LED電球、どれを買う?
最終回:パナソニック「EVERLEDS(エバーレッズ)」

~明るい、色が良い、密閉器具可の万能LED電球
by 藤原 大蔵


約1カ月遅れでの登場 : パナソニック「EVERLEDS(エバーレッズ)」


パナソニック「EVERLEDS(エバーレッズ) LDA7L-A1」。ダウンライト器具使用時で、白熱電球60Wに相当する明るさを備える
 最後に紹介するのは、パナソニックのLED電球「EVERLEDS(エバーレッズ)」シリーズだ。低価格のLED電球は9月頃から一斉に市場に登場したが、パナソニックはそれから約1カ月ほど遅れた10月に発売した。

 パナソニックのLED電球で特徴的なのは、全製品が密閉型器具に使用できるところ。今回レビューした中では、東芝ライテックの40Wタイプ以外はすべて密閉型器具には対応していない。この点は大きなアドバンテージと言えるだろう。

 E26口金に取り付けられる電球色のラインナップは、ダウンライト器具使用時で直下の明るさが白熱電球60Wタイプに相当する「LDA7L-A1」、同条件で40Wタイプに相当する「LDA4L-A1」、同条件で調光器に対応している、60Wタイプの「LDA8L-A1/D」の3点となる。実売価格は、LDA7L-A1とLDA4L-A1は3,980円、LDA8L-A1/Dは4,980円だった(Amazon.co.jp、11月5日時点)。以下、LDA7L-A1は「パナソニックLED:60W」、LDA4L-A1は「パナソニックLED:40W」、LDA8L-A1/Dは「パナソニックLED:60W(調光器対応)」と表記する。

 なお、同社では小型電球と置き換えられるE17口金タイプのLED電球も発売しているが、これはまた別の機会に取り上げる。

「LDA8L-A1/D」は、調光器に対応する60Wタイプ「LDA4L-A1」は、同じくダウンライト器具使用時で40W相当の明るさ

【パナソニック:LED電球の電球色ラインナップ】
シリーズ名EVERLEDS(エバーレッズ)
品番 LDA7L-A1 LDA8L-A1/D LDA4L-A1 
実売価格(Amazon.co.jp 11月5日)3,980 円4,980 円3,980 円
口金タイプE26
定格消費電力6.9W7.6W4W
全光束450 lm425 lm260 lm
色温度2,800K
定格寿命40,000時間
調光器対応--
密閉型器具

※電球色ではこのほか、E17口金用の「LDA6L-E17-A1/D」がある



【基本スペック編】

サイズ比較

サイズは55×105mm(外径×高さ)、全タイプで共通となる
 サイズは全タイプが共通で55×105mm(外径×高さ)。白熱電球と比べると、背は1cm高く、直径はまったく同じ。白熱電球のような“くびれ”もなく、見た目では電球とは言いがたいが、他社に見られるようなヒートシンクが無いため、スッキリとした印象となる。上から見ると光源部にLEDの黄色い発光部が見えるのは、やや気になる。

 重さは全てが100g以下と軽く、60Wタイプが88g、40Wタイプは86g、60W・調光器対応タイプでも94gだった。どれもLED電球の中では特に軽い部類になる。なお、光源部はガラスを採用している。

 

【パナソニックLED:60W】
白熱電球と比べると10mm高い。ヒートシンクがないためスマートな印象を受ける。重量の88gは、LED電球の中では特に軽量
【パナソニックLED:60W】
直径は白熱電球と同じ。光源部分はガラス製で、黄色い発光部が透けて見える
【パナソニックLED:60W(調光器対応)】
60Wタイプとまったく同じサイズ。94gとやや重くなっているが、LED電球の中ではまだまだ軽量
【パナソニックLED:60W(調光器対応)】
非調光の60Wタイプと同じサイズ、同じ見え方
【パナソニックLED:40W】
60Wタイプと全く同じデザインだが、重さは86gとわずかに軽い
【パナソニックLED:40W】
60Wタイプと見え方はまったく同じ

