部も相当覗き込まない限り見えてこない。唯一の違いといえば、電球表面のロゴの有無くらいだ


光の広がりかたと配光性

 拡散性はクリア電球にとても近い。横方向のみ弱い印象はあるが、光は光源部を中心に、上、斜め上、そして口金付近へもしっかりと拡散している。また、光が遠くまで届く印象もある。

【クリア電球:40/20W形】
ソケットぎりぎりまで明るい。電球を中心に床面に近いところから光が広がっている。導入線の影、ガラスグローブによる光の屈折が見える
【エバーレッズ:LDA4LC】
横方向には弱いが、床面へもしっかり光が届いている。どちらかというと、全方向タイプに近い。光は遠くまで届く印象だ

 電気スタンド型の器具との相性は、全く問題ナシ! バッチリだ。テーブル面へも上方向へも光がほぼ同じ強さで放たれ、上下の明るさの差がほとんどできない。

 しかも、LED素子の位置がクリア電球のフィラメントとほぼ同じなので、陰影ができる位置、表情さえも肉薄している。違いは光色と電球内部の導入線によってできる影が違うぐらいで、このようなスタイルの器具の特徴を十分に引き立てるだろう。

【クリア電球:40/20W形】
シェードは中心からまんべんなく光っている。シェードの上下からも、ほぼ同じ明るさの光が漏れる印象があり、影の輪郭はくっきりと映る。導入線の影も見える
【エバーレッズ:LDA4LC】
クリア電球にそっくりだ。シェードから漏れる光は、上下の明るさの差がほとんど感じられないほど。影のできる位置までほとんど同じだ


明るさ(55cm直下の照度)

 直下照度は260lxだった(点灯10分後)。日本電球工業会の基準で「20W形白熱電球相当の明るさ」のLED電球ゆえ、40W形クリア電球の明るさには及ばない。しかし、20W形クリア電球とは比較にならない程明るかった。

 明るさの計測中、気になることがあった。点灯した瞬間は325lxと明るかったのに、時間とともに徐々に明るさが落ちてしまったのだ。10分ぐらいで明るさは260lxで安定したが、この点は少々残念だ。

【クリア電球:40W形 460lx】
光源を55mm上方にセットし、直下照度を計測した
【クリア電球:20W形 87lx】
【エバーレッズ:LDA4LC 260lx(点灯10分後)】
明るさが安定するまで10分程度かかった
【エバーレッズ:LDA4LC 325lx(点灯直後)】
こちらが点灯直後のようす。この状態で明るさが持続すればなお良かった

 実を言うと、実際の明るさを目にするまで、“20W相当の明るさ”という暗い電球に、家の中でどんな使い道があるのか、と疑問を抱いていた。しかし、単体でも実用的な明るさがあるので、インテリア照明にはかなり使えそうだと感じた。


【実使用編】

 ここからは実際の生活シーンに取り付けて、よりリアルな使用での実力を探って行く。なお、これまでのレビューでは玄関や浴室、リビングといった全体照明として使用しているが、クリア電球はそういった用途よりも、器具のデザインを引き立てる用途が得意。そのため、今回はその特徴があらわれやすい器具を使用した。


ガラス製のアクセント照明

 明るさ、光色こそクリア電球と異なるが、器具が持つ表情はまったく同じと言ってよいだろう。器具から放たれる輝き、影の表情もほぼ同じ印象だ。ガラスのシャープな輝きはそのままで、アクセント照明として、表情豊かに空間を彩った。

【クリア電球:20W形】
20W形のクリア電球を点灯した様子。輝きが透けて見えるため、インテリアに印象的な雰囲気を作り出す
【エバーレッズ :LDA4LC】
明るさは変わるが、見た目はクリア電球そのもの
【クリア電球:20W形】
実際に使用した例。20W形のクリア電球は、電球が透けて直視しても眩しさはほとんど感じられない
【クリア電球:40W形】
直視するには明るすぎて、不快な眩しさを感じてしまう
【エバーレッズ:LDA4LC】
20W形クリア電球よりも明るいが、アクセント照明としては適度な明るさだ。影もクリア電球にとても近い


