家電製品ミニレビュー

身を持って実感! 歯垢をしっかり除去する電動歯ブラシ「ブラウン オーラルB」

 プラーク(歯垢)は、虫歯や歯周病の大きな原因の一つと言われている。予防歯科の見地からも、大事な歯を失わないためには、効果的にプラークコントロール(歯垢の量を減らす)をするのが推奨されている。

 そもそもプラークは、柔らかい高密度の細菌のカタマリ。実は洗口剤などの薬剤を使ってうがいをしても、歯にベッタリと付着し続けるそうだ。歯ブラシで物理的に力を加えて除去できるものなので、自分に合った歯ブラシ選びと正しいブラッシングが重要だ。

 効率良くプラークコントロールする歯ブラシとして、今回はブラウンの電動歯ブラシ「オーラルB PRO500」を紹介しよう。

ブラウン オーラルB「PRO500」
メーカー名ブラウン
製品名オーラルB「PRO500」
型番D165231UNA
実売価格4,742円(Amazon)

 他の電動歯ブラシと異なるのは、歯科クリーニング器具に近い丸型のブラシが採用されている点。その動きは、ブラシが上下運動しながらプラークを叩き、高速往復反転して掻き出すというものだ。指先程の大きさの丸いブラシだが、歯を素早く効率的に磨いてくれるという。

 PRO500はシリーズ内では下位モデルに当たる。ブラシの上下振動こそ、上位モデルの半分である2万回/分にはなるものの、プラークを掻き出すブラシの最高反転数(時計回りと反時計回りを往復)は上位機種と同じ、約8,800回/分となる。

 本体のほか、2種類のブラシと充電器で構成されている。ブラシを装着した本体の大きさは27×34×232mm(幅×奥行×高さ)で、重さは131g。スイッチのある青い部分は柔らかい素材なので、濡れた手でも滑りにくく手によく馴染む。

 充電は本体を充電台に挿し込むように載せるだけと簡単だ。防滴仕様なので、洗面台の上でも気軽に充電できる。最初だけ1日かけてしっかり充電が必要だ。充電中は緑色のランプが点滅し、満充電になるとランプが消える。満充電で1日2回、各2分間の使用で、最大7日間(28分連続)使用できるという。

左上から充電器、本体、マルチアクションブラシ、ベーシックブラシ、カラーリング2個で構成されている
充電器に本体を挿し込むように置くだけで充電が開始。最初は丸1日かけて充電する。充電器のコードの長さは約90cm

ボタン1つでシンプル操作

 ブラシの脱着は引き抜く/挿し込むだけと、とても簡単だ。作動時間も長く、ブラシの根元は色分けができるので、替えブラシを揃えれば家族中で1台の本体が共有できる。

 使い方も簡単で、ブラシに米粒大程の歯磨き粉をつけ、口の中にブラシを入れてから本体のスイッチをオン。止める場合はもう一度スイッチを押す。

 本体の安定性も良い。本体の底には突起があるので、寝かせた状態でも転がりにくい。一時的に洗面台の端にも安定して置ける。

ブラシは本体に挿し込むだけで装着完了。取り外す時は抜き取るだけ。根元にはカラーリングが付けられ色分けできる
シンプルな構成で洗面台の上に置いても場所を取らない
On/Offは本体のスイッチを押すだけ。スピードは変えられない
本体の断面が楕円に近く、底の方に突起もあるので傾斜が多少ある場所でも安定して置ける
ブラシが作動する様子。肉眼でもわかりづらいが、ブラシは毎分2万回も上下運動もしている

プロフェッショナルタイマーが計画的なブラッシングをサポート。2分で磨ける

 正しく磨くコツは口の中を4分割して、エリアごとに歯の外側、上面、裏面を10秒ずつ、ブラシを軽く当ててなぞっていく。手磨きのように小刻みに動かさず、歯を1本ずつ意識してブラシを移動させていく。各エリア30秒ずつ、合計2分で磨き終えられる。ヘタに手磨きするよりも、よほど早いのではないだろうか。

 しかも、PRO500には「プロフェッショナルタイマー」が搭載されている。30秒毎に一時的に短めに回転が止まるので、タイミングがわかりやすい。2分が過ぎると、長めの一時停止を繰り返すので終えるタイミングもハッキリわかる。

