LED電球、どれを買う?
最終回:パナソニック「EVERLEDS(エバーレッズ)」
●約1カ月遅れでの登場 : パナソニック「EVERLEDS(エバーレッズ)」
パナソニック「EVERLEDS(エバーレッズ) LDA7L-A1」。ダウンライト器具使用時で、白熱電球60Wに相当する明るさを備える |
パナソニックのLED電球で特徴的なのは、全製品が密閉型器具に使用できるところ。今回レビューした中では、東芝ライテックの40Wタイプ以外はすべて密閉型器具には対応していない。この点は大きなアドバンテージと言えるだろう。
E26口金に取り付けられる電球色のラインナップは、ダウンライト器具使用時で直下の明るさが白熱電球60Wタイプに相当する「LDA7L-A1」、同条件で40Wタイプに相当する「LDA4L-A1」、同条件で調光器に対応している、60Wタイプの「LDA8L-A1/D」の3点となる。実売価格は、LDA7L-A1とLDA4L-A1は3,980円、LDA8L-A1/Dは4,980円だった(Amazon.co.jp、11月5日時点)。以下、LDA7L-A1は「パナソニックLED:60W」、LDA4L-A1は「パナソニックLED:40W」、LDA8L-A1/Dは「パナソニックLED:60W(調光器対応)」と表記する。
なお、同社では小型電球と置き換えられるE17口金タイプのLED電球も発売しているが、これはまた別の機会に取り上げる。
「LDA8L-A1/D」は、調光器に対応する60Wタイプ | 「LDA4L-A1」は、同じくダウンライト器具使用時で40W相当の明るさ |
シリーズ名 | EVERLEDS(エバーレッズ) | ||
品番 | LDA7L-A1 | LDA8L-A1/D | LDA4L-A1 |
実売価格(Amazon.co.jp 11月5日) | 3,980 円 | 4,980 円 | 3,980 円 |
口金タイプ | E26 | ||
定格消費電力 | 6.9W | 7.6W | 4W |
全光束 | 450 lm | 425 lm | 260 lm |
色温度 | 2,800K | ||
定格寿命 | 40,000時間 | ||
調光器対応 | - | ○ | - |
密閉型器具 | ○ | ○ | ○ |
●サイズ比較
サイズは55×105mm(外径×高さ)、全タイプで共通となる |
重さは全てが100g以下と軽く、60Wタイプが88g、40Wタイプは86g、60W・調光器対応タイプでも94gだった。どれもLED電球の中では特に軽い部類になる。なお、光源部はガラスを採用している。
【パナソニックLED:60W】 白熱電球と比べると10mm高い。ヒートシンクがないためスマートな印象を受ける。重量の88gは、LED電球の中では特に軽量 | 【パナソニックLED:60W】 直径は白熱電球と同じ。光源部分はガラス製で、黄色い発光部が透けて見える |
【パナソニックLED:60W(調光器対応)】 60Wタイプとまったく同じサイズ。94gとやや重くなっているが、LED電球の中ではまだまだ軽量 | 【パナソニックLED:60W(調光器対応)】 非調光の60Wタイプと同じサイズ、同じ見え方 |
【パナソニックLED:40W】 60Wタイプと全く同じデザインだが、重さは86gとわずかに軽い | 【パナソニックLED:40W】 60Wタイプと見え方はまったく同じ |
●光の広がりかた
白熱電球と大きく異なる形状ではあるが、光は光源部を中心にほぼ球形に拡散している。ソケット方向にもある程度の光は届いている。
【白熱電球:60W】 ソケットぎりぎりまで明るいため、床面に近いところから、電球を中心に光が広がっている | 【パナソニックLED:60W】 電球の上方から、ほぼ球形に光が拡散している。床面にもある程度光が回っている | 【パナソニックLED:60W(調光器対応)】 非調光の60Wタイプとほとんど同じ |
【白熱電球:40W】 見え方は60Wのものと同じ | 【パナソニックLED:40W】 印象は60Wタイプと変わらない |
