自動応答でメッセージが流れる防犯用録音アダプター

警告メッセージが流れる録音アダプター

東芝エルイートレーディング「防犯用電話自動応答録音アダプター TY-REC1」

　警察庁の発表によると、2013年における振り込め詐欺などの「特殊詐欺」の被害総額は、過去最悪を記録したという。このような迷惑電話を事前に防止するのが、東芝エルイートレーディングの「防犯用電話自動応答録音アダプター TY-REC1」だ。

　TY-REC1は、電話機に繋いで使う防犯アダプターだ。その主な機能は、自動応答機能と、通話の録音機能の2つがある。まず自動応答時は「この電話の通話内容は防犯の為に録音されています。あらかじめご了承ください。」というメッセージが流れる。このメッセージにより、迷惑電話をかけてきた相手にプレッシャーを与えて牽制することができる。

　もう1つの録音機能では、最大で約20分、または99件を録音できるICレコーダーを内蔵する。また、音声出力端子も搭載しており、本機で録音した内容をICレコーダーなどの外部機器に録音して保存することも可能だ。

　本体サイズは88×76×26mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約90gと、片手にすっぽりと収まるくらいの大きさで、電話機の横に置いてもそれほど邪魔にならない。ボディには、「応答」「録音」「再生/停止」の3つのボタンが付いており、大きめの字で記載されているのでとても見やすい。ボタンの上には、インジケーターランプも用意されている。

パッケージ

「応答」「録音」「再生/停止」の3つのボタンを搭載

各ボタンにはインジケーターランプを備える

　電源にはACアダプター(DC6V)を使用する。このアダプターもコンパクトで、周辺のコンセントを邪魔しないように配慮されている。背面にはこのACアダプターの接続端子のほか、モジュラーコード(4P)の入出力端子が搭載されている。電話回線につながるコードを接続する端子と、電話機につながるコードを接続する端子がそれぞれ1つずつ用意されている。このほか、筐体前面には電源スイッチと音声出力端子が搭載されている。

ACアダプターとモジュラーコードが付属

背面のモジュラーコード入出力端子

前面には音声出力端子を搭載

自動メッセージだけでなく通話中の手動録音も可能

　早速使ってみよう。使用するにあたって、モジュラーコードの入出力端子を電話回線および電話機に接続し、ACアダプターをコンセントに繋ぐ。自動録音にセットする場合は、待機中に録音ボタンを押して録音ランプを点灯させておく。この状態で電話機の呼び出し音が3回鳴ると、応答メッセージが流れる。設置したら、携帯電話などから自宅にかけてテストしてみるといいだろう。

　メッセージの内容は、前述した通り、「この電話の通信内容は防犯のために録音されています。あらかじめご了承ください」と警告するもので、このメッセージは相手側に対して流れるだけでなく、TY-REC1のスピーカーからも聞こえる。音量はかなり大きく聞き取りやすいが、反面、夜中など静かな環境ではうるさく感じられるだろう。できれば音量を調節できるようにしてほしかった。メッセージの再生が終わると呼び出し音が鳴り、電話に出ると再生が終了して録音が始まる。

　なお、留守番電話機能付き電話機やFAX付き電話機の場合、電話がかかってきた際に留守番電話やFAXよりもTY-REC1が先に応答すると、留守番電話やFAXは機能しない。またその逆で、TY-REC1よりも先に留守番電話やFAXが応答すると、TY-REC1は機能しない仕様となっている。在宅時などにTY-REC1のほうを先に機能させたい場合は、自動受信に切り替わるまでの呼び出し回数が少なくなりすぎないように、電話機のマニュアルを見て設定する必要がある。

TY-REC1を電話機と電話回線に接続

TY-REC1が先に応答するとFAXが機能しない

待機中の様子

　また、自動録音が設定されていない状態で電話がかかってきた際に、通話中に録音ボタンを押して手動録音することも可能だ。この場合は電話を切ると録音が終了する。

　自動録音と手動録音いずれの場合にも、TY-REC1は1通話で1つの録音ファイルを生成する。長い通話は、5分ごとに録音ファイルが分けられて保存される。

　録音した内容を再生するには、再生/停止ボタンを押すと、もっとも新しい録音内容から順に再生される。音質はそれほど良いわけではないが、再生音量が大きくノイズも少なめで、内容は聞き取りやすい。再生中に録音ボタンを押せばスキップできるほか、応答ボタンを2秒以上長押しすると、再生中の録音内容が消去される。

ICレコーダーを接続

　前述したように、市販のICレコーダーなどを接続して、通話内容を録音し直すことも可能だ。その場合は、別途オーディオケーブル(3.5mmミニプラグ)を用意する必要がある。

　実際に、ステレオ音声のICレコーダーを接続して録音してみたところ、モノラル音声出力のため片チャンネルだけが録音された。TY-REC1内蔵のICレコーダーは、メモリ容量がなくなると古いファイルから順に削除されてしまうので、このように別の機器を使って録音し直すことで通話内容を保存しておくことができる。

スピーカーの音量調整ができないのが残念

　筆者宅にはたまに不審なセールスの電話がかかってくるのだが、TY-REC1を設置していた期間に一度だけ、応答メッセージを聞いた途端に無言で電話を切られてしまったことがあった。確かめる術はないが、もしかしたら「この家はかなり用心している」と思って、メッセージを聞いただけであきらめたのかもしれない。

　迷惑電話に対して、具体的にどれくらい抑止効果があるのかは正確にはわからないが、もし自分が迷惑電話をかける側だとしたら、冒頭に「録音します」と警告されたらかなり嫌だろうと思う。悪質なセールスも、このような家はできるだけ避けたいと思うのではないだろうか。

　使っていて不満だった点は、スピーカーから流れる警告メッセージと録音内容の再生音が音量調整できないことくらいで、この点に納得できるのであれば、かなりおすすめだ。これだけボタン表示がわかりやすければ、高齢の方でも十分に使いこなせると思うので、プレゼントにも良いのではないだろうか。