家電製品ミニレビュー
サンワサプライ「ワットチェッカー付き電源タップ」
サンワサプライ「ワットチェッカー付き電源タップ」 |
エアコンや扇風機、サーキュレーターなど、どうしても電化製品に頼りがちな夏。しかし、その時に怖いのがタコ足配線。1台の電源タップに機器を繋ぎすぎると、定格以上の電流が流れて発熱し、火災につながる恐れもある。気温の高いこの季節は、特に注意したい。
そこで今回は、タコ足配線による危険が未然に防げるよう、消費電力を表示するモニターを搭載した電源タップ「ワットチェッカー付き電源タップ」を紹介しよう。
メーカー | サンワサプライ |
製品名 | ワットチェッカー付き電源タップ |
購入場所 | 直販サイト |
購入価格 | 2,980円 |
中央に、ワットチェッカーに繋いだ製品の消費電力を表示するモニターを備えている点が特徴だ |
ワットチェッカーとは、コンセントと電源プラスの間にかませることで、消費電力を表示する機器のこと。編集部でも、家電製品の消費電力を計測する際によく使用している。しかし、家庭で使っているという人はほとんどいないだろう。サンワサプライから発売されているワットチェッカーを例に取れば、実売価格は5,000円前後と高く、しかも差し込めるプラグは1つしかない。消費電力以外にも、電圧や皮相電力、力率といった数値も取れるが、研究するわけでもない限り、日常生活ではあまり価値のない情報だ。
しかし、このワットチェッカー付き電源タップは、価格は2,980円(直販ショップ)と比較的安く、おまけにコンセントは5口付いている。計測は消費電力だけとなるが、日常生活ではこれで十分。何より、普通のタップとしてもワットチェッカーとしても使えるのが良い。さらに、消費電力が定格の1,500Wを超えると、アラームが鳴り、本体のブレーカーが落ちて自動的に電源がOFFになるという安全機能まで付いている。面白そうなので、さっそく購入した。
本体は310×60×35mm(幅×奥行き×高さ)の、いかにも電源タップといった出で立ちだが、中央にデジタル式のワットチェッカーが用意されている点が特徴。これまでにも消費電力の表示機能を備えたタップはあったが、数値を目盛りで示すアナログメータータイプだった。本製品はデジタル式なので、数値がハッキリと明示されることになる。
ワットチェッカーの脇には、向かって左はスイッチでON/OFFが切り替えられる3口のコンセント、右は常時通電の2口のコンセントが用意されている。右のコンセントには「ACアダプタ」と書かれており、大きなACアダプタを取り付けても問題がないよう、スペースが広めになっている。
表示部の右側は、常時接続用のコンセント。ACアダプタが差し込めるよう、広い作りになっている | 左側は、コンセントのON/OFFがスイッチで切り替えられるタイプが3口用意されている | 本体の脇には、出力オーバー時になるブザーのスピーカーが用意されている |
とりあえず、身の回りにある機器を接続してみると、意外と消費電力の少ない製品が多いことに気づく。扇風機は最大で44W、サーキュレーターも最大47Wと、そこまで電気を食わない。iPhoneやPSP、ノートパソコンなど、充電式のモバイル機器5個を一度に充電しても50Wだった。PS3も約130W、パソコンも100~200W(モニター含む)程度。これらの製品同士の組み合わせなら、タコ足配線でも定格能力を超える恐れはほとんどなさそうだ。
扇風機は「強」運転でも44W | サーキュレーターは「強」運転で47W。扇風機とほとんど変わらない |
iPhoneやPSP、ノートパソコンにモバイル電源など、5口すべてで充電しても30Wだった。このレベルなら、出力オーバーを気にする必要はない | PS3は136Wだった |
その一方で、熱交換器やヒーターを使う機器はさすがに消費電力が高い。除湿機は約650W(ハイブリッド式、強運転時)、シーズンではないがスチーム式加湿器は約400W(オート運転時)。ドライヤーに至っては最大約1,025Wとなっている。キッチンまわりだと、冷蔵庫は650W(200Lクラス、運転時)、電子レンジは約820W(出力600Wクラス)、炊飯器は425W(マイコン式、3.5合炊き)と、組み合わせによっては1,500Wをオーバーする恐れもある。
ハイブリッド式の除湿機は強運転で652Wと高め | シーズンではないが、スチーム式加湿器はオート運転で401W | ドライヤーは1,024Wとかなり高い。タコ足配線で最も気を付けたい |
しかし前述の通り、本製品には出力1,500Wをオーバーすると警告のアラームが鳴り、自動で電源をオフにする機能がある。そこで試しに、出力1,000W超えのところでドライヤーをONにしてみると、「ピピピピ……」という音が鳴り、数秒経ってすべての電源がOFFになった。アラームは非常に大きな音で、機器の運転音に負けないほどだ。これならが、すぐに気付くだろう。たとえアラームに気づかなくても、自動OFF機能で二重に安心だ。
消費電力が既に1,000Wを超えているところに、ドライヤーを使用すると、警告音がなり、しばらくすると電源がすべてOFFになる。※保護回路の動作を確認するために行なっています。ご家庭では実験しないようにしてください |
本製品が活躍するのは、このように消費電力の高い機器を多く使う場面だ。「1,500Wを超えないかな……」と不安なシーンに設置すれば、数字とアラームで、一目瞭然で結果が出る。パソコン周りや除湿機、キッチン周りで不安な場面があれば、一気に解決できるだろう。
もちろん、身の回りの消費電力を知り、少しでもムダな電力を省きたい場合にも使える。しかも、タップのように普通に使うだけで、簡単に数値が出てくるのだ。ワットチェッカーをいちいち付け替える手間なく、身の回りの電力を知ることができる。
難点としては、表示が5Wからのため、僅かな待機電力がわからないところ。データの詳しさに関しては、通常のワットチェッカーの方がさすがに優れている。また、消費電力が高い製品になると、ワットチェッカーで表示される数値よりも50Wほど低く表示されることがあるようだ。
さらに、長細い形状で、狭いスペースには設置しにくいところも気になった。小型で、出力オーバーの際はアラームが鳴るような簡易タイプがあっても良かったかもしれない。
電気ケトルの消費電力を調べているところ。タップでは消費電力を1,101Wと表示している | ワットチェッカーでは1,149Wと、約50Wほど高い数値が出た | ちなみにエアコンの消費電力は約700W(設定26℃時)と高め。ただ、さすがにエアコンをタップに接続する例は少ないだろう。 |
最後になったが、タップ自体のコンセントにトラッキング防止用のプラグが付いていたり、雷サージ保護機能も備えるなどの安全機能が付いている点も指摘しておきたい。
ワットチェッカーよりも安く、安全機能も付いて、しかも普通にタップとして使えるというのは、地味ではあるがおトクな話だ。身近なところから省エネをしたい人、“あそこのコンセント、出力は大丈夫かな?”と不安に思った人は、購入して損はないだろう。
【8月3日14時編集部追記】 当製品につきましては、パッケージの記述および発表時の資料から、「ワットチェッカー付き電源タップ」と記述しておりますが、8月3日現在、製品名は「ワットメーター付き電源タップ」に変更されています。ワットチェッカーを製造している計測技術研究所によれば、「ワットチェッカーを内蔵しているものではなく、消費電力測定機能を持った電源タップであり、消費者様に誤解を招く可能性があるため、サンワサプライ側に修正を申し入れた」としています。上記のような事情で製品名が変更されておりますので、ご了承ください。
2010年8月3日 00:00