家電製品レビュー

パエリアにノンフライ唐揚げも! 三菱IHで本格調理

 前回はガスコンロから、三菱IHクッキングヒーター(以下、IH)に変えた工事編をレポートした。今までガスしか使ったことがなく、IHをじっくり使うのは初めて。

 実際に使ってみて気に入ったところや便利だったところを中心に、今回は三菱IH「びっくリングIH」の製品そのものをレビューする。

三菱のIHクッキングヒーターを導入。使いこなすことができるのか!?
メーカー名三菱電機ホーム機器
製品名3口IH びっくリングIH 75cmワイドトップ
型番PT34Hシリーズ(CS-PT34HNWSR)
実売価格13万800円

レトロな操作性と派手で見やすいLED

 我が家が導入したのは75cmのワイドトップの3つ口で、グリルを備えたモデルだ。

 左右共に最大火力は3.0kW、奥は1.5kW。火力調整は左右が16段階で中央が5段階、グリルが5段階でできる。グリルをのぞいて3つはつまみで調整でき、左右は16段階のLEDでパッと確認できる。ガスのつまみにずっと慣れていたので、このつまみが決め手の一つになった。

つまみで火力調整できるのがお気に入り
火加減をパッと確認できるLEDインジケーター
手順や注意などを知らせてくれるホワイトワイド液晶

 実際に使ってみたところ、いつもの要領でまわして火力を調整でき、消すときはポンと押し込むだけなので直感的に操作できた。つまみを備えているIHは三菱だけであり、デザイン的には他社と比べてつまみの部分だけはレトロな印象だったが、ガスコンロでつまみを使っていた人なら使いやすい。

独自の5分割大口径IHコイルで吹きこぼれなし

 他社にはない本製品の魅力が、業界最大の大口径IHコイルを使用していることだ。左側の口径は26cmもあり、加熱面積は一般的なIHと比較すると1.7倍。そして、一般的なコイルは円になっているものがほとんどだが、5分割となっている。

左側がびっくリングIHで、IHコイルが5分割となっている(記者説明会で撮影)

 玉子焼き器も、オーバル鍋も、鍋のサイズに合わせて分割し、エリアごとに加熱できる。また、エリア分割できることにより、鍋の形や大きさに合わせて一部エリアには電気を通さないといったこともできるので、ムダなく省エネ調理ができる。これは自動的に検知して最適にセットしてくれるので、こちらで何か設定をする必要がない。

 また、「煮込み」モードにすれば、エリアを分割して加熱することで外向き、内向き対流を起こす。煮くずれがしにくく、焦げ付きを抑える効果もある。「ゆでもの」は自動で外向きと内向きの対流を交互に起こし、吹きこぼれを抑えて茹でることができる。美味しく調理できることはもちろんだが、IHコイルを部分的に点けたり消したりすることにより、電気代を抑えられる。煮込む料理などは電気代が気になるところだが、対流を起こしながら節電効果もあるのは嬉しい。

このように対流を起こすことができる

 まず、肉じゃがを「煮込み」モードで作ったが、放ったらかしでも味がしっかりしみていた。

肉じゃがを「煮込み」で作ってみた
じゃがいももしっかり味がしみていて美味しい!

 パスタを「ゆでもの」で茹でたところ、中もしっかり対流しており、吹きこぼれることがなかった。

ゆでものは吹きこぼれない。タイマーセットしておけば自動で切れる
点いたり消えたりして吹きこぼれを抑える。お湯も循環しているのがわかる

 ガスからの移行で火力が一番心配だったが、実際に使ってみるとかなり強く感じる。既に料理の手順は体が覚えており、野菜を切っている間にお湯が沸騰するように始めていたが、すぐにフツフツと気泡が出てきて沸騰してしまい、最初は慌ててしまった。500mlなら強火寄りの中火で2分もあれば沸いてしまうスピードだ。

火力は本当に強いのか? 底と鍋肌の温度を計測してみた

 220℃に設定。IHは基本的に密着している部分しか発熱しないので鍋底自体は発熱するものの、鍋肌は加熱するのは難しいといわれている。

 三菱のびっくリングIH(左側)は、外側コイルを8割、内側コイルを2割という火力配分にして、従来のIHでは難しかった鍋肌まで加熱できるという。予熱温度は160℃、190℃、220℃から選択しておくと。食材投入のタイミングはサインと音声でお知らせしてくれる。実際に220℃を選び、予熱完了のお知らせ後に鍋底と鍋肌の温度を計測してみた。