●器具に取り付けたようす
光源部分と回路部の境目が若干見えるが、器具とのバランスは良い。ただし、LEDの発光部が黄色く透けて見えるのが若干気になる。
【白熱電球:60W】 電球の端がわずかに覗いている程度で撮影 | 【パナソニックLED:60W】 背が低めなこともあり、器具とのバランスは良い。しかし、LEDの発光部が黄色く透けて見えてしまう | 【パナソニックLED:60W(調光器対応)】 形状が共通のため、非調光の60Wタイプと同様の結果 |
【白熱電球:40W】 | 【パナソニックLED:40W】 見え方は60Wのものと同じ |
●明るさ(55cm直下の照度)
60Wタイプの場合は500lx強と、40Wの白熱電球よりも明るい数値。LED電球の中ではとても明るい部類に入る。驚くのが調光器対応タイプで、100%点灯時で588lxと、非調光タイプよりもさらに明るかった。一方で、40Wタイプは250lxと平均的。
【白熱電球:60W 800lx】 光源を55mm上方にセットし、直下照度を計測した | 【パナソニックLED:60W 509 lx】 LED電球の中ではかなり明るい | 【パナソニックLED:60W(調光器対応) 588lx】 非調光の60Wタイプよりも明るい結果に |
【白熱電球:40W 437lx】 | 【パナソニックLED:40W 250lx】 LED電球の中では平均的な明るさ |
●調光器対応モデルの調光のようす
無段階調光に対応しているため調光はスムーズだが、明るさが調光器の目盛りに同調していない点は問題。調光器の目盛りの50%を少し越えただけで光が完全に消えてしまった。シャープ、東芝ライテックの調光器対応型と比べると、使い勝手の面で劣勢だ。
調光対応型での調光のようす。写真は全灯(100%) | 87.5% | 75% |
62.5% | 50% | 50%以下では完全に消えてしまった。写真は32.5%の状態 |
●省エネ性能
実測値は60Wタイプが5W、40Wタイプが2Wと、一般的なLED電球と比べてともに1W少ない数値。省エネ効果も期待できそうだ。調光器対応型は6Wと一般的だが、明るさを絞ることで消費電力も低くなる。
【白熱電球:60W 56W】 | 【パナソニックLED:60W 5W】 60WタイプのLEDでは低めの数値に | 【パナソニックLED:60W 調光器対応 6W】 調光時の消費電力の変化は下記の表を参考されたい |
【白熱電球:40W 38W】 | 【パナソニックLED:40W 2W】 こちらも40WタイプのLEDでは低い数値 |
製品名 | 白熱電球 (三菱電機オスラム製) | EVERLEDS (エバーレッズ) | |
品番 | LW100V57W2PZ (2個パック) | 60W LDA7L-A1 | 60W 調光器対応 LDA8L-A1/D |
定格寿命 | 1,000時間 | 40,000時間 | 40,000時間 |
1日8時間使用した場合の寿命 | 125日 (約4カ月) | 5,000日 (約13年8カ月) | |
1年間で必要な電球個数 (365日 x 8時間÷定格寿命) | 2.92個 | 0.073個 | |
電球一個の値段 | 71.5円 | 3,980 円 | 4,980円 |
実測消費電力 | 56W | 5 W | 6 W |
1日の電気代 | 9.8 円 | 0.8 円 | 1 円 |
1年間の電気代の目安 | 3,577 円 | 292 円 | 365 円 |
1年間の電球代の目安 | 209 円 | 291 円 | 364 円 |
1年間の維持費 (1年間の電球代+電気代) | 3,786 円 | 583 円 | 729 円 |
製品名 | 白熱電球 (三菱電機オスラム製) | EVERLEDS (エバーレッズ) |
品番 | LW100V38WW2PZ (2個パック) | 40W LDA4L-A1 |
定格寿命 | 1,000時間 | 40,000時間 |