光の広がりかた

 白熱電球と大きく異なる形状ではあるが、光は光源部を中心にほぼ球形に拡散している。ソケット方向にもある程度の光は届いている。

【白熱電球:60W】
ソケットぎりぎりまで明るいため、床面に近いところから、電球を中心に光が広がっている
【パナソニックLED:60W】
電球の上方から、ほぼ球形に光が拡散している。床面にもある程度光が回っている
【パナソニックLED:60W(調光器対応)】
非調光の60Wタイプとほとんど同じ
【白熱電球:40W】
見え方は60Wのものと同じ
【パナソニックLED:40W】
印象は60Wタイプと変わらない

※光の広がり方を見るため、撮影時同じ明るさに見えるよう補正している

器具に取り付けたようす

 光源部分と回路部の境目が若干見えるが、器具とのバランスは良い。ただし、LEDの発光部が黄色く透けて見えるのが若干気になる。

【白熱電球:60W】
電球の端がわずかに覗いている程度で撮影
【パナソニックLED:60W】
背が低めなこともあり、器具とのバランスは良い。しかし、LEDの発光部が黄色く透けて見えてしまう
【パナソニックLED:60W(調光器対応)】
形状が共通のため、非調光の60Wタイプと同様の結果
【白熱電球:40W】【パナソニックLED:40W】
見え方は60Wのものと同じ

明るさ(55cm直下の照度)

 60Wタイプの場合は500lx強と、40Wの白熱電球よりも明るい数値。LED電球の中ではとても明るい部類に入る。驚くのが調光器対応タイプで、100%点灯時で588lxと、非調光タイプよりもさらに明るかった。一方で、40Wタイプは250lxと平均的。

【白熱電球:60W 800lx】
光源を55mm上方にセットし、直下照度を計測した
【パナソニックLED:60W 509 lx】
LED電球の中ではかなり明るい
【パナソニックLED:60W(調光器対応)  588lx】
非調光の60Wタイプよりも明るい結果に
【白熱電球:40W 437lx】【パナソニックLED:40W 250lx】
LED電球の中では平均的な明るさ

調光器対応モデルの調光のようす

 無段階調光に対応しているため調光はスムーズだが、明るさが調光器の目盛りに同調していない点は問題。調光器の目盛りの50%を少し越えただけで光が完全に消えてしまった。シャープ、東芝ライテックの調光器対応型と比べると、使い勝手の面で劣勢だ。

調光対応型での調光のようす。写真は全灯(100%)87.5%75%
62.5%50%50%以下では完全に消えてしまった。写真は32.5%の状態

省エネ性能

 実測値は60Wタイプが5W、40Wタイプが2Wと、一般的なLED電球と比べてともに1W少ない数値。省エネ効果も期待できそうだ。調光器対応型は6Wと一般的だが、明るさを絞ることで消費電力も低くなる。

【白熱電球:60W 56W】【パナソニックLED:60W  5W】
60WタイプのLEDでは低めの数値に
【パナソニックLED:60W 調光器対応  6W】
調光時の消費電力の変化は下記の表を参考されたい
【白熱電球:40W 38W】【パナソニックLED:40W  2W】
こちらも40WタイプのLEDでは低い数値

【60Wタイプ:省エネ性能比較】
製品名白熱電球
(三菱電機オスラム製)
EVERLEDS
(エバーレッズ)
品番LW100V57W2PZ
(2個パック)
60W
 LDA7L-A1 
60W 調光器対応
LDA8L-A1/D
定格寿命1,000時間40,000時間40,000時間
1日8時間使用した場合の寿命125日
(約4カ月)
5,000日
(約13年8カ月)
1年間で必要な電球個数
(365日 x 8時間÷定格寿命)
2.92個0.073個
電球一個の値段71.5円3,980 円4,980円
実測消費電力56W5 W6 W
1日の電気代9.8 円0.8 円1 円
1年間の電気代の目安3,577 円292 円365 円
1年間の電球代の目安209 円291 円364 円
1年間の維持費
(1年間の電球代+電気代)
3,786 円583 円729 円


