家電ミニレビュー

アイリスの低温調理器でフワフワの鶏ハムや魚料理。ほったらかしで完成

アイリスオーヤマの低温調理器でやわらかな鶏ハムができた

茹でた鶏肉が好きでよく食べているのだが、パサパサな食感になりがちなのが悩み。そんなときに興味を持ったのが、100℃以下のお湯でじっくりと加熱する低温調理だ。今回は、販売価格10,000円以下と他の商品に比べて買いやすい価格のアイリスオーヤマ「LTC-01」を使ってみた。

スイッチを押した後は、数時間放置するだけで、食感がやわらかな鶏ハムや鶏チャーシューなどの料理を作れて大満足。低温調理器と併用する鍋や容器を自分で用意する必要があるのだが、高さ20cm以上と大きめのサイズが必要。事前にそれさえ確認しておけば、楽に料理を作れる。

鍋にセットするだけで、フワフワの鶏ハム完成

アイリスオーヤマの低温調理器「LTC-01」は2019年発売で、現在も販売を続けているモデル。水を入れた鍋に入れて温度とタイマーをセットすると、ヒーターで湯を沸かして、設定した水温にする。底部には攪拌羽根がついており、容量15L以下の入れ物であれば、水の温度を保つことができる。

使用するときはまず、鍋や容器に調理器をセットして「min」の目盛り以上に水を入れる。そのあと、上部のタッチパネルで温度と時間を設定すれば、湯沸かしが始まる。60~70℃ほどの温度で調理することが多かったが、湯が沸くまでにかかる時間は10分ほど。湯が沸いたらアラームが鳴るので、チャック付き容器に入れた食材を入れて完成を待つだけだ。調理が終了した食材は、食中毒を防ぐためにも氷水などですぐに冷やし、冷蔵庫に入れた。

水を入れた鍋に低温調理器をセットして湯を沸かしたあと、袋に入れた食材をセット
底部の攪拌羽根

8種類の料理が作れるレシピブックが付属していたので、「鶏ハム」を調理してみた。塩をすり込んだ鶏むね肉とローズマリーを袋に入れ、67℃で90分低温調理するとできあがる。見た目は茹でた鶏むね肉とそこまで変わらないが、食感はまったく異なるものだった。茹でるとパサパサになってしまうが、低温調理では油分を保ったフワフワな食感になった。調理時間は長くとも、味には満足だ。

鶏ハム以外にレシピブックに掲載されているのは、「ローストビーフ」「鶏むねハム」「サーモンのコンフィ」「ポトフ」「ピクルス」「鶏チャーシュー」「プリン」「桃のコンポート」。鮭のコンフィや鶏のチャーシューも調理してみたところ、調味料やハーブの味がよく染みたうえ、やわらかな食感だった。いずれも、火はしっかり通っていた。

鶏むねハムができあがったところ
鶏チャーシューはしっかり味が染みた

ほとんどほったらかしでOK

調理にかかる時間は数時間ほどだが、実際に人が食材を取り扱うのは下準備くらい。ガスやIHで煮る、炒めるといった調理をするときには、常に食材の様子を見ておく必要があるのに対し、低温調理では下処理以降の過程はほとんど人の手を離れている。在宅勤務中は仕事前に低温調理器をセットして昼休みに食べたり、休日は調理中に他の料理をガスで作ったりしていた。

低温調理中は人の手を離れるとはいえ、水が少なくなるなどの問題も起こりうる。お湯が「min」の目盛りを下回ったときにはアラームが鳴り、調理がストップする。低温調理は普通の調理よりも低い温度で肉や魚を加熱するため食中毒が不安。安心に料理を作るためにも、調理中のエラーをすぐに知らせてくれるのは嬉しい機能だ。

タッチパネルで水温を表示。設定温度を下回るとすぐにアラームが鳴る

購入前に確認したほうがよいことも

低温調理自体はうまくできた一方で、「使用前に準備しておけばよかった!」となったことが3点あったので紹介する。低温調理器の購入前に確認しておけば、そこまで困ることはなさそうだ。

低温調理器の収納場所

本体のサイズは高さ40cm、重さ1.4kgと意外と大きめ。外箱の大きさも16×9×40cmほどだ。新たにキッチンに収納するとなると、場所の確保が難しかった。キッチンの収納に入らない場合は、別の部屋などに保管場所を確保しておく必要がある。

箱から出したところ。長辺は40cmある

使用する鍋・容器のサイズ

低温調理には深さ20cm以上、内径20cm以上、容量15Lの鍋を使用する。しかし、この条件に適合する鍋を持っていない家庭も少なくないのではと感じた。単身者でまめに料理を作る筆者の場合、自宅にある一番大きな鍋の内径は20cm以上あったのだが、高さは14cmほど。試しに、低温調理器をセットしてみたところ、なんとか調理はできたが、触ったらすぐに倒れそうだった。20cmの高さは必須だ。

高さ20cmの鍋をホームセンターのキッチン用品売り場で探してみたところ、寸胴鍋のような形状でないとなかなか見つからない。結局、寸胴鍋を買っても低温調理器を使う以外に出番がなさそうで、買うのをためらってしまった。

そこで、耐熱性のあるプラスチック容器で代用してみた。100円ショップのダイソーに行ったところ、耐熱温度140℃のプラスチック容器が販売されていた。高さは22cm、容量12Lと、LTC-01の推奨する容器サイズにも適合している。鍋と比べてしまうと保温性のなさが不安だったので、周囲を保温アルミシートで覆ってみた。使用したところ、水温を保ちながら使うことができた。

なかなか高さ20cm以上の鍋がなく、耐熱プラスチックの容器で代用。低温調理器をしっかりクリップで取り付けられた

ただ、プラスチック容器は熱で破損する危険があるため、使用前に耐熱温度を確認する必要がある。インターネット通販では、低温調理器用のプラスチック容器なども販売されているため、そのような容器を購入するのも一つの方法だろう。

コンセントの場所

LTC-01のコンセントにはアース線がついている。感電を防ぐためにも、あらかじめアースつきコンセントの位置を確認しておく必要がある。

1Kの筆者宅の場合、アースつきコンセントは冷蔵庫裏と洗濯機置き場付近の2カ所。冷蔵庫裏のコンセントはすでに、冷蔵庫と電子レンジでコンセントとアースを使っていたので、洗濯機付近のアースつきコンセントを使用した。ネジでアース線を留める方式なので、使用後に毎回取り外す手間はある。しかし、調理中にほとんど手間がかからないことを考慮すれば、さほど面倒に思わなかった。

洗濯機と同じアースを使用した

鍋やコンセントの位置を確保できれば楽に調理

調理に大きめの鍋が必要だったり、アースつきコンセントが必要だったりと、購入前に確認しておくことがある。ただ、それらをクリアすれば、ビニール袋に入れた肉を放置するだけで調理できるのが魅力的だ。筆者は低温調理器を初めて使ったのだが、鶏むね肉のフワフワさには感動した。調理後に冷蔵庫で冷やして翌日以降に食べても食感が変わらず、調理法によってここまで味が変わるものかと驚いた。

今回使ったアイリスオーヤマの低温調理器は、他社製品に比べて買いやすい価格で、鶏ハムやコンフィの調理もうまくできた。サラダチキンを自宅で作りたい人や、やわらかな食感の肉や魚を食べたい人におすすめだ。

大塚 愛理