【特別企画】
LED電球、どれを買う? 2010

東芝「E-CORE 一般電球形6.4W LDA6L」

~大手メーカーによる廉価モデルの実力はいかに
by 藤原 大蔵

 白熱電球と比べて圧倒的に消費電力が少ない「LED電球」。もともとは高価で、商品も数えるほどしかなかったが、2009年に低価格化が一気に進み、品揃えも豊富になってきた。しかし、いくら安くなったとはいえ、実売価格は2千円以上のものが多く、これまでの照明よりも高いものが多い。そのため、購入に二の足を踏んでいる人も多いだろう。

 そこで今回は「LED電球、どれを買う? 2010」として、最近発売されたLED電球を中心に、白熱電球や電球形蛍光灯といった既存の照明とどのような違いがあり、どのような使い方が最適なのかをチェックしていきたい。 [2009年の特集はこちら




購入しやすい価格、でも肝心の能力は? ――東芝「E-CORE 一般電球形6.4W」


東芝ライテック「E-CORE(イー・コア) 一般電球形6.4W LDA6L」
 LED電球は、白熱電球や電球形蛍光灯に比べればまだ高い。できれば安く済ませたいところだが、有名メーカーの製品になるほど、価格が高めになる傾向が強い。

 しかし3月、LED電球の先駆的存在である東芝ライテックから、従来モデルよりも価格を約20%抑えたLEDが登場した。「E-CORE 一般電球形6.4W LDA6L(以下、東芝LED:LDA6L)」である。

 この製品、実は2009年に発売した「一般電球形6.9W」の後継機種。細かいスペックはやや異なるものの、直下照度で白熱電球60W相当(LDA6L)という明るさは同じだ。それでいて価格は、以前は約3,700円(2009年11月時点)だったのが、今回は約2,700円(2010年5月時点)と、3,000円でお釣りがくる価格に下がっている。

 スペックは大して変わらず、価格が安くなったということは、“廉価モデル”と見なすこともできる。はたして、LED電球としての実力はいかほどのものか。

 先に結論だけを言ってしまうと、価格は下がったが、質は以前のものよりさらに進化しているということが分かった。単なる「廉価版」ではないLDA6Lについて、これから詳しく見ていくことにしよう。

同じく、東芝ライテックの「E-CORE 一般電球形4.6W LDA5L」は、直下照度で白熱電球40W相当の明るさ
 ちなみに、このLDA6Lと同時に、直下照度で白熱電球40W相当の「一般電球形 4.6W(以下、東芝LED:LDA5L)」も発売されている。現在の市場の中心は白熱電球60Wタイプではあるが、前回も40Wタイプを取り上げたので、白熱電球との比較のみではあるが紹介しておく。

シリーズ名E-CORE(イーコア) 一般電球形
品番LDA6LLDA5L
光色電球色相当
購入価格
(Amazon.co.jp 5/5時点)
2,779円2,667円
定格消費電力6.4W4.6W
口金E26
全光束330lm240lm
最大光度88cd64cd
白熱電球と比較した
明るさ(ランプ単体)
  30W形相当  20~30W形相当
白熱電球と比較した
明るさ(直下部)
60W形相当40W形相当
平均演色評価数Ra80
調光器対応-
密閉器具対応-
サイズ60×107mm(直径×高さ)
重量120g
寿命40,000時間

 なお、本稿で取り上げる白熱電球は、三菱電機オスラムの「LW100V57W2PZ」(2個パック143円で購入したもの)、電球形蛍光灯は、2008年の特集で総合的に性能の高かったパナソニックの「パルックボール プレミアQ(クイック)」(1,390円で購入)を使用している。また、白熱電球との交換を主眼に置いているため、白色や昼白色のLED電球は割愛し、電球色のみ取り上げる。本文に入る前に、これらの点をあらかじめご了解いただきたい。



【基本スペック編】


サイズ比較

 サイズは両タイプとも107×60mm(高さ×直径)。白熱電球、LED電球、電球形蛍光灯と横並びに並べてみると、どちらも白熱電球よりもひとまわり大きいが、電球形蛍光灯よりは背が低い。重さは120g以下と、LED電球の中では軽めである。