 220℃に設定して計測したところ、予熱完了直後の温度は26cmのフライパンでは鍋底が251℃で鍋肌が232℃。30cmの大きなフライパンは、鍋底が276℃で鍋肌が240℃。大きいフライパンのほうが不利かと思われたが、むしろ高い温度となっていた。

26cmのフライパンは鍋底が251℃で鍋肌が232℃
30cmのフライパンは鍋底が276℃で鍋肌が240℃

 なお、26cmのフライパンを使って右側のIHコンロで計測したところ、鍋底が237℃、鍋肌が182℃という結果で、温度が低めになっている。右側は一般的なIHコイルと近い形状となっているため、左側のような高温にはならないようだ。これだけ差が出たことに驚いた。

パラパラのチャーハンは家族に好評!

 我が家では炒飯や焼きそば等は大きなフライパンで作ることが多いため、しっかり鍋底と鍋肌まで熱くなっていることを確認できて安心した。チャーハンを作ってみたところ、固まっていたごはんがどんどんパラパラになって楽しい。チャーハンは苦手な料理の一つだったが、火力が強いこともあって、家族にも好評だった。びっくリングIHのほうが高温でできるので、炒飯などは左側で調理するようにしている。

IHは「あおり」をするためにIHからフライパンを離すととたんに温度が下がるが、つけっぱなしでOK
高火力で作ったチャーハンが美味しい!

グリルが網でガッカリ……しかし使いやすかった!

 三菱IHのグリルは、熱風循環加熱式を採用しており、また庫内の高さが業界最大の90mm。高さのある食材も丸ごと調理でき、ノンフライ料理や簡単なパンなども作れる。

 なお、プレミアムモデルで網を採用しているのは三菱だけだ。パナソニックや日立はグリルプレートを使用している。

 網を使っていると、下のプレートと網を両方掃除しなければならず、面倒くさそうな印象だったが、下にアルミホイルを敷いて使えるのでお手入れは簡単。落ちた脂はアルミホイルごとポイッと捨ててしまえばよく、網はコーティングされていてすぐに汚れが落ちる。

グリルはレール式プルダウンドアを採用。これは三菱だけ
下にアルミホイルを敷いて魚を焼く
サンマ5尾を一度に焼ける

 火力が非常に強く、サンマも5尾を一度に焼くことができた。ひっくり返す必要はなく、外側がパリッと焼けていて美味しい。

サンマは5尾、パリッと焼けて美味しい
脂がこんなに落ちてギトギト。しかし、アルミホイルの上なので、丸めて捨ててしまえばいい
ノンフライ唐揚げもジューシーに

 鶏モモ肉のノンフライ唐揚げは驚くほどジューシー。これまで色々なノンフライオーブンを試してきたが、トップクラスの焼き上がり。家族にもふつうに揚げるより、IHグリルで調理した唐揚げのほうをリクエストされるようになった。

鶏の唐揚げがジューシーで家族に大好評
焼きリンゴにパウンドケーキ、ローストビーフまで!

 さらに驚いたのは、庫内の高さだ。パウンドケーキや大きなリンゴも焼くことができ、予熱なしで見事な焼き上がり。グリルの内部を確認したいときは、ボタンを押せば照明をつけられるのも便利だ。

こんな大きなリンゴも丸ごと焼ける
焼きリンゴは子どものおやつに最適
パウンドケーキも予熱なしでふっくら焼き上がる
窓をのぞくと真っ暗だが、照明ボタンを押すと明るくなり、中が確認できる
ローストビーフも焼いてみた
グリルで手軽にできるのが嬉しい
グリルディッシュでパンやパエリアを調理

 付属の専用グリルディッシュを使えば、パンやパエリアなどを作ることができる。オーブンは40℃から設定可能で、発酵もできる。

 グリルはレール式プルダウンドアを採用しており、引き出すとドアが下がるため、食材を取り出しやすい。扉は簡単に外して丸洗いできるのも便利だ。

専用グリルディッシュ
発酵もできる
お手軽パンの出来上がり
パエリアも「パエリア」モードで簡単にできた
絶妙な火加減で、ごはんもちょうどいいかたさ

 ただし、グリルの網の隙間が広すぎるのは気になった。小さめに切った唐揚げ、食材が下に落ちてしまうことがある。もう少し網目の間隔は狭くしてもらえると嬉しい。

多機能で細かく設定できる

 なお、工場出荷時は、ガラス面のボタンの感度が一番高い状態となっている。何かこぼしてしまったり、調理中にちょっと拭いたりするとセンサーが反応してしまい、意図しない動作が始まってしまうので、非常にストレスが溜まっていた。

