家電製品ミニレビュー

パナソニック「マッサージソファ EP-MS40」

~デザイン良し、機能もマルな家具タイプのマッサージ機
by 阿部 夏子

家具を買う気分でマッサージチェアを買う

パナソニック「マッサージソファ EP-MS40」

 自宅にマッサージチェアというと、リッチかシニアというイメージが強い。製品本体の価格はもちろん、マッサージチェアを置くスペース、さらには革張りのゴツイ椅子が似合う空間があるかといういうと、購入層が限られてくるのは当然の流れだろう。

 月に2回はマッサージに通っている万年肩こりの私も、自宅にマッサージチェアなんて恐れ多いと思っていた1人。お金がかかるということについては、マッサージチェアを買うのも、マッサージに通うのもそれほど変わらない、むしろマッサージの方がお金がかかるかもしれない――が、あの黒くて大きい物体を自宅に置くなんてことは到底想像がつかなかった。

 そう、パナソニックの「マッサージソファ EP-MS40」(以下、マッサージソファ)を見るまでは……私がこの製品を知ったのは製品発表会のその日。初お披露目となったその製品を見て、これなら良い! これ欲しい! と久しぶりに物欲に火がついてしまったのだ。製品発売後もその熱はなかなか収まらず、どうしても一度試してみたい! と周りにお願いしまくって、今回2カ月ほど製品をお借りできることになった。


メーカーパナソニック
製品名マッサージソファ EP-MS40
希望小売価格オープンプライス
参考購入価格121,307円


インテリアのアクセントになるデザイン

 まず、私がなぜマッサージソファを欲しいと思ったのかを説明しよう。単純に言ってしまうと、デザインが好きだったからだ。仕事柄、最新のマッサージチェアの実力は知っているつもり、それでも手が伸びなかったのはやはり従来型のマッサージチェアのイメージが強かったというのがある。そのイメージをひっくり返してしまったのが、マッサージソファのデザインであり、カラーリングだった。

本体正面本体側面本体背面
脚のマッサージをするフッドレストは本体に収納可能収納したところ座面にはフッドレストを引き出す紐が設けられている
本体そのものがインテリアのアクセントになるようなデザインだ

 マッサージソファのデザインは、インテリアにマッチするというより、それ自体がアクセントになるような存在感のあるもの。その意味で、インテリアにこだわっている人やテイストを気にする人は逆に導入しずらいかもしれない。ただ、一目で欲しいと思った私の場合、実際自宅においてもみても、デザインやサイズ感、さらにカラーリングまで含めてバッチリだった。ソファーと並べて使ってもそれほど違和感がないし、単独で置いてもしっかりインテリアとして成立する。

 実は、インテリアにマッチするといった冠を付けたマッサージチェアは最近珍しいものではない。カジュアルタイプ、リビングタイプと名前は替えているものの、どの製品も基本的なコンセプトは一緒だ。リビングに置いても違和感のないよう、布張りにして、脚部分は本体に収納可能。機能はハイエンドモデルに比べるとかなり省略。ただし、その分お値段も抑える。そのコンセプトは充分理解できるのだが、それが結局どっちつかずとなって、製品の魅力が半減してしまっていたように思う。

 すなわち、マッサージ機能も中途半端、デザイン性もマッサージソファとしては良いかもしれないけど、普通のソファとしてして考えるとどうも今イチ――という結果だ。

 その点、マッサージソファは1つのソファとして主張するデザインを採用することで、そのどっち付かずの状態を脱却している。カバーやカラーリングを各種用意する、有名セレクトショップと組んでデザインカバーを発売するなど、そのアプローチはマッサージ機能よりも断然デザイン寄りだ。

本体サイズは、本体サイズは、700×1,480×850mm(幅×奥行き×高さ)。重量は約45kg。2人掛けのソファと大きさを比べて見た。並べて置いてもそれほど違和感がない横から見たところ。普通のソファに比べると奥行きや高さがある
本体にはクッションが付属する。マッサージチェアとして使用するときは、クッションは外す本体カバーは取り外し可能。洗うこともできるし、カバーを替えることもできるクッションのカバーももちろん取り外し可能だ

20~30歳代が満足できるマッサージ機能

使用イメージ

 ここで、当然気になるのがじゃあマッサージ機能はどうなの? というところ。結果から先に言うと満足している。

 マッサージソファの基本的なマッサージ機能を説明する前に、自分がどこまでのマッサージ機能を求めているのかを改めて考えてみた。高級機では、高度な技術を搭載したもみ玉とエアーバッグを組み合わせて、腕から足裏までそれこを全身をカバーしてくれる。それはもちろん、気持ちが良く、使用中眠くなってしまうほどだ。

 同社のマッサージチェアのハイエンドモデルに当たるリアルプロの3分の1以下の価格であるマッサージソファでは高級機に搭載されている座面下のマッサージや、エアーバッグによって両サイドから筋肉をほぐすような動きは当然省略されている。マッサージの動きにしても、リアルプロでは108種あるのに対して、マッサージソファでは6種類となっている。それでも満足だと答えるのは、私が一番凝りを感じる首と肩はしっかりカバーしてくれているからだ。

本体操作は付属のリモコンで行なう本体側面にはリモコンの収納ケースが設けられているリモコン

 特に最近のマッサージチェアの傾向の1つとして、もみ玉で押すだけでなく体の筋を伸ばすストレッチの動きが多く採用されている。座っているだけで脚の筋が伸び縮みしたり、肩が伸縮する。もちろん、その動きは気持ちいいが、20~30歳代の人なら自分でもストレッチ運動などをして、その動きを再現できるだろう。