 従来モデルと比べると、電球らしいくびれのある形状は継承しつつ、半透明の樹脂とヒートシンク部の継ぎ目に段差がなくなり、スッキリした外見になった。

高さは107mm(中央)で、60Wタイプ白熱電球(左)と比べると13mm高い。電球らしいくびれが特徴的だ。重量は116gと、LED電球の中では軽め直径は60mm(中央)。60Wタイプの白熱電球(左)と電球形蛍光灯(右)の直径は55mmなので、やや大きめだ。光源部分は樹脂製でLEDが薄っすらと透けてみえる
器具に取り付けたようす

 いずれも白熱電球より13mm背が高いが、ヒートシンクはかなり覗きこまないと見えない。半透明な樹脂の発光部が、いかにも電球らしい見え方なので、少し大きめの白熱電球をとりつけた印象だ。背の高い電球形蛍光灯よりも、器具への収まりが良い。

【白熱電球:60W】
電球の端が少し覗いている程度の角度から撮影。40Wの白熱電球は見え方は全く同じなので割愛
【電球形蛍光灯】
電球の直径は白熱電球と同じだが、高さがあるため、内側のらせん状の蛍光管が透けてみえる
【東芝LED:LDA6L】
背は白熱電球よりも高いが、覗き込まないとヒートシンク部はほとんど見えないため、白熱電球ととても似ている。40Wタイプは同じ見え方なので割愛

光の広がりかた


 光源部を中心にほぼ球形に拡散はしているが、ソケット方向へ光の広がりは白熱灯、蛍光灯に比べ弱い。しかしその分、白熱電球、蛍光灯よりも光が遠くまで届いている。ダウンライトや間接光の 器具との相性も良いだろう。従来モデルとの違いは、あまりなさそうに見える。

【白熱電球:60W】
ソケットぎりぎりまで明るい。電球を中心に床面に近いところから光が広がっている
【電球形蛍光灯】
白熱電球と同じようにソケット付近も光が届く。しかし遠くまでは光が届かない印象だ
【東芝LED:LDA6L】
ほぼ球形に光が拡散しているが、ソケット付近と側面への光の回り込みは弱い。だが、光が遠くまで届いて
いる
【白熱電球:40W】
光の広がり方は60Wのものと同じ
【東芝LED:LDA5L】
60Wタイプのものとほとんど同じ

明るさ(55cm直下の照度)


 60Wタイプは、従来モデルよりも30Lx近く明るい500Lxとなった。これは電球形蛍光灯よりも明るい数値となる。点灯した瞬間に、シャキっとした明るさが感じられた。

 40Wタイプも明るくなり、従来より100Lx以上も向上した。いずれも、価格が下がっても肝心の明るさはアップしているのはうれしい。

【白熱電球:60W 800Lx】
光源を55mm上方にセットし、直下照度を計測した
【電球形蛍光灯 475Lx】【東芝LED:LDA6L 500Lx】
従来モデルより30x近く明るくなった
【白熱電球:40W 437Lx】【東芝LED:LDA5L 340Lx】
従来より120Lx近く明るくなった



 撮影していて実感したのが、どちらも従来モデルより明るさがアップしたところ。実売価格はどちらも1,000円近く下がっているのにである。点灯した瞬間からパッと明るく、光色も良い雰囲気。この時点で、単なる「廉価版」ではなく、進化した質の高い製品であると言えそうだ。




【実使用編】

 次に、リビングや食卓など生活シーンに取り付けて、よりリアルな使用感を見てみよう。なお40Wタイプは密閉器具に対応しているので、風呂場と密閉型のインテリアライトにも使用した。

玄関


 60Wタイプでは、白熱電球と並べてしまうと少し暗くなってしまうが、点灯した瞬間から十分な明るさを感じるので、実際には不満は全く感じない。光色が良く、明るく暖かみのある玄関になるので、白熱電球から取り替えても違和感が無いだろう。電球形蛍光灯よりも良い印象だ。

 40Wタイプは、60Wタイプと同条件で撮影しているため、写真では暗く見える。しかし、現在40Wタイプの白熱電球を使用しているのならば、変えてもさほど変わらないだろう。

【白熱電球:60W】
床面まで光が届き、十分な明るさがある
【電球形蛍光灯】
比較すると色味が不自然に感じる。また、点灯して明るさが安定するまで時間がかかる
【東芝LED:LDA6L】
白熱電球に比べればわずかに暗くなる程度。暖かみのある十分な明るさが得られる



