家電製品ミニレビュー
ネスプレッソ「LATTISSIMA+」
■購入しやすくなったハイエンドモデル
ネスプレッソ「LATTISSIMA+」 |
スターバックスをはじめとするコーヒーチェーンが普及したことで、一昔前よりずっと手軽にエスプレッソやカフェラテなどを楽しめるようになった。そんな本格的な味を家庭でも楽しみたいという人は多く、最近では様々なタイプのエスプレッソマシーンが売られている。
エスプレッソマシーンというとかなり本格的な製品をイメージするかもしれない。本格的なエスプレッソを淹れる時にキーとなるのは、レギュラーコーヒーよりもずっと細かく引かれた専用の粉だ。従来のエスプレッソマシンは、この粉を専用のホルダに入れて使っていたため、後片付けや準備に手間がかかっていた。
しかし、最近のエスプレッソマシーンのトレンドは手軽さやコンパクトさにある。あらかじめ粉が分けられて、密封されているコーヒーパッドやカプセルを使うことで、事前の準備や後片付けの煩わしさから解放されたのだ。今回紹介するのは、そんなカプセル式のエスプレッソマシーン、ネスプレッソの「LATTISSIMA+(ラティシマプラス)」だ。
メーカー | ネスプレッソ |
製品名 | LATTISSIMA+ |
希望小売価格 | 29,800円 |
購入場所 | ネスプレッソオンラインショップ |
購入価格 | 29,800円 |
ネスプレッソでは、以前からカプセル式のエスプレッソマシーンを展開。自社製品専用のカプセルを用意し、インターネットや電話などを通じて、ユーザーが直接購入する方法を採用している。十数種類の豊富なフレーバーや本格的な味にファンも多い。
LATTISSIMA+はネスプレッソのハイエンドモデルに当たる製品で、「エスプレッソ」、「ルンゴ(エスプレッソより抽出量が多いもの。エスプレッソの抽出量は40cc程度だが、それを100~110cc程度まで“長め”に抽出したものを指す)」、エスプレッソにフォームミルクを加えた「カプチーノ」、カプチーノよりもミルクの量が多い「カフェラテ」の4種類のレシピに対応する。それぞれ、専用のボタンが設けられており、本体にカプセルをセットしてから抽出までワンタッチでできるようになっている。
ネスプレッソでは、従来も同等の機能を搭載した機種を展開していたが、LATTISSIMA+では、本体サイズをコンパクトにしたほか、価格を下げるなど、より購入しやすいモデルとなっている。
本体サイズは167×319×253mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約4.5kg。カラーは、シルキーホワイト、アイスシルバー、パッションレッド、ミッドナイトブルーの4色を揃える。紺色と青色が混ざったような渋い色味が気に入ってミッドナイトブルーを選んだ。
製品パッケージ | 製品本体 | 本体正面 |
本体側面 | 本体背面 | 本体上部 |
■操作ボタンが少なくて使いやすい
本体は、機能的な印象のスクエアデザイン。操作ボタンは最小限で、メニューボタンの4つしかない。しかし、機能は意外にも多機能。メニューやカップの大きさによって本体の形状を変えられるようになっていて、最初は操作にとまどうかもしれない。ミルクタンクなどの部品の使い方も含め、最初は取り扱い説明書を丁寧に読んだ方が良いだろう。
操作ボタンは各メニューのボタンのみ | ネスプレッソのマシンで使う専用のカプセル | カプセルは手のひらサイズだ |
使用シーンに応じて、本体形状は様々変化する。写真はミルクタンクを本体にセットしたところ | 大きめのグラスを使う時は、抽出口下の台を本体内部に収納できる | 小さめのグラスを使う時は、抽出口したの台を引き出して使う |
慣れてしまえば、実際の手順はとても簡単だ。エスプレッソやルンゴなどミルクなしのレシピを作る時は、カプセルを入れて、スイッチを押すだけ。カフェラテやカプチーノは淹れる時はミルクタンクにミルクを入れて、本体にセット。あとはカプセルを入れてスイッチを押すだけだ。
なにしろ、操作ボタンが4つしかなくて、飲みたいレシピのボタンを押すだけなので、操作に迷うことはない。ボタンを押してから抽出までにかかる時間は約1分程度。たとえば、レギュラーコーヒー用のコーヒーメーカーの抽出時間や、インスタントコーヒーを淹れるためのお湯を沸かす時間に比べても圧倒的に短いのだ。
