家電製品レビュー

ロボットならではの”かたくなさ“で隅々までキレイ! 水拭き“にも”対応する、エコバックスのロボット掃除機

 未就学児の息子が持ってくるのか、お菓子の食べかすが散らかっているのか、わが家のフローリングは、ザラザラしていることが多い。家の中では裸足でいることが多いので、そのザラザラ感がどうにも気になるのだ。

 そこで、一般的な吸引清掃に加えて、水拭きもしてくれるエコバックスのロボット掃除機「DEEBOT OZMO SLIM15」を使ってみることにした。

エコバックス「DEEBOT OZMO SLIM15」
メーカー名エコバックス
製品名DEEBOT OZMO SLIM15
価格(編集部調べ)29,440円(税抜)

 同機は、本体前方に2つのサイドブラシを搭載し、中央付近に吸取口を配置。ブラシでゴミをかき集めて吸引する。他機と異なるのは、後方に水拭き用の機能を備えている点。タンクに入れた水をポンプが吸い上げ、水量を調節しながら配置したモップ部を湿らせていく構造だ。

 前方のブラシでゴミやホコリを集め、本体下部の中央部付近で吸引。そこで取りこぼしたものを、モップ部で拭き取っていく。

前方のブラシでゴミをかき集めながら、後方のモップ部で吸い切れなかったゴミやホコリを水拭きしていく
本体上部を開くと、吸引清掃用のダストボックスが現れる
ダストボックスの取っ手を立てるとロックが外れ、そのまま持ち上げると取り出せる
後方下部には水拭き用の水タンクを配置
取り外して水を入れて、また後方に装着して使う

 実際に吸引清掃と水拭きの合わせ技で、フローリングを掃除してみた。最初の感想は、けっこう水の量が多いなぁ、というもの。水で拭いていった跡が、意外とくっきりと床に記されていく。乾くのか? という不安は杞憂で、5〜10分ほどで水拭きの跡は消えていった。

 使用したモードは、フローリングに適した「ハードフロアクリーニングモード」。あちこちランダムに動き回る予測不可能な動きではなく、規則正しい動きで無駄なく掃除していく。この標準的なモードのほか、ランダムに動く「オート清掃モード」や、壁際などの清掃に適した「壁際清掃モード」、ホコリが多い場所を重点的に掃除できる「スポット清掃モード」を備えている。

 部屋を一回りさせると思っていたよりも多くのゴミがダストボックスに溜まっていた。前日にはスティック掃除機で清掃していただけに、少しショック。さらに、水拭き用モップでは細かい砂が拭き取られているのが分かる。

部屋を一回りさせると、予想よりも多くのゴミやホコリが吸い取られていた
水拭き用のモップには、細かい砂がこびりついていた

 筆者の掃除機がけの後でも、多くのゴミやホコリを集めてきたのは、さすがだなとも思う。やはり人がなんとなく掃除するとムラが出てしまう一方で、ロボット掃除機は、かたくなまでに隅から隅まで掃除してくれることを実感した。

やはり水拭きするとピッカピカになる

かたくなに隅から隅まで掃除してくれる

 そうしたかたくなさは、たいていはメリットなのだが、時にはデメリットにもなる。灯油ストーブや扇風機などに対する反応が、その代表だろう。

 灯油ストーブの下の置台や扇風機のベース部分の傾斜は、登りきることもできず、バンパーが押されることもない。登っては一度後退し、またトライしては後退する、というのを何度も繰り返していた。

 逆に狭い椅子の脚の間をすり抜けようとするかたくなさは、同機のメリット。中途半端に引き下がらず、何度もチャレンジして、ほとんど同機の幅と変わらない椅子の脚部の間をすり抜けて掃除してくれた。

基本は壁などで、本体前方のバンパーが押されると方向転換する
灯油ストーブの下部や扇風機のベース部分は接触してもバンパーが押されないため、何度も前進を試みていた
椅子の間は、何度もチャレンジした末にくぐり抜けて、食卓の下を掃除していってくれた

 そのほか、本機は高さ57mmと非常に薄い設計である点も特徴だ。このため棚やベッドの下へも、スムースに潜りこんで掃除してくれる。

高さ約8cmの家具の下も迷いなく潜り込んで掃除してくれた

吸引力自体はいかに?

 畳や絨毯の部屋など水で濡らしたくない床などは、水タンクの水を抜き、モップを外して使えば良い。

 そうして水拭き用のモップを外し、吸引力だけでどれくらいゴミを取れるかも試した。部屋の一角にダミーのゴミを撒き、どれだけ確実に吸い取れるか? ダミーとして、乾燥した中国茶の茶葉を使った。

エコバックス「DEEBOT OZMO SLIM15」の吸引力テスト
テストに使った中国茶の茶葉

 結果としては、前方のサイドブラシが茶葉を弾き飛ばしてしまっていた。ただ、茶葉を全体的に弾き飛ばすわけではなく、大半はしっかりと吸い取られていた。また、飛ばした方向によっては、飛ばした直後に吸い取りに行くし、定期的に毎日のように本機を稼働させれば、早い段階で吸い取れる。そう考えれば、致命的な弱点ではないだろう。

どのくらいの広さを1度に清掃できるか?

 仕様によれば、最長稼働時間は100分。

 実際に掃除してみると、戸建て1階のリビング/ダイニング/キッチン/廊下/8畳の洋間と和室で、計70平米くらいを掃除しても、まだバッテリーは残っていた。そのまま2階の8畳の部屋を掃除し終わったところで充電が切れた。

 ちなみに、バッテリーがゼロに近づくと、付属の充電ステーションに戻り、自ら充電する。ただ、この帰還機能については、4~5回に1度程度は失敗することがあり、廊下の途中やベッドの下で力尽きていることがあった。

バッテリー切れの前に、充電ステーションに自ら帰還する

日本の住空間にフィットしているロボット掃除機

 本機で、もう1つ好感が持てたのは、駆動音が静かなこと。

 ロボット掃除機は留守中に使うから、静音性など重要じゃないというユーザーもいるだろう。だが、週末などは特に、在宅時に駆動させたくなるもの。また、実際に隣に響いているかは分からないが、音がうるさければ、マンションなどでは夜中に動かすのも気が引けるだろう。

 実際、我が家では、妻が週末の朝にロボット掃除機を稼働させることが多い。筆者は寝ていたり、息子はテレビで子供番組に夢中になっている時間帯だ。特に息子は、普段使っているロボット掃除機を使うと、我慢できずに「う〜る〜さ〜い〜! 聞こえない‼」と怒っている。

 だが「DEEBOT OZMO SLIM15」は、サイドブラシの音がカサカサと聞こえてくるくらいの静かさ。テレビを観ている時に、本機が近くを通っても、あまり気にならない。

 こうしてみると、吸引力の弱さは気になるものの、水拭きに対応する点、家具やベッドの下も難なく潜り込める背の低さ、マンションでも気楽に使える静音性の高さなど、我が家での使い勝手はとても良かった。また日本のライフスタイルにもかなりフィットしているように感じた。

 価格もリーズナブル。「うちもロボット掃除機を導入してみるか!」という家庭には、購入候補としてオススメだ。

河原塚 英信