1日8時間使用した場合の寿命 | 125日 (約4カ月) | 5,000日 (約13年8カ月) |
1年間で必要な電球個数 (365日 x 8時間÷定格寿命) | 2.92個 | 0.073個 |
電球一個の値段 | 71.5円 | 3,980円 |
実測消費電力 | 38W | 2 W |
1日の電気代 | 6.6円 | 0.5 円 |
1年間の電気代の目安 | 2,409円 | 183 円 |
1年間の電球代の目安 | 209円 | 291 円 |
1年間の維持費 (1年間の電球代+電気代) | 2,618円 | 473 円 |
調光レベル | 全灯時 | 87.5%時 | 75%時 | 62.5%時 | 50%~1%時 |
消費電力(実測値) | 6W | 4W | 1W | 計測不能(0W) |
特筆すべきは、60Wタイプの明るさ。他のLED電球と比べても明るく、しかも光は周囲に広がっている。器具とのバランスも良く、軽くて小型というのも設置の際には有利。この時点でかなりの好印象を受けた。
ここからは実際の生活シーンに取り付けて、白熱電球との見え方、印象を比較する。全タイプが密閉器具に対応しているため、浴室・密閉型のインテリア照明での使用シーンも掲載する。
●玄関
60Wタイプの場合、白熱電球と比較すれば薄暗いが、点灯した瞬間に十分な明るさを感じ、色合いも暖かみのある自然な印象のため、十分使用に値するだろう。ただし、40Wタイプではさすがに暗く、人を迎え入れる明るさとしては物足りない。
【白熱電球:60W】 床面まで光が届き、十分な明るさがある | 【パナソニックLED:60W】 色味も良く明るさも十分。問題なく使えるだろう |
【白熱電球:40W】 玄関としてはもうすこし明るさが欲しい | 【パナソニックLED:40W】 色味は良いが、玄関には暗いか |
●浴室
密閉器具に取り付けられるので、浴室での使用も可能だ。60Wタイプは、画像では暗く見えてしまうものの、肉眼では浴室での使用に十分な明るさが得られた。40Wタイプはかなり暗い印象になってしまう。
なおメーカーでは、浴室など水滴のかかる場所での使用を基本的には禁じているが、防湿器具であれば使用可能としている。この点には注意していただきたい。 → [EVERLEDSのページ]
【白熱電球:60W】 浴室全体が十分に明るい | 【パナソニックLED:60W】 画像は白熱電球に合わせて撮影しているため暗く見えるが、肉眼では十分な明るさを感じた。防湿器具であれば問題なく使用できるだろう |
【白熱電球:40W】 浴室全体に光行き渡るものの、明るさはやや物足りない | 【パナソニックLED:40W】 白熱電球40W同様に、明るさに物足りなさを感じる |
●トイレ
狭い空間で壁の色も明るいため、60Wタイプは明るく清潔な印象が得られる。40Wタイプのものは実用的な明るさは得られるが、快適とは言いがたく、“使えなくもない”といったところか。
【白熱電球:60W】 明るく気持ちよく過ごせる | 【パナソニックLED:60W】 比較すれば暗めだが、十分に明るい |
【白熱電球:40W】 少し暗いが、狭い空間なので明るさは十分に感じられる | 【パナソニックLED:40W】 明るさはぼちぼちあるが快適とは言い難い。“使えなくもない”といったところか |
●リビングルーム (全体照明)
透過タイプのシェードでは、シェード全体がくまなく光っており、器具の持つ印象は大きく変わらない。白熱電球の色味とはやや異なるが、色被りはほとんどなく、温かみのある落ち着いた雰囲気が得られた。
非透過タイプでは、器具の上部から天井にもある程度光が届き、白熱電球と似た印象。テーブル面も十分に明るかった。器具を選ばず使用できそうだ。
【白熱電球:60W×2 透過タイプのシェード】 光が部屋全体に行き渡り明るさは十分 | 【パナソニックLED:60W×2 透過タイプのシェード】 白熱電球独特の赤い色は感じられないものの、暖かい印象。全体的に落ち着いた良い印象が得られた |