 しばらくガマンしていたのだが、取扱説明書を見直してみたところ、この感度は反応レベルを5段階で調節できることに気付いた。5段階のうち反応レベルが一番高い「1」だったので、色々試してから「4」に変更した。今はちょっとしたことで反応することがなくなり、快適に操作できている。

 こういった細かい設定が色々できるので、一通り取扱説明書は目を通しておくことをおすすめしたい。

 電気代が気になる方は、ピークカット設定が可能だ。消費電力は5,800Wだが、4,800Wと4,000Wからも選べる。ただし、消費電力は高火力を避けるか、他のヒーターの火力を弱めて使わなければならない。我が家では高火力で使いたいので5,800Wのままにしているが、電気代が気になる方はここの設定を変えておくと安心だ。

揚げ物は温度が安定し、カラッと揚がる!

 食材を入れてもすぐに温度を感知して、設定した温度に保ってくれるので、揚げ物はカラッと仕上がる。上昇気流による油の飛散が少なく、コンロ周辺やレンジフードをキレイに保てる。それでも食材によっては多少の油はねがあるのだが、すぐそばに新聞紙を置いておくこともできる。片付けがラクなのはIHのメリットと感じた。

専用天ぷら鍋を使う。油は最低でも200g使う
食材を入れて温度が下がっても、自動でコントロール
さっくりと揚げることができたアジフライ

 ただし、専用鍋を使って、油を使わなければならないのは少々面倒だ。油の分量は最低でも200g(約220ml)必要となる。大量に揚げるときはいいのだが、ちょっとだけ揚げたいときはもう少し小さな鍋を使いたい。ガスコンロは小さめの鍋でもよかったが、こういった点は融通が効かず、IHならではの不便な点だと感じた。

ガスコンロユーザーでもすんなり移行できる使い勝手の良さが魅力

 お手入れはフラットで簡単だが、やはりお手入れを怠るとガラス面が焦げ付いてしまうことも。そのため、市販品で「汚れ防止カバー」が多数売られているが、これはJEMA(一般社団法人日本電機工業会)によると使用してはいけない、とのこと。温度検知、空焚き防止機能などが正常に働かなくなるそうだ。

 もし焦げ付いて取れにくくなっても、重曹を少量の水で溶き、ラップで30分ほど置いておけばキレイに取れる。ゴトクのような凸凹がないため手間がかからず、すぐに新品のような輝きになる。

重曹パックで効果てきめん! 焦げもスルッと取れる

 ガスコンロユーザーがIHに変更し、戸惑った点は鍋が全体的に重いこと。ガスのときは軽い雪平鍋などを愛用していたが、IH専用の鍋やフライパンは重いものばかり。軽いものは増えているが、もう少し選択肢が増えると嬉しい。また、IHを初めて使うと最初はジーッという音が気になった。ガスとは違い、IH独特の音がするので最初のうちは気になるかもしれない。

 使ってみてIHの便利さを実感したのは、やはりフラットなトッププレート。吹きこぼれや汚れもサッとふくだけで簡単にお手入れできる。また直火を使わないため上昇気流も少ないので、油の飛び散りがおさえられる。何より、空気がよどみにくいのが嬉しい。

 火を使わないため、吹きこぼれによる立ち消えの心配はない。また、鍋まわりが熱くなりにくく、すぐ近くにレシピや調味料などを置いておいても焦げることがなく、安心して使える。フラットなので調理前は作業台として使えるのも便利だ。

調理中、そばに調味料などを置いておくことができる

 三菱独自のIHコイルを5分割した「びっくリングIH」は賢く、節電しながら料理を自動で美味しく仕上げてくれる。火力も強いので、料理好きな方でも満足できるだろう。ガスコンロを15年以上使って料理をしていたので心配していたが、すんなりと移行できた。

 あまり期待していなかったグリルの使い勝手もよく、魚だけでなくおかず作りで使用頻度は高い。操作性も含めてバランスがよく、初心者から本格料理をしたい方まで、幅広くおすすめしたいIHだ。

石井 和美