 高級機では、60歳代以上のシニア層をメインターゲットとしているため当然、マッサージの動きもその年代を想定している。逆に言うと、マッサージソファは20~30歳代をターゲットとしているため搭載されている動きも20~30歳代が満足できる内容となっているのだ。その意味でマッサージソファのマッサージ機能は私にとって大満足できる内容だ。

簡単でわかりやすいコース設定で初めてでも迷わない

 では実際の機能を見ていこう。本体には自動コースとして、以下の5つが搭載されている。


コース名内容所要時間
しっかりほぐし首から腰までをほぐすような動きを行なう15分
ちょこっと8分しっかりほぐしを短縮した内容8分
くつろぎタイム強い動きを抑えたおだやかなコース15分
気分リセット刺激に強弱をつけたコース約15分
わたし流マッサージの箇所・時間を設定できる3/6/9/12/15分から選択
ポイント6種類の動作を順番に行なう約15分
フットマッサージふくらはぎ、足裏を圧迫単独では約15分、コースと併用の場合コース時間に準ずる


それぞれのコースの特徴(説明書より抜粋)

 それぞれのコースで特徴があるが、実際に使った感想としては動きそのものはほとんど変わらない。変わるのは、範囲と時間だ。強弱や位置に関してはどのコースを選んでも同じように設定変更できる。一点注意したいのは、脚のマッサージは別扱いになっているということ。

 どのコースを選んでも脚のコースが含まれているわけでないので、その都度自分で設定する必要がある。

コースを選択すると、まずもみ玉が動いて肩の位置を確認するマッサージ強さなどはその都度設定できるフットマッサージは自動コースには含まれていないのでリモコン下のフットボタンを押して設定する

 首から肩の凝りが激しい私が愛用しているのは、わたし流に設定して、首、肩を入念にマッサージするコース。脚のマッサージも必ず併用している。首から肩がしっかりとほぐされ、マッサージ後は血行も良くなる。本体は座面が深く、レッグレストを使うと全身が投げ出されるような姿勢になる。最初は、やや不安定にも感じたが、慣れてくるとこのリラックスしきった体勢がクセになる。温泉に行った時につい口をついて出る「あー」という言葉をついつい言ってしまう。

本体は座面が深く、投げ出されるような格好になる首や肩の凝りが激しい私が愛用しているのは「わたし流」というコース首肩のみというコースを選んで、そのときの都合で時間も設定できる

 余談だが我が家に来たお客さんは必ずといっていいほど、マッサージソファを体験していく。それほど広い家ではないので、どうしても目につくようだ。客人のため、どの人も当然、気持ち良いというのだが、意外だったのは夫の反応。夫はほとんど肩こりを感じないタイプの人間で、マッサージチェアやマッサージになんの興味も抱いていなかった。その夫が毎晩のように、マッサージソファを使っているのだ。

 特に気に入っているのは脚のマッサージ。彼、いわく「外でマッサージしてもリラックスできないから、これまでは興味がなかった。自宅で自分のペースでマッサージしてみたらはまってしまった」のだそう……なるほど、神経の図太い私にはこの感覚は分からなかったが、確かに、知らない人に自分の身体を触られるのが嫌な人や、公衆の面前で緩みきった顔を見せるのは嫌という人は多いだろう。

 自宅で使うマッサージチェアにはこのような利点もあったのだ。

夫が特に気に入っている脚のマッサージふくらはぎの両サイドと足裏を圧迫するマッサージだ足裏のもみ玉がぐーっとツボを刺激する

椅子としてもマルな座り心地


専用のクッションも付属し、椅子としても座り心地も申し分ない
 正直にいうと、導入当時は肩こりがひどく毎晩マッサージソファを使用していたが、使い続けることで血行促進につながったのか、最近の使用ペースは週1~2回程度。

 ただ、マッサージソファには毎日座っている。単純に座り心地が良いからだ。普通のソファより背面が高く、座面も深いため、座った時の安定感が抜群で、もちろんもみ玉がゴロゴロすることもない。マッサージをやる、やらないは別として、私の指定席になっている。ソファとしての座り心地も充分、アリなのだ。リビングに置くことを考えたら、これは大事なポイントだろう。


自分へのご褒美として働き盛りにこそオススメしたい

我が家の場合、置くところがここしかないという理由でリビングに置いたが、マッサージチェアとしてだけでなく、テレビを見るときのソファとしても大活躍している

 と、いうわけでここ2カ月弱、実際にマッサージソファを使ってきて、マッサージチェアに対してのイメージがずいぶん変わった。実際自宅に置いてみて、まず思ったのはマッサージチェアはリビングにこそ置くべきだなということ。従来タイプのマッサージチェアの場合、サイズが大きかったり、部屋のイメージに合わないなどの理由から、書斎や自室、寝室などリビングよりもプライベートな空間に置くことが多かったと思う。

 実際、私の叔父は高級タイプのマッサージチェアを所有しているが置き場所は自分の部屋で、ほとんど誰も行かない場所。こうなると使用頻度は自然に少なくなる。

 でもそれじゃあやっぱりもったいない。マッサージチェアはそもそも、リラックスするために作られている製品なので、座り心地もそこらへんのソファに比べてもひけを取らない、どころか上回ってしまう。リビングにおいて、テレビを見ながらマッサージ、マッサージしなくてもマッサージチェアに座ってリラックス。これだけ使い倒せば、高級家電といえども損をした気にはならないだろう。

 マッサージソファならそれが可能だ。

 マッサージや整体に通っているOLというのは珍しくもなんともないのに、マッサージチェアを持っているOLとなると一気に数が減る。掛かる時間やお金を考えても、マッサージソファなら元が取れるだろう。貸し出し期間はあとわずか……真剣に購入を検討している。





2010年3月30日 00:00