【白熱電球:60W×2 非透過タイプのシェード】 明るくコントラストのある空間になっている | 【パナソニックLED:60W×2 非透過タイプのシェード】 器具直下の明るさは十分、天井面にもある程度光が行き渡る。光のコントラスト、光色とも好印象だ |
●リビングルーム(間接照明)
【白熱電球:60W】 間接照明としては明るすぎるか | 【パナソニックLED:60W】 こちらも間接光には明るすぎるかもしれない |
【白熱電球:40W】 テレビの画面の明るさとちょうど良いぐらいの明るさ | 【パナソニックLED:40W】 白熱電球同様に、テレビの明るさとのバランスが良い |
【パナソニックLED:60W(調光器対応) 全灯時】 非調光の60Wタイプより一段明るい印象。これもまた明るすぎる | 【パナソニックLED:60W(調光器対応) 87.5%時】 全灯時と変わらない | 【パナソニックLED:60W(調光器対応) 75%時】 40Wタイプよりもまだまだ明るい |
【パナソニックLED:60W(調光器対応) 62.5%時】 リビングでのんびりとくつろぐのにちょうど良い明るさになった | 【パナソニックLED:60W(調光器対応) 50%時】 このぐらい絞り込んでも明るさは確認できる |
●リビングルーム (インテリア照明)
60Wタイプ、40Wタイプ、調光器対応タイプとも密閉器具に取り付けられるため、空間の広がりを演出するアクセント照明としても効果的。光色にクセがないため、そばに置いた観葉植物の色味もとても自然に見える。
ただし、60Wタイプだと明るすぎるように感じられた。40Wタイプで十分だろう。
【白熱電球:60W】 明るすぎるため、インテリアライトとしては不向きか | 【パナソニックLED:60W】 白熱電球と同じく、まだまだ明るい |
【白熱電球:40W】 40Wでも明るすぎる | 【パナソニックLED:40W】 LED40Wタイプで、やっと落ち着いた雰囲気の明るさが得られた。光色はとても自然で、背景の観葉植物の色味も良い感じに映し出してくれた |
【パナソニックLED:60W(調光器対応) 全灯時】 非調光タイプと同様、かなり明るい。これでは主張しすぎて、インテリアライトには不向きだ | 【パナソニックLED:60W(調光器対応) 87.5%時】 全灯時と変わらない明るさ | 【パナソニックLED:60W(調光器対応) 75%時】 まだまだ明るすぎるくらい |
【パナソニックLED:60W(調光器対応) 62.5%時】 このあたりで器具の明るさのムラが見えてきた。やさしい明かりで、他の器具ともあわせやすいだろう | 【パナソニックLED:60W(調光器対応) 50%時】 ぼんやりとした雰囲気のある光が得られる | 【パナソニックLED:60W(調光器対応) 48%時】 肉眼ではほのかに光っているのがわかる。眠りの邪魔をしない明るさで、常夜灯にはちょうど良いかもしれない |
●食事の風景
光色が重要になる食事のシーンだが、全体的に良い印象。画像では目玉焼きの白身が若干黄色っぽく見えるが、肉眼ではどれもおいしそうに見える。明るさも十分に得られるので、食事のシーンにも問題なく使用できるだろう。
【白熱電球:60W】 全体的においしそうに見える | 【パナソニックLED:60W】 食事を楽しむのに十分な明るさだ。目玉焼きの白身が黄色く見えるなど、若干黄色が強調される傾向が見られるが、それでもおいしそうに見える。色味を気にするシーンでも問題なく利用できるだろう |
●明るく、色が良く、密閉器具可。どんな場面にも向く“オールラウンダー”のLED電球
唯一残念だったのが、調光器対応タイプにおいて、明るさが調光器の目盛りに同調しておらず、使い勝手が悪い点。ただし、それ以外の完成度は非常に高い。全製品が密閉型器具にも対応しているので、“オールラウンダー”のLED電球として、強くお勧めしたい。
2009年12月3日 00:00