【40Wタイプ:省エネ性能比較】
製品名白熱電球
(三菱電機オスラム製)
EVERLEDS
 (エバーレッズ) 
品番LW100V38WW2PZ
(2個パック)
40W
 LDA4L-A1 
定格寿命1,000時間40,000時間
1日8時間使用した場合の寿命125日
(約4カ月)
5,000日
(約13年8カ月)
1年間で必要な電球個数
(365日 x 8時間÷定格寿命)
2.92個0.073個
電球一個の値段71.5円3,980円
実測消費電力38W2 W
1日の電気代6.6円0.5 円
1年間の電気代の目安2,409円183 円
1年間の電球代の目安209円291 円
1年間の維持費
(1年間の電球代+電気代)
2,618円473 円

【60Wタイプ 調光器による消費電力の変化】
調光レベル全灯時87.5%時75%時62.5%時50%~1%時
消費電力(実測値)6W4W1W計測不能(0W)

※消費電力はすべてワットチェッカーで測定


 特筆すべきは、60Wタイプの明るさ。他のLED電球と比べても明るく、しかも光は周囲に広がっている。器具とのバランスも良く、軽くて小型というのも設置の際には有利。この時点でかなりの好印象を受けた。



【実使用編】


 ここからは実際の生活シーンに取り付けて、白熱電球との見え方、印象を比較する。全タイプが密閉器具に対応しているため、浴室・密閉型のインテリア照明での使用シーンも掲載する。


玄関


 60Wタイプの場合、白熱電球と比較すれば薄暗いが、点灯した瞬間に十分な明るさを感じ、色合いも暖かみのある自然な印象のため、十分使用に値するだろう。ただし、40Wタイプではさすがに暗く、人を迎え入れる明るさとしては物足りない。

【白熱電球:60W】
床面まで光が届き、十分な明るさがある
【パナソニックLED:60W】
色味も良く明るさも十分。問題なく使えるだろう
【白熱電球:40W】
玄関としてはもうすこし明るさが欲しい
【パナソニックLED:40W】
色味は良いが、玄関には暗いか

浴室

 密閉器具に取り付けられるので、浴室での使用も可能だ。60Wタイプは、画像では暗く見えてしまうものの、肉眼では浴室での使用に十分な明るさが得られた。40Wタイプはかなり暗い印象になってしまう。

 なおメーカーでは、浴室など水滴のかかる場所での使用を基本的には禁じているが、防湿器具であれば使用可能としている。この点には注意していただきたい。 → [EVERLEDSのページ]

 

【白熱電球:60W】
浴室全体が十分に明るい
【パナソニックLED:60W】
画像は白熱電球に合わせて撮影しているため暗く見えるが、肉眼では十分な明るさを感じた。防湿器具であれば問題なく使用できるだろう
【白熱電球:40W】
浴室全体に光行き渡るものの、明るさはやや物足りない
【パナソニックLED:40W】
白熱電球40W同様に、明るさに物足りなさを感じる

トイレ

 狭い空間で壁の色も明るいため、60Wタイプは明るく清潔な印象が得られる。40Wタイプのものは実用的な明るさは得られるが、快適とは言いがたく、“使えなくもない”といったところか。

【白熱電球:60W】
明るく気持ちよく過ごせる
【パナソニックLED:60W】
比較すれば暗めだが、十分に明るい
【白熱電球:40W】
少し暗いが、狭い空間なので明るさは十分に感じられる
【パナソニックLED:40W】
明るさはぼちぼちあるが快適とは言い難い。“使えなくもない”といったところか

リビングルーム (全体照明)

 透過タイプのシェードでは、シェード全体がくまなく光っており、器具の持つ印象は大きく変わらない。白熱電球の色味とはやや異なるが、色被りはほとんどなく、温かみのある落ち着いた雰囲気が得られた。

 非透過タイプでは、器具の上部から天井にもある程度光が届き、白熱電球と似た印象。テーブル面も十分に明るかった。器具を選ばず使用できそうだ。

【白熱電球:60W×2 透過タイプのシェード】
光が部屋全体に行き渡り明るさは十分
 【パナソニックLED:60W×2 透過タイプのシェード】
白熱電球独特の赤い色は感じられないものの、暖かい印象。全体的に落ち着いた良い印象が得られた
【白熱電球:60W×2 非透過タイプのシェード】
明るくコントラストのある空間になっている
【パナソニックLED:60W×2 非透過タイプのシェード】
器具直下の明るさは十分、天井面にもある程度光が行き渡る。光のコントラスト、光色とも好印象だ

