パナソニックのクリアLED電球とシャープの薄膜太陽電池、グッドデザイン金賞を受賞

 財団法人日本産業デザイン振興会は9日、2011年度のグッドデザイン賞にて最も優れた作品に贈られる「グッドデザイン大賞」が、本田技研工業の東日本大震災における通行実績情報マップの提供サービスに決定したと発表した。

 生活家電、家庭製品の分野では、パナソニックのクリアLED電球「LDAHV4L27CG」が大賞の候補として上がっていたが、投票の結果2位となり、次点の「グッドデザイン金賞」のひとつとして選ばれた。金賞ではまた、大賞候補には選ばれていなかったものの、シャープの薄膜太陽電池「NS-F135G5」も選ばれた。全12件が金賞に選ばれている。

大賞を受賞した、本田技研工業の東日本大震災における通行実績情報マップパナソニックのクリアLED電球「LDAHV4L27CG」は、大賞候補だったものの、投票では惜しくも2位。金賞となったシャープの薄膜太陽電池「NS-F135G5」は、大賞候補ではなかったものの、金賞に選出された

 グッドデザイン大賞の選出は、例年は大賞決定の当日にプレゼンテーションを行ない、審査員や受賞者による投票で大賞を選出していた。しかし今年は、大賞選出のためのプレゼンテーション、投票とも事前に実施され、1位の本田技研工業の得票数は2,920票、2位のパナソニックのクリアLED電球は2,492票だった。

大賞候補は写真の6件投票の結果。パナソニックのクリアLED電球は2,492票で2位だった

 金賞を受賞したクリアLED電球は、LED電球には珍しいクリアガラスを採用した点が特徴。審査員は「明るさと高い省エネ性はもちろんのこと、フィラメントに近い光源をLEDで実現させている。いかにもLEDといった光ではなく、温かみのある、生活の中での『灯り』といった光を提供してくれる。こういった心理的な部分での配慮こそ一番大事」と評価している。

 同じく金賞を受賞したシャープの薄膜太陽電池は、フレームを省くことで薄さを7.5mmに抑えた点が特徴。審査員は「フレームレスにしたことで汚れの堆積を軽減し、発電ロスを低減させている。屋根材になじむすっきりした外観は住宅の意匠性や街並の景観を飛躍的に向上させるであろう」との評価を与えている。

 9日には、グッドデザイン賞の受賞式が実施された。クリアLED電球ののディレクターを務めた、パナソニック デザインカンパニー HAデザイン分野 HA第2開発グループの采尾治彦氏は、受賞式にて「LED電球は暮らしのベースを支える商品。これからも省エネで明るいだけでなく、暮らしや人を豊かにするような明かりを目指していきたい」とコメントした。

 また、薄膜太陽電池のプロデューサーを務めた シャープ ソーラーシステム事業本部 薄膜太陽電池事業部 斎藤周一副事業部長兼商品企画部長は、「フレームを無くして、薄くシンプルな太陽電池を追求してきた。これからも再生可能エネルギーの普及拡大に取り組んでいきたい」と話した。

 このほか、長年にわたって製造・販売され、生活者から支持され続けている製品に贈られる「ロングライフデザイン賞」では、パナソニックのジューサーミキサー「MJ-M31」シリーズが選ばれている。

パナソニック デザインカンパニー HAデザイン分野 HA第2開発グループ 采尾治彦氏シャープ ソーラーシステム事業本部 薄膜太陽電池事業部 斎藤周一副事業部長兼商品企画部長
パナソニックのジューサーミキサー「MJ-M31」シリーズは「ロングライフデザイン賞」を受賞した
グッドデザイン賞の審査委員長を務めた、プロダクトデザイナーの深澤直人氏

 グッドデザイン賞の審査委員長を務める、プロダクトデザイナーの深澤直人氏は、今年はグッドデザイン金賞のすべてが最高賞であるという。

 「今まではグッドデザイン金賞のうちの1つを大賞としていたが、今年はすべてを最高賞とした。毎年、“なんてこれが大賞なんだ”という論議が起こっていて、判断の基準が一様ではなかった。今年は金賞の12件をすべて最高賞にして、基準のない比較論議をやめましょう、ということにした」

 また今年は、10月から11月まで実施された受賞展に来場した一般の人からも、大賞選出の投票を受け付けた。これについて深澤氏は「大賞は“今年を象徴するようなもの”を、審査員だけでなく、一般の方にも投票していただいた。多くの人に共感を得たものを、“国民賞”的な扱いをしましょうということにした」としている。なお投票は、「受賞展来場者:受賞者:審査員=1:5:100」という比率で集計されている。






(正藤 慶一)

2011年11月10日 00:00