家電製品ミニレビュー

GEANEE(ジーニー)「ワイヤレスベビーモニター」

~この価格で音声も映像もモニターできるなら安い!

GEANEE(ジーニー)「ワイヤレスベビーモニター」

 赤ちゃんグッズで必要なものNo1は、ベビーベッドでも歩行器でもない。事実ウチには3人の子どもがいるが、ベビーベッド(レンタル)を使ったのは第1子のみで、残り2人は座布団だった。歩行器も不要で、別になくっても勝手に壁伝いに歩き始める(笑)。

 本当に必要だったグッズは、ご飯を食べさせるときのベビーチェア、そして、赤ちゃんの声が別室でも聞ける「ベビーモニター」だ。そのベビーモニターは、18年前は音声しか聞けなかったが、最近はカメラの映像まで見られるようになっている。今日紹介するのは、カメラの映像と音声がワイヤレスでモニターできる安価なベビーモニター、GEANEEの「ワイヤレスベビーモニター」だ。

メーカーマキコーポレーション
製品名GEANEE(ジーニー) ワイヤレスベビーモニター MK-BBM
購入場所Amazon.co.jp
購入価格8,980円

 さてレポートする前に1つお知らせがある。ウチの赤ちゃんたちは立派に成長して、一番上のお姉ちゃんは今年で18歳になった。そこで、声と仕草でしか人に要求できない、我が家の愛犬「定吉」を使ってレポートする。パッケージの説明によれば、ペットにも使えるとのことだ。

スイッチはたくさんついているけど、普段使うのは電源ボタンだけ

 パッケージの中には、ACアダプタが2つとカメラが付いた送信機、そしてモニターのついた受信機が入っている。それぞれにはスイッチ類がたくさん備えられているが、送信機(カメラ)側で普段使うのは電源スイッチぐらいだ。受信機側(モニター)側もよく使うのは、電源と正面のスイッチ2つほどしかない。

 設定は工場出荷時の状態で、たいていうまくいくはずだ。唯一必要だとすれば、後述する赤ちゃんが泣いたときにアラームを鳴らす機能ぐらい。

送信機の正面(左)と背面(右)。工場出荷時の設定でまず問題なく使える。アンテナ部分が細長く赤ちゃんには危ないので、離して置いたほうがいい
受信機の正面(左)と背面(右)。液晶画面は、昔のガラケーぐらいの大きさ。映像を消して音声だけモニターすることもできる

 送受信機ともにACアダプタが同梱されているが、イザというときは乾電池駆動も可能だ。例えばキャンプに行ったとき、テントに赤ちゃんを寝かせて、みんなは外で食事の準備をしていたというケースもあるだろう。とはいえ、連続駆動時間は5時間程度と短いので、普段使いはACアダプタになりそうだ。

 なお送信機側は、壁に取り付けられるネジフックが設けられているので、赤ちゃんの手の届かない場所に設置できる。赤ちゃんの布団の上にも置けるが、ACアダプタの電線が絡まったり、アンテナを舐めたりしないよう、離して置いたほうがいい。カメラは手で上下左右にそれぞれ30度向きを変えられるので、設置場所に困ることはないだろう。

カメラの向きは上下左右にそれぞれ30度変えられる。中央の丸い穴がカメラで、その回りは暗闇で点灯する赤外線ライトになっている

解像度は低いが赤ちゃんの状態を見るには十分。夜の暗がりでも赤外線でハッキリ

 カメラの解像度は480×234ピクセル。居間のデジタルテレビはたいてい1,980×1,080ピクセルなので、だいたい縦横に1/4ぐらいまで縮小した映像になる。なので赤ちゃんから1mも離れると表情は読み取れなくなってしまうが、うつ伏せになって苦しそうにしていないか? 布団を脱いでいないか? などは見て取れる。

 なお普通のテレビは、1秒間に30コマの動画となっているが、このベビーモニターは見た感じだと24コマで、少し動きがぎこちない。また電波の状態が悪いと12コマぐらいまで落ち、ガクガクした映像になる。とはいえ、赤ちゃんが猛スピードで寝返りするわけでもないので、実用上は問題にならないだろう。

 説明書によれば、カメラとモニターの間は最大300mとあった。これは見通し距離だが、実際に遮蔽物のある2階と3階で使ってみたところ、4段階あるアンテナレベルは、最大の4本だった。後述するが、これは自宅の無線LANがOFFの状態だ。LANをONにすると2~3本となる。もし自宅でスマートフォンを使っている場合は、それと同じぐらいの通信距離と思っていい。

撮影映像(左)と、撮影風景(右)。撮影対象から離した距離分の幅が、モニターに写るような感じになる。赤ちゃんなら50~1mぐらいカメラを離すぐらいがちょうどいいだろう
撮影中の通常映像
部屋の電気を消すと赤外線ライトが自動的に点灯し、明るく撮影できる。ただし白黒映像になる