【白熱電球:40W】
玄関としては、もうすこし明るさが欲しいか
【東芝LED:LDA5L】
もし40Wの白熱電球で満足なら、これはこれでアリだろう

浴室


 40WタイプのLDA5Lは、密閉型器具への取り付けが可能。しかし、浴室用の器具にLED電球を閉じ込めてしまうと、明るさがどうしても落ちる。従来モデルよりも確実に明るくなっているが、浴室の明かりとして、まだ少し物足りないかもしれない。内装がもっと明るいケースならば、薄暗さは幾分解消されるだろう。

 

白熱電球:40W】
浴室全体に光は行き渡るものの、少し物足りない明るさだ
【東芝LED:LDA5L】
白熱電球よりもさらに暗くなるため、やはり物足りない明るさだ

トイレ

 どちらも光色が良いので、トイレのような狭い空間なら40Wタイプのものでも十分に実用的に感じた。撮影時、60Wタイプの白熱電球に合わせているので、写真の印象はどうしても暗くなってしまうが、快適な明るさが得られる。

 なお、トイレは点滅頻度が高いため、点滅回数が寿命に影響する電球形蛍光灯との比較は割愛する。

【白熱電球:60W】
明るく気持ちよく過ごせる
【東芝LED:LDA6L】
白熱電球よりも少し暗めだが、明るさは十分で清潔感がある
【白熱電球:40W】
少し暗いが狭い空間なので、まだまだ十分に明るく感じる
【東芝LED:LDA5L】
暗めだが、肉眼では決して悪くはなかった

リビングルーム


 透過タイプの場合、シェードの器具が全体にくまなく光り、器具の持つ印象がほとんど変わらない。上方向への光が弱くなってしまうため、天井からの反射光があまり望めないが、これはLED電球全般の課題だ。光が直接届くところは十分な明るさが感じられ、暖かみのある光色がリビングルームによく映える。

 非透過タイプも好印象。テーブル面など、直接照らされているところは十分な明るさが得られる。透過タイプと同じように、天井、壁面からの反射光はあまり期待できなくなるが、落ち着いた雰囲気が演出できる。

【白熱電球:60W×2 透過タイプのシェード】
光が部屋全体に行き渡り十分な明るさが得られている
【電球形蛍光灯×2 透過タイプのシェード】
白熱電球のように上部、側面へも光が広がる。しかし、照らされた面はLED電球よりも暗い印象で、また色被り(余計な色が加わること)によりテーブルなどがくすんで見える
【東芝LED:LDA6L×2 透過タイプのシェード】
天井や周りからの反射光が少ないため、全体を見ると暗く感じる。しかし、光色の印象が良く照らされた面は十分に明るさが感じられる。結論を言えば、問題なく使用できる
【白熱電球:60W×2 非透過タイプのシェード】
十分な明るさが得られ、コントラストのある空間になっている
【電球形蛍光灯×2 非透過タイプのシェード】
白熱電球のように上部へも光が広がるが、透過タイプと同様、色味がいまひとつ
【東芝LED:LDA6L×2 非透過タイプのシェード】
光のコントラストがより強くなるが落ち着いた印象だ。ある程度だが天井面にも光は届いている

リビングルーム (インテリア照明)


 40Wタイプは密閉型器具の取り付けが可能なので、リビングの密閉型インテリア照明にも取り付け可。光が器具の上に多少偏る傾向はあるが、気になるレベルではない。アクセント照明はもちろん、複数使えば全体照明にも十分に活用できる明るさが得られる。ただ、細かいことを言うと、従来モデルよりも少し眩しく感じてしまうかもしれない。

【白熱電球:40W】
アクセント照明として使用するには明るすぎるか
【東芝LED:LDA5L】
光は上方に集中するが、問題なく使える。ただし、従来モデルよりも明るくなったため、アクセント照明としてはやや眩しさを感じる

食事の風景


 演色性、色の再現性が良く、食べ物全てがおいしそうに見え、明るく華やかな食卓になる。特に、従来モデルではいくぶん感じられた色被り(余計な色が加わること)がほとんど無くなり、印象が格段に良くなった。2枚の皿における白色の違いもわかるうえ、くすんだグリーンのランチョンマットの色の再現性は、むしろ白熱電球よりも自然に見える。