アンティーク調のガラス製ペンダント

 器具単体で見てみると、器具の輝き、きらめき感はクリア電球と全く遜色ない。同様に、シェードを通して広がる、屈折する光の様子もとてもクリア電球らしい。

【クリア電球:40W形】
透明なきらめきが強調される器具に、40Wクリア電球を取り付け、点灯した様子。ひびをあしらったガラスが満遍なく煌いている
【エバーレッズ:LDA4LC】
器具の輝きは、クリア電球と違いがわからないほど同じ印象だ
【クリア電球:40W形】
器具から放たれる光はガラスにより屈折し、印象的な光の強弱が壁や天井に投影される
【エバーレッズ:LDA4LC】
器具から放たれる光のパターンは多少変わるが、印象はほとんど同じと言って良いだろう

 これを玄関に取り付けてみたところ、光のきらめきが玄関いっぱいに広がって、印象的な玄関が演出できた。狭い空間とは言え、本来ならば40W形白熱電球程度の明るさは欲しいところだが、光を素通しするガラス製の器具の場合、目に触れるとかなり眩しい。写真を並べると薄暗く見えてしまうが、実際には眩しさもさほど気にならず、かつ実用的な明るさが十分に感じられた。

【クリア電球:40W形】
玄関で実使用した様子。十分に明るいが、器具は直視するとかなり眩しい
【クリア電球:20W形】
眩しさは感じないが、実使用にはかなり暗くなってしまった
【エバーレッズ :LDA4LC】
明るさは40W形クリア電球よりも暗くはなるが、肉眼では実用的な明るさが感じられた。敢えて明るさを抑えた、印象的な玄関が演出できた


光と影が織り成す印象的なリビングルーム用ペンダントライト(3灯)

 リビングルームの全体照明でも使ってみよう。使用する器具は、素材が和紙で、シェードの表面には細かな孔があり、電球が透けて見えるもの。点灯すると光と影が重なり合い、壁面や天井面に印象的な陰影が投影される。電球は3灯使用する。

 まずは器具単体で見てみると、シェードを通した電球の表情はクリア電球とほとんど変わらない。投影される光と影も、クリア電球とほぼ同じように広がる。細かく見れば影の輪郭が甘くなるが、比較しなければ違いはほとんどわからないだろう。光色も自然な暖かみのある電球色だ。

【クリア電球20W】
和紙を用いたセードの孔から、フィラメントの輝きがのぞく。天井面には複雑な光と影が折り重なる
【エバーレッズ:LDA4LC】
きらめき感の印象はあまり変わらなかった。影の輪郭は少し甘くなるが、並べなければほとんど変わらない

 実際にリビングルームに設置すると、明るさ、見た目の雰囲気のどちらも快適だった。くつろぎの明かりとして、落ち着いた心地良い明るさが得られ、しかも器具が織り成す雰囲気も十二分に楽しめる。一方、40W形クリア電球は明る過ぎて、透けて見える電球が眩しすぎる。20W形は3灯使っても、他の明かりが欲しくなるほど暗かった。

【クリア電球:40W形×3】
リビングルームは十分に明るくなるが、器具は眩しくて直視しづらい。器具が持つ光の特徴が活かしきれないようだ
【クリア電球:20W形×3】
20W形クリア電球は眩しさが抑えられ、器具が持つ雰囲気が楽しめる。しかし、別の明かりが欲しくなるほど暗いのは難点
【エバーレッズ :LDA4LC×3】
実用的な明るさも得られ、かつ眩しさも抑えられた。器具の雰囲気も楽しめるうえに、落ち着いた雰囲気が演出できた


食事の風景

 演色性も良く、食事のシーンにも十分にお勧めできる。すべてがおいしそうに見え、それぞれの色味の印象が自然だ。食器の材質による白さの違い、ランチョンマットの色合いも自然な見え方だった。きらめき感の強い光は、食事のシーンを一層華やかに彩るだろう。明るさは抑え目だが、テーブルに近いペンダントライト、電球を複数個使うものならOKだろう。