リビングルーム(間接照明)

 

【白熱電球:60W】
間接照明としては明るすぎるか
【パナソニックLED:60W】
こちらも間接光には明るすぎるかもしれない
【白熱電球:40W】
テレビの画面の明るさとちょうど良いぐらいの明るさ
【パナソニックLED:40W】
白熱電球同様に、テレビの明るさとのバランスが良い
【パナソニックLED:60W(調光器対応) 全灯時】
非調光の60Wタイプより一段明るい印象。これもまた明るすぎる
【パナソニックLED:60W(調光器対応) 87.5%時
全灯時と変わらない
【パナソニックLED:60W(調光器対応) 75%時】
40Wタイプよりもまだまだ明るい
【パナソニックLED:60W(調光器対応) 62.5%時
リビングでのんびりとくつろぐのにちょうど良い明るさになった
【パナソニックLED:60W(調光器対応) 50%時】
このぐらい絞り込んでも明るさは確認できる

リビングルーム (インテリア照明)

 60Wタイプ、40Wタイプ、調光器対応タイプとも密閉器具に取り付けられるため、空間の広がりを演出するアクセント照明としても効果的。光色にクセがないため、そばに置いた観葉植物の色味もとても自然に見える。

 ただし、60Wタイプだと明るすぎるように感じられた。40Wタイプで十分だろう。

【白熱電球:60W】
明るすぎるため、インテリアライトとしては不向きか
【パナソニックLED:60W】
白熱電球と同じく、まだまだ明るい
【白熱電球:40W】
40Wでも明るすぎる
【パナソニックLED:40W】
LED40Wタイプで、やっと落ち着いた雰囲気の明るさが得られた。光色はとても自然で、背景の観葉植物の色味も良い感じに映し出してくれた
【パナソニックLED:60W(調光器対応) 全灯時】 
非調光タイプと同様、かなり明るい。これでは主張しすぎて、インテリアライトには不向きだ
【パナソニックLED:60W(調光器対応) 87.5%時】
全灯時と変わらない明るさ
【パナソニックLED:60W(調光器対応) 75%時】
まだまだ明るすぎるくらい
【パナソニックLED:60W(調光器対応) 62.5%時】
このあたりで器具の明るさのムラが見えてきた。やさしい明かりで、他の器具ともあわせやすいだろう
【パナソニックLED:60W(調光器対応) 50%時】
ぼんやりとした雰囲気のある光が得られる
【パナソニックLED:60W(調光器対応) 48%時】
肉眼ではほのかに光っているのがわかる。眠りの邪魔をしない明るさで、常夜灯にはちょうど良いかもしれない

食事の風景

 光色が重要になる食事のシーンだが、全体的に良い印象。画像では目玉焼きの白身が若干黄色っぽく見えるが、肉眼ではどれもおいしそうに見える。明るさも十分に得られるので、食事のシーンにも問題なく使用できるだろう。

 

【白熱電球:60W】
全体的においしそうに見える
【パナソニックLED:60W】
食事を楽しむのに十分な明るさだ。目玉焼きの白身が黄色く見えるなど、若干黄色が強調される傾向が見られるが、それでもおいしそうに見える。色味を気にするシーンでも問題なく利用できるだろう



明るく、色が良く、密閉器具可。どんな場面にも向く“オールラウンダー”のLED電球


  白熱電球よりも暗くなるのはLED電球の宿命だが、その中では明るさは確実に上位。光も広がり、演色性も良好なので、リビング、ダイニング、玄関、トイレなど、暮らしの全ての場面において問題なく使える。

 唯一残念だったのが、調光器対応タイプにおいて、明るさが調光器の目盛りに同調しておらず、使い勝手が悪い点。ただし、それ以外の完成度は非常に高い。全製品が密閉型器具にも対応しているので、“オールラウンダー”のLED電球として、強くお勧めしたい。



2009年12月3日 00:00