【白熱電球:60W】
全体的においしそうに見える
【電球形蛍光灯】
左右の写真と比較すると、色味のバランスが崩れ、食卓全体がくすんだ印象に見える
【東芝LED:LDA6L】
白熱電球とは雰囲気がやや異なるものの、演色性は良く、食卓に華やかさが感じられる。明るく、目に映る
食べ物がまったくくすまずに、全てがおいしそうに見える。色を気にするシーンでも十分に活用できるだろう



白熱電球との交換で、元が取れるのは【10カ月】

 最後に、実測した消費電力を元に、白熱電球と取替えて“何年で元が取れるか”を試算してみたところ、LDA6Lは10カ月で元が取れることがわかった(1日8時間使用と仮定)。1年以内で元がとれるとは驚きだ。

 また、LEDは寿命40,000時間と長寿命なので、12年以上も新たなLED電球の取替えが要らないというのもうれしい。一方の白熱電球は、4カ月毎に新しいものに替え続けなければならないため、手間になってしまう。

【東芝LED:LDA6L】
従来の光源と比較した“いつになったら元が取れるか”試算
使用期間1カ月3カ月6カ月9カ月10カ月1年2年3年10カ月4年
LED電球2,803円2,852円2,949円2,998円3,022円3,071円3,363円3,898円3,970円
白熱電球370円966円1,932円2,897円3,195円3,792円7,583円14,570円15,166円
電球形蛍光灯1,445円1,554円1,719円1,883円1,936円2,047円2,704円3,909円4,018円
※表中の値段は、電球代と電気代をプラスした「維持費」 ※1日の使用時間は8時間と仮定
※白熱電球には、4カ月ごとに電球代を加算する(切れた電球代の購入費として) ※電気代は1kWh=22円で計算

 なお、電球形蛍光灯からの取替えの場合は、元をとるのに46カ月(3年10カ月)もかかってしまう。しかし、電球形蛍光灯よりも明るく、点灯した瞬間から本来の明るさが得られ、さらにいえば繰り返しの点滅でも寿命に影響を受けないのは、それだけで大きな利点ではないだろうか。

 LDA5Lについては、白熱電球と交換の場合、約1年2カ月で元が取れる計算となる。

【東芝LED:LDA5L】
従来の光源と比較した“いつになったら元が取れるか”試算
使用期間1カ月3カ月6カ月9カ月1年1年1カ月1年2カ月2年4年
LED電球2,682円2,713円2,758円2,804円2,849円2,865円2,879円3,032円3,397円
白熱電球269円665円1,329円1,994円2,587円2,856円3,054円5,174円10,348円

【白熱電球:60W 56W】【電球形蛍光灯 10W(安定時)】【東芝LED:LDA6L 5W】
【白熱電球:40W 37W】【東芝LED:LDA5L  3W】



単なる廉価品にあらず。どんなシーンにもお勧めできるLED電球


 明るさも演色性もさらに良くなった上に、価格も大幅に下がっており、従来モデルよりも明らかな進化が見られる。暖かで自然な光色を持っているため、生活全般のシーンにはもちろん、色味にこだわる食卓などでも大いに活躍できる。

 電球形蛍光灯と比較しても、トータルで見るとLED電球の方が優れている。確かに、初期購入費の高さ、密閉器具に非対応(60Wタイプのみ)な点はマイナスだが、年間の維持費はLED電球の方が半分近く安くなる。電球形蛍光灯の寿命が来たら、取替えてみても何ら問題ではないだろう。

 白熱電球と比べると、やはり高価なことには変わりない。しかし、1年間で元が取れてしまうので、結果的には高い買い物にはならないはず。全体的に質の高いLED電球として、取替えを考える人すべてにお勧めしたい。



東芝「E-CORE 一般電球形 6.4/4.6W」はこんなLED電球

・ 60/40W交換用ではトップクラスの明るさ。玄関、トイレ、リビングなど生活全般に

・演色性が良く、白熱電球と比較しても見劣りしない。食卓にもOK
・白熱電球と交換した場合、60W交換用は10カ月で元が取れる(1日8時間使用)


アイリスオーヤマ 軽量/スリムタイプ



2010年5月19日 00:00