 歯の側面を磨く際は、ブラシを歯に対して斜め45度に当てれば、歯と歯ぐきの間にブラシが入り込み、効果的にプラークが除去できる。前歯の裏側はブラシを立てて使用する。

口の中を上の歯左右、下の歯左右と4つに分けて、それぞれを30秒かけて磨いていく。プロフェッショナルタイマーが30秒毎にシグナルを出すが、時計を見ながらの方がより確実だ
ブラシは軽く当てるようになぞっていく。ブラシが小さいので歯の一本一本が意識しやすい
奥歯の上面に10秒、側面は歯に対して斜め45度に当てると歯と歯ぐきの隙間にもブラシが入り、プラークが効果的に除去できる
大きく口を開かなくても、ブラシがよく届く

 付属のブラシはどちらも一般的な歯ブラシよりも高さはあるが、丸いブラシなので大口を開けなくても小回りが利きやすい。しかも、ブラシを縦にしても横にしても同じような感覚で磨けるのもポイントだ。

丸いブラシなので、縦でも横でも同じようにブラシが歯に当たる
ブラシの高さは、一般的な歯ブラシよりも3mm背が高い20mmだが、ブラシヘッドの径が小さいので口の中隅々まで届く

今までにないツルッツル感! マルチアクションブラシ

 実は、PRO500の購入の決定打になったのは、下位モデルながらも「マルチアクションブラシ」を採用していた点だ。マルチアクションブラシは16度の斜めに植えた、オーラルBの最新型のブラシ。歯の表面はもちろん、歯間も歯ぐきのキワにもきっちりブラシが入り込むという事で、大いに惹かれたのだ。

 実際の使用感は、自分がこれまで手で磨いて感じたことの無いような感覚だった。奥歯の後方までブラシが包み込むように届き、しかもその先の歯と歯ぐきの隙間にまでブラシが入り込んでいく、と言った具合だ。前歯の裏側も今までの一般的な歯ブラシと違って、軽くブラシを押し当てただけで一本一本の歯にブラシがよく当たっているのが感じられる。

 その仕上がりは大満足だ! 歯科医でクリーニングしてもらった後の感覚にきわめて近く、歯がツルッツルになった。手磨きでは味わったことの無かった仕上がりの印象だ。

 しかも、歯を指でこすると「キュッキュ」と鳴る。それが毎日続くのだから、余程効果的に磨けるのだろう。確実に汚れが落ちているのが実感できるので、それがだんだん面白く感じられるほど。鏡を見ながら一本ずつ磨くのも、あっという間に習慣化してしまった。「楽しく」歯磨きができるようになったのは大きな変化だ。

マルチアクションブラシは、オーラルBの最新型。ブラシが16度の角度で植毛されていて、歯間も歯ぐきのキワの歯垢もやさしく除去するという
歯列模型の親知らずの後ろ側までブラシの先が入り込む(右)

 もう一つの「ベーシックブラシ」は、歯の丸みと溝を包み込むようなブラシ形状だ。こちらはマルチアクションブラシよりも当たりがソフトなので、起床後すぐの歯磨きや、食後用に使っている。

 電動歯ブラシを使うのが初めてという方にも向いているだろう。ブラシの植え方は異なるが、こちらもかなりキレイになる印象だった。

ベーシックブラシも歯垢除去のスタンダードとして位置づけられている
歯の丸み、溝を包み込むようなブラシ形状だ。当たりが柔らかいので初心者にも向いている
歯の裏側にも容易にフィットする丸型ブラシ(左)。一般的なブラシは幅がある分どうしても磨き残ししやすい

替えブラシが豊富なのも魅力

 PRO500を購入にあたり、もう一つ魅力的な点があった。それは替えブラシのバリエーションの多さだ。オーラルBシリーズならば、上位機種に同梱されるブラシも含め、全て取り付けられるというのも大いに気に入った点だ。

 その中でもPRO500と同時に購入したのが、「歯間用ブラシ」だ。というのも、お恥ずかしい話だが、自分の歯は補綴物、差し歯、ブリッジなどの治療箇所が多い。以前は、一般的な手磨きと併用して、歯間ブラシやワンタフトブラシで結構な時間をかけて磨いていた。ところが、そんな努力も虚しく、歯医者さんチェックが入った時には決まって磨き残しを指摘されていた。

