家電製品ミニレビュー

IKEA「CALYPSO」

~電球専用のシーリングライトで、リビングに適した明かりを演出
by 藤原 大蔵

珍しい電球専用のシーリングライト

IKEAのシーリングライト「CALYPSO(カリプソ)」。白熱電球を取り付けて撮影している
 のんびりとくつろぐ空間には、明るさを少し抑え、暖かみのある光色が似合う。リビングルーム用のシーリングライトの多くは、部屋の隅々まで煌々と照らしだす白色の丸形蛍光灯を用いているものが多くなっている。

 そんな中、電球のソケットを3つ備えたシーリングライトを発見した。大型輸入家具店「IKEA(イケア)」の、「CALYPSO(カリプソ)」という照明器具だ。シーリングライトは丸形蛍光灯を取り付けるのが一般的だが、電球が取り付けられるというのは珍しい。これなら、電球を変えることで、暖かみのあるリビング照明が作れるのではないだろうか。アンティークな雰囲気のシェードのデザイン、シーリングライトとしては比較的購入しやすい価格もあって、さっそく購入した。

メーカーIKEA(イケア)
製品名CALYPSO(カリプソ)
店舗購入価格3,990円(送料別)
購入店IKEA船橋

 カリプソは、電球を取り付けるための3つのソケット(E26口金)を備えたシーリングライトだ。シーリングライトの光源として一般的な丸形蛍光灯を取り付ける金具やコネクタは用意されておらず、完全に“電球専用”となる。ただし、器具本体とシェードの間には開口部があり密閉器具ではないため、白熱電球はもちろん、電球形蛍光灯やLED電球の使用も問題ない。

 サイズは520×110mm(直径×高さ)と、シーリングライトとしてはごく標準的なサイズ。シェードはガラス製ではあるが、重さは電球を取り付けない状態で2.4kg弱と軽量な部類に入る。前述の通り器具本体とシェードが開いているため、天井面への間接光も期待できる。なお、シェードの外側はマットなフロスト(曇りガラス)仕上げだが、内側はツヤがあり、光りが反射しやすい仕上げになっている。

カリプソを取り付け前に上から見たところ。密閉器具ではなく、シェードと本体の間に大きな隙間がある。そこから光りが洩れ、間接光となって天井面を照らし出す仕様になっているシェードはガラス製。表面はフロスト仕上げとなっており、真ん中が少しくぼんでいる
シェードの内側はツヤがある。電球の光りを透過しながら、天井面への反射も期待できる仕上げだ電球を取り付ける部分。一般的なE26口金の電球を3個まで使用する。1個の電球の最大ワット数は60Wまで。本体の周りには、シェードを固定する金具が取り付けてある


取り付けは工具もいらず簡単。ガラスのシェードは落とさないように

 カリプソの取り付けは、天井に引っ掛け用のシーリングがあればあっという間に取り付けられる。手順は、まずはシェード無しの器具本体だけを取り付け、次に、器具のソケットに電球をセット、最後にシェードを被せるというものだ。工具を使わなくても、ものの5分もあれば取り付けは完了してしまう。

 注意する点としては、電球形蛍光灯やLED電球を取り付ける際のサイズだ。これらは白熱電球よりも大き目のものが多いため、製品によっては、シェードが取り付けられないケースも考えられる。省エネ電球を使う際は、できるだけ白熱電球に似たサイズのものを使用すると良いだろう。

 注意点としてもう1つ。シェードはガラス製のため、落とさないように慎重に取り付けたい。器具本体にはシェードを固定する金具が4本ついているが、その うちの1本にバネが仕込まれており、その1本を引き出してシェードをはめ込み固定する。可動しない3本の引掛け金具の所にシェードのフチを差し込み、その 後、バネ付きの金具を引き出してシェードのフチにかけ、指をそっと離せばシェードは確実に固定される。

取り付け手順は写真で詳しく紹介しよう。まずは、器具の表面に見える2箇所のナットを外す(画像上)。ナットを外し、ネジのついた引掛けシーリングを取り外す(画像下)外した金具付きの引掛けシーリングを、天井のローゼットに取り付ける引掛けシーリングの金具についているネジを本体に通し、ナットを締め上げ固定する。後は電球とセードを取り付けるだけだ
60Wタイプの白熱電球(55×94mm[直径×高さ])を取り付けたようすNECの電球形蛍光灯「ホタルックボール」60Wタイプを取り付けたようす。55×111mm(直径×高さ)と白熱電球よりも大きめだが、問題なく取り付けられた東芝のLED電球「E-CORE 一般電球型6.9W」(直下照度60Wタイプ)を取り付けたようす。60×109mm(直径×高さ)と白熱電球よりも高さも直径も大きいが、問題なく取り付けられた

シェードを取り付けているところ。3本の固定金具に差し込む。シェードはガラス製なので落とさないよう気を付けたい可動する金具を引っ張り出し、シェードのフチにかけ、ゆっくり指を離せばOK取り付け完了。筆者の場合は、全行程でも5分ほどで完了できた

