家電製品ミニレビュー

冷房苦手な人にオススメ! 1万円で買える山善の冷風機

山善の「スリム冷風扇 FCR-E40」。水で冷やした風を送る

 毎日暑い! ということで、風通しの良い部屋で、アイスでも食べて、だらだらしていたいものだ。だが仕事もあるし買い物にも行かなければならない。いやいや外に出た瞬間、猛烈に熱くなる。オフィスやスーパーに着いたら、また急速に冷やされ、冷えたと思ったら外に出て急速に熱くなる。

 こんなことが繰り返されるうちに、エアコンの「冷房」が苦手の筆者は、体がダルくなる。もう少し快適に夏をやり過ごせないか? オフィスの気まぐれなエアコンは仕方ないとしても、自宅の環境だけでも改善できないか? そう考えて、水を入れて使う「冷風扇」というものを使ってみた。

メーカー名山善
製品名スリム冷風扇 FCR-E40
購入場所Amazon.co.jp
購入価格10,900円

 使ってみたのは山善の「スリム冷風扇 FCR-E40」。本体を梱包から取り出すと、まずはサイズが大きいことに驚いた。“スリム”と言えばスリムだけど……本体サイズは274×883mm(直径×高さ)。

本体の前面
本体の背面
キャスター付きの台に装着

 扇風機と同じで、コンセントを挿して電源を入れれば風が出る。風量は「弱/中/強」の3段階で調整できるのに加えて、「リズム」と「おやすみ」モードが用意されている。風量は、一般的な扇風機の「弱/中/強」よりも一段ずつくらい弱く感じるが、上下に長い送風口全体から風が出てくるためかもしれない。そのためもあって、送られてくる風が優しく感じられるのが特徴だ。

 だが、これだけなら扇風機やエアコンの送風と変わらない。本機の特徴は、水を入れれば、もっとヒンヤリとした風が送られてくるというものだ。使う前に、この仕組みを理解しておくと、実際よりも涼しく感じられる。

まずは冷風扇の仕組みを理解する

01 まずタンクの中に水を入れる。その水を給水ポンプで本体上部にある上タンクに汲み上げる。

02 上タンクから水が落下して、吸水フィルターをヒタヒタと湿らせる。

03 外の空気が本体に入り、湿ったフィルターを通り抜ける際に、気化熱が奪われて、風の温度が下がる。その風が本体の外に送られる。


 「冷風」を発生させるために、まずは本体内のタンクに水を溜めておくのだ。本体背面の下の方に給水口があり、やかんなどを使って水を注ぐ。「冷風」ボタンを押すと、水を汲み上げている音が聞こえてくる。そしてしばらくすると、なんとなくヒンヤリとした風が送られてくる。

本体下部の給水口
水タンク内を覗くと、ポンプと、タンク内の水の雑菌繁殖を抑える抗菌フィルターが見える
給水口のフタを外して、水を注ぐ
背面のエアフィルターを外すと吸水フィルターが現れる
吸水フィルターも取り外せる
背面下部にある排水口

 冷たい風が出てくるとはいえ、冷房ほどのパワーはない。日差しが入る昼から夕方にかけては、冷風扇だけでしのぐのは難しい。気化熱の作用で温度を下げる仕組みなので、特に湿度が高いと水が気化しづらくなり冷風効果が発揮されないのだ。

 それでも、エアコンを除湿設定または弱冷房にして冷風扇を併用すれば、エアコンが苦手な筆者でも、より快適に過ごせることがわかった。また、夕方から朝にかけては湿度が異常に高くなく、風が吹いていれば、冷風扇だけの方が心地良い。心地良さを感じるのは、送風口が広いということもあるだろう。扇風機のように風が集中して体に当たるというよりも、フワァという感じで当たるのだ。

 エアコンを極力使いたくない就寝時にも、今のところは冷風扇が活躍。朝には少し寒さを感じるくらいだ。今後、蒸し暑い熱帯夜が続いたとしても、エアコンのドライをタイマー設定しつつ、冷風扇を併用すれば寝心地も改善されそうだ。

使う上での問題が1つ

作動音が扇風機と比べて少しうるさい

 気になったのが作動音。慣れている扇風機とは音の質が異なり、扇風機よりも少し低域が目立つ音がする。起きている時にはそれほど気にならず、少し遠ざけて設置すれば、「中/強」で常用しても問題ない。だが、近所も寝静まり、他の音が少なくなる就寝時には、やはり気になる。

 実際にどのくらいの音がするのかを、iPhoneに「騒音計測メーター」というアプリを入れて計ってみた。我が家のAC扇風機の風量「弱/中/強」を計測すると、それぞれ「50/57/62dB」。同じように冷風扇を測ると、それぞれ「56/60/63dB」という結果になった。これは「冷風」モードをONにした場合だが、OFFにしても数値はほとんど変わらなかった。

 一般的に60dBを超えるとうるさいと感じるし、感覚的にも就寝時に冷風扇を「中/強」で使うと音が気になる。ということで、冷風扇の就寝時の実用範囲は、やはり「弱」までだと感じた。

子どもがいても安心

 小さな子どもがいても、それほど心配が多くないのも嬉しい。昨今の扇風機も、カバーの目が細かくなっているので、子どもの指が入ってしまうことはないだろう。だが、羽根が回っているのを目の前にすると、やはり指が入ってしまったことを想像してしまう。

 冷風扇は送風口の目が細かい上、万が一に指を入れてしまっても、羽根に当たる危険はないので安心だ。

 唯一心配なのが、コードが大好きな子どもの場合、電源コードを引っ張ったりくわえたりしてしまうこと。だがこれは、電源コードを使う家電製品はどれにでも当てはまること。各家庭で気をつけるしかない。

子どもが送風口に指を入れてしまう危険がない

冷房が苦手な人に適した製品

 エアコンの冷房のように、強烈に空気を冷やすわけではない。また扇風機のように、強力な風を送り付けてくることもない。イメージに近いのは、氷塊を前に置いて団扇でパタパタと扇ぐくらい、という感じだ。

 優しくヒンヤリとした風は、体へのインパクトが少なく、長時間使っていても疲れない。冷房だと体がダルくなるという人は、試してみる価値のある商品だと言える。

 最後に、消費電力が36/38W(50/60Hz)というのも嬉しい。扇風機よりも見た目が大きいため消費電力も多いのかと思ったが、実際にはAC扇風機と同じくらい。エアコンと比べれば1/10くらいで抑えられ、財布にも優しいというのも見逃せないのだ。

付属のリモコン
ほとんどの操作がリモコンで可能
リモコンの受信部は本体上部にある
ボタン電池「CR2032」を使用
リモコン用の格納スペースがある
リモコン用の格納スペースは持ち手にもなる。本体重量は約4.4kgなので、片手で持ち上げられる
首振りはもちろん、上下のルーバー操作もリモコンで行なえる

河原塚 英信