家電製品ミニレビュー

スリーアップ「モッピー」

~6千円代で買えるお手軽お掃除ロボット
by 但見 裕子
スリーアップ「モッピー」。製品パッケージ

 床掃除は面倒な仕事だ。重い掃除機を出して、掃除したい場所を引っ張って歩きながら掃除する。これだけでも面倒なのに、電源コードの制限があるため、いったんコードを引き抜いたりという作業も加わる。日常的な仕事なので、慣れてしまえばどうということはないが、それでもやっぱり面倒は面倒だ。

 人間が手をわずらわさなくても、スイッチを入れると床掃除をしてくれる機械があればいいのだ。実際にそれはある。

 2002年に米国アイロボット社から発売された「ルンバ」だ。

 テレビショッピングなどでよく紹介されているので、ご存じの方が多いだろう。円盤状のマシンがランダムに動いて、床をきれいにしてくれる製品だ。

 しかし「ルンバ」は高価だ。一番シンプルなモデルでも定価48.800円、機能の高いハイグレードモデルは8万円近くする。普通の家計費からおいそれと出る金額ではない。

 ところが今回、ルンバ同様の円盤形お掃除ロボットでありながら、定価6,800円と、ずいぶんリーズナブルな価格のものを見つけたのでご紹介したい。


メーカースリーアップ
製品名モッピー RC-20
希望小売価格6,800円
購入場所Amazon.co.jp
購入価格6,220円

 「モッピー」はシートで拭いてゴミを付着させる、フローリングワイパー方式の掃除機具だ。円盤状の本体と、ACアダプター、底に取り付けるドーナツ型のゴミ取りシート(モップ)で構成されている。

 本体サイズは、285×50mm(直径×高さ)で、重量は約0.8kg。片手でつかんで楽に持ち上げられる。

パッケージ背面パッケージ内容。半分に折ってあるドーナツ状の布がシート(モップ)本体の直径は285㎜と、ルンバより小さめ。重さもかなり軽い

 ルンバが直径340㎜、高さ92㎜、重さ3.7㎏なのに対して、モッピーは片手でつかんで楽に持ち上げられるサイズで扱いやすい。また、掃除方式もルンバとは異なる。ルンバはゴミをブラシで掻き込んで集める、いわゆる掃除機と同じ役割を果たすが、モッピーはシートでごみを吸着する。

 本体にはごみ取りシートが7枚付属している。このシートは使い捨てではなく洗って再使用できるという。

 バッテリーは付属のニッケル水素電池3本。使用前に、ACアダプターで6~8時間充電する。8時間以上の充電はバッテリーに悪影響を与えるのでやめるように指示されている。たぶん過充電を防ぐ安全装置がついていないのだろう。

 ACアダプターで充電したまま忘れて8時間以上経ってしまうのが心配なので、今回は、電池だけを取りだして市販の電池充電器で充電し、モッピーに装着した。この方が、過充電になることもなく、安全で現実的だ。

バッテリーケースを開けて充電用電池をセットする充電しすぎが気になるので、ACアダプターを使わず、電池のみを市販の充電器で充電することにした

 充電ができたら、いよいよシートを装着してお掃除スタートだ。シートは面ファスナーで貼り付ける。

 スイッチを入れると「ピー」と可愛い音がして青いランプがつき、掃除がはじまる。

 まず直進で約2m進み、いったん止まってあたりを見回すような動きをするとまた別な方向に進みはじめる。壁や椅子など障害物に当たると、また方向転換をする。

 ここで、もう1つルンバとの大きな違いは、センサーの有無だ。

 ルンバでは、センサーが物を感知して壁面を探知しながら走るのだが、モッピーにはセンサーがない。

 これはどういう動きなのかなと、スイッチを入れたまま裏返してホイールの動き方を見てみた。左右2つのホイールを、直進の時は両方一緒に、方向を変えるときは片側だけ動かして、ランダムに角度を変えているようだった。どうも、モーターで駆動しているのは片方だけで、もう一方の車輪が回っているときは前進し、壁などに当たって進めなくなると、車輪の回転が止まって、ななめ後ろに方向を変えているようだ。つまり、障害物に当たるまではブレーキをかけていないのだ。
シートを面ファスナーでセットする本体裏側。2つのホイールで進む

 動作音はというと、かなりうるさい。「ガー」と「シャー」の中間のようなはっきりした音に、ホイールのウインウインいう音が混ざって、テレビの視聴の邪魔になるくらいの音が出る。

 ルンバも、実際に動かすとそれなりにうるさいのだが、モッピーほどではない。動作音より気になるのは、壁などに思いっきりぶつかる「ドン」という音だ。音だけでなく、ちょっとした椅子などを引きずってしまうほどの衝撃もそれなりにある。

けっこう勢いよく壁にぶつかる椅子を動かす「モッピー」
いろんなものが載ったキャスター付きテーブルを押して動かしているモッピー

 一度、ベッドサイドテーブルをぐんぐん動かしていたときには驚いた。キャスターつきで動かしやすいとはいえ、本などがいっぱい載っていてかなり重いのにだ。本当に力持ちだ。

 障害物に突き当たるまで、本当に何も考えずに体当たりするので、かなり響く。家具や建具を大事にしているような人は、モッピーのオーナーには向いていないだろう。

 また、物を感知しないので、段差や障害物に弱い。目を離していると、床に落ちていたヒモ1本につかまって身動きが取れなくなってしまっていたり、玄関に落ちてしまう。あまりほったらかしにできない。

 もっとも、障害物に乗り上げたり、何かにはさまったりした場合、15秒後に自動停止するので、本体自体のダメージにはならない。拾い上げて再起動させてやれば、何ごともなかったようにまた動き出す。

 モッピーは、充電した状態で起動すると、約60分間稼働できるが、電源がなくなるとその場で止まってしまう。ルンバの上級モデルになると、電源が少なくなったら自分で充電しに帰る機能がついているのだが、価格が10分の1のモッピーにそれを望むのは酷というものだろう。

ベッドの下を掃除したら、奥の方のホコリがたくさん取れてきた。

 フローリングモップ式の掃除方法なので、紙切れなどの大きなゴミはあまりとれないが、ホコリや髪の毛などはよく取れる。

 特に便利なのは、ベッドの下などの掃除。私の使っているベッドは、床下高さが10㎝ちょっとしかないので、掃除機やフローリングモップでは、奥まで充分に掃除できない。モッピーをベッドの下に追い込んで掃除をさせてみたところ、奥の方のホコリが思った以上に取れた。

 ホコリが付着したシートは洗うことができるが、毎回洗わなくても、かたまったホコリをつまんで捨て、また使う、というずぼらな方法でもしばらく使えるようだ。

自己責任で畳を掃除したところ、畳の目にホコリが付いてしまった

 モッピーはフローリング専用のお掃除ロボットだ。カーペットや畳の上では使用しないようにと注意がされている。故障の原因になるからとのことだが、自己責任でちょっと試してみた。その結果、故障うんぬん以前に、もっとわかりやすい問題があることがわかった。

 カーペットや畳などデコボコのあるものの上を走らせると、シートに集めたゴミをそこにくっつけてきてしまうのだ。かえって汚くなってしまう。これはいけない。

 モッピーは、デリカシーに若干、いや、かなり欠けるところがあるが、元気に働く愛嬌のあるマシンだ。

 「お掃除ロボットに興味はあるけど、ルンバのような高価なものはちょっと」とお考えの方は、上に述べたような特徴や制限があることを知った上で購入されるのなら、検討の価値があると思う。






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2010年7月15日 00:00