家電製品ミニレビュー

Panasonicロゴの新eneloopと新充電式EVOLTAの実力【後編】

先日リニューアルされた新しいeneloopと充電式EVOLTA。どちらもパナソニック製だ

 今春にリニューアルされた、パナソニックのニッケル水素電池「eneloop」と「充電式EVOLTA」について、旧モデルとどのような違いがあるのだろうか――その疑問について、前編ではカタログスペックの比較とミニ四駆を走らせて性能テストをした結果を紹介した。[前編はこちら]

 スペックだけを見ると、新eneloopは繰り返し利用回数を重視しており、旧eneloopや新充電式EVOLTAの1,800回から300回高い2,100回に増えている。一方、充電式EVOLTAは電池容量重視タイプで、新eneloopや旧充電式EVOLTAの1,900mAhよりも50mAhだけ高い1,950mAhに増えている。

 しかし前編でミニ四駆を用いた実験をしてみると、容量が多い充電式EVOLTAが必ずしも長時間使えるというわけではなく、実験では容量の少ない新eneloopが一番ミニ四駆を早く走らせたにもかかわらず、一番長く使えるという結果になった。

 後編では、一般的な電子機器を想定し、もう少し出力の少ない使用環境における電圧の変化と利用できる時間を検証してみよう。

実験装置。コンピュータで電圧を調べながら、電池が空とされる1.0Vになるまでの時間と電圧を調べる
手に持っているのが抵抗と呼ばれる部品。これを取り替えることで、色々な消費電力の機器を想定した実験をする
■■注意■■

・レビュー内の実験結果は、室温がコントロールされていない環境で行なっています。電池は温度により、その特性が大きく変わる点にご注意ください。
・実験結果は記事作成に使用した個体に関してのものであり、すべての製品について共通であるとは限りません。
・新eneloopと新充電式EVOLTAは新品を使用していますが、電池を活性化させるため、3回の充放電(リフレッシュ充電)を行なっています。リフレッシュ充電をしていない製品では、同様の実験を行なっても結果が異なる場合があります。旧eneloopと旧充電式EVOLTAについては、使用回数が少ないものを使用しています。
・筆者および家電Watch編集部では、この記事についての個別のご質問・お問い合わせにお答えすることはできません。

ストロボなど2.4Aの大電力では新eneloopが長持ち

 ミニ四駆よりわずかに少ない、2.4A程度の電流が流れる大電力機器で使った場合の利用時間を調べてみた。なぜ2.4Aの電流を流すかというと、ストロボや一眼デジカメ、モーターを使った機器を想定しているからだ。実際の機器の代わりに、「抵抗」という部品で0.5Ω程度の抵抗を掛けて電気を消費している。

電流が2.4Aの機器に通電した結果のグラフ。新eneloopがいちばん長く使える結果となった

 結果はミニ四駆と同じで、一番長く使えるのは新eneloop、第2位は旧eneloop、3位が旧充電式EVOLTA、最下位は新充電式EVOLTAという結果になった。

 特徴的なのは、一番長く利用できる新eneloopの電圧の低さだ。実験開始10分後ほどから、すでに電圧は1.1Vまで下がってしまっている。その後、長時間にわたり1.1Vを保持して、最終的にはその粘り強さで一番長く使えたようだ。言い換えると新eneloopの電圧は、「細く長く」という感じだ。

 もしバッテリー残量計がついている機器で新eneloopを使い、「電池残量わずか」と表示されたとしても、そのわずかな期間が長く続くはずだ。したがってモーターを新eneloopで動かすと、新充電式EVOLTAや旧eneloopよりも遅く感じたり、豆電球などの照明に使うと暗さを感じるが長く使えるという幹事だ。

 一方新充電式EVOLTAは、容量が多い割りに長持ちせず、電圧も旧充電式EVOLTAに比べて少し低い。大電力機器にはeneloopの方が向きそうだ。

デジカメは旧eneloopがダントツ

 次に、0.5Ωの抵抗を1Ωに取り替えて、およそ1.2Aの電力を消費した場合の利用時間を調べてみる。機器でいうと、スマートフォンの充電器やデジタルカメラ、液晶画面がついている機器類などを想定している。