 当たり前だけど、赤ちゃんのお守りに休みはなく、24時間365日営業だ。部屋の電気を消しみんなが寝息を立てている夜中でも、赤ちゃんは泣く。部屋が暗いとカメラに赤ちゃんの姿が写らなくなくなるが、このベビーモニターには赤外線ライトがついているため、常夜灯をつけていない部屋でも、赤ちゃんの姿を明るく映し出す。

 暗い部屋での撮影映像は白黒になってしまうが、これは赤外線ライトを使っているため。赤外線は目に見えないので、赤外線ライトが点灯しても、赤ちゃんが眩しさで起きてしまうこともない。また部屋が暗いかどうかは、カメラが自動的に判断してくれるので、操作も不要だ。赤外線ライトはおよそ5m先まで照らし出せるので、明るさ的にはまったく問題ない。

赤ちゃんが泣く、またはペットが吠えたりすると、アラームが鳴る

 アラーム機能はちょっと席を離れた間に赤ちゃんが泣いても、受信機のアラームが鳴り続けるというもの。アラーム停止ボタンを押すか35秒間鳴り続けると、アラームは停止して、再び赤ちゃんの鳴き声でアラームを鳴らすようになる。

 なおベビーモニターによっては、受信機側から送信機に対して「大丈夫今行くからねー」などと声をかけられる機能(双方向音声通話)があるが、本製品は送信機から受信機への一方通行のため、声がけはできない。

無線LANを使っている家では、電波干渉で通信速度が低下することもある

 さてベビーモニターとしての機能はまったく問題なく、価格も安く手ごろなのだが、1つ問題がある。それはベビーモニターが使っている無線の周波数と、無線LANが使っている周波数が同じという点だ。しかしこれはベビーモニターが悪いというわけではない。

 両者が使っているのは、2.4GHz帯と呼ばれる周波数で、無線LAN(IEEE 802.11b/g/n)だけでなく、スマートフォンなどで使われているBluetoothやコードレス電話、さらに電子レンジでも使われ、いま最も混雑している周波数帯といわれているのだ。これは「見通し距離程度の弱い電波なら、利用者が無線の免許を持っていなくても利用可能」と優遇されている帯域だから。いうなれば技術に法律が追いついていない状態。

ベビーモニターOFF時の無線LANの電波。左の緑の線が、同じ階にあるアクセスポイント。信号の強さはマイナス44dBだった
ベビーモニターをONにすると緑の線が下がり、信号がマイナス54dBまで下がった
別の階にある無線LANと周波数が重なると、幅が半分になった。こうなるとLANの通信速度が半分になってしまう。これは緑と水色の中間に、ベビーモニターの電波があるから

 そういうわけで、ベビーモニターを使っていると、無線LANの親機に接続するまでに時間がかかったり、通信速度が落ちたり、ベビーモニターの映像がコマ送りになってしまう場合がある。家族には一切告げないでベビーモニターのテストをしていたところ、奥さんと高校3年の娘から「最近無線LANの調子が悪い」とクレームがきたので、体感できるほどの通信障害だ。

チャンネルの切り替えも可能だが、どのチャンネルも2.4GHzの無線LANと干渉してしまう

 ベビーモニターには、通信障害を回避するためにチャンネルが4つ設られけており、他の電波が干渉してくると自動的にチャンネル内で周波数を切り替えるなどしている。無線LANも同様の機能を備えているが、それでも電波干渉してしまうようだ。

映像で赤ちゃんの状態が確認できて、この価格は安い!

 受信機から声がけできないという点が大きな選択肢となるが、3人の子供を育てた筆者の経験上から言うと、さほど重要な機能ではない。なぜなら声がけしたところで、泣き止むというわけではないからだ。赤ちゃんが泣くのは、お腹がすいたか、オムツを替えて欲しい場合がほとんどで、その欲求が満たされれば泣き止む。たまに抱っこして欲しかったり、寝苦しいなどで何を要求しているのか分からないときもあるが(笑)。

 その点を考慮するとこのベビーモニターは、必要十分なモニターといえるだろう。音声だけのモニターでは確認できない、うつ伏せになって息苦しくなっていないか? 布団から出ていないか? なども映像で確認できるうえに、音声だけのモニターとさほどかわらない。1万円未満という実売価格も、むしろ安いぐらいだ。

 また、部屋全体を見渡せる天井の四隅に取り付ければ、家の中に放し飼いしているペットモニターとしても使える。録画機能がないので留守中の様子は分からないが、別の部屋で作業をしているときなど、イタズラをしたり無駄吠えしていないかを監視するのにいいだろう。またイタズラをしちゃダメなものは、たいてい自分の基地に持ち込む(家の場合は部屋の隅の机の下)ので、そこにカメラを設置してピンポイントでチェックすることもできる。

ダメ! と言われている物をゲットしたとき、必ず自分の基地に持ち帰って遊ぶ定吉。そんな場合には、基地にモニターをピンポイントで設置して、しつけ用モニターとしても使える

 これから赤ちゃんが生まれる家庭、そろそろ寝返りができる赤ちゃんがいる家庭で、ぜひ購入を検討してみてはいかがだろうか? また室内犬をしつけ中という場合も便利に使えるはずだ。

藤山 哲人