簡単な操作、短時間での抽出、と気に入っているところはたくさんあるが、何より気に入っているのは、その本格的な仕上がりだ。最大19気圧で抽出したエスプレッソは、お店で飲むような本格的な味で、コーヒー好きの私はついついダブルにして飲んでしまう。
カプセルは本体上のフタを開けてセットする | エスプレッソを抽出しているところ |
そして、カフェラテのミルクのふわふわの仕上がりといったら! 口当たりがなめらかで、エスプレッソ独特の苦みをまろやかにしてくれる。ミルクの抽出温度は約60℃で、最適な温度のカフェラテがすぐにできあがる。LATTISSIMA+では、ミルクタンク上部の備えられているダイヤルで泡のきめ細かさや密度まで調節できる。私は飲み口を重視したいタイプなので、泡立ちは少なめの方が好みだ。
大きめのグラスを使ってカフェラテを入れる | 最初はミルクが出てくる | ミルクの抽出が終わるとエスプレッソの抽出に自動的に切り替わる |
ミルクとエスプレッソの層がキレイに仕上がった | 表面には濃厚なミルクの泡の層がある | ミルクの泡立ちを調節できる機能も備える。写真はもっとも泡の密度を濃くした場合。スプーンですくうと泡が丸くまとまった |
■専用メーカーならではのこだわりも
今回のレビューを書くにあたり、取扱説明書を読み込んだところ、メーカーのこだわりが感じられる部分があった。まず、水の硬度を設定できる点。ネスプレッソは世界で展開しているメーカーなので、使用地域によって水の硬度がかなり違う。その点までを配慮しているのだ。ちなみに日本は軟水なので、とくに操作をする必要はない。
また、本体を長期間使わない時のための乾燥モードや本体専用の湯垢洗浄剤も用意されている(別売り)。日常的に使うものではないが、大事にしたい、徹底的にケアしたいというニーズにもちゃんと対応するという姿勢が素晴らしい。
唯一気になったのは、電源コードの長さ。キッチン家電としてはかなり短めで、延長コードが必須。キッチンでコードの数を必要以上に増やすのは避けたいので、これはもうちょっと長めにしてほしかった。
水の硬度など細かいところまで設定できる | 唯一気になったのは、電源コードの長さ。かなり短く、どこに置くのにも延長コードが必要だった |
■お手入れは食器洗い洗浄機でラクラク
最後に気になるお手入れ方法について紹介しよう。実は、フォームドミルク機能が付いたエスプレッソメーカーの手入れは、かなり面倒くさいと思っていた。実際、使っている人からも、「ミルクが本体内部のチューブにこびりついてしまったり、とにかく手入れが大変」、「洗うのが面倒で、ミルクフォーム機能を使ったのは購入当初だけ」という声を良く聞いていたからだ。
それが、LATTISSIMA+ではとても楽だった。というのも、フォームドミルクを作る部分の部品は全て、取り外して食器洗い乾燥機で洗うことができるからだ。かなり小さい部品もあるので、分解するのに気は遣うものの、手洗いしなくても良いというのは気が楽。逆にいうと、食器洗い乾燥機がない人にとっては、手入れは大変かもしれない。
ミルクタンク周りの部品は全て食器洗い乾燥機での洗浄OK | ミルクタンクの部品を全て分解したところ | 食器洗い乾燥機でまとめて洗えるのはかなり楽ちん |
ミルクタンクのクリーンボタン。ミルクレシピを作った後は必ず使うようにしたい |
ミルクを抽出するときのパイプの中を簡単に掃除できる機能も搭載する。これは、使用後にミルクタンク上のスイッチをしばらく押すと、高温の蒸気でパイプ内部に残ったミルクなどを取り除くというもの。これは、一度ミルクがこびりついてしまうと、その後の手入れが大変なので、これは毎使用後に行なうようにしよう。
■これなら使いこなせる
LATTISSIMA+が優れていると思うのは、ミルクタンク部分が取り外し可能で、取り外したままでエスプレッソの抽出ができるという点。つまり、使わないときはタンクを取り外したまま、シンプルなデザインを楽しむこともできる。普段はエスプレッソのみ、お休みの日はカフェラテを使い分けられるのが良い。
この手の嗜好品は、機能が複雑だったり、サイズが大きすぎると、使わなくなって、しまい込んでしまうことも多い。LATTISSIMA+は、マンションのキッチンに余裕で置けるサイズ感と機能性が気に入って、本当に毎日使っている。エスプレッソマシーンの購入を検討している人にはぜひ、おすすめしたい1台だ。
2012年7月11日 00:00