デジカメを想定した、1.2Aの場合のグラフ。旧eneloopが最も良いという結果になってしまった

 結果は旧eneloopがダントツの1位となった。旧充電式EVOLTAは、利用時間では最短となったが、出力できる電圧が群を抜いて高く、eneloopの“細く長く”というサイクルに対して、“太く短く”という感じになっているのが特徴的だ。

 一方、新eneloopと新EVOLTAで比較してみると、新eneloopがやや優勢で、新充電式EVOLTAより3分長持ちとなる。しかし、およそ2時間の使用時間で3分長持ちと言われても、割合にすると3%にしか過ぎない。これはほぼ同等の利用時間と見てもいいだろう。筆者の印象では、三洋とパナソニックが合併する前は、eneloopと充電式EVOLTAそれぞれに尖った特徴があったものの、合併後は似たり寄ったりの性能になってしまったようにも見える。

 そして電池容量がeneloopより50mAh多い充電式EVOLTAだが、ここでもeneloopより長持ちしない結果となった。プラス50mAhは、あくまで旧充電式EVOLTAとの性能比であり、他の電池と比較する絶対的な指標にはならないのかもしれない。

音楽プレーヤーやラジオを想定した400mAだと、eneloopと充電式EVOLTAの差が開く

 次に、さらに抵抗を大きく3Ωにして、およそ400mAの電流が流れる中程度の電力消費の機器を想定して実験してみよう。機器で例えると、携帯音楽プレイヤーやラジオ、電子辞書といったところだ。

音楽プレーヤーやラジオなど電力消費が中くらいの機器を想定し、400mAの電流で実験した結果。旧eneloop、新eneloopの順となる。最下位は新充電式EVOLTA

 結果、一番長持ちしたのが旧eneloopで、続いて新eneloopとなった。旧eneloopは、電圧も高く、長持ちしていることがグラフから見て取れる。続く2位は新eneloopで、電池残量が半分になってからの粘り強さがあり、新充電式EVOLTAよりも長持ちだ。最下位は、もはや指定席となった新充電式EVOLTA。eneloopはもとより、旧充電式EVOLTAよりも利用時間が短くなってしまっている。

 先ほど行なった1.2Aのグラフと比べると、新eneloopと新充電式EVOLTAの差は広がっている。消費電力が少ない機器では、充電式EVOLTAよりもeneloopを使ったほうがよさそうだ。

 なお400mAより少ない消費電力の機器では、あまりニッケル水素電池を使うメリットがなく、アルカリ乾電池の方がコストパフォーマンスがよい。したがってここでは実験しなかった。とくにテレビなどのリモコンや時計など、何カ月、何年単位で電池が長持ちする機器にニッケル水素電池は適さない。

ブランドが同じなら旧型充電器が使える。新旧電池の混在利用は避けたほうが良さそう

 さてここまで色々を実験してきたが、実際の利用で気になる点がいくつかある。それは新旧電池と充電器の組み合わせと、新旧電池の混在利用だ。

・同一プランドなら電池の新旧に関係なく古い充電器が使える

同一ブランドなら古い充電器も使えるので、新たに買い換える必要なし!

 まずホームページでも言及されている新旧電池と充電器だが、eneloop用の充電器であれば、電池が新旧に限らず古い三洋製の充電器を使って、Panasonicロゴの新型eneloopを充電できる。また古い充電式EVOLTA用の充電器で新旧充電式EVOLTAを充電して問題ない。さらに新型充電器はeneloopにも充電式EVOLTAにも対応しているので、新旧充電式EVOLTA、新旧eneloopの充電が可能となっている。

 充電時の組み合わせでNGなのは、旧充電式EVOLTAの充電器で新旧eneloopを充電したり、旧eneloopの充電器で新旧充電式EVOLTAを充電することだ。

【充電器における、新旧eneloopと新旧充電器EVOLTAの相性の違い】
電池種類 旧eneloop 旧EVOLTA 新eneloop 新EVOLTA
旧eneloop用充電器 × ×
旧充電式EVOLTA用充電器 × ×
新eneloop/充電式EVOLTA
兼用充電器