PROシリーズに対応する替えブラシ7種の中の1つ、「歯間用ブラシ」も同時購入した

 オーラルBの歯間ブラシは、そのような場所にも容易に入り込み、手磨きではとてもできない上下運動と高速往復反転するので、効果的に早く磨けるようになった。ピンスポット的な歯と歯ぐきの間も、ブラシを移動させるだけでより一層丁寧に、意識して磨けるようになった。

 このように複数のブラシを併用する際にも、前述したとおり、全てのブラシは本体に抜き差しするだけ。煩わしさをほとんど感じない。

 ゆえに、ブラシの手入れも簡単だ。磨き終わったら電源をつけたまま流水でブラシをよくすすぐ。次に電源を切って、ブラシを引き抜いて流水ですすぐ。一般的な歯ブラシと同じくらい簡単にケアできる。

歯間用ブラシは歯間や歯と歯ぐきの境目にしっかり入り込む。ブリッジや差し歯のケアにも威力を一層発揮する
替えブラシは抜き差しするだけでできるので、手入れも流水ですすぐだけで簡単

磨き残し10%以下を達成!

 治療箇所が多い点からも、自分は1カ月半に1回の割合で歯医者に通い、歯と歯周病のチェックとクリーニングをお願いしている。PRO500を約1カ月半使用して、磨き残しを歯医者さんでチェックしていただいたところ、その効果がハッキリと数値に表れた。

 なんと、磨き残しは10%を切り、9%にまで減少していたのだ! 手磨きだった頃は、どんなに気をつけていても、15%を下回る事がなかったので、この結果は相当嬉しかった。しかも、歯磨きの時間は10分から6分(マルチアクションブラシと歯間ブラシで合計4分に、手磨きでの歯間ブラシ2分)に短縮したにもかかわらずの結果だ。そして特に目を見はったのは、歯の裏側は上下とも磨き残しがゼロだった点。

 数値的には成績がアップしたが、過去にはちゃんと磨けていた場所に、汚れが新たに残っていたのも事実。PRO500を手で操っている以上、やはり「磨きグセ」による磨き残しがどうしても起こりうるのだろう。自分のクセを知るためにも、歯科医師や衛生士のプロが診るチェックとアドバイスを受け続けていこうと思っている。

手磨きの頃の筆者のプラークコントロール結果は15%の磨き残しがあった。どんなに丁寧に磨いても、15%以下になることは一度もなかった
PRO500を使って1月半の結果。とうとう10%を下回った!それでもまだ磨き残しはある。自分の歯磨きのクセを理解するためにも、定期的なチェックは有用だ

 気になるのは替えブラシの価格だ。一般的な歯ブラシが1本100~300円程度なのに対し、オーラルBの替えブラシは1本700円前後なので、ランニングコストは一見して高い印象だ。まして数本使い分けるとなると結構な出費になるので覚悟は必要かもしれない。

 とは言うものの、替えブラシは3~4カ月も持つ。一般的な歯ブラシの寿命が1カ月と言われるので、実はそれほどの違いはない。まして、歯磨きの確実性が上がれば虫歯や歯周病を患う確率が減る。長期的に見れば高額な治療費を払ったり、歯を失ったりする可能性がより低くなると言えるだろう。導入する価値は大いにあると言える。

 治療箇所が多い方にも効果的にプラークコントロールができる電動歯ブラシとして、PRO500を大いにオススメしたい。是非かかりつけの歯医者さんとも相談して、購入を検討してはいかがだろうか。

右が、歯磨きに10分以上時間がかかっていたこれまでの筆者の歯ブラシセット。ベーシックブラシは起床後と食後専用。マルチアクションと歯間用ブラシは就寝前のケアに。ブリッジ用の手動歯間ブラシも併用で、プラークコントロール9%を達成
右が新品のブラシ、左はほぼ3カ月使用したもの。薄いブルーのブラシが白くなったら交換だが、まだ大丈夫。価格は高いが長持ちする

藤原 大蔵