家電製品ミニレビュー
ハリオ「V60 細口パワーケトル・ヴォーノ」
■ペーパードリップに最適な電気ケトル
細口パワーケトル・ヴォーノ |
「もうこれからのコーヒーはフレンチプレス式だぜ!」と思っていたのもつかの間、ちゃっかりペーパードリップコーヒーも飲んでいる筆者であった。いや、なんとなく気分で……というのもあるが、今の時期、冷房の効いた部屋で冷たい食事をとると少々体が冷えるので、1杯だけホットコーヒーが飲みたくなる。そこで、1杯だてができるドリップパックを活用しているというわけ。
1杯用のドリップパックは便利だが、唯一の難点は、フィルター径が小さいこと。コンロ用のコーヒーケトルや電気ケトルの注ぎ口では湯量の調整が難しく、毎回勢いよくワッとお湯を注いでしまい、風情も風味も台無しになってしまう。これはなにも1杯用のドリップパックに限ったことではなく、一般的なペーパードリップにおいても、お湯を静かに細く注ぐというのはなかなか難しい。
そこで試してみたのが、ハリオの「V60 細口パワーケトル・ヴォーノ」(以下、ヴォーノ)である。付属の電源プレートに水を入れたケトル本体を乗せ、ON/OFFスイッチを入れると数分後にお湯が沸く。すでにご家庭でもおなじみの電気ケトルだが、ヴォーノは注ぎ口を細く長くすることで、そのままドリップコーヒーに使える設計になっているのである。
メーカー | ハリオ |
製品名 | V60 細口パワーケトル・ヴォーノ |
希望小売価格 | 7,350円 |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 6,200円 |
サイズは295×156×175mm(幅×奥行き×高さ)で、重さは0.8kg。0.8Lまで沸かせる。最大の特徴は、細い注ぎ口と、掴みやすいハンドルだ。注ぎ口を計ってみると縦約11mm、幅約9mm程度である。実際に普通の電気ケトルや、ガス用のケトルと注ぎ口を比べてみても、圧倒的に細かった。
ボディはステンレス製 | 注ぎ口はとても細い | 上から見た様子 |
中の様子 | 電源プレート | 本体を電源プレートに乗せたら、背面のスイッチをONにするだけ |
ヴォーノ(左)、コンロ用のコーヒーケトル(中)、電気ケトル(右)で、注ぎ口のサイズ比較 | お湯を沸かしているときは、側面で赤いランプが点灯する |
■ペーパードリップコーヒーを丁寧に淹れたい方にぴったり
使ってみてまず感じたのは、安定感。水を満タンにした状態で持っても、腕が疲れないのだ。もちろんそれなりに重さは感じるが、注ぎすぎないよう力んでいる感じがない。火を使わないからハンドルは熱くならないし、「空だき防止機能」もついているから安全だ。電源プレートはコードをスッキリ収納できるので、使わないときも邪魔になりにくい。
1杯用のドリップパックでもしかり。狭い範囲にそっと注げるので、コーヒーを淹れている感じがする。従来は、コーヒー豆をいきなりお湯まみれにしまう感じだったのだ。
ペーパードリップコーヒーにお湯を注いでいる様子。細くやさしく注げる | ドリップパックも格段に注ぎやすいので、丁寧に淹れてみようかという気になる |
正直に言うと、筆者はペーパードリップがヘタである。しかし、それはこれまで注ぎ口と注ぎ方を意識しなかったからかも!? という気がしてきた。
そこで、改めてペーパードリップコーヒーのおいしい淹れ方を調べてみた。すると、淹れ方だけを見た場合、多少の作法の違いはあれど、大きなポイントが見えてきた。それは、全体をふっくら蒸らすこと。さらにドリップする際は、「の」の字を書くように細く優しくお湯を注ぐこと。このとき、壁にお湯がかからないよう、中央で500円玉くらいの範囲を意識すること。コーヒーが残っていても、目的の量になったら、すぐドリッパーに外すこと。
むむ! 全然できていなかったかも! 特に、細く優しく「の」の字というのは、これまで使っていたケトルの口では難しかった。しかし、「ヴォーノ」なら優しく「の」の字が書ける。しかも注湯のスピードも調整しやすいので、継ぎ足す際に勢いよく注いで、せっかく作った濾過槽の壁を崩壊させる心配もない。
もしかしたら、これで万年ペーパードリップ初心者を脱出できるかもしれない、という淡い期待を抱きつつあるこの頃なのだ。これまでは「ペーパードリップよりフレンチプレスのほうが好きだ」と思っていたが、ペーパードリップの腕が上がればこの限りではないかもしれない。むしろ、両方の淹れ方をマスターすれば、コーヒーがより楽しめそう!
ちなみに、お湯が沸くまでの所要時間は、0.8Lの水で約6分30秒だという。気温の高い日に試したところ、5分50秒で沸いた。ドリップ派の方なら、スイッチを入れてから器具やコーヒー豆を準備しても十分だろう。
コーヒーだけでなく、カップスープなどにももちろん活用できるので、1つあるとかなり重宝すること間違いなしだ。
2010年8月19日 00:00