【クリア電球:20W形】
全光束が低くなると、白熱電球は赤みが強調されてしまう。肉眼で演色性は良いが、全体的に全てが赤っぽくなってしまった
【エバーレッズ:LDA4LC】
LED電球は明るさが落ちても光色が変わらないのも特徴だ。演色性は良好で、食べ物は全体的においしそうに見える。影は強まる半面、きらめきのある光は華やかな彩りが加わる


消費電力は4W。高価だが電気代の安さで元はしっかり回収できる

 消費電力は実測で4Wだった。暗くはなるが、消費電力が39Wの40W形クリア電球と交換したなら、電気代は1/10近く節約できる。消費電力が16Wの20W形クリア電球と交換しても1/4節約でき、その上かなり明るくなる。

 電球代が回収できるまでの期間は、40W形からは1年5カ月後に、20W形の場合は3年以内という試算となった。1日8時間使用して、電球代を回収してから軽く10年以上も長く使い続けられる。

【クリア電球:40W形】
消費電力は39W。消費電力1Wあたりの発光効率は12.56lm/W
【クリア電球:20W形】
消費電力16W。発光効率は10.94lm/W
【エバーレッズ:LDA4LC】
消費電力4Wだった。発光効率は52.5lm/Wで、輝きの印象や見た目もほとんど変えないまま、大きな節電が実現できる

【従来の光源と比較した“いつになったら元が取れるか”試算】
使用期間消費電力 
(実測)
1カ月3カ月半年 
(6カ月)
1年1年 
5カ月
2年2年 
11カ月
4年8年
エバーレッズ
LDA4LC
4W3,501円3,544円3,608円3,736円3,842円3,991円4,225円4,502円5,524円
クリア電球
20W形
16W222円393円787円1,437円2,138円2,875円4,226円5,749円11,498円
クリア電球
40W形
39W324円741円1,482円2,849円4,122円5,698円8,338円11,396円22,791円
※表中の値段は、電球代と電気代をプラスした「維持費」  ※1日の使用時間は8時間と仮定 
※クリア電球には、4カ月ごとに電球代を加算する (切れた電球代の購入費として) 
※電気代は1kWh=22円で計算



まさにクリア電球、雰囲気や器具の見た目、表情を大切にするシーンにおすすめ

 実際に使った印象を一言でまとめると、『まさに、クリア電球。きらめくあかり』という、パッケージの謳い文句どおりだった。光の広がり、きらめき感はもちろん、“裸電球”の状態でも不自然さがないほど、きわめてクリア電球に限りなく近い。演色性も良く、透明なガラス製の器具、印象的な陰影を作り出す表情豊かな器具にはまさにピッタリだ。

 しかも、電球が持つ“ぬくもり”さえ感じられるのは、一般的なLED電球にはない特徴だ。本製品の質感やフィラメントに見立てたLED素子の扱いに、開発者の相当なこだわりと意気込みが感じられる。輝く様子は美しく、ぬくもりや懐かしささえ感じさせる。その上、LED電球であることを忘れてしまうぐらい優しい。

 一灯だけで広い部屋を煌々と照らす明るさはないが、クリア電球らしい容姿、光の広がりときらめき感は、大切にしたい器具の印象や雰囲気はそのまま継承できる。さらに、LED電球なので高い節電効果も得られる。やや高価ではあるが、現時点では無二の存在。大切にしたい器具の印象、雰囲気はそのままで、高い節電効果が得られるLED電球として、大いに魅力的なLED電球だ。



パナソニック「EVERLEDS クリア電球タイプ LDA4L/C」はこんなLED電球

・大きさも容姿も、クリア電球そのもの

・LED電球らしからぬ、ぬくもりときらめき感のある輝きが得られる

・器具のデザイン性、雰囲気を大事にしたいシーンにピッタリ

・40W形白熱電球と交換した場合、1年5カ月で電球代は回収できる(1日8時間使用) 








2012年1月10日 00:00