 とこで、「シェードの支えがこの4本の金具だけで大丈夫なのか」と心配になったが、試しに本体を振って確認してみても、シェードが外れて落ちることはなかった。

器具の本体部分を掴み持ち上げて振ってみたが、シェードが外れたり落ちることはなかった

間接光を使い、くつろぎの空間にふさわしい落ち着いた雰囲気が演出できる

 白熱電球を3個取り付け、カリプソを点灯すると、暖かみのある柔らかな光が部屋を照らし出す。率直な感想は「あ、なんかいい感じ!」。室内に適度な陰影が得られ、白色の丸形蛍光灯にはない穏やかな雰囲気になった。ちなみに、この場合のテーブル面の明るさは140lxだった。

LED電球を取り付けてい、点灯したところ。写真では器具の光り方に多少ムラができてしまったが、肉眼では問題なかった大きく開いた器具の隙間から洩れる光が天井を照らし出し、その反射光が部屋に柔らかく広がる。光りの陰影が美しい

 冒頭で述べた通り、カリプソは密閉器具ではないため、消費電力の低い電球形蛍光灯やLED電球も取り付けられる。60Wタイプの電球形蛍光灯3灯ではテーブル面は95lx、直下照度60WタイプのLED電球では60lxと、白熱電球よりも暗めではあったが、いずれも十分な明るさが得られた。

こちらは、カリプソに変える前まで使用していた蛍光灯のシーリングライト。テーブル面で320lxあり、とても明るい。しかし、オフィスのように部屋全体がくまなく白っぽい光りに包まれてしまい、リラックスする雰囲気にはならない【60W白熱電球×3】
テーブル面の明るさは140lx。丸型の蛍光灯と比べると照度は落ちるが、実際には十分な明るさが得られる


【60W型 電球形蛍光灯(ホタルックボール)×3】
テーブル面の明るさは95lxあり、十分に明るい
【直下照度60W型 LED電球(E-CORE 一般電球形6.9W)×3個】
他の電球と比べるとかなり暗くなる印象だが、それでもテーブル面は60lx。新聞も読めるぐらいの明るさは得られている


 カリプソ一灯だけで全体照明としての明るさは得られるのはわかったが、これだけでは従来のシーリングと同様、どうしても単調な照明になってしまう。雰囲気のある落ち着いた空間は演出できない。

 そこで、既に室内に設置されている間接照明とアクセント照明を加えてみたところ、LED電球やワット数の低い電球を使った場合の暗さが解消され、かつリビングルームらしい落ち着いた雰囲気が演出できた。

 個人的に一番お薦めしたいのが、敢えて暗めの20Wタイプの白熱電球を取り付け、それに間接照明やアクセント照明を合わせるテクニックだ。意外に思われるかもしれないが、20Wタイプは間接光やアクセント照明との全体のバランスが良く、とてもリラックスできる。光りの緩急が部屋をより広く見せられるため、開放感を与える効果もある。画像だと暗い印象はあるが、実際には新聞のような、細かな文字も判読できる明るさは確保されている。つまり、リビングルームらしい落ち着いた雰囲気と、軽い作業にも応じられる明るさが両立している灯りが得られるというわけだ。ちなみに、あまり20Wタイプを見かけない電球形蛍光灯やLED電球の場合は、40Wタイプで代用するというのもありだろう。

【60W白熱電球×3 +間接光】
かなり明るく、間接照明の効果はあまり期待できない。他の照明と併用するならワット数がもっと低いものが合う
【60W型 電球形蛍光灯×3 +間接光】
間接照明と合わせるにはまだまだ明るい。併用するのであれば、40Wタイプ電球形蛍光灯でも十分だろう
【直下照度60W型 LED電球×3 +間接光】
カリプソだけだとやや暗めだったが、間接照明と合わせると室内にバランスの良い光りの緩急がつき、リラックスしやすい雰囲気が演出できた

【40W白熱電球×3】
テーブル面の明るさは78lxと、一灯だけでも全体照明としての明るさはまだまだ得られる
【40W白熱電球×3 +間接光】
間接照明の効果も得られ、暖かな雰囲気の空間になった

【20W白熱電球×3】
テーブル面の明るさは26lxと、全体的にぐっと暗くなる。カリプソだけではかなり薄暗い印象
【20W白熱電球×3 +間接光】
間接照明の効果がさらに得られ、とても落ち着いた雰囲気が楽しめる。個人的には一番お勧めだ

 リビングルームは、一日を終える穏やかな時間を過ごす場所として最適な場所。そんなリラックスする空間を演出する1つの手段として、カリプソを試してみてはいかがだろうか。

【11/06 追記】
 現在IKEA本体のホームページからは、カリプソの製品ページが消えている。IKEAによれば全店で完売しているとのことだが、12月中旬に取付金具がもっと簡単になった同デザインのものが再発売されるという。購入を希望する方はもう少しお待ちいただきたい。


レビュー記事 バックナンバー

【訂正】初出時、通販サイトのリンクを誤って掲載しておりました。IKEA直営の通販サイトは現在のところありません。お詫びして訂正させていただきます。



2009年11月6日 00:00