・新旧充電式EVOLTAと新旧eneloopの混在利用はやめたほうがいい

新旧eneloop、新旧充電式EVOLTA同士の混在利用は、個人的には避けたほうが良いと思われる

 まず確実にダメなのが、ホームページでも言われているとおり別ブランドの混在だ。つまり新旧問わず充電式EVOLTAとeneloopの混在利用はNG。使えないことはないが、電池が発熱したり機器にダメージが及ぶ場合もある。

 次にNGなのが、新旧充電式EVOLTAの混在。ホームページでは明記されていないが、新旧充電式EVOLTAの混在はQ&Aにある「容量の異なる電池の混在は利用禁止」に該当する。

【新旧eneloop、新旧充電式EVOLTAの混在利用のまとめ】
相性 旧eneloop 新eneloop 旧EVOLTA 新EVOLTA
旧eneloop
利用回数に差
×
メーカー違い
×
容量・ メーカー違い
新eneloop
利用回数に差※
×
メーカー違い
×
容量・ ブランド違い
旧EVOLTA ×
メーカー違い
×
メーカー違い
×
容量違い
新EVOLTA ×
容量・ メーカー違い
×
容量・ ブランド違い
×
容量違い

 一番微妙なのは、新旧eneloopの混在だ。ホームページの情報からだとOKとも読み取れる一方で、「利用回数が異なる電池は混在させない」ようにしたほうがいいともある。つまり使い込んだ旧eneloopと、新品の新eneloopを混ぜて使うのは、NGではないが推奨できないというのがメーカーの見解だ。

 しかしココまで実験してきた結果から見ると、新旧eneloopは別物と見たほうがいいだろう。それは今回みた放電時のカーブが新旧でかなり異なるためだ。このカーブが似たようなものであれば、混在利用しても問題ないが、カーブが異なる場合はどちらかの電池に負荷がかかり、電池が発熱したり機器を傷める場合がある。新eneloopの放電のカーブは、旧eneloopよりは新充電式EVOLTAに近いので、混在利用は避けたほうがいいというのが筆者の見解だ。

どっちを使えばいいか――とりあえずオールラウンダーなeneloopがオススメ

 2回に渡って実験してきた新eneloopと新充電式EVOLTAの性能実験。カタログスペックでは、容量1,900mAhの新eneloopより1,950mAhの新充電式EVOLTAのほうが長持ちかと思われたが、容量50mAhの違いは実験結果に出ることがなかった。

 しかし消費電力の違いによって、新充電式EVOLTAとeneloopは得手不得手があるようだ。そこで大雑把ではあるが、どんな場合に新充電式EVOLTAがよく、どんな場合に新eneloopがよいのかをアドバイスしておきたい。

新充電式EVOLTAは、大電力の機器でも高い電圧をキープできる。量販店だと、単三型4本セットで1,300円ほど

・速く明るくパワフルにしたい場合は充電式EVOLTA

 モーターをよりパワフルに速く回転させたいという場合や強力ライトをより明るく照らしたいという場合は、大電力でも電圧が落ちない新充電式EVOLTAを選ぶといいだろう。代表的な機器は、ミニ四駆などの模型やラジコン、ストロボや無線機などだ。ストロボはより素早くチャージでき、無線機やトランシーバはより強い電波を出せるようになる。

 ただし高い電圧を維持できるぶん利用時間は新eneloopに比べると短くなってしまう点に注意。

利用時間の長さはeneloopが有利。量販店では単三型4本セットで1,400円ほど

・デジタル機器を長く使いたい場合はeneloop

 消費電力が1A以下で中ぐらいの電力消費の機器なら、長持ちする新eneloopがいい。中ぐらいの消費電力というのは分かりづらいが、新eneloopや新充電式EVOLTAを入れて連続利用し、だいたい4時間以上〜12時間程度使える機器を目安にして欲しい。具体的にいえば、携帯音楽プレイヤーや電子辞書、キャンプ用のランタンや携帯扇風機など多くの機器がそれに当たる。これらの機器は、新充電式EVOLTAを使うより新eneloopを使う方が長く利用できるだろう。

 大まかな使い分けはこのようになるが、使い分けが面倒という場合やイザというときのために備蓄するという場合は、オールラウンダーの新eneloopをオススメしておこう。